オンライン会議の不安
■夕方、若い同僚が研究室に相談事でやってこられました。その同僚からは、これまでもたまに相談を受けたことがあります。龍谷大学に17年勤務しているので、自分で言うのもなんですが、それなりの経験知があり、自分のような者でも役に立つことがあるのです。もう職場の中でも年寄りの部類になっているので、必然的にというか、徐々にというか、頑張っている若手の同僚の方達を応援する側になっているのですね。こういうのが、年寄りの役割だと思っています。一般には定年退職が近づいてきた教員は、とりあえず?!ベテラン教員と呼ばれることになりますが、本来、ベテラン(veteran)とは退役軍人という意味ですものね。もう前線を退いて、何かの時に予備役として呼び出される存在です。まあ、そいうわけで、世の中、なんだかんだと言っても、長い目で見ればそれなりにうまく動いているのだなあと思うわけです。
■そういうことはともかく、まずは、その同僚の方のお考えをよくよく聞いてみました。すると、普段はボーッとしている私の頭が動き始めました。そして、むしろこうした方が良いのではと逆に提案をさせていただきました。とりあえず目の前の案件を処理するという感じよりも、組織として進むべき方向性を吟味しながら、うまくその方向性と合致して繋がっていく対応の方が良いと思うからです。どうせ取り組むのならば、「一粒で3度美味しい」ものに方向転換していった方が良いわけですからね(もっとも、逆の提案がきちんと用されるのか、うまく軌道に乗るのかは別ですが。
■さて、ここからが本題。今回も…なのですが、こうやって実際にあって話をする方が面白く話が展開していくのになあと思いました。オンラインの会議だと、議案を提案する側にとってはやりやすいとは思うのですが、そこではなかなか議論が展開しません。広がりが生まれないのです。大事なことも、何かスルーしている感じになってしまいます。こう書くと「それはあんたの能力が低いからや」と言われるかもしれません。はい、否定はしませんけど。
■とはいえ、もっと「脱線や道草のあるコミュニケーション」が必要だ、とやっぱり思ってしまうのです。「いやいや会議はできればないほうが良い。ましてや脱線とか道草とか要らんよ」という反論もあるでしょう。もちろん、そうかもしれません。でも心配です。オンラインを使って会議を行うことで、自分の世界に閉じこもりたいという気持ちが、どんどん大きくなってはいないか、優ってしまってはいないか、そのような傾向が全体として強まってはいないか…そのようにしばしば感じるからです。これは大学という組織の特有の傾向なのかもしれませんが、もともと実質的に閉じこもっている人もおられますし。
■もちろん、コロナ禍ですから感染防止に十分に注意をしながらになりますが、逆に、コロナ禍だからこそ具体的な場で身体性を伴った話し合いが必要なのではないかと思います。そうしないと、議論がスカスカのまま(熟議ができないまま、さまざまな立場や視点からの有益な意見が出されないまま)形だけ前に進んで、後で後悔することになりはしないでしょうか。もちろんここでいう議論とは、前向きで建設的な議論のことです。議論のための議論や、相手を否定するための議論は要りません。前向きで建設的でも、「脱線や道草のあるコミュニケーション」は可能だと思います。
「龍谷大学東京オフィス」のTweet
■学生の皆さんに向けて書きます。
■朝起きて、ボーッとした頭で布団の中でTwitterを眺めていました。すると、龍谷大学東京オフィスのTweetが目に入りました。
最近は志望動機を拝見することも多いのですが、大切なのは自分事中心(私はこう成長したい、こんな環境で働きたい)ではなく、「会社でこんな働きができると思う」、「社会にこんな貢献をしていきたい」といった、「どう働きかけたいのか」を伝えることも忘れてはいけないなと感じることが多いです。
— 龍谷大学東京オフィス (@ryutokyo1) March 4, 2021
■私自身は、大学院に進学したので、学部生時代に就職活動というものをしていません。そなるとあまりで偉そうなことを言えないのですが、このTweetにある「私は〜」ではなくて、「会社で〜」「社会に〜」が大切だという点に共感しました。もちろん、東京オフィスの職員の方、そして私も、「自分は〜」を否定しているわけではありません。しかし、就活で出会う企業の採用担当の方達は、そういうことだけを聞きたいわけではないのです。就職活動とは、端的に言えば、自分を企業に売り込むことなのですから。相手は、「君が入社したら会社にどう貢献できるの」、「企業活動を通してどう社会に貢献できるのか」を知りたいのです。
