琵琶故知新「びわぽいんと」研究会
■昨日は、理事長を務めている特定非営利活動法人「琵琶故知新」で研究会を開催しました。私どものNPOで取り組もうとしている「びわぽいんと」の研究会です。「びわぽいんと」のことについては、いろいろこのfbでもお伝えしてきましたので、説明は省きます。以下をご覧ください。
びわぽいんと
■今日の研究会には、NPOの理事も含めて15名の皆さんにご参加いただきました。ありがとうございました。zoomによるオンラインと対面式のハイブリッドで開催しました。ゲストの皆さんには、とっても貴重なアドバイスをたくさんいただくことができました。滋賀県で取り組まれているMLGs(マザーレイクゴールズ)との連携の道筋が見えてきましが、そのことに加えて若い世代の人たちへの訴求力をどのように確保するのか、若い世代の知恵やセンスに向き合うべきこと、協賛金(寄付金)以外にも様々な資金確保の方法があること、もっと広報が必要であること…。研究会でのご意見は、文字起こしして、ご参加いただいたゲストの皆さんとも共有できるようにしたいと思います。
■研究会の後は、対面式の皆さんと懇親会を持ちました。私も含めて5人でしたが、もちろん、ソーシャルディスタンスを確保してです。懇親会の後は、今回ゲストとしてお越しいただいた、元「きょうとNPOセンター」の藤野 正弘さんと、さらに山科で飲み直しました。藤野さんは、私よりもひと回り年上の方です。でも、15年ほど前のことになりますが、私の大学院の講義やゼミを、社会人院生として履修されていました。ひさしぶりに、いろいろお話しすることができました。あっという間に時間が過ぎていきました。楽しかった〜。「びわぽいんと」についても、いろいろご意見をいただきました。ありがとうございました。
リラックスできない年度末
■子どもの頃、春休みの思い出と一緒にあるのはモクレンの花です。春休みって、宿題もないし、暖かくなって気持ちが良いし、なんとなく春の香りが漂っています。なんていうのかな、生き物が目覚めた感じの香り…かな。本当にリラックスできました。昨日は、最寄駅から自宅に帰るときに、近くのお宅のモクレンが咲いていました。素敵ですね〜。とはいえ、子どもの頃とは違い、春休みも朝から働いています。年度末ですから、それなりに忙しいです。大人ですからね。そんなにリラックスできないな…。って、還暦を超えた爺さんが言うことではありませんね。
■昨日は午前中は、朝9時半から大津市役所で「大津市協働を進める三者委員会」でした。これは、「大津市『結の湖都』協働のまちづくり推進条例」の規定に基づく委員会です。この条例に掲げられた「協働によるまちづくり」の推進を実効性あるものにし、時代の流れに対応したものとなるよう、協議・検討をしています。2017年の秋にこの委員に就任して、委員長を勤めてきましたが、もう1期頑張って他の委員の皆さんと良い議論をして、大津市役所と市民の皆さんとの協働を進捗させていきたいと思います。
■委員会の後は大学に移動し、高島市からの委託調査(高島市棚田地域調査・広報資料作成業務委託)に参加しもらったゼミ生への謝金の手続きを研究部で行いました。引き続き、そのゼミ生と卒論の相談を行いました。4月から4回生になる学生さんですが、真面目に卒論の研究を進めようとされています。指導教員としては嬉しいです。今日は、きちんと自分の調査をしようと思っているフィールドを見つけて来られました。こういうふうに前向きに、少しずつ取り組んでくれると、指導教員としても嬉しいんですけどね〜。でも、こういうゼミ生ばかりではありませんのでね。
■ゼミ生を指導した後、すぐに農学部に移動しました。龍谷大学「食と農総合研究所」の共同プロジェクト「琵琶湖水草の有機肥料としての表とその普及」の研究成果報告会が開催されました。農学・経済学・社会学の文理融合の研究プロジェクトの報告会です。私、今日は、社会学部教員の立場ではなく、特定非営利活動法人「琵琶故知新」の理事長として、これから運営していこうと準備をしている「びわぽいんと」や、NTT西日本滋賀支店との協働事業に関して報告を行いました。
