「基礎ぜミナール」のこと
▪️木曜日の1限は、9時15分から「基礎ゼミナールA」です。今日は、先週の続き、「KJ法を体験する」です。KJ法とは、文化人類学者の川喜田二郎さん(1920年~2009年)が考案した、情報整理の手法です。先週は、「大学4年間をどのようにすごせばよいのか」をテーマに、ブレンストーミングをしてたくさんのポストイットカードに意見を書き出しました。そして、それらを分類整理するところまでやってみました。今日は、それを模造紙に配置し、貼り付け、意見のまとまりであるグループやポストイットカードの間の関係についても検討して、その関係を線や矢印で示しました。まあ、うまくできたかどうかは別にして、様々な情報を整理して、そこに論理の道筋をみつけるという経験はできたのかもしれません。
▪️「KJ法を体験する」の後は、ノートテイキングに関する取り組みも行いました。基礎ゼミナールのすべての28クラスで使用しているテキスト『アカデミック・スキルズ』の第2章「講義を聴いてノートを取る」に書かれていることに十分に注意して、そして自分なりの工夫も加えながら、全員が必修で履修している授業「社会学への招待」で実際にノートを取ってもらいました。この「社会学への招待」は3人の教員が担当していて、学生の皆さんは、それぞれのクラスに配属されています。ということで、教員別にわかれてお互いのノートを見せ合いました。それぞれのノートの優れているところを評価しあいました。高校までは、先生が黒板に書いた内容をそのままノートに書き写すだけの人がほとんどでしたが、今回は神経を集中させて、きちんと考えながらノートを取ることができたようです。ノートを考えながらきちんと取ることができると、講義をより興味深く聴くことができるようになりますし、講義の内容も記憶のなかに定着してきます。皆さん、頑張っておられました。
▪️2限にはさまざまな事務仕事の処理をして、午後からは「基礎ゼミナール」に関して、担当教員で懇話会を開催しました。FD活動の一環です。担当教員は全員で28人いますが、今日は忙しいなか都合をつけて約半数の教員が参加してくださいました。参加者は少ないだろうなと思っていましたが、予想を超えた参加があり嬉しかったです。
▪️今日の懇話会では、「基礎ゼミナール」のなかで、それぞれの教員が行なっている様々な工夫や実践を知ることができました。今日の懇話会ではそのアイデアを一定程度共有することができました。素晴らしいと思う工夫や実践については、お互いに学び合うことができます。素晴らしいと思うことは、真似をしたり、参考にしたりすることができます。それから、新カリキュラムのなかでの「基礎ゼミナール」の位置付け、4・5セメスターに開講される「公共社会学」との関係等についても、意見をいただくことができました。「公共社会学」を履修することの前段階として、「基礎ゼミナール」ではどのようなことをゆるやかな共通の目標として設定すればよいのか、もう少し考える必要がありそうです。付け加えれば、社会学を専門とする教員だけでなく、社会福祉学や他の分野を専門とする教員もいますから、このあたりのことについても、もう少し丁寧に教員間で工夫をしていかねばなりません。
▪️とはいえ、時々、こうやって懇話会を開催し、情報や意見を交換することで、良い意味での様々な微修正がかかり、カリキュラム全体に対しても貢献できるのではないかと思っています。今日は、ご多用のなか教務課職員の方も参加してくださいました。ありがとうございました。
KJ法
▪️木曜日の1限は、1回生の「基礎ゼミナールA」です。今日は、1人の学生さんが体調不良で欠席でしたが、あとの皆さんは元気よくグループワークに取り組みました。場所は、聞思館4階の「社会学部プロジェクトワークルーム」です。今日の授業の目的は、KJ法を経験してみることです。テーマは、「大学4年間をどのようにすごせばよいのか」です。
▪️研究や勉学だけでなく、サークル活動等の課外活動、アルバイト、ボランティア、旅行、趣味、インターンシップ、就職活動、恋愛、ファッション、お酒のこと…多岐に渡ります。もちろん、未成年ですから飲酒は御法度ですが、社会人になって円滑にコミュニケーションができるようにお酒も一定程度経験しておきたいということのようです。ちょっと、昭和のおじさんっぽいですけど、そういうことも気にしているのですね。