■私は、長らく、大学で地域連携に関する仕事をしてきました。大学の地域連携の活動は教育の一環として取り組まれています。「大学に外に出て活動したい」、「自分をもっとこんな風に変えていきたい」…そういう動機があっても、もちろん良いと思います。しかし、「自分」から一歩踏み出して「地域社会」に重心を移して「地域社会に対して何ができるのか」「どんな貢献ができるのか」ということも同時に考えなければなりません。このあたりのことができるのかどうか。学生ひとりひとりが問われることになります。学外で活動していたら、予定調和的に、自分に素敵な変化が生まれるわけではありません。地域社会の中で生まれる他者(多様な地域住民の皆さん)とのつながりや関係を通して、初めて自分の変化を感じ取れるようになるのではないかと思います。もっと言えば、感じ取れるように自分自身が変化していくこと、それが成長なのだと思います。もっとも、そのような変化は、そういった他者とのつながりや関係の中に埋め込まれているので、なかなか自覚しにくいわけですけど。
■話は少し変わります。数年前、3年生のゼミで(前期)、ボランティアに関する文献を全員で講読しました。今時は少し古典的かもしれないそのような講読をあえてやってみました。すると、次のような意見が出てきました。「中学生の時にクラブ活動でボランティアをさせられましたが、もう二度と、やりたくありません」(←それは、そもそもボランティアなのか…語源的にも間違っているような)。「若者は、みんな自分の損得しか考えていないので、ボランティアとか関心がないと思います」(←龍谷大学のボランティア・NPO活動センターでは、皆さんと同じ学生が頑張って取り組んでいますよ)。そのような意見を聞いて、学生の正直でストレートな本音なのだと思いましたが、心がちょっとシュンとしてしまいました。しかし、そのような意見を述べたゼミ生も、個々の卒論の調査でいろんな方達にお世話になり、いろいろインタビューをさせていただくことになりました。自分の得になるわけでもないのに、わざわざ時間を作って丁寧に話をしてくださることを経験するわけです。卒論という個人的な取り組みではありますが、地域社会の他者と関わること中で、意識に変化が生まれていたように思います。これは、とても大切な変化かなと思います。
■学生の皆さんは、こういう変化も含めて、ご自身の成長ということについて考えて欲しいと思います。
博士論文(学位請求論文)のこと
■退職された同僚の教員から指導を引き継いだ博士課程社会人院生のTさんが、昨年の秋、博士論文(学位請求論文)を提出されました。龍谷大学大学院社会学研究科では、提出された博士論文に対してまず草稿審査を行います。そして、社会学研究科委員会で審査報告を行い、本審査に進めるかどうかを判断します。通常、どなたも、複数の改善すべき点を指摘されることになります。そのような改善を指摘した上で、審査に値する課程博士論文提出に至る可能性が高いとの了解が得られれば、本審査に進めことになります。本審査でも草稿審査と同様に、研究科委員会で審査報告を行い、その上で投票を行うことになっています。Tさんの場合も、以上の全てのプロセスを経て、問題なく合格となりました。もちろん、今後の課題は残りますが。それはともかく、社会人として勤務しながらの博士論文の執筆、なかなか大変だったと思います。最後は、力を振り絞ってくださいました。私自身は、同僚だった教員の院生をお預かりしていたわけですから、無事合格となり、肩の荷がおりました。ほっとしています。