■こんな感じで、今日も一日が終了。午前中の委員会、学生の指導、午後の報告会、いずれも有意義でした。とはいえ、年度末でいろんなことが立て込み、気持ち的には辛いところがあります。春休みだから、リラックしたいのですが。キャンパスは春休みでのんびりしているんですけどね〜。
「国分寺地域通貨ぶんじ」のこと
■時々、このブログで特定非営利活動法人「琵琶故知新」や、「琵琶故知新」でこれから運営していこうと考えている「びわぽいんと」について紹介をしてきました。理事長としての責任の重さをひしひしと感じながら、この「びわぽいんと」を具体的にどのように展開していけば良いのか、そのことについて頭を悩ませています。広い意味で地域づくりの活動に取り組んでこられた方たちに、「びわぽいんと」のことを説明すると、「ああ、地域通貨のようなものですね」と理解してくださいます。よくある地域通貨は、紙幣のようなものを発行して、流通させることで、地域社会の様々な課題を解決したり、活性化させたりしていこうとするわけですが、「びわぽいんと」の場合は、紙幣のようなものではなく、インターネット上で流通させるポイントになります。
■「びわぽいんと」の原理となる仕組みはすでに出来上がっていますが、それをどのようなルールで、どのような具体的な地域社会の活動とつなげながら展開していくのか、今はそのような段階かと思います。ここで乗り越えるべき壁がぐんと高くなりました。ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)だけでは乗り越えられない壁が存在するからです。言い換えればICTを具体的な地域社会というコンテクストの上で、どのようにデザインしていくのかということになります。藁にもすがるような思いで、ヒントになる情報を探しています。先日のことになりますが、滋賀県庁の幹部の方とお話をしたときに教えていただいたことがあります。「皆さんの『びわぽいんと』の話をお聞きして、東京の国分寺市でやっている地域通貨『ぶんじ』のことを連想しました」。ということで、「国分寺地域通貨ぶんじ」について調べてみました。
■「国分寺地域通貨ぶんじ」については、公式サイトがありますから、そちらをご覧いただけばと思います。とても興味深かったのは、この地域通貨が「お金」であると同時に、メッセージカードでもあるということです。地域通貨であるから「お金」の一種であることはわかりますが、メッセージカードとはどういうことなのでしょう。実は、地域通貨「ぶんじ」の裏側には、メッセージを書くことができます。Aさんが、Bさんから何かを買う(物やサービス)時にこの「ぶんじ」を使うわけです。「交換」です。通常、「交換」が成立した時には、AさんとBさんの関係はそれで終了します。「お金」の点だけから考えれば、「交換」が終了した段階で関係が持続する必然性のようなものはありません。しかし、「ぶんじ」は違います。裏側に自分の気持ちをメッセージとして書き込むのです。公式サイトでは、このように説明されています。
金は何かを「手に入れる」ための道具でなく
誰かのやさしさや丁寧な仕事を
「受け取る」ための道具にもなる。そして受け取ってくれる人の存在は
忘れかけていた贈ることのよろこびを、
もう一度思い出させてくれるかもしれない。そして、ぶんじはまた、
次の「贈り手」に向けてめぐっていきます
■「ぶんじ」は、地域通貨です。国が発行している通貨と同様に「交換」されるわけですが、それとともに人をつないでいく、人に思いを伝える「贈与」の側面も持っているのです。そのような「贈与」が人と人とのゆるやかな関係を生み出していくわけです。私が「ぶんじ」に注目するのは、この地域通貨には「贈与」の側面が存在しているからです。公式サイトには、次のように書かれています。「気持ちのこもった仕事に『いいね!』/率先したまちのための汗かきに『ありがとう』/その感謝のメッセージが、働くことのよろこびを思い出させてくれる」。
