滋賀県庁

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■今日は、県庁で「つながり再生モデル検討会」(琵琶湖環境部・琵琶湖政策課)の打合せがありました。いろいろ頑張らなくてはいけない仕事です。会議が終わったとき、窓に目をやると、滋賀県庁本館の裏側が見えました。理由はよくわかりませんが、ちょっと素敵だな…と思えたので、iPhoneのカメラで撮ってみました。

【追記】
■滋賀県庁に関する最初の記憶は、琵琶湖博物館の開設準備室職員の採用試験を受験したときだと思います。でも、記憶はすでにおぼろげです。大きな試験会場で、30人近く受験者がいたでしょうか。なんとか合格者4名のなかに入ることができましたが、ぼやっとした記憶です。

■最初ではないけれど、強烈に残っている記憶があります。滋賀県庁に入庁したさいのことです。入庁式は、この写真に写っているレトロな本館ではなく、隣接する新館の7階(だったと思う…)のホールで行われました。高校を卒業したての方たち、大卒・短大卒の方たち、そして私のように30歳を過ぎて入庁する人も含めてたくさんの人たちが、ホールに集まっていました。式が始まるまでにまだ時間があったので、ホールの窓からなにげなく本館の方をながめていました。

■たくさんの窓がならんでいました。その窓を背にして、白いカバーがかかった肘付きの椅子、そして大きな机がみえました。ほとんどの窓に、そのような椅子と机が見えました。あとでわかりますが、課長級以上のポジションの方たちの席です。その向こうには、島状に固められた机が並んでいます。係長級以下の方達の席です。ある窓の白いカバーの椅子では、若い職員の方に入れてもらったお茶を飲みながら「エラいさん」が新聞を読んでおられました。そして島状の机では、職員の方達が仕事に取りかかり始めておれました。

■この風景が見えたときに、頭に浮かんだのは、官僚制という概念でした。「この風景、まさに官僚制やな〜。これから、この組織で働くんか〜」と、多少憂鬱な気持ちで眺めたのでした。というのも、官僚制という概念から数珠繋ぎ的に連想するのは、どうしてもロバート・キング・マートン(Robert King Merton)の「官僚制の逆機能」という概念になるからです。滋賀県庁に入庁し、ここで働くことを誇りに思い、笑顔で入庁式にのぞんでいる若い職員の方達とは少し異なる複雑な気持ちだったのです。この時代の滋賀県知事は、稲葉稔さんでした。どんなスピーチをされたのか、まったく記