▪️さて、来週の基礎ゼミナールAですが、KJ法のグループワークを完成させることに加えて、もうひとつ。学校という制度のなかで長年の習慣のようになっている「先生が黒板に書いたことを、頭を使わずにただノートに書き写す」的なノートテイキングからぬけだしてもらうことが目標になります。そのため、共通テキスト『アカデミック・スキルズ』のノートテイキングの章を各自で復習し、そこに書かれている内容に各自の工夫も加味し、全員が必修で履修している「社会学への招待」の授業でノートテイキングしてもらいます。来週は、そのノートを持参して、グループワークに取り組みます。
▪️それから、前期の後半から後期にかけて、共通テキストとは別に教育社会学者である本田由紀さんの『「日本」ってどんな国?』を2冊目のテキストとして精読していきます。『アカデミック・スキルズ』とクロスさせながら、加えて、各自でも関連情報を収集して、要約、情報化、グループディスカッション、プレゼンテーション、レポート作成等に取り組んでもらう予定になっています。龍谷大学独自の行動哲学「自省利他」の考え方を反映した「Less Me, More We」(あなただけの世界から、私たちを想う世界へ)という呼びかけに反応できる大人になっていただきたいと思います。
▪️ところで、今日は、この「社会学部プロジェクトワークルーム」に設置されている情報システムも少し使って授業を行いました。最新の情報システムです。でも、使っているのが67歳の前期高齢者のおじいさんなので、この情報システムの持っているポテンシャリティをうまく使えていません。ということで、情報システムを管理している管理課に、この教室に設置されている簡易版のマニュアルだけでなく、もっとしっかりしたマニュアルもいただけないかとお願いにあがりました。「宝の持ち腐れ」にならないように、できるだけ多くの教職員さんそして学生さんたちと、もっと「使い倒せる」ようになりたいと思います。
情報カード
▪️木曜日の1限は、1回生対象の「基礎ゼミナールA」です。今日は、この授業全クラスで使用している共通のテキストの「情報整理」の章の日でした。以下のノート類を使っての情報整理の仕方について学びました。
a)授業ノート b)研究ノート c)文献表 d)読書ノート 精読カード/速読カード
▪️共通テキストでは、かなりマニアックに解説してあります。でも、こういうのって、実際に自分自身で研究に取り組みながらやってみないと、なかなかピンとこないのではないかと思います。この授業で学んだことを、自分なりの形で良いから実際にやってみることが大切なんだと思います。まあ、なかなかそういうわけにもいかないのでしょうが、頑張ってほしいなと思います
▪️私が学生の頃は、こういうスキルが一種のブームのような感じがありました。情報整理は、基本紙ベースですしね。情報カードとか使ってみたりしていました。それと、私が大学院生の頃に、ワープロ専用機からパソコンへとシフトする時代でした。ということで、たとえば読書ノートとか、フィールドワークのデータ等をパソコンを使ってB6の情報カードに打ち出していました。
▪️今日は、若いころの自分のカードを持参して学生の皆さんにみてもらいました。琵琶湖流域での研究に取り組む以前、私は、韓国の地域社会の研究に取り組もうとしていました。韓国語も少し習い初めていました。そのような研究の一環として、韓国の親族組織に関する文献を精読していたのです。バインダーのカードは、その時に作成したものです。黒い箱は、ゴルフ場反対運動の聞き取り調査や資料収集するときに作成したカードが入っています。一番手前のA5判のバインダーですが、研究日誌でした。最初の頁は、1994年8月25日の日付が入っていました。読んでみると、まともなことも書いているのですが、研究会のことで愚痴をこぼしたりしています。
▪️こういうのって、捨てられないのです。なかなか断捨離できないです。困りますね。
「基礎ゼミナール」、「階段主義者」、教員間の交流。
▪️木曜日の朝1限(9時15分から)は、1回生必修の「基礎ゼミナール」です。前期がAで後期がBになります。社会学部は深草キャンパスに移転して学部改組により、これまで3つの学科から構成されていた学部が総合社会学科1学科になりました。ということで、この1回生の皆さんは、総合社会学科1期生ということになります。この1期生の皆さんと一緒に、新しい社会学部の機運を盛り上げていきたいと思っています。