■この「国分寺地域通貨ぶんじ」については、キーパーソンである影山知明(かげやま・ともあき)のインタビュー記事も参考になります。フコク生命によるインタビュー記事です。この中で、影山さんは、次のように語っておられます。特に、大切だなと思った部分を一つだけ引用させていただきます。
互いに干渉しない、必要以上に立ち入らないという世の風潮もあるように思いますが、うまく関わり、お互いの前向きな重なりをつくれるようになると、1人ではできなかったことが2人だからこそできるということもあるでしょう。それぞれの自由を尊重し合いながらの「他人と共に自由に生きる」道があるのだといいます。
「自分の利益にしか関心がなかったり、自己中心的に考えてしまったりしていると、目の前の一人一人は『利用する(テイク)』対象になってしまいます。そうすると相手も防衛的になり、リターン目当てで関わったりするようになる。こういう関係を続けていくと、奪い奪われで消耗しますから、人と付き合うことが嫌になります。ところが、目の前の一人一人にどうやったら力になれるかと、『支援する(ギブ)』姿勢で関わるようになると、相手もちゃんと返してくれることに気が付く。そしてこうした関わりの方がよっぽど生産的だし、気持ちがよく、長く続くものになります」
■なぜ引用したのかといえば、様々な方たちと連携しようとする中で私自身も強く感じてきたことだからです。地域づくりの活動の中で、研究プロジェクトの中で、大学の組織の中の取り組みの中で…。影山さんが語っておられるのは、「他者を自己の手段や資源にしない関係」のあり方です。とても大切なことかと思います。「他人と共に自由に生きる」、とても素敵な言葉だと思います。さて、私たち「琵琶故知新」の「びわぽいんと」は、よく店舗やスーパーで使われているポイントカードとは違います。そようなポイントカードは、消費者が「自分のため、自分が得をするため」に利用され、そのことで店舗やスーパーも利益をあげることかできるわけです。もちろん、「びわぽいんと」もそのような利用が可能なわけですが、それだけでなく「ぶんじ」と同じく贈与の側面に特徴があります。大津で環境ボランティアで貯めたポイントを、湖北で活動している団体に贈ることができます。その時に、「ぶんじ」のようにメッセージが伴っていると素敵だなと思っています。このあたり、琵琶故知新の理事の皆さんにも、相談をしてみたいと思います。
【追記】■「ぶんじ」のキーパーソンである影山知明さんが執筆された『ゆっくり、いそげ ~カフェからはじめる人を手段化しない経済』(大和書房)です。タイトルがいいですね。「人を手段化しない経済」。以下は、この本の紹介文です。
働いても働いても幸せが遠のいていくように感じるのはなぜなのか。
金銭換算しにくい価値は失われるしかないのか。
「時間との戦い」は終わることがないのか。
この生きづらさの正体は何なのか。経済を目的にすると、人が手段になる。
JR中央線・乗降客数最下位の西国分寺駅――
そこで全国1位のカフェをつくった著者が挑戦する、
「理想と現実」を両立させる経済の形。
事業のコスト感の違い
■今日は、プライベートな用事で大阪に行った後、急いで自宅に戻り、18時から特定非営利活動法人「琵琶故知新」の理事会に参加しました。コロナ感染拡大のため、なかなか思うように事業を展開できない苦しみの中、なんとか展望が見えてきた、今はそのような状況でしょうか。これから、理事の皆さんと力を合わせて、このような状況をブレイクスルーしていきたいと考えています。
■今日も議題が盛り沢山でしたが、ひとつ気がついたことがありました。法人の事業に理事として取り組む際のコスト感についてです。企業の経営者として利益を上げて社員を食べさせていくために必死になって働いておられる方と、私のように大学教員として勤務し、自分の研究の延長線上で、広い意味での社会実践として活動に取り組んでいる者とでは、同じNPOの事業に関してもそのコスト計算の考え方が全然違っているということです。研究プロジェクト等でもコスト計算は必要になりますが、企業家の方のコスト計算の考え方は、それとも違うように思いました。
