イベント「仰木で有機農業業をしませんか」

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▪️「(仮称)仰木地区地域共生協議会準備委員会」が主催するイベントに、理事長をしている特定非営利活動法人「琵琶故知新」では、NTT西日本滋賀支店さんとともに、共催者として参加します。仰木は、いつも我が家が野菜を購入している直売所のある地域です。

仰木近郊におすまいのみなさんへ
耕 作 放 棄 地 で 有 機 農 業 し ま せ ん か ?

仰木の麓にある成安造形大学をお借りし「仰木のことを知って、感じて、味わって、そして未来を考える会」を企画しました。
地域のことをもっと知りたい、食べ物つくってみたい、少し興味があるなどなど・・・
どなたでも無料で参加できますのでお早めにお申し込みください。
仰木近郊にお住まいでなくても地域課題や農業に関心がある方の参加も歓迎します。

日時:2024年6月9日(日)10時~16時

場所:成安造形大学 コミュニティスペース「結」

条件:どなたでも参加できます 先着30名、参加無料

▪️仰木は、大津市の西部、比叡山に連なる山々の麓にある棚田の農村です。仰木には3つの集落がありますが、そのうちの1つの集落、上仰木の棚田は、日本棚田百選にも選ばれています。写真家・今森光彦さんの写真集『里山物語』でもよく知られた地域です。1000年以上の歴史をもつ地域なんですが、全国の農村、特に中山間地域の農村と同じく、後継者不足、農家の高齢化に伴い、耕作をするのに手間のかかる農地から放棄されていきました。耕作放棄地と言います。しかし、この仰木に隣接する地域には、大規模な新興住宅地が広がっています。そのような住宅地には、自宅の家庭菜園に飽き足らず、安心安全の野菜づくりをもう少し広い農地でやってみたい、プロの農家の指導を受けながら野菜作りをしてみたい…という方達が、お住まいになっていると思われます。耕作放棄地が増えて困っている農家と、農業をやってみたいけれど農地もないし、農業のやり方もよくわからない住宅地の皆さん、この両者を繋いでいこうという企画です。しかも、両者は隣接して居住しているわけです。今回は、住宅地の中にある大学、成安造形大学の中に会場をお借りして、イベントを実施いたします。

▪️当日のイベントには、成安造形大学の副学長で附属近江学研究所副所長をされている加藤賢治先生に「仰木の歴史文化と伝説」のタイトルでご講演いただきます。また、オーガニック専門店等の植物発酵エキスや健康補助食品等をOEM(他社ブランドの製品を製造する企業)として製造・販売されている株式会社リスペクトを、仰木を拠点に展開されている伊藤定紀さんにも講師としてお越しいただき、「なるほど!ザ・有機農業~さまざまな視点から「有機農業」を紹介~」のタイトルでご講演をいただきます。そして、参加者で歩いて仰木の文化歴史に触れ、耕作放棄地の現状を見学する予定にしています。どうぞ、皆様、奮ってご参加ください。参加申し込みは、以下のからお願いいたします。Peatixという仕組みを利用しています。「チケット」を申し込む形式になりますが、無料です。
耕作放棄地で有機農業しませんか?

2024年度 平和堂財団の「夏原グラント」助成金贈呈式

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▪️先週の土曜日、平和堂財団の「夏原グラント」助成金贈呈式が開催されました。「夏原グラント」では、2012年より、「NPO法人、市民活動団体、学生団体等が行う琵琶湖およびその流域の自然環境の保全活動に対して」支援を行っています。この「夏原グラント」に関しては、これまでもこのブログに投稿してきました。私は、2014年からこの助成の審査員を務めています。今年で10年目なんですね。この助成が開始してから、延べ600団体以上に助成を行い、助成金総額は1億5千万円を越えているそうです。この手の助成金としては、相当な実績を有しているのではないかと思います。

▪️この日は、高橋滝治郎さんにお会いしました。高橋さんは、伊吹山麓で、「ユウスゲと貴重植物を守り育てる会」の会長として活動されています。伊吹山の植物を鹿害から守る活動をされているのです。「夏原グラント」に対しては、伊吹山麓の貴重な植物を鹿の食害から守るために、金属柵を購入して獣害作を設けたいという申請されていました。

滋賀県米原市の伊吹山の三合目には、ユウスゲをはじめ、貴重な植物が確認されています。しかし、近年はシカによる食害が問題となっています。そこで冬の強風や積雪に耐久性のある金属柵を設置して獣害を防止します。