■もちろん、博士論文の元になっている論文はきちんとあります。博士課程に在籍中に、書き溜めてきたものです。その中には、全国学会誌に査読付き論文として掲載されたものも含まれています。龍谷大学大学院社会学研究科では、そのような査読付き論文が最低1本あること、それが博士論文執筆資格が認められるための条件のひとつになっています(他にも、論文の本数や何回学界発表を行ったかなと、複数の条件があります)。というわけで、Tさんはきちんと実力をお持ちの方なのです。しかし、それらの論文をつなぎ合わせれば自動的に博士論文になるのかといえば、そうではありません。全体としてきちんと構造化されていなければなりません。「○○論」、「△△論」、「□□論」とタイトルをつけてもっともらしく並べたとしても、そしてひとつひとつが意味のある論文であっても、全体としては博士論文にはなりません。博士論文は論文集ではありませんから。「大きな問い」(深い問い)を「小さな問い」に分割して、それぞれの章で「小さな問い」を検討していかねばなりません。そして、最後には「大きな問い」を明らかにすることに論理的につながっていかねばなりません。「大きな問い」と「小さな問い」とがきちんと論理的に連関していて、各章で検討してきた複数の「小さな問い」の結論が、最後には「大きな問い」のところで意味のある連関のもとで整理され、まとめられなければなりません。
■そのようなことを、毎年開催される博士課程の中間発表の時に、Tさんにはずっと指摘してきました。解決の方策についてもアドバイスをしてきました。ですが、なかなかうまく伝わらなかったと思います。どうなるかなあと気を揉んでいたのです。でも最後は、なんとか理解してもらえたようで、そこからフル操業で加筆修正に取り組まれました。そして、全体がきちんと理解できるようにまとまりました。こういうのって、比喩的にいえば自転車の漕ぎ方や泳ぎ方…のように、ある日ふっとわかるものなのかな。そんなふうに思います。
■自分の執筆した論文をまとめて博士論文にしていくためには、他の方の優れた博士論文をしっかり読むことも必要です。そこからヒントを得られると思います。良い博士論文の構造(骨格)をきちんと理解できることで、博士論文にまとめることが、どのようなことなのかが理解できるようになるからです。今回の場合もそうでした。ところで、社会人院生ですから、それなりの年齢になっておられます。私よりはお若いですが、ひとまわりも違いません。とはいえ、学位取得はゴールではなく、さらに研究を次のステップに進めていくためのスタートラインです。引き続き頑張っていただきたいと思います。
2021年度の時間割とオフィスアワー
■来年度の時間割が決まりました。前期は6コマ、後期は8コマになります。少なすぎるのはもちろん問題ですが、多いのも問題(担当ノルマは5コマですから)。特に、後期の8コマは…。
■オフィスアワーの時間、現在は火曜日の3限ですが、来年度は変更することなりました。2021年度は、金曜日3限です。今年度は、面談についてはオンラインで実施することにしました。学生の皆さんにとっても、zoom等で面談をした方が、便利であることがよくわかりました。オフィスアワーのあり方も、変わってくるのではないでしょうかね。
■ところで、上の時間割で、教務委員をされている同僚の教員の方にいろいろ相談に乗っていただきました。水曜日2限、2回生後期になると「地域社会論」を受講できます。地域づくりや活性化等に関心のある皆さんは、できれば、続けて3回生前期に「地域再生の社会学」も受講していただければと思います。連続して受講することで、より学習効果があるようにと考えています。私のゼミに配属が決まった方は、できるだけこの授業を履修していただきたいと思います。火曜日3限の後期は「環境社会学」です。この授業は、退職された方が担当されていたものですが、私の専攻が環境社会学であることから、今年から担当しています。内容は、「地域社会論」と同時に履修していただくと、こちらもより学習効果があるかと思います。いろいろ工夫というか、苦労しながらシラバスを考えています。
「オータムコンサート」の練習
■今日は、午前中は午後からの授業の準備。そして授業のあとは、大学院修士課程のゼミ、そしてそのあとは博士論文提出者の指導…と一日続いたわけですが、仕事が終わってから龍谷大学吹奏楽部の練習を見学させてもらいました。29日に「びわ湖ホール」で開催される「オータムコンサート」の練習でした。コロナがなければ、もっと見学をさせていただくのですが、今シーズンは見学を相当遠慮しています。今回でやっと2回目でしょうか。ひさしぶりに、吹奏楽の音をいっぱい浴びて幸せでした。