■もちろん、理事長である私自身も、企業の経営者の理事の皆さんと同様の考え方をすれば良いのかといえば、そうではないようにも思います。事業展開していくこと自体が目的となり、そもそものミッションをねじ曲げてしまわないように注意しなくてはなりませんし、理念を語るだけで前進できないのも大きな問題かと思います。こうすれば絶対に大丈夫などという道筋が初めから見ているわけでもなく…。
■ということで、理事長と副理事長で、例の「びわぽいんと」の理念をしっかりとキープした上で、具体的に「びわぽいんと」を展開していくための枠組みや条件等について、きちんと詰めた議論をすることになりました。理事長として責任の重さをひしひしと感じています。人生、いろいろ修行ですね。
「琵琶湖サポーターズ・ネットワーク」の第2回交流フォーラムで「びわぽいんと」の報告
■昨日、滋賀県庁で「琵琶湖サポーターズ・ネットワーク」の第2回交流フォーラムが開催されました。全部で12団体が活動報告を行いました(登録されている団体は、もっと多いです)。理事長をしている特定非営利活動法人「琵琶故知新」の順番は、NTT西日本滋賀支店さんのすぐ後でした。現在、NTT西日本滋賀支店さんとは、私たちが進めている「びわぽいんと」いう仕組みを使って、これからコラボ事業を進めていこうと相談をしています。そのようなこともあり、事前に連絡を取り合って、まだ未確定のところは残しながらも「これから連携してやっていくつもりです」という趣旨のことを会場の皆さんやオンラインでご参加の皆さんにお伝えいたしました(やっと公表できました、よかった)。NTT西日本さんのような大企業と連携できることは、私たちのような小さなNPOにとっては、とてもありがたいことです。さて、プレゼンですが、4分という短い時間でしなければなりませんでした。「びわぽいんと」の仕組みを、はたして理解していただけるかなと心配していたのですが、けっこう理解していただけたように感じました。手応えを感じました。オンラインで参加されていた知り合いの方からも、「わかりやすかった」とメッセージをいただきました。お忙しい中、わざわざありがとうございました。まずは、一安心です。
びわぽいんと
■各団体の報告の後は、交流会になりました。すると、名刺をもってすぐにやって来られた方がおられました。某信託銀行の方です。少しお話をしましたが、「びわぽいんと」に強い関心をお持ちいただけたような気がしました。「びわぽいんと」のような仕組みは、金融機関の皆様との連携が不可欠と思っています。関心を持っていただき、ありがたかったです。環境保全財団の職員の方ともお話をしました。関東で環境保全基金を立ち上げてこられた方で、「びわぽいんと」にも強く惹かれるものがあるとのことでした。これからもアドバイスをいただけたらと思っています。滋賀県庁で「琵琶湖の日」を担当されている環境政策課の職員さん、そして農政課世界農業遺産推進係の職員さんとも名刺交換の際にご挨拶をさせていただきました。「琵琶湖一斉清掃」、「魚のゆりかご水田」の関係者の皆さんとも、智恵を出し合えば連携できると思います。資源循環に関わる一般社団法人の専務理事さん、水草の運搬に関して知恵を貸してくださいと、うちの悩み(廃棄物処理法と環境ボランティアとの間にある矛盾?!)をお伝えしました。琵琶湖を中心とした地域循環共生圏モデルの構築およびその提案を目標として活動している大学院生の方からも熱い思いを聞かせていただきました。地域循環共生圏モデルの中で、「びわぽいんと」は潤滑油の役目を果たすと言ってくださいました。
■最後の締めの挨拶は、琵琶湖環境部の次長さんがされましたが、スピーチの中で「びわぽいんと」に触れていただきました。滋賀県が取り組んでいるマザーレイクゴールズと、「びわぽいんと」の精神はかなり重なる部分があります。そのようなこともあってでしょうか。嬉しかったです。今回のような機会がなければ出会うことのなかった皆さんと知り合いになることができました。機会を与えてくださった滋賀県庁琵琶湖環境部の皆様には、心よりお礼を申し上げます。近々、「びわぽいんと」の勉強会を開催しようと思っています。勉強するのは、私たちNPOの側です。多くの皆さんにアドバイスや連携のチャンスを賜ればと思っています。よろしくお願いいたします。