▪️新カリキュラムの「基礎ゼミナール」では、すべてのクラスで共通のテキストが決められています。『アカデミック・スキルズ 大学生のための知的技法入門』です。このテキストを活用しながら、グループワークを通して大学の学習に関して学んでいくことになります。この共通テキストに加えて私の基礎ゼミでは、『「日本」ってどんな国? 国際比較テータで社会が見えてくる』(ちくまプリマー新書・本田由紀)をサブテキストとして読んでいく予定にしています。こういった木曜日1限の学内での演習以外に、1日だけ学外実習にも出かけようと思っています。京都市内ですけどね。
▪️「基礎ゼミナール」の教室は、4号館の5階です。朝、地下鉄「くいな橋」駅の階段を登り、研究室のある「聞思館」の4階まで階段を登り、そして4号館の5階まで階段を登ります。もともと「階段主義者」(エレベーターやエスカレーターをできるだけ使わない)なのですが、深草キャンパスに来てから、さらに階段を使うことが多くなりました。せっかくですから、階段の上り下りで健康維持に努めます。
▪️ところで、これまで異なる学科の教員とは、特にコロナ禍以降、会議のオンライン化が進んだことから、ほとんど話をする機会がありませんでした。実際に会って世間話をすることって、とても大切なことなんですけどね。1学科体制になったわけですから、そのような状況を少しでも改善できたらなあと思いますが、どうなるでしょうね。個人的には、政策学部の教員の皆さんとも、もっと交流してみたいとも思っています。そのようなチャンスが生まれてほしいです。「基礎ゼミナール」の教室からは、比叡山や東山がよくみえます。京都の大学で働いていることを実感しています。
【追記】▪️今日のグループワークでは、4つの班にわかれて、高校までの勉強と大学での勉強とでは何が違っているのか。入学後1ヶ月が経過して感じていることを話し合ってもらいました。班ごとに発表してもらったものを、パソコンでメモったものです。
1班
・ひとつひとつの授業の時間が長い。
・理系科目がなくなった。(←社会学部だからですが、教養教育科目の選択必修科目では、自然科科学系基幹科目を2単位以上履修しなければなりません。)
・専門的な授業が増えた。
・授業の人数が多い。(←高校までのようにクラスが固定していているわけではありませんからね。)
・高校は受け身。大学は主体的。(←主体的に授業を受けるってどういうことでしょうね。)
・体育がなくなった。
・自分で考えることが多くなった。(←そのように自覚しているのは良い傾向です。)
・レポートが多くなった。
・大学の勉強では決まった答えがない。
・通学時間が長い。(←勉強とは直接関係ないのかもしれませんが、長い通学時間も有効に使ってください。)
・パソコンが必要になった。(←高校まではタブレットだったようです。最近の高校のことがよくわかっていなくて…)
・制服ではなくなった。(←これも勉強とは関係ありませんが、制服がなくなるって、何を着ていくのか考えるのが大変だし、服は限られているし、困るようです。)2班
・中国の高校。朝6時半から夜の11時まで勉強。日本と比べて…(←中国からの留学生です。たいへん厳しい受験競争のことを話してくれました。)
・大学の授業は主体的に聞かないと身につかない。(←黒板をただ単にノートに書き写しているだけでは、何も身につきませんからね。)
・テストが少ない。定期テストがない。(←中間試験、期末試験といったものはありませんが、前期と後期の終わりにちゃんと試験期間はあります。)
・やりたい授業がとれる。高校までは、受けさせられていた。3班
・高校までは決まったことをやらされていた。大学は自由に自分の好きなことを学べるる。
・大学の授業は深くて専門的。
・クラスの人数が授業によって異なる。
・高校は休んでもなんとかなるけれど、大学は単位が取れない。卒業できない。(←大学は自由だけど、自分でしっかり考えなければ、大変なことになります。)4班
・自分の好きな専門的なことが学べる。
・授業の人数が多い。
・レポート課題がよく出る。
・強制的にノートとりなさいと言われない。自分からノートを取らないといけない。(←授業でのノートの取り方、勉強しましょう。)
・クラスが決まっていない。
・ただの暗記ではなくて、自分で問題をみつけて解決していくという形態。
