百花繚乱(1)
■「百花繚乱」という言葉があります。いろいろの花が咲き乱れるという意味なのですが、転じて、「秀でた人物が多く出て、すぐれた立派な業績が一時期にたくさん現れること」をさすようです。転じて以降の意味はともかく、我が家の庭は「百花繚乱」というと言い過ぎのように思いますが、それでもたくさんの花が咲いています。この小さなな庭に実にたくさんの種類の花が咲いているのです。毎朝、雨戸を開けて庭を眺めると、本当に癒された幸せな気持ちになります。少し紹介させてください。
■1段目左:セイヨウシャクナゲ、右:オオエゾムラサキツツジ。2段目左:アマドコロ、右:オトコヨウゾメ。3段目左:名前のわからないツツジ、すみません。右:ハギ。4段目左:エリカ、右:モッコウバラ。5段目左:ブルーベリー、右:タイム。6段目左:エビネ、右:正確な名前は分かりませんが、原種に近いチューリップ。7段目左:シャガ、右:サンショウの新芽。花ではありませんが…。8段目左:タツナミソウ。
「第1回 世界農業遺産・琵琶湖システムを味わう会」
■一昨日の日曜日、夕方17時から、琵琶湖ホテルで「第1回 世界農業遺産・琵琶湖システムを味わう会」を開催いたしました。主催は、私が理事長をしている特定非営利活動法人「琵琶故知新」と、野洲市須原で魚のゆりかご水田に取り組まれている農家、堀彰男さんが代表の「せせらぎの郷 須原」です。実は、堀さんとは昨年末あたりから、「世界農業遺産認定は、ゴールやなくてスタートや」、「民間からの提案で世界農業遺産・琵琶湖システムに関連した取り組みをやっていきたいね」、そのようなお話をしていたのですが、まずは「味わう会」として実現できて本当に嬉しく思います。準備がなかなか進まず、短期間であったにも関わらず、多くの皆さんが日程を調整して参加してくださいました。とっても嬉しかったです。本当にありがたかったです。会場では、あちこちで様々な「異業種交流」が生まれました。大いに盛り上がりました。こういうシーンが生まれることを願っていました。「味わう会」が人と人をつなぐひとつの小さな「触媒」になれたのではないかと思っています。
■世界農業遺産・琵琶湖システムは、「山・里・湖が育む、漁業と農業が織りなす」システムです。ですから、琵琶湖システムにはたくさんのつながりが埋め込まれているのです。その価値を共有するためには、そして価値を磨いていくためには、多様な関係者の皆様自身もつながっていく必要があります。そのようなつながりの中で、初めて価値を磨くことが可能になると思っています。「自分だけが得をする」のではなく、お互いに「贈りあう」関係の中で地域社会が共に浮上するような状況が生まれてくると素敵だなと思います。
■そのような「贈りあう」関係が、県内の水産業や農業に関わる皆さん、食品産業に関わる皆さん、飲食業に関わる皆さん、旅行業に関わる皆さんの間に生まれたとき、「近江テロワール」のようなものが生まれてくるのだと思います。また、中山間地域にも琵琶湖システムの価値の恩恵を届けることができると思うのです。琵琶湖システムを土台から支えているのは山なんですから。
■「第1回 世界農業遺産・琵琶湖システムを味わう会」、多くの皆さまにご参加いただき、大盛況のうちに御開きとなりました。特に、青田朋恵さんのご講演は、世界農業遺産認定を目指し、その先頭に立ち、獅子奮迅のご努力をされてきた方ならではの素晴らしいものでした。ありがとうございました。
■また、喜多酒造の喜多良道社長からは日本酒の味わい方についてのご講義もいただきました。参加された方達を深く納得させる名講義でした。ありがとうございました。須原のゆりかご水田米を原料にして醸した「月夜のゆりかご」と「喜楽長純米大吟醸」を飲み比べながら、日本酒の奥深さを味わうことができました。このような近江の米で近江酒が醸されるような連携が、日本酒以外にもたくさん生まれてきてほしいなあと思っています。
■滋賀県が世界農業遺産申請に取り組むスタート時の農政水産部長であった安田全男さんからは、乾杯のご挨拶とご発声をいただきました。安田さんのご挨拶、心に染みるような思いでお聞きしていました。大津駅前のいつもの居酒屋「利やん」で安田さんとお会いし、世界農業遺産に関わる話で盛り上がった時が、私にとっての全てのスタートでした。