【追記】■今回は理事長としてプレゼンを行いましたが、環境社会学者の立場からすれば、「びわぽいんと」とは、多様なステークホルダーが関わる環境ガバナンスを支援するためのプラットホームになります。環境ガバナンスそのものではなく、環境ガバナンスを支えるためのプラットホームという仕組みをNPOとして提供していこうという点が重要かと思っています。大学教員として働くのもあと5年となり、人生も残り少なくなってきました。環境ガバナンスを語ることは別の人に任せて、当事者として環境ガバナンスに関わっていきたいと思います。
真野浜で理事会
■昨日は、夕方から真野浜(大津市今堅田)にある民宿「きよみ荘」さんで、NPO法人「琵琶故知新」の理事会&懇親会が開催されました。「きよみ荘」は、理事のお一人が経営されている民宿です。昨日は、ひさしぶりにzoomではなく、理事の皆さんと直接お会いして話し合うとことができました。もちろん、zoomでも意見の交換、言葉のやり取りはできるのですが、実際にお会いすると、もっと深いところでお互いの理解が深まり、素敵な交流ができたように感じました。
■この日の理事会の議題は3つありました。1つめは、某財団へ助成金の申請について。結果ですが、残念ながら次点でした。採択に至りませんでした。私たちのNPOで頑張って運営していこうと思っている「びわぽいんと」、その考え方については共感していただき、評価もいただいたようでしたが、助成する側からすれば、「びわぽいんと」が社会に定着していくために、さらに戦略性を高めてほしいということのようです。そうなんです。そのことは、私たち理事たちもよくわかっているんです。頑張らねば…なのです。ということで、議題の2つめが、某大手通信会社との連携事業についてです。具体的なことはまだ書くことができませんが、良い方向で議論が進んでいます。楽しにしています。そして議題の3つめ。「びわぽいんと」の戦略性を高めるための「勉強会」の開催です。勉強会、誰が勉強するのか。はい、私たちNPOの理事が勉強させていただきます。滋賀県内で、環境保全活動に関連して活躍されている皆さんをお呼びして、「びわぽいんと」を鍛えるためのご意見やアドバイスをいただく開催しようと思っています。すでに4人の方達に参加の了解をいただいています。この「勉強会」も楽しみにしています。
■昨日は、このような議題を中心に理事の皆さんとディスカッションを行いました。良いディスカッションができたと思います。そのあとは、民宿「きよみ荘」さんが用意してくださった鍋料理で懇親会を楽しみました。理事の皆さんの中には、滋賀県以外にもお住まいの方もおられます。神戸からお越しの理事は、大津市堅田の酒蔵の日本酒「波乃音」を堪能されていました。その日は「きよみ荘」に宿泊されルことになっておられたので、かなり召し上がったのではないですかね。別の要件のお疲れもあってか、沈没してしまったようです。良い宴会でした。
■写真のことも少し説明しておきます。トップは、真野浜から見た琵琶湖の北湖です。琵琶湖は琵琶湖大橋から南が南湖、北が北湖に区分されます。南湖と北湖とではスケールが全然違います。北湖はワイルドです。写真の真ん中より少し右側に見えるのは沖島です。左から張り出しているように見えるのは、湖西の比良山系です。天気が良ければ、伊吹山まで眺めることができるのですが、今日は雲に隠れているようです。中段左の写真は、対岸の守山市です。真ん中に見えるのは、湖岸にあるマンションです。右の方には、野洲市にある三上山が見えますね。中段右の写真は、左の写真と同じ方向を拡大したものです。遠くに鈴鹿山脈が見えますね。下段は、理事会の様子です。私は、技術的なことはよくわからないのですが、「びわぽいんと」で用いるアプリがバージョンアップしたのでそれを理事の面々で確認しているところです。
卒論指導、卒寿の祝い、民間企業とNPOの協議