▪️助成金で金属柵だけを購入させてもらいたいというのです。なんというか、大変潔いというか、非常にわかりやすい(効果も期待できる)申請でした。審査の結果、高い評価で採択されました。各団体の助成金額については、こちらに公表されています

▪️もちろん、私は高橋さんが会長されている団体が申請されていることを書類審査の時まで知りませんでした。いっぽう、高橋さんの方も、私が審査員をしていることをご存知なかったと思います。高橋さんと知り合ったのは、私が、世界農業遺産申請に向けてのサポートをさせてもらっている時でした。その時、高橋さんは滋賀県庁の農政水産部長をされていました。今では、「琵琶湖システム」は、国連FAOに世界農業遺産として認定されていますが、FAOの審査を受けるためには、その前にまずは日本の農水省から「日本農業遺産」に認定される必要がありました。高橋さんは、その段階で滋賀県農政水産部長をされていたのです。ということで、高橋さんとツーショット。ずいぶんい前からお約束していただいているのですが、高橋さんから伊吹山の植物のことをいろいろ学びつつ、山頂まで登山ガイドをしていただくことになっています。もっとも、昨年、登山道の大規模な崩壊があり、伊吹山は入山禁止となっています。早く、再開してほしいです。楽しみです。その前に、登山靴買わなくちゃ。

▪️「夏原グラント」に話を戻しましょう。贈呈式の後は、記念写真を撮影して、交流会が開催されました。交流会では、いろんな方達とお話をすることができました。私は、滋賀県ヨシ群落保全審議会のメンバーということもあり、審査とは別に、個人的な関心として琵琶湖のヨシ帯の保全に関心があります。ということで、「ヨシの活用によるヨシ原の保全 」に取り組む、「まるやまの自然と文化を守る会」の代表で、「特定非営利活動法人まるよし」理事長の宮尾陽介さんからは、琵琶湖の代表的なヨシ軍楽である西の湖でヨシの利用と保全に取り組む関係団体の大変興味深いお話を聞かせていただきました。「夏原グラント」とは別に、お話を伺いにいく約束をさせていただきました。

▪️「けいはんな記念公園における里山管理事業」 の「コナラ会」のメンバーである稲本雄太さんとも、ゆっくりお話をすることができました。「夏原グラント」の助成金が、どれだけ活動の発展につながったかについて、また活動されているエリアの生物多様性を高めていることについても説明してくださいました。生物多様性が高まったことを、昆虫標本等や科学的な調査のエビデンスに基づいて評価を行っておられるようです。そのうちに、「自然共生サイト」に登録されるかも知れませんね。

▪️学生の皆さんも助成を受けています。「有機農法拡大 /立命館大学経営学部プロジェクト団体」である「丹後村おこし活動チーム」の皆さんです。今年度から助成を受けておられます。ということで、「夏原グラント」で有機農業に取り組む先輩団体「持続可能な集落棚田のための環境保全型ネオ・スモールファーマー発掘プロジェクト」に取り組む特定非営利活動法人「スモールファーマーズ」さんを紹介しました。「スモールファーマーズ」さんも、代表の岩崎吉隆さんとは、これまたちょっとした知り合いだったからです。一昨年度から、高い評価とともに助成を受けておられます。こうやって、団体間を交流会で繋いでいくのも審査員の役目なのかもしれません。

▪️交流会の中締めでは、挨拶をさせていただきました。自分たちが助成金を受けることができたらそれでOKではなく、「夏原グラント」で助成を受けた団体間で、もっと情報をやり取りしたり、見学をしあったり、お互いの活動を助け合ったり、そういう協働と連帯が生まれて欲しいと、私からの希望をお伝えしました。交流会の名刺交換で、そのような個人的な希望が少しずつ実現していくと素晴らしいと思います。

安田さんと「利やん」

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▪️昨晩は、というか昨晩もですね、大津駅前のいつもの居酒屋「利やん」でした。お相手は、元・滋賀県農政水産部長で、現在は近江八幡市の教育長の安田全男さんです。安田さん、楽しい時間ありがとうございました。

▪️私は、FAO(国際連合食糧農業機関)が認定する世界農業遺産に、滋賀県が「琵琶湖システム」を申請する際のお手伝いをさせていただきました。そのきっかけをくださったのは、当時農政水産部長であった安田さんでした。しかも、その安田さんとの出会いの場は、この「利やん」でした。

