チームビルディング

▪️かつて「地域SNS」があちこちの地域で人気があった時代があります。若い方達はわからないと思いますが、facebook等に人気が出て、人びとがそちらの方に移っていく前は、「地域SNS」が地域づくりのひとつの手段として人気がありました。私も、いくつかの「地域SNS」に関心を持って参加していました。当時は瀬田キャンパスに勤務していました。大津市役所が運営されていた「おおつSNS」については、ハードユーザーでした。当時は、奈良に住んでいたのですが、大津のまちづくりに関心を持っていたからです。もっとも、大津市の事業見直しで2014年にサービス停止になりました。大変残念でした。

▪️この「おおつSNS」以外にも、参加していた「地域SNS」がいくつかありました。そのひとつが、「ラブマツ」でした。千葉県松戸市の「地域SNS」です。こちらは行政ではなくて、民間企業が運営されていました。全国の「地域SNS」がサービス停止になる中で、2022年まで運営されていました。こちらの「ラブマツ」は、私にとって、とても思い出深い「地域SNS」でした。参加されている方達のパーソナリティが、本当によく伝わってくる素敵な「地域sns」でした。ネットのつながりだけでなく、むしろリアルなつながりをされる点が素晴らしい「地域SNS」でした。私は関西に住んでいますから、リアルなつながりは難しいのですが、1度だけ松戸を訪れて「ラブマツ」のみなさんにお会いできることがありました。リアルなつながりを大切にする「ラブマツ」ならではのイベントが開催され、そこに私も参加させていただいたのです。

▪️いろんな方達と知り合いになり、今でも、facebookでつながっている方達がおられます。そのうちのお1人が、Kさんです。Kさんは、社会的に困窮されている、特に高齢者の方達をサポートするNPOを運営されています。そのKさんが、先日、とても興味深い投稿をfacebookにされていました。「チームビルディング」に関する投稿です。お孫さんの保育園の運動会を見学されていたときのお話です。5歳児のプログラムのお話です。どういうプログラムかというと、跳び箱の上にマットをかけたものが用意されているのです。5歳の園児さんが助走をつけて全力で走って、飛びついてよじ登れるかどうかギリギリの高さに調整してあります。5人の園児さんが、跳び箱に向かっていきます。飛びついてよじ登ろうとするのですが、最初はみんななかなか登れないのだそうです。でも、そのうち誰かが成功して上に登ると、上から友達を引っ張り上げて登らせようとするのです。何人か登ったところで、まだ登れない子がいるわけです。そうすると、せっかく苦労して登った子達が、飛び箱からわざわざ滑り降りて、下から友だちを押し上げようと頑張りました。そうやって全員で力を合わせて、みんな跳び箱の上に登ることができたのです。全員が登らないと、このプログラムは終わらないのです。うまくいかないチームは5分くらいかかって、それでも最後には全員が上に登りきって、やったーとポーズされました。拍手の嵐だったそうです。もちろん、先生たちは手を貸しません。

▪️じつによく考えられたプログラムだと思いました。と同時に、こういうの経験をたくさん積み重ねて大人になったとき、素敵な社会を自分の周りから作っていける人になるような気もしました。というのも、今の教育の場って、大学も含めてですけど、こういう経験が少なすぎますよね。個々人を、成績や様々な能力で評価していく世界だからです。評価すると、そこには上下が生まれます。個々人の努力は評価されますが、チームの努力は評価されません。上から手を引っ張ってもらう人、下からお尻を持ち上げてもらう人、その人たちも含めて、全員で「やったーとポーズ」するような経験は、本当に少ないように思います。「全員で」というところが大切だと思います。Kさんはこのように書いておられました。

「誰1人取り残さない」って政治家も言い、福祉に携わる市民活動家も言うけれど、
その気持ちはみんなが持たないといけないんだと。

助ける側として手を差し伸べる立場からもの言うんではダメ。
できる人は時には滑り降りて仲間を押し上げて、時には上から仲間を引っ張り上げて。
みんながそれぞれできることをして、みんなが助かる!その気持ちになることが必要なんだなぁと。

跳び箱の上で友だちと揃ってポーズをキメる、嬉しそうな子どもたちを見ながら、1人密かに思いました。

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