■このブログでは、あまり役に立つことを書いていません。といいますか、1人の大学教員の日々の出来事を書いているものですから…。まあ、公開日記のようなものですね。教員としての私に関する情報は、ブログタイトル下にあるブルーの文字のメニューバーをクリックしてご覧ください。というわけでして、今回も、そういう役に立たない「日々の出来事」を書いています。ご容赦ください。
■月曜日の午前中、自宅で、zoomで2人の学生の卒論指導を行いました。夏期休暇中から、いろいろzoomで面談を積み重ねながら研究を進捗させている人もいますが、そうでない人もいます。こちらのお2人は、後者のそうでない人…になります。とはいえ、不真面目というわけではありません。いろいろ、自分なりには努力をされてきたのですが、次の一歩を踏み出せずにいます。もちろん、緊急事態宣言で大学の危機管理レベルが「2」から「3」になり、学外に調査に出かけていくことができなくなったことも大きいかなと思います。本当は夏期休暇中に調査をして欲しかったのですが、仕方がありません。再び危機管理レベルが10月から「2」に戻ります。時間はもうないわけですが、頑張って調査に出かけて欲しいと思います。
■午後からは引き続き自宅で学部の事務仕事等を行い、それらを済ませて後、大津の街中にある萬治元年創業の酒蔵・平井商店さんに向かいました。日本酒好きの義父の卒寿のお祝い(90歳)を贈るためです。平井商店さんは、私が贔屓にしている大津の中心市街地にある酒蔵です。
■大津は、大きい津、すなわち「大きな港」という意味の地名で、江戸幕府直轄の宿場町として江戸時代初期に誕生しました。「平井商店」さんは、その宿場町に1658年(万治元年)に創業された長い歴史を持つ酒蔵なのです。代表的な銘柄の「浅茅生」(あさぢお)は、後水尾天皇の皇子 聖護院宮道寛法親王(しょうごいんのみや どうかんほうしんのう)から賜られた和歌「浅茅生の 志げき野中の真清水は いく千世ふとも くみはつきせじ」に因んで命名されています。意味は、茅(あし=葦よしのことです)の生い茂っている湖(琵琶湖)の美しく清らかな清水は、どれだけ汲もうが何年経っても尽きることはないだろう」という意味なんだそうです。もちろん、琵琶湖の水で酒を醸しているわけではないのですが…。結局、岐阜には平井商店の「浅茅生 大吟醸」、「浅茅生 特別純米滋賀渡船六号 ひやおろし」、「浅茅生 大吟醸 曳山」、「北船路 純米吟醸」の4本を贈ることにしました。贈る側が言うことではないのですが、結構、豪華なラインナップだと思っています。ちなみに、最後の「北船路 純米吟醸」は、かつて私が指導していた学生たちによる研究グループ「北船路米づくり研究会」がプロデュースした日本酒です。
■「平井商店」さんの後は、浜大津にある通信会社を訪問しました。社員の皆さん方と、琵琶湖の環境保全活動に関わるステークホルダー間の「連帯」や「連携」を生み出す新しいプラットフォームづくりについて協議を行いました。今回で2回目の協議になります。まだ、具体的にブログに書けるレベルには至っていませんが、お互いの夢が共振しあったように思いました。お互いというのは、私が理事長をしている特定非営利活動法人「琵琶故知新」が提案している「びわぽいんと」のアイデアや仕組みに寄り添っていただいくことができたからです。ありがたいことです。はやく、この取り組みが公表できるようになったらと思います。
■協議の後は、近くにある浜大津の公園を散策しました。時間は17時半頃でしたでしょうか。とても綺麗な空でした。少し暗くなるまで過ごしました。良いことがあったので、美しい空と心が共振し合ったのではないかと思います。もちろん、緊急事態宣言が解除されていれば、大津駅前のいつもの居酒屋「利やん」に社員さん達と一緒に行って、さらに夢を語りあうことができるのでしょうが。解除までは、もう少しですね。引き続き感染に気をつけながら、大切なお店を常連客の1人として守って行きたいと思います。
(停泊している船ですが、左から、琵琶湖汽船の「ミシガン」、「ビアンカ」、一番右側は滋賀県庁の環境教育船「うみのこ」です。)
「滋賀データ活用コミュニティ」のキックオフイベント