▪️かつて琵琶湖博物館で学芸員として勤務していた時代の、琵琶湖博物館の副館長を務められ、後に嘉田由紀子知事の時に副知事を務められた田口宇一郎さんが、安田さんと「利やん」で飲んでおられたのです。その時に、たまたま私がお店に伺い、田口さんに「おっ、わきさん、安田くんを紹介するわ」と、安田さんをご紹介くださったのです。飲みながら、現在「琵琶湖システム」と名付けられている滋賀県の、自然環境と歴史文化そして現在の生業が一体となった仕組みについて、意見を交換して盛り上がったのでした。その時がなければ、私が世界農業遺産に関わることはなかったのかなと思います。

▪️そういう意味で、「利やん」というお店や田口さんにご縁をいただいたということになります。心より感謝しなくてはいけません。世界農業遺産の申請に関わったことは、自分の見識を広げる経験になりました。安田さんが農政水産部長を務められた後、3人の部長さんとご一緒に世界農業遺産申請に取り組ませていただきました。結果として、多くの皆さんお知り合いになることができました。本当に、感謝の気持ちしかありません。

▪️昨晩は、教育長としてお仕事上での大きなテーマと、世界農業遺産「琵琶湖システム」の今後の展開について、いろいろ意見交換をさせていただきました。また、滋賀県から世界農業遺産に挑戦することになった背景等についても教えていただきました(初めて知ったことでした)。大切な時間を持つことができました。私の場合は…かもしれませんが、こういう機会がいろんな仕事(取組み)のシーズ(種、きっかけ)になっていくのです。ありがたいことですね。今日、安田さんは「今日は第1回目」とおっしゃっていたので、関係する様々な方達もお呼びして、第2回、第3回と続けていくことになるようです。

▪️昔の上司である田口さんが、「仕事はな、ロマンなんや」と言っておられました。安田さんも私も、その田口さんの教えに従ってきたのかなと思います。組織的にやるぺき目標をきちんと受け止めつつ、その上で「こうなったら素敵やん」という自分の思いを、周りの皆さんの賛同も得つつ実現させていく、それが仕事なのかなと思います。私は、退職まで残り3年ですが、それでも「ロマン」を抱いています。そのロマンがうまく実現したら、またfacebookで報告させていただきます。

長浜市早崎の「魚のゆりかご水田」

▪️今日、長浜市早崎の農家、松井賢一さんが、ご自身で営農されている「魚のゆりかご水田」にコイとフナが遡上したと投稿されていました。春です。

NHK WEB特集「「消滅可能性あり」と言われて 人口減少 自治体の10年」

20240209syoumetsutoshi.png ▪️人口減少の問題。深刻だと思います。大学に勤務しており、仕事上で気になるのは18歳人口が急激に減少していくことが予想されていることです。これは、昨年文科省が発表した参考資料「大学等進学者数に関するデータ」です。大学の入試に関する会議等でも、入試部の幹部職員の方からは中長期的には厳しい見通しの話をお聞していますが、この文科省のデータをご覧になればわかりますよね。すでに、数年前から18歳人口は減少の局面に突入しています。まだ40歳代の同僚の教員・職員の皆さんは、定年退職の頃までに大変厳しい状況に向き合うことになります。大学の持つ「総合力」がさらに問われることになるように思いますし、コンソーシアム等を媒介とした大学間の連携についてもさらに求められることになると思います。限られた資源をどのように配置していくのか、大学組織内の連帯をどのように生み出していくのか、そこが問われるのではないかと思います。

▪️もちろん、人口減少の問題は大学だけの問題ではありません。社会全体の問題です。人口が増えていく高度経済成長期の時代に生まれた様々な制度や仕組みを引きずりつつ、世界経済の変化にもついていけず、未来に希望を見出せない中で、日本の人口はどんどん減少していっています。この人口減少の問題、担当している「地域社会論」の授業でも取り上げています。授業の通奏低音のような感じでもあります。今朝、この人口減少に関するNHKの記事を読みました。NHK WEB特集「「消滅可能性あり」と言われて 人口減少 自治体の10年」です。