■昨日は、主催者である須原の堀さんによる「魚のゆりかご水田」の取り組みの他に、長浜市早崎で取り組まれている「魚のゆりかご水田」の事業についても、ご報告をいただきました。それぞれの取り組みに、独自の工夫と多様な展開があることを、参加された皆さんと共有できました。このような独自の工夫と多様な展開を、もっと多くの農家の皆さんと共有できればと嬉しいです。
■今、いろんな思いが溢れて、その全てを書ききれないのですが、このブログの投稿を通して私からの感謝の気持ちを多くの皆様にお伝えしたいと思います。今後も、第2回、第3回と工夫しながら継続していければと思っています。ありがとうございました。この日は、琵琶湖ホテルさんにもかなりご努力をしていただきました。琵琶湖ホテルさんにも、共に琵琶湖システムの価値を磨いていく側として、ご協力くださいました。心より御礼申し上げたいと思います。おかげさまで、素晴らしい会になりました。ありがとうございました。
■最後、もうひとつエピソードを。「味わう会」、無事に終えることができて嬉しかったものですから、持ち込んだ自分のパソコンを、うっかりそのまま会場に忘れてきてしまいました。そのことを自宅に戻ってから気がつきました。ということで、再びパソコンを受け取りにホテルに向かいました。いやはや…です。私は、主催者側で司会をしていたこともあり、食事やお酒を楽しむ余裕はほとんどありませんでした。といいますか、体調のこともあり、美味しいお料理もお酒もあくまで控え目にしていました。パソコンを回収し、帰宅したのちは、野菜をしっかりいただきました。
■今回の「味わう会」には、読売新聞の編集局部長がご参加くださり、編集委員と記者さんがご取材くださいました。ありがとうございました。読売新聞では、現在取り組まれている「農project」で、世界農業遺産・琵琶湖システムにも注目していただいています。これからも記事が続々と出ていくのではないかと思っています。ぜひ、皆様もご注目いただければと思います。また、毎日新聞にコラムを書いておられる家鴨あひるさん(ペンネーム)もご参加くださいましたが、家鴨さんにも連続してコラムをご執筆いただけるとお聞きしています。とっても楽しみにしています。
【追記】■18日の読売新聞朝刊の滋賀版に、記事が掲載されました。編集委員の記者さんのお話では、また取材をしてくださるとのことでした。世界農業遺産・琵琶湖システムの価値を磨く活動について、多くの皆さんに知っていただきたいと思います。
前期高齢者になりました。
就職活動の早期化と「オワハラ」
■今日の4限は、4回生のゼミの初回でした。就活に卒業論文、なかなか大変だと思いますが、頑張って欲しいです。
■すでに複数社から内定をもらって、卒論に集中できそうな人がいる一方で、就活も卒論もまだまだという人もいます。もう内定が出ているのは、早期選考を受けたからです。一般的に就活情報解禁、エントリー開始となる3月1日以前に実施される選考のことを早期選考といいます。すでに就職活動をめぐるルールは形骸化しているわけですが、落ち着いて勉強や課外活動ができない様子を見ていると、気の毒でなりません。しかも最近は、内々定後に就活終了を強要する「オワハラ」問題もあります。
「図書館利用者講習会」
■2023年度は、1回生を対象にした「社会学入門演習」を2クラス担当しています。昨日、木曜日のクラスは「図書館利用講習会」に参加しました。毎年、年度末になると、次年度「社会学入門演習」を担当する教員には、授業中の1コマを「図書館利用者講習会」に当てるかどうかの事前の問い合わせが来ます。まあ、これを断る人はいないと思うのですが…。私は、2クラスとも申し込みました。ということで、昨日は、図書館の職員の方たから、非常に丁寧に端末からの利用の仕方を学びました。職員に皆様、お世話になりました。ありがとうございました。
■この講習会の狙いは3つあります。①資料を入手する方法を理解する。②インターネットを利用した情報収集をマスターする。③図書館サービスを有効活用する。以上の3つです。具体的には、蔵書検索(OPAC)、まとめて検索(ディスカバリー検索)、CiNii Research、新聞データーベース等の利用の仕方について学びました。これらをうまく活用して学習を進めるのには、少し経験を積まなくてはいけないでしょうね。使いながらなれるしかありません。この講習会は3号館の地下にある端末が並ぶ教室で開催取れましたが、最後は、実際に図書館をご案内いただきました。図書館ツアーです。