■昨日の午後は、オンラインによる「滋賀データ活用コミュニティ」のキックオフイベントに参加しました。技術的なことはよくわからないのすが、NPO法人「琵琶故知新」の理事長としてお誘いいただき、参加することにしました。時間をいただいて、短いスピーチもさせていただきました。
■昨日のポイントは、琵琶湖環境問題の可視化・分析という点にありました。このイベントを開催した運営側には、「琵琶故知新」の理事の皆さんが入っておられます。「『琵琶故知新』の活動とあわせて、多くの方に琵琶湖の環境問題に興味を持ってもらいたい」という思いもあるようです。また、Tableauというオンライン上の分析プラットフォームの紹介もありました。このような「道具」を使って、どのようにして「琵琶湖の環境問題解決」につなげていけるのかという問題提起なのだと思います。
■ただ、サブタイトルに「琵琶湖の環境問題解決に、市民活動×テクノロジーで挑む」とあるわけですが、その中身が問われることになるでしょう。そういう意味で、「市民活動×テクノロジー」の可能性をこれから探っていくためのキックオフイベントなのだと思います。私個人は、もう少しこの Tableauを使った分析の事例を知りたいと思いました。企業が経営の状況を分析するためには有効なツールのようですが、琵琶湖の環境問題のような公共的課題の分析、しかも環境ガバナンスを担保した上で、このようなツールはどのように使いこなせるのでしょうか。その辺りが、私程度の理解ではよくわかりませんでした。もっと様々な事例があると、イメージも湧きやすいのですが…。現実は、まずは技術が先行していて、むしろそのポテンシャルを探るための事例が欲しいということなのかな…とも思いました。また、関係者にいろいろ聞いてみようと思います。
■Tableauの公式サイトにある紹介ビデオを見ると、ちょっと私が考えている方向性とは違う技術だなあと思いました。技術開発の前提になっていること、もう少し具体的に言えば、技術開発の前提のなかにある「人間観」や「社会観」が異なっているのだと思います。「琵琶湖の環境問題解決」に向けて…ということを、自分の問題関心に基づいて言い換えると、多様なステークホルダーが参加・参画するガバナンスの中で、コミュニケーションを促進するためのツールとして、どこまでカスタマイズできるのかなということになります。
■「琵琶故知新」でこれから運営していく「びわぽいんと」の元になったツールも、消費者と街中の商店をつなぐためのツールとして開発されましたが、そのようなツールを、琵琶湖の環境問題に取り組む環境保全団体をつなぎ、そこから連帯を生み出すためのツールにカスタマイズすることができました。まだ「絵に描いた餅」状態ではありますが、展望が見えてきました。このTableauについてもそのような展望が見えてきたらいいなと思います。
滋賀県立大学を訪問
■昨日は、午前中、瀬田キャンパスで仕事でした。コロナ禍の中、学生が調査に出かける際は、担当教員が書類を書いて申請しなければならないのです。けっこう煩雑なんですね。それから学外にもメールをして、本の編集作業もして…と諸々の用事を済ませてから、午後は南彦根・八坂にある滋賀県立大学へ移動しました。
■滋賀県立大学では、ひさしぶりに高橋滝治郎さんにお会いしましたと。県庁の農政部長をされている時は、滋賀県の取り組みが、FAOによって「世界農業遺産」に認証されるようにと、まるで祈願するかのように、多くの滋賀県庁職員の皆さんと一緒に「100kmウルトラウォーキング」を何度も一緒に歩きました(いつも前半でいてきぼりにされ、私がゴールした時は、すでに帰宅されているというパターン…)。今は県大の地域連携担当理事をされおられます。お会いしたのは短い時間でしたが、お元気そうでした。