▪️記事でまず登場されるのは、あの「増田レポート」の増田寛也さんです。記事からは、あえて「消滅」という言葉を使ったと理解できました。いわば、ショック療法ですかね。この「増田レポート」に関しては、批判も多いことは知っておいて良いかと思います。この辺りの論争については、行政学や地方自治論がご専門の嶋田暁文さん(九州大学大学院法学研究院)による「『増田レポート』再考 ~『自治体消滅』論とそれに基づく処方箋は正しいのか?~」(地方自治ふくおか / 60 巻 (2016))が、「増田レポート」の整理と「増田レポート」に批判的な意見を対比させながらそれらの論点を総合的に整理されています。今から、8年前のものですが、勉強になりました。

▪️さて、このNHKのWEB特集ですが、増田さんの後には、2つの対称的な施策を展開している自治体の取り組みが紹介されています。ひとつは、島根県吉賀町。こちらの町では、子育て支援に政策をシフトさせました。その財源は、町内に建設した小さな水力発電。売電することで、財源に充てるということのようです。その結果、合計特殊出生率も改善し、2040年の予想人口も改善しました。もうひとつは、岡山県美咲町。こちらの町では、公共施設を縮小していく方向で人口減少に対応しようとしています。一方で、住民の要望を受け入れて英語教育に力を入れています。私が興味深かったのは、このような厳しい状況の中で、まちづくり協議会の会長さんが、以下のように語っておられることでした。大津市の地域自治の問題に関わってきたものですから共感しました。

「『行政サービスですべきものを、自治会が何でしないといけないんだ』という意見は必ず出ます。みんなが同じ方向を向くのは難しい。ただ、実際困るのは住民なので、役場ができないなら自分たちでやるしかない。できるだけ楽しみながら『賑やかな過疎』を目指したいなとは思っています」

▪️「これって、過疎が進んだ地域の話でしょ、自分たちには関係ないよ」と若い方たちは思うのでしょうが、いえいえ、そんなことはありません。「自分が生きている間は、なんとかなるわ」と高齢者の方たちは思うのでしょうが、ほんまに大丈夫かな??…と思います。

【追記】▪️上記の嶋田暁文さんの文書を読んでいて、その中に役重眞喜子さんというお名前が登場していました。お会いしたことはありませんが、どこかでお聞きした名前だと思って調べたら、私が以前勤務していた岩手県立大学総合政策学部で教員をされていました。その役重さんの教員紹介のページに「ブルシット・ジョブと自治体職員」というエッセーが掲載されていました。「増田レポート」や人口減少とは直接関係ありませんが…。以下は、その中の一部です。大切なことだと思いました。自治体職員に関して指摘されているのですが、これは他の様々な職場、組織でも同様のことではないのかなと思います。

ブルシット・ジョブとは、世の中の役に立たず働く人自身もまったく無意味だと思っている仕事のことを言います(D. Graeber)。例えば現代思想家の内田樹氏は行政資源が縮む中にあって政策を<民主的に><正当化>しなければならない行政の仕事は、気を付けないと無数のブルシット・ジョブに侵食されてしまいます。

これを避け、職員の働きがいを取り戻すには、地域とつながり、住民と顔の見える人間的な関係を築くこと、その中で自分たちの仕事の成果を喜んでもらったり時には怒られたりする、血の通った経験を積むことが欠かせないと私は考えています。毎日パソコンに向かっていては得られない、人としての成長です。

【びわ湖葦舟プロジェクト】葦舟づくり2023 目指せ竹生島!short ver


▪️こういう動画の存在を教えていただきました。動画の説明を転載します。

びわ湖に生えてる葦で船を作る!

太古の人々が、葦(ヨシ/アシ)で舟を作っていたと知り、
それを体験してみたくて
冬に葦を刈り、春に野焼きをし、
夏に束ねて舟を作り、
びわ湖の神様にご挨拶すべく、竹生島を目指しました。

かつては当たり前だった
自分達で舟を作り、漕いで島を目指すという経験は、
現代では得難く、言葉にしきれぬ喜びがありました。

葦は古くから屋根やヨシズの素材としても利用されてきました。
近年使われる事が減っていますが、
葦はびわ湖の水質を良くしてくれています。

自分達の楽しいが、びわ湖の環境ともつながり、
いい循環が広がっていくことを願っています。
今後も続けて活動していけたらと考えていますので、ご協力よろしくお願いします!