「館内ツアー」と「情報検索講習会」
▪️今日の1限の「基礎ゼミナールA」の時間は、まずはいつもの教室に集合しましたが、少しだけ授業をした後、一緒に9時半過ぎに515教室を出て、図書館に向かいました。9時45分から図書館の「館内ツアー」が始まりました。図書館に勤務されている方が、ツアーの最初に説明があり、そのあとはクイズ形式で、館内をめぐるようになっていました。私も同行しました。その後、10時15分からは、地下1階のPCコーナーで、「情報検索講習会」が始まりました。
▪️事前に、「図書館オリエンテーション」に用意された3つの動画、①深草図書館の概要、②深草図書館 館内紹介、③蔵書検索方法を視聴しておいてくださいとmanaba(クラウド型の学習管理システム)で伝えたおいたのですが、はたしてみてくれたのかな。不安です。チェックしたところ、事前に視聴した人は半分程度でした…がーん。まだ、manabaに慣れていないから…ということにしておきます。
▪️写真は、「情報検索講習会」の様子です。昔の学生さんたちとは異なり、キーボードの操作には皆さん慣れておられますね。
「基礎ゼミナール」のクラス会
▪️今日は、新入生が必修の「基礎ゼミナール」の「クラス会」が行われました。勤務する社会学部が、瀬田キャンパスから深草キャンパスに移転し、3学科体制から改組を行い1学科体制となり、カリキュラムも一新しました。そのカリキュラムのもとで、新入生全員が「基礎ゼミナール」に所属することになっています。今日は9時半から、その「クラス会」の前に、新校舎である慧光館の大講義室に全員が集まりました。まず、9時半から新しいカリキュラムの体系や資格課程についての説明が、教務主任や担当教員からありました。10時半からはいよいよ「クラス会」です。新入生が28クラスに分かれて、それぞれの担当教員のいる演習室へと移動しました。自己紹介等は、来週以降の授業で行うとして、今日は少しだけやりとりをしたあと、キャンパスツアーに出かけることにしました。
▪️RECの創業支援ブース、キャリアセンター、情報メディアセンター、教学部/教職センター、社会学部教務課、グローバル教育推進センター、ラーニングコモンズ、図書館、生協、学生部、保健管理センター、セブンイレブン、社会学部プロジェクトワークルーム…順番に回りました。創業支援ブース、キャリアセンター、社会学部教務課では、職務でお忙しい中職員さんが簡単な説明をしてくださいました。ありがとうございました。特に、創業支援ブースの野澤さんには特別にお世話になりました。大学の中には、学生の皆さんを支援するための様々な部署があることを知っていただけたかと思います。少しずつ大学に慣れていただくしかないのですが、キャンパス内をご自身でも「探検」していろんな「発見」があったらいいなと思っています。
▪️午後からは、社会学部の先輩たちが「新入生歓迎会」を催してくれました。私も最後までではないですが、参加させていただきました。私の基礎ゼミナールは、7割ほどの方達が参加して歓迎会のアトラクションでを楽しまれました。私も一緒に楽しみました。すぐに打ち解けた雰囲気になって、これからのゼミナールも楽しくできるのではないかと思います。最後は、ビンゴゲームだったようですが、「基礎ゼミナール」の担当者会議が開催されるため、途中が抜けさせていただきました。新入生と楽しい時間を共有できて有意義でした。
▪️「基礎ゼミナール」は新カリキュラムの新しい授業なので、予想外のこと、至急に対応しないといけないこと、そのようなことが発生するでしょう。また、授業を行いつつ気がついたことやアイデアについては、担当者間で共有して、この授業の運営をさらに良い方向に持っていかねばなりません。これからのこの授業の展開を楽しみにしています。私は定年退職まであと2年なので、今年の新入生の皆さんが卒業する時には、大学にはいません。少し寂しい気持ちもありますが、大学入学後の初年時の教育はとても大切なので、そんなこと言っていられません。
【追記】▪️教務課の職員さんとのやりとりで、「午前の学生を前にしての先生方の姿がとても生き生きとしていたのが印象的でした」、「先生が生き生きとすると学生さんも生き生きとしてるなぁと見ていて思いました」と語っておられました。その通りですね。教師は、学生に活かされているし、その気持ちは全ての人にではないけれど学生さんたちにも伝わるのだと思います。