■練習後は、自宅でzoomを使って22時から卒論の指導でした。コロナ感染拡大以前は、卒論の指導は対面で指導を行なっていましたが、春以降、オンライン授業を繰り返すうちにzoomを使えるようになり、卒論の指導もオンラインということが多くなりました。オンラインになると、昼間、大学で指導をしなければならない制約がなくなります。相手の学生と調整できれば、原理的にはいつでも構わないことになります。そういうことで、今日は、22時からでした。そうそう、卒論でちょっと気になることが。吹奏楽部の4回生の皆さん、卒論や卒研にもしっかり取り組んでくださいね。ちと心配です。
■ところで、話はガラリと変わりますが…。最近、私の日常の出来事を記録しているだけのブログに、いつもよりもたくさんの方達がアクセスしてくださるので驚いています。今日が100、昨日が93、そして一昨日が116。その前が、105、90…とこれまでよりも多いのです。どうしてでしょうね〜。ひょっとして、3回生からのゼミの選択で学生の皆さんがのぞいてくださっているのかな。そうであれば、ありがたいのですが。
龍谷大学「学生まちづくりラボfan」のミーティングに参加しました。
■昨日は、3コマのオンライン授業のあと、龍谷大学のREC関連団体である「学生まちづくりラボfan」のミーティングに参加させていただきました。私の役割は、側面から学生の皆さんの活動のサポートすることにあります。昨日は、新入生への説明会でした。学生の皆さんや、この団体のOBの皆さんが、良い雰囲気でミーティングされているところに、のそのそと還暦過ぎのおじいの教員が参加することにちょっと躊躇いがありましたが、皆さん真剣に私のアドバイスを聞いてくださいました。ありがとうね。
■「学生まちづくりラボfan」の活動の場は、仰木の里です。大津市の中でも大きい規模の住宅地になります。ここで、地域の皆さんと一緒に、人口減少社会の中で、都市郊外の住宅地が抱える問題を緩和するために活動をしています。もっとも、今は、コロナウイルス感染拡大のため、現地での活動は出来まん。感染が収束することを心待ちにしながら、zoomで毎週、ミーテイングや研究会、ビブリオバトルを開催されているようです。これからの活動の展開に期待しています。
初オンライン講義
■龍谷大学は、今週からオンライン授業(ゼミ、講義、実習全て)を全面的に実施することになりました。今日は、いよいよ私自身のオンラインの講義の日でした。ただし、ライブで講義をせずに、PDFファイルと、講義録音を4つに分割した音源を、manabaというクラウド型の教育支援サービスにアップして受講してもらうことにしました。いわゆるオンディマンド方式ですね。もちろん、実際の時間割上の時間帯で受講していただいても全く問題ないのですが、オンディマンド方式であれば自分の都合のつきやすい時間帯に受講するというメリットもあります。学生の皆さんからの質問やその質問への回答等のやりとりは、manabaの中にある掲示板を通して行う予定です。そうやって、双方向性を確保するつもりです。
■そうそう、それぞれの教員が、どのようなスタイルで講義をしているのか、学内者限定のポータルサイトでアンケートが実施されていました。まだ、手探りの状況が続いているようです。とはいえ、サーバーがダウンするようなことは、今のところ起きていないようです。大変心配していたのですが、安心しました。いくつかの講義のスタイルがあるようですが、私のやり方はおそらく少数派だと思います。現在、manabaにアップできるファイルは10MBになっています。そのため大きなファイルはアップできません。もともとは、50MB程度はアップできたようなのですが、今回のコロナウイルス感染拡大に伴ってオンライン授業の数が増えたことから、上限が10MBに抑えられています。私の勤務する社会学部では、できるだけ画像はアップしないでほしいという要請があります。余計にいろいろ考えないといけません。
■そのようなことに加えて、受講する側の学生の皆さんのWi-Fi環境についての心配もあります。現在、大学の側が補助をしてサポートしつつあります。Wi-Fijやパソコンを3万円でレンタルしつつ補助金も3万円出すことから、うまくいけば実質無償でのレンタルということになっています。しかし、それでも、全ての学生のWi-Fi環境が改善されるのかどうか、よくわからないところがあります。Meetを使ってオンラインゼミを実施していますが、Wi-Fiの状況が不安定な学生さんたちが一定の割合でいることが経験上わかっていますので、やはりオンライン講義のスタート時点では、無理せずにやっていこうと判断しました。ということで、PDFと分割した音源でオンディマンドというやり方にしました。