▪️この説明では、「葦はびわ湖の水質を良くしてくれています」とありますが、正確には「葦」そのものだけではなくて、「ヨシ群落」全体かなと思います。細かなことは別にして、こういうことを楽しむ方達がおられるって素敵だなと思いました。特に、「自分達の楽しいが、びわ湖の環境ともつながり、いい循環が広がっていく」というイメージは非常に大切なことだと思っています。「楽しさ」と「環境」、この両者が結びつくことが大切です。「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び」ながら「環境」保全に努めるというのは駄目だとは言いませんが、共感と活動の広がりが生まれてきません。もちろん、きちんと安全を確保するために、知り合いの若手漁師さんが伴走されたそうです。これも素敵だなと思います。

「みんとしょ」と「まちライブリー」のこと

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20240205mati_library3.jpg▪️少し前のことになりますが、「みんとしょ」という取り組みのことを知りました。本当に偶然なんですけど、まずは過去の投稿「大津駅前のいつもの居酒屋「利やん」で奇跡の再会!!」をご覧ください。この奇跡の再会をきっかけに新たに3人の方とお知り合いになりました。そのうちのお一人は、土肥潤也さん。土肥さんは、まだ20代の若者です。静岡県焼津市にある「みんなの図書館さんかく」の館長さんです。そして土肥さんが発案した「一箱本棚オーナー制度」を導入した私設図書館は、通称「みんとしょ」というのだそうですが、現在、全国各地に展開しているようです。不勉強なことに、私はこの「みんとしょ」という人びとの間につながり生み出していく仕組みのことを知りませんでした。以下は、wikipediaからの引用です

一箱本棚オーナー制度による私設図書館「みんとしょ」
早稲田大学大学院修了後、一般社団法人としてトリナスを設立し、静岡県焼津市で私設図書館である「みんなの図書館さんかく」を発足させた。当初は自身の所有する書籍を無償で貸し出そうとしていたが]、それでは持続可能性がないと周囲から指摘された。そこで、月額料金を支払えば誰でも本棚のスペースが割り当てられ、そこに自らが貸したい本を並べることができるという仕組みを導入することにした。その結果、月額料金の収入だけで家賃や光熱費を賄うことができるようになった。また、みんなの図書館さんかくの開設にあたっては、敢えて模倣しやすい仕組みづくりの構築を目指していた。その結果、この取り組みは日本中に広がり、2年間で全国30地域で展開されるに至る。この「一箱本棚オーナー制度」を導入した私設図書館は「みんとしょ」と称しており、これらの施設によりみんとしょネットワークが結成された。これらの活動により、トリナスは2020年(令和2年)にマニフェスト大賞の優秀マニフェスト推進賞市民部門を受賞し、2022年(令和4年)には都市計画家協会賞の日本まちづくり大賞を受賞している。

▪️土肥さんのことを知った後に、この「みんとしょ」を岐阜県の大垣市に「小さな図書館おぼろづきよ」として開設されたAkiMatuさんとも知り合いになりました。AkiMatuさんは、この「小さな図書館おぼろづきよ」の館長さんです。なんでも学生時代の卒業論文に私の論文を引用していただいたようです。本当に偶然なんですが、そのようなことから「みんとしょ」についてさらに関心が湧いてきました。というのも、「地域エンパワねっと」(龍谷大学社会学部の地域連携型プログラム「社会共生実習」のひとつのプロジェクト)で履修した学生さんたちが取り組んだ、「あつまれ! みんなで作る絵本館」(こちらもどうぞ)でたくさんの絵本をご寄付いただているからです。現在、社会学部の某所に保管しています。私の思いとしては、「地域エンパワねっと」だけで終わらせずに、ご寄付いただいた絵本を活用していきたいという強い思いを持っているのです。大切なことは、本は人をつないでいく手段だということです。人がつながって地域生活の豊さを醸していく公共的な空間を、市民の力で作っていこうとしている点に、私は強く惹かれています。

▪️さて、先ほどご紹介したAkiMatuさんがFacebookにアップされていたのが、この投稿の画像の書籍です。「まちライブラリー」です。AkiMatuさんによれば、「一箱本棚オーナー制の「みんとしょ」は、「まちライブラリー」の一形態と聞いてます。みんとしょは現在70館くらい?で、まちライブラリーは1000以上あるみたいです」とのこと。これはどう理解したら良いのでしょうね。まずは、これらの書籍を勉強してみることにしましょうか。「まちライブラリー」の方が歴史は古いようです。ゆっくり勉強してみたいです。

