「ウナイ 透明な闇 PFAS汚染に立ち向かう」(監督平良いずみ)
▪️普段あまり映画館に行くことはないのですが、昨日は「京都シネマ」で「ウナイ 透明な闇 PFAS汚染に立ち向かう」(監督平良いずみ)を拝見しました。
自分たちが飲んでいる水道水、子どもに飲ませていた水道水にPFASが含まれていたら。胎盤を通して胎児の身体が汚染されていたら。この映画ドキュメンタリーは、そのようなPFAS汚染の問題に悲しみ怒り、声を上げた女性たちへの取材から生まれています。
▪️取材のスタートは沖縄県。嘉手納基地で使用とされたと思われるPFASに水道水が汚染されていた事件から始まります。「思われる」というのは、嘉手納基地に入って調査することが「日米地域協定」が壁となりできないからです。同じように基地のあるドイツの場合は、このPFAS汚染に対して、ドイツの法律が適応されるているのに…です。沖縄から始まった取材は、アメリカやイタリアのPFAS汚染に苦しめられた地域の人びとへと拡大していきます。また、国連の女性差別撤廃委員会の日本審査にも及びます。彼女たちがPFAS汚染は女性への人権侵害だと訴えました。しかし、そこでの日本政府側の反応はいかにも官僚的というか責任逃れの発言であることに驚きました。この映画の主人公の一人、町田直美さんは、この問題に関して、行政に対して数えきれないほどの要請を続けてこられました。今日、購入したパンフレットには、こう書かれています。
彼女は、これまで行政に対し数え切れなないほどの要請を続けてきた。しかし、返ってくる言葉は「日本では知見がない」「国内では健康被害は確認されていない」という通り一遍の答え。基準値がないから調査をしない、調査をしないから実態がわからない。悪循環に陥っている。一方で、アメリカではPFASの毒性を重く見て厳しい規制値を策定。EUでも予防原則に基づいた施策が打ち出され、世界は待ったなしの対策に踏み出している。
▪️作品を拝見して、特に女性達の連帯が拡大していくことにグッときました。人前で、PFAS問題を訴えることに勇気が必要だったという女性。家族からは、そんなことするなと反対されていた女性。しかし、この問題に立ち向かうために、とうとう町議会の議員に立候補しました。そのさい、これまで反対していた父親が手を振って応援してくれている…そのようなシーンも登場していました。PFAS汚染への怒りが響き合い、人びとの、特に女性たちの連帯が広がっていく様子に何度も感動しました。
▪️いろいろ勉強になりました。パンフレットにはこの投稿には書ききれないいろんな大切なことが書かれています。この映画をご覧になるのであれば、ぜひパンフレットも購入されたほうがよいと思います。こちらから劇場情報を調べることができます。