■高橋さんにご挨拶をした後は、環境科学部の瀧健太郎さんの研究室を訪問しました。特定非営利活動法人「琵琶故知新」の理事長としてお話を伺いました。予想通り、とてもおもしろいお話をお聞かせくださいました。河川工学、小さな自然再生等がご専門です。瀧さんのこれまでのお仕事についてお話しいただきながら、合意形成の問題についてにいろいろ学ぶことができました(これ、「琵琶故知新」のサイトで記事になる予定です)。瀧先生、ありがとうございました。瀧さんへのインタビューを終えて、これから大津に移動しました。「琵琶故知新」の理事の皆さんとの打ち合わせです。このブログにいくつも書いてきましたが、「びわぽいんと」の運営に関する打ち合わせです。コロナ禍で、ちょっと足踏み状態なのですが、少しでも前進しなければなりませんからね。
「オーパル」さんを訪問
■昨日の午前中、参加している市民団体「水草は宝の山」(水宝山)のメンバーの皆さんのところへ伺いました。この「水宝山」を母体して設立された非営利活動法人「琵琶故知新」の最近の活動状況について、事務局長の藤澤栄一さんと一緒にご説明するためです。
■まず最初に伺ったのは、湖西の琵琶湖畔にあるスポーツ・環境体験施設「オーパル」代表取締役の山脇秀錬さんです。「オーパル」について少しご紹介しますが、修学旅行等、学校向け琵琶湖体験学習 ・琵琶湖での活動を中心とした自然体験 ・カヌー(カヤック)、ウォーターボール、ウェイクボードなどのスクール ・ドラゴンボートの普及活動 ・子どもを対象としたレーシングカヌー教室などを事業として取り組んでおられます。
■さて、山脇さんには、まず「びわぽいんと」の進捗状況をご説明いたしました。「びわぽいんと」とは、facebookやこのブログでもご紹介してきましたが、琵琶湖の環境保全活動に取り組む諸団体がつながり支え合うための仕組みです。
オーパル
びわぽいんと
■「びわぽいんと」の進捗状況についてご説明したあと、「オーパル」に隣接する浜の様子を拝見させていただきました。今、琵琶湖の水位は低下しているわけですが、それなりの量の水草が漂着していました。また、浜に近いところにも水草が流れ着いていることが確認されました。それらの水草、腐敗すると大変臭くなります。しかし、水からあげて乾燥させれば、そのような悪臭はしません。しかも、土壌改良剤(水草堆肥)として利用することができます。
■今は「オーパル」さんだけで除去をされていますが、将来的には、このような水草の除去に環境ボランティアが参加することができないか、そして除去したのち乾燥させた水草を、地域の菜園の土壌改良剤として使えないか、そのあたりのことを「水宝山」や「琵琶故知新」としては活動の課題においています。活動のメインの浜は、堅田の真野浜になりますが、「オーパル」が管理されているこちらの浜についても、真野浜とは少し違ったスタイルで水草の有効利用を進めることができればと考えています。
■少し遠くを眺めると、東近江市からバスやってこれらた中学生の生徒さんたちが、「オーパル」のドラゴンボートに乗っておられるのが見えました。コロナ禍のために修学旅行に行けなかった代わりに、こうやって琵琶湖を楽しんでおられるようです。
【追記】■私は、琵琶湖の周囲にある個々の浜と、そこに隣接するコミュニティや地域の実情に応じて、漂着する水草の有効利用の仕組みがあって良いと思っています。また、そうでないといけないと思っています。そのような水草有効利用の仕組みを「小さな循環」と呼んでいます。外部から「小さな循環」を繋いで「大きな循環」にしてやろう…などとは思ってはいけません。「小さな循環」の中で参加される皆さんにとっての参加することの「意味」がきちんと担保されることが非常に重要だからです。「小さな循環」は小さいままで良いし、それが大切だと思うのです。その上で、異なる多様な「小さな循環」と緩やかにどう連帯していくかが問われることになります。
■このような「小さな循環」とは別に、「大きな循環」があっても良いと思います。毎年、滋賀県が刈り取り船で南湖の水草を刈り取っています。大量の水草を刈り取っています。それらの大量の水草は陸地で乾燥させ、無料で配布されていたと思います。税金を使って刈り取っているので、刈り取った水草をどういう仕組みで有効利用していくのか、そこには様々な制約条件があるのではないかと思います。理想を言えば、刈り取った水草から生まれた経済的価値を、刈り取りの費用に還元していくような社会的仕組みができて欲しいと思います。