人のつながりが生まれていく場所


▪️Yahoo!ニュースになりました。岩原勇気さんに教えてもらった大津に開店する「スパイスランド ポンセ」。「昼はカレー、夜は酒場になり、「『ローカルカルチャーと人間の交差点』をテーマに様々な人の交流の場となるのをコンセプトにしているお店」とのこと。血糖値の関係でカレーは食べられないけれど(ライス抜きならば…)、夜のメニューだと大丈夫だと思います。岩原さんからは、Facebookを通して、「本当に、大津に今まで無かった形の交差点になったと思います。ぜひいらしてください(^^)」とメッセージをいただいていますので、一緒に伺わせていただこうかと思っています。

▪️そうそう、岩原勇気さんは、私のゼミ生が卒論で大変お世話になった方で、「BRAH=art.」(ブラフアート/特定非営利活動法人)の理事長をされています。この公式サイトをご覧いただくと、岩原さんが目指している社会のイメージが伝わってくるかと思います。ちなみに、龍谷大学社会学部の卒業生で社会福祉を勉強されていました。

▪️さて、「人のつながりが生まれていく場所」って、こういうレストランだけに限らず、全国あちこちで、いろいろ企画運営されていますね。切り口は様々ですけど。私自身にとっては、大津駅前のいつもの居酒屋「利やん」がそういう「場所」のひとつになります。こういう自分にとって大切な「場所」が何箇所もあって、それがネットワークになっていて…理想のイメージはそんな感じなんです。そこでは、常連やお馴染みの皆さんとも楽しい時間が過ごせるし、偶然に出会った人とも「ご縁」を感じて楽しい時間を過ごせる…、まあそういうイメージかな。「利やん」での経験ですが、NPOの新しい事業のアイデアが生まれてきたりします。新しい仕事に取り組むきっかけが生まれたりします。私の「世界農業遺産」との出会いは、「利やん」でした。いろんなことが、このような「場所」での出会いの中から始まるのです。

「社会共生実習」の「活動報告会」が開催されました。

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▪️本日の2限、瀬田キャンパス3号館の202教室で、社会学部の3学科が共同運営する「社会共生実習」の「活動報告会」が開催されました。このような催しを開催するのにはもっと適した場所がありそうなのですが、日程の関係で、良さそうな教室は全て授業で使われていました。というわけで、会場内はかなり混み合った感じになりました。今日は龍谷大学附属平安高校の皆さんや台湾の大学の学生の皆さんもご来場くださったのですが、申し訳ありませんでした。

▪️「活動報告会」は、「社会共生実習」で活動する8つのプロジェクトから12グループの口頭発表がありました。ただし、時間は2分。というのも、この口頭発表の後に12グループのそれぞれのポスター発表があり、そちらを「活動報告会」のメインにして、口頭発表はそのあらましを話すだけに限定されていたからです。そのルールを守らないグループもひとつありましたが、なんとか予定通りに口頭発表を終えて、ポスター発表に移りました。

▪️写真は、そのポスター発表の様子を撮ったものです。スマホのパノラマ機能で撮影したので少し歪んでいますが、多くの皆さんが参加されていることが理解できるかと思います。下の写真ですが、左は「地域エンパワねっと・大津中央」の2チームです。左がチーム「リーラ」、右がチーム「マリーゴールド」。チーム「リーラ」は、中央学区の子ども会育成連絡会議の皆さんとの協働しました。そして、この連絡会議が実施しているキッズクラブという子どもたちが集団で遊ぶ月1回のイベントに、どうすれば保護者の方達にもっと参加してもらえるのか、そして地域の子どもたちを一緒に育む活動に加わってもらえるのか、そのことを課題に取り組んできました。チーム「マリーゴールド」は、中央学区の自治連合会の融資の皆様と協働しました。自宅に引き篭もりがちになる高齢者の男性を対象にした料理クラブを開催し、地域社会に出ていろんな人と交流することを楽しんでもらおうと頑張ってきました。以上は、私が担当しているチームのポスター発表ですが、それ以外のチームの活動については、「社会共生実習」のホームページに掲載されていますので、ぜひそちらをご覧いただければと思います。

▪️ポスター発表では、ご来場くださった皆さんがポスター発表を順番に見て周っていただきました。そして、口頭で質問やコメントをしていただくと同時に、それをポストイットカードに書いて貼り付けていただきました。また、「社会共生実習」の受講生の皆さんには、自分たちのチーム以外のポスター発表を見て周ってもらい、「おもしろいな、素敵だな」と思った「推しのチーム」に質問をして、どのような回答があったのか、そしてそのチームに対するコメントや提案を書き込むシートも配布されました。