■今や、どこの大学でもこのような丁寧で親切な講習会を開催しているのではないかと思いますが、自分たちが学生の時と比較すると隔世の感がありますね。私たちの時代は、カードで文献を検索していましたから…。今の方がもちろん便利だとは思うのですが、逆に大量の情報に溺れてしまうような状況になっているのかもしれません。何が自分にとって「本当に必要な情報」なのか、よくわからなくなっているかもしれません。
「新入生特設サイト」について
■龍谷大学の新入生の皆様。こちらの「新入生特設サイト」をご存知でしょうか。ぜひ、ご覧ください。また、知り合いやお友達にも教えてあげてくださいね。以下の項目について、動画でわかりやすく説明されています。
○履修<学修基本編>
○履修<履修登録手続編>
○履修<RYUKOKUキャリア・スタート・プログラム>
○情報環境について
○新入生対象アセスメントテストについて
○学年暦
○通学について
○障がい学生支援について
○図書館について
○教科書の購入について
○学部別問い合わせフォーム
■ひとつだけ、トップ「履修<学修基本編>」の動画を貼り付けておきます。
セイヨウシャクナゲ
■我が家の小さな庭のセイヨウシャクナゲが咲き始めました。ひとつの蕾の中に、これだけのたくさんの花が準備されていることに、毎年すごいなと感動しています。我が家の花は、可愛らしいおとなしいものが多い中で、このセイヨウシャクナゲはとってもゴージャスです。花びらを広げて満開になるのは、もう少し先になります。2段目の写真、左側か蕾が開いたものです。中から、たくさんの花が現れました。これから花びらを広げていくわけです。きちんと開花するのは明後日ぐらいでしょうか。右側は膨らむ前の蕾です。事前に蕾の数を数えたのでが、全部で17もありました。これまで、世話の仕方が悪かったせいか(剪定の仕方を間違った)、花を咲かせない年がありました。よく勉強して、世話をしたいと思います。
■左は、アジュマチョコレートチップです。背丈の低い、常緑多年草です。青紫色の色鮮やかな花が咲いています。とってもシックな色の花です。右は、ネモフィラとチューリップです。ネモフィラは、当初、葉ばかり伸びて花が咲かないのではと諦めかけていましたが、急に花を咲かせてくれ一安心です。それに対して、一緒に植えたチューリップの方は、イマイチかな〜。それでも、嬉しいです。来年は、ネモフィラをもっとたくさん咲かせたいと思います。
■話は急に変わりますが、大学の瀬田キャンパス1号館にある噴水の周りに、ハスの苗が並べられています。もちろん、ハスは水生植物なので、大きなバケツのような器に入れられています。近くに寄ってみると、「2023年度龍谷IP『植物園をつくろう』作品」とあります。龍谷IPとは、大学が取り組んでいる「新たな教育プログラム(再構築を含む)の創出により、本学の教学促進・充実を図ることを目的とする『企画選定型』の事業」のことです。「植物園をつくろう」というのは、この事業の中での取り組みのようです。ハスの成長を見守りたいと思います。このブログでも、成長の様子についてお伝えしたいと思います。
2004年と2026年
■昨日から、2023年度の授業が始まりました。大学としては一昨日の月曜日からなんですが、私の週の最初の授業は火曜日からですので。この日の授業は、「社会学入門演習」です。今年度は、「社会学入門演習」を2クラス担当しています。1組と10組。今日、火曜日は10組でした。
■私がイタンビューをする形で、ひとりひとりの自己紹介をしてもらいました。まあ、私がインタビューしたんでは自己紹介ではないですけどね。インタビューの中では、学生の皆さんが、どこから通学されているのか、差し障りのない範囲でお聞きしました。遠い人は、神戸の北区(六甲山の北側)から通学されていました。大変だな〜。通学時間は2時間を超えるそうです。頑張って卒業して欲しいと思いました。長時間の通学時間も、有効に利用して欲しいと思います。
■あと、いろいろ、お話を伺いながら思うことがありましたが、一番、心に残ったことは次のようなことでしょうか。私が自己紹介をしているときに、「龍谷大学には2004年から勤務しています」と言ったことへの反応です。今年入学された方達(現役)は、2004年生まれなのだそうです。考えてみれば、当たり前なのですが、それでもやはり「おお、そうなんや」と思わずにはいられません。しかも、皆さんが卒業されるのは、2026年度(留年しなければ)。それは、私が定年退職する年度でもあります。