■私のやり方は、私が若い頃の経験でいえば、旺文社のラジオ講座に近いものかもしれません。はたして、今の学生の皆さんはどのように受け止めてくださっているでしょうね。なんだか「微妙だな〜」などと思いつつ…のオンライン講義です。試行錯誤の連続です。そのうちに、manabaを使ってこの講義形式に関して感想等を求めてみようと思います。このやり方の技術的なことについては、農学部の石原健吾先生の真似させていただきました。石原先生に心より感謝致します。農学部では、この「石原式」の講義を採用されている方が複数おられるようです。たくさんの同僚の皆さんから色々教えていただきながら、なんとかオンライン講義を始めることができました。
■そうそう、大学が契約していないために推奨はされていないzoom、先ほどやっと「ブレイクアウトルーム」という機能を使えそうなレベルにまで到達しました。まあ、その程度のレベルなのです。トップの画像は、今日、講義を行った「地域社会論」の掲示板です。ここに、10MB以下の4つの音源のファイルをアップしています。
コロナ感染拡大状況下でも、大切な大学図書館を維持しよう。
■現在、学生と大学院生は、キャンパス内への入構が禁止になっています。教員も在宅勤務が基本ですが、オンライン授業のことであれば入稿できます。ただし、入構がより厳しくなっています。入り口では、体温をチェックすることになっています。このような原則入構禁止の状況については、全国のどの大学も似たような感じなのではないかと思います。
■ただ、入構禁止というと、図書館は利用できないということになります。「今の学生は本を読まない」とよく言われますが、まじめに研究に取り組んでいる学生・院生は、図書の貸出ができないことに本当に辛い思いをしていることだろうと思います。特に、博士論文や修士論文に取り組んでいる大学院生、それから卒業論文執筆に向けて頑張っている学部性、そのような方達は大変困っておられるのではないでしょうか。おそらくですが、郵便代金を払ってでも郵送で貸し出してほしいとか、入構はしないけれど、正門のところで図書を渡して欲しいという学生がおられるのではないでしょうか。そうそう、中国の集合住宅で、食料店がマンションの門のところまで配達していたけれど、それに近い感じかもしれません。他大学では、図書の利用はどうなっているのだろうと思っていると、信州大学の知人が教えてくれました。信州大学では、コロナウイルス感染拡大の中でもサービスを継続されていることを教えてもらいました。
■こちらの「附属図書館の新型コロナウイルス感染症予防対策強化について」をご覧ください。信州大学の図書システムで希望する図書を、自宅に郵送で送ってくださるのです。信州大学の知人とは少しメッセージのやりとりをしましたが、図書館の担当者の方は、大学図書館の使命の一つでもある学生の学修を支援することを放棄してしまうと、図書館の存在意義はなくなると、様々な工夫をして図書サービスを継続されているのです。担当者の方は、このサービスは死守しなければならないと考えておられるようです。素晴らしいと思います。
■同様のことは、帝京大学でも始まったようです。「帝京大学メディアライブラリーセンター、学生を対象に貸出希望図書の無料配送サービスを開始:新型コロナウイルスによる臨時休館中の学習支援の一環」をご覧ください。学生を対象に貸出希望図書の無料配送サービスを開始されています。郵送や配送ではありませんが、この神戸新聞の記事「予約限定、非接触で本貸し出し 上郡と佐用町の図書館」からもヒントを得られそうな気がします。
■全国の大学院生の皆さんを中心に「図書館休館による研究への影響についての緊急アンケート(図書館休館対策プロジェクト)」という活動も始まっています。コロナウイルス感染拡大のなかでも、命と健康を守りつつ、大学の使命をいかに守っていくのか。たいへん重要なことだと思います。授業料返還が必要という意見も出始めています。大学としての姿勢がしっかりとしていなければなりません。too slow, too late, too little…にならないように機動力のある展開が必要になってきます。
オンライン授業のマナー?!