▪️大学の授業は、普通、自分自身の努力がレポートや試験で評価されるわけで、その学びは個人の中で完結しています。ところが「社会共生実習」では、自分と価値観や考え方の異なる「異質な他者」とのコミュニケーションが前提になります。「異質な他者」とコミュニケーションすること、そして協働することが必要になります。その「異質な他者」とは、チーム内の他の受講生であったり、学外の地域の皆さんであったりと様々だと思いますが、自分1人では完結しないのです。「異質な他者」とコミュニケーションを行い、共通の課題や目標を見つけて、それぞれの持っている力を活かし合いながら活動をして、なんらかの成果を生み出し共有していくことになります。そのような活動で経験したことを、大切なシーズ(種)として自分の「心の中の引き出し」に大切にしまっておいてほしいと思います。活動がうまくいったとしても、残念ながらうまくいかなかったとしても…です。そのようなシーズは、大学を卒業したのち、成長していつか花を咲かせることになると思うのです。貴重な体験をされたという事実を、受講生の皆さんは忘れないでほしいと思います。

住宅地の中のレモン

20231211lemon.jpg▪️自宅近くの土地に植えてあるレモンの樹です。一区画、60数坪から70坪くらいの敷地の住宅が並んでいます。我が家ものような住宅のひとつです。都市近郊の戸建て住宅団地です。そのような中に、住宅を建設せずに、農地にしているところがたくさんあります。あくまで確認ですが、ここに住宅地が造成される前の地主さんの土地ではないかと思います。住宅を建てる予定がないので、それまでは農地として利用されているのではないかと思います。あくまで推測です。住宅地として登記すると税金が高くなりますから。

▪️そのようなことはともかく、このレモンの樹には毎年たくさんの実が成ります。このレモン、収穫された後はどうされているのでしょうね。少し売ってほしいな〜。「無人販売所を作ってくだされば、決められたお金を置いていきますよ〜」と思っているのですが。このレモン以外にも、大きなブンタン(たぶん…)やミカンも植えておられます。自家消費するには量が多いのではなと思うのですが、それともどこかに出荷されているのでしょうか。気になります。

▪️レモンのような果樹に限りませんし、また住宅地の中の農地(住宅地を農地として利用)に限りませんが、散歩していて畑の作物が収穫されないまま残されて腐っているのをあちこちで拝見します。また、畑に漉き込まれていくのかもしれません。おそらく規模も小さいので自家消費のために生産されているのだと思います。自家消費では多すぎるので、そのままになっているのでしょう。なんだか、もったいないですね。そういう野菜を有効利用できる仕組みがあったらよいのに…といつも思います。

▪️私が暮らしているところは、大津市内の中でもかなり大きな戸建て住宅団地になります。そして、農村と隣接しています。言い換えれば、消費者と生産者が隣接して暮らしているのです。このような地理的な条件をひとつの枠組みとして、「地域の食と農」を消費者も自分事として考え、生産者である農家を応援していく仕組みが必要だと思っています。もし、このような仕組みがあれば、畑の作物が収穫されないままになっているのを横目で眺めて通り過ぎることもないのになあ…などと思ってしまうのです。ただ、嬉しいことに、この農村には直売所が設置されています。農家のご家族が自分たちのために生産された野菜をお裾分けしていただくような感じでしょうか。もちろん、お代金はお支払いしますよ。でも、安い価格だし、新鮮で美味しいものですから、お裾分けしていただいているような気持ちになるのです。

▪️大きな視点から言えば、食料安全保障、農家の高齢化と後継者不足(不在)、農村の過疎化、気候変動の影響、生物多様性の喪失…農業や農村を取り巻く状況は厳しいものがあります。だからこそ、消費者が生産者を応援していくような仕組みが必要だと思うのです。小さな地域社会の範囲の中で、できるだけ自給率を高めていくような仕組みでもあります。それは、最近よく言われる「アグロエコロジー」とも深く関係していると思います。理事長をしている特定非営利活動法人「琵琶故知新」では、このような消費者が生産者を応援していくような仕組みづくりに関わっていくことになるかもしれません。今、相談をし始めたところです。そこでは、おそらく、この「アグロエコロジー」についても生産者や消費者の皆さんと一緒に勉強していくことになるでしょう。

▪️レモンの樹から、話がだいぶ横道に逸れてしまいましたね。

管理者用