■10組の皆さん、明るくて、とても良い雰囲気でした。素敵ですね。
フジとクマバチ
■ご近所のフジです。毎年楽しみにしています。すでにたくさんの蕾ができています。これが膨らみ、総状花序を垂れ下げて、そこには紫の小さな花がたくさん咲きます。すると、たくさんのクマバチがやってきます。どうしてクマバチがやってくるのでしょうね。調べてみました。千葉市科学館の公式サイトでこのような説明がされていました。
藤の花はクマバチのように力がなければ蜜を吸うことが出来ない、固いフタに閉ざされています。クマバチにとって藤の花は他のライバルに取られない蜜であり、藤にとってはクマバチだけが自分の花粉を運んでもらえるので、受粉できる確率が高くなります。こういった関係を「相利共生(お互いが利益を得られる関係)」と呼び、彼らは切っても切れない関係にあるのです。
■なるほど、そういうことなのか。子どもの頃から、フジの花とクマバチとの間には何か関係があるのかなと思っていましたが、今日、初めて調べてみました。なるほどね〜。クマバチのことをもう少し。こんなふうに生きているんですね。
【追記】■クマバチというと、音楽好きの方たちはリムスキー・コルサコフの「クマンバチの飛行」(熊蜂の飛行)という曲を連想するはずです。wikipediaによる解説ですが、「このロシア語の”Шмель”、英語の”bumblebee”の和名はミツバチ科マルハナバチを指す(ミツバチよりも大型だがクマバチよりは小型)」とのことで、どうも私がいつも見ているクマバチとは違うようです。ちなみに、「クマンバチの飛行」の演奏をご覧いただければと思います。これは、オーケストラ用にかなりアレンジされていますし、演奏自体もかなり演出を盛り込んでいて、普通の演奏とは違いますが、観ていて楽しいです。
シリーズ環境社会学講座第1巻『なぜ公害は続くのか」(新泉社)
■時々、献本ということで本いただきます。やはり環境社会学関係が多いです。今回は、シリーズ環境社会学講座第1巻の『なぜ公害は続くのか 潜在・散財・長期化する被害』(新泉社 )を編者から送っていただきました。ありがとうございました。この第1巻から、シリーズ環境社会学講座全6巻の刊行が始まりました。私も、第6巻「複雑な問題をどう解決すればよいのか」でひとつの章を執筆いたしました。
公害は「過去」のものではない。
問題を引き起こす構造は社会に根深く横たわり、差別と無関心が被害を見えなくしている。
公害の歴史と経験に学び、被害の声に耳を澄まし、犠牲の偏在が進む現代の課題を考える。
公害を生み続ける社会をどう変えていくか——。
〈公害の歴史が教えるのは、見えていたはずのものが不可視化されていく過程である。その背後には、環境侵害の影響を背負わされるのが社会的に弱い立場の人びとに偏るという、公害の最初期から続く社会構造もある。
公害の「解決」を強調する動きが、実は公害発生の経緯を引きずるものであり、現在の環境問題にも影響を与えているのであれば、不可視化の仕組みに注意し、それに対抗する方法を考える必要がある。——編者〉
【目次から主な内容】
序章 不可視化される被害と加害……藤川 賢・友澤悠季
I 公害とは何か
第1章 足尾銅山鉱煙毒事件にみる公害の原型……友澤悠季
第2章 新潟水俣病にみる公害被害の現在……関 礼子
第3章 日米の産業廃棄物問題と草の根環境運動……藤川 賢
コラムA 複合公害としてのアスベスト問題……堀畑まなみ
II 環境的不公正の潜在と拡大
第4章 なぜカネミ油症被害者は被害を訴え続けなければならないのか……宇田和子
第5章 熱帯材と日本人——足下に熱帯雨林を踏み続けて……金沢謙太郎
第6章 マーシャル諸島発「核の正義」を求めて……竹峰誠一郎
第7章 環境正義運動は何を問いかけ、何を変えてきたのか……原口弥生
コラムB 環境過敏症という名の「公害」……堀田恭子
III 公害は終わっていない
第8章 NIMBYと「公共性」……土屋雄一郎
第9章 水俣病にとっての六五歳問題——「先天性(胎児性)という問い」から……野澤淳史
第10章 「記憶」の時代における公害経験継承と歴史実践……清水万由子
第11章 環境リスク社会における公正と連携への道……寺田良一
コラムC 公害地域再生が目指すもの……林 美帆
終章 不可視化に抗うために……藤川 賢・友澤悠季