■昨日はzoomを使ったオンライン授業を実施しました。実習系の授業、社会共生実習の「地域エンパワねっと」の授業です。社会共生実習は、社会学部の学生であればどの学科の学生でも履修できるのですが、この「地域エンパワねっと」の”弟分”でもある「多文化共生」(川中大輔先生担当)をテーマにしたプロジェクトとの合同授業でした。私たちの「地域エンパワねっと」は大津市、「多文化共生」のプロジェクトは京都市の東九条とフィールドは違いますが、ともに学生自身が「課題発見」を行い、その「課題解決」に取り組むことを特徴としています。「課題発見×課題解決」です。これからも、時々このような合同授業をしていく予定になっています。
■昨日の授業の前半では、昨年「地域エンパワねっと」を履修した先輩Iくんがプレゼンテーションをしてくれました。現在、Iくんは3回生ですが、昨年、2回生の時には「地域エンパワねっと」のIAとIBを履修していました。現在はIIAを履修中です。Iくんは、海外から来日し瀬田キャンパスに隣接する瀬田東学区にお住まいの家族の皆さん、特に子どもさんたちをどのようにサポートしていくのか…という課題に取り組みました。プレゼンテーションでは、「自分はどのようにしてこの課題を発見して、この課題解決のためにどのように取り組んできたのか…」ということを丁寧に説明してくれました。zoomでは自分がパソコンで作成した資料を画面を通して他の皆さんと共有できる仕組みがありますが、Iくんは、その機能を使って、自分で作成したパワーポイントのスライドを使って説明してくれたのです。同じ学生である先輩が語るからこそ、後輩の皆さんは実習に対するイメージをよりリアルに持つことができる部分があるように思います。
■授業の後半では、学生たちはグループに分かれて討論を行いました。zoomの「ブレイクアウトルーム」という機能を使うようです。「ようです」というのは、私がまだzoomをよく理解できていないからです。この日は、「地域エンパワねっと」担当の還暦ごえの2人の教員と、まだ30歳代の川中先生で指導しましたが、お若い川中先生が手慣れた感じでzoomを操作をして司会進行をしてくださいました。見習わなくちゃね。で、学生の皆さんのグループの討論に見学させていただきましたが(もちろん、zoomを通して)、皆さん、しっかりした自分の意見を述べておられました。感心しました。今後の展開が楽しみですね。このようなグループに分かれて討論…のようなグループワークができること、これはzoomの魅力ですね。他にも、あったら教えてもらいたいです。問題は、いつも気になっていますが、通信容量に制限のある学生でも使えるかどうかなのですが…。幸いなことに、「地域エンパワねっと」の学生たちは、自宅でパソコンを使って通信容量無制限でオンライン授業ができるようです。
■ところで、今日はオンライン授業の最初の方で、学生たちにこんなことを話しました。双方向のオンライン授業、テレビ会議、ビデオ通話の時のマナーみたいなことです。「テレビを眺めるようにではなく、笑顔でね(自分も見られているよ)。仲間が話をするときは、大きく頷きたりしてね」みたいな話をしました。これは、オンライン授業だけでなく、普通の対面式の授業でもやって欲しいのですが、それは贅沢というものですね。でも、オンライン講義では、人数が多いと相手の表情が読み取りにくいこともあり、この辺りを少し意識する必要があるように思います。もちろん、画面には学生さんたちだけでなく、白い髭の長い髪のおじいさん(私のことですが…)が写っているのですが、おじいさんなりに笑顔になっているかどうか、ちらりと表情をセルフモニターすることにもなります。zoomには反応という機能もありました。カメラをオフにして自分の顔が映らないようにしていても、「いいね!」や「拍手」みたいなサインを出すことができます。なかなか工夫されているわけですが、少し複雑な気持ちにもなります。もっと普通にコミュニケーションしたいよね…と思うわけです。そんなことを思っていると、このような記事が目につきました。いろいろ考えないといけない時代になったな〜と思います。自宅にいても、オンライン授業を受講するとき、お化粧をして、外に出かける時のおしゃれな服を着て…となるわけですね。教員だって、これまでスーツをバシッと来て講義をしていた人は、どうするのでしょうね。自宅でもスーツを着てやらないと気分が乗らないのかな。私の場合は、特別なことがない限り、授業も、学外の会合も、大津駅前のいつもの居酒屋「利やん」での呑みの場合も、ほとんど服装は変わらないので関係ありせませんが。
■話は全く変わりますが、先日、62回目の誕生日を迎えました。4月15日が誕生日です。wikipediaで「4月15日」を調べてみると、いろんな方が同じ誕生日です。レオナルド・ダ・ヴィンチとか。社会学者だと、フランスのエミール・デュルケームも4月15日生まれです。私が生まれる100年前。現代社会学の礎を築かれた社会学の巨人のお1人です。ああ、このことは、以前にも投稿したな…。まあ、62歳になるとこのような感じです。
■誕生日の午前中には、孫のひなちゃんがLINE電話で「おたんじょうび、おめでとー」とメッセージを伝えてくれました。ひなちゃんは、在宅勤務のおかあさんと自宅で過ごしています。ひなちゃんの最大の敵は「ひま」。保育園も感染を恐れて今は行かないようにして、自宅で過ごしています。保育園だと、いろいろお友達と一緒に楽しいことがいっぱいできるけれど、おうちだとちょっと物たらないのかもしれません。本当は孫に会いに行きたいのですが、コロナウイルス感染拡大の状況では、そうもいきません。コロナウイルスの感染拡大が長期化すると、孫も含めて家族や友人、親しい方達にも会うことができませんね。これは何か寂しいものがあります。その一方で、会議なんかだとオンライン上で特に問題を感じません。15日には、Google Hangouts Meet を使った70数名が参加する学部の会議にも参加しました。自宅からオンラインでの参加です。オンライン授業実施に向けての会議です。急遽開催されたこともあり、ちょっと時間にロスがありましたが、非常勤講師の先生方も参加することのできる会議でした。みんな心配ですものね。
■コロナウイルスの感染拡大で、仕事や生活の様々なところで、オンライン授業や会議も含めて様々な変化が生まれています。実際に身体を伴って「場」を共有すことで無意識のうちにしていたこと/できていたことが、オンライン化でしなくなっている/できなくなっているかもしれません。大切なことを失っているかもしれません。そのことが社会にじんわりとボクシングのボディーブローのように影響を与えるかもしれません。逆に、会議のように、これまで場所を決めて実際に「場」を共有しないとできないと考えていたことも、「なんだオンラインで十分だよ」と思えるようにもなりました。オンライン化で失うこと、オンライン化で十分なこと、コロナウイルスの騒動が収束した時、両者を峻別することが必要になってくるでしょうね。
オンライン授業講習会
■昨日は、キャンパス内にある情報処理のための教室で、クラウド型教育サービスの「manaba course」と「Google Hagouts Meet」の講習会が開催されました。大きな部屋とはいえ、人がたくさんなので、窓も扉も全開、ビュービューと風が部屋に入ってくる環境で、席も離して、マスク装着とアルコールで消毒をしての参加です。専任教員だけでなく、非常勤の先生方も参加されていました。今日の講習会でおおよそどうすれば良いか、理解できたかな…という感じです。習熟して慣れるのに、かなり時間がかかりそうですが。まあ、仕方がありませんね。
■私は現在龍大でしか教えていませんが、非常勤の先生方には、たくさんの異なる大学で教えておられる方たちがいます。そのような先生方は、それぞれの大学でやり方が違うので、非常に大変なご苦労をされているのではないかと推察します。
■それから、学生自身が、manaba course とGoogle Hagouts Meetにどこまで習熟できるのか。友達が周りにいませんからね。特に、新入生の皆さんは大変だと思います。わかりやすい動画を作成して、学生向けに配信するとか、方策が必要になると思うのですが…。特に、スマホしか持っていない学生に対しては、配慮が必要だと思います。その心配を担当職員の方にはお願いとしてお伝えしておきました。教員にオンライン授業をしてもらう以上に大変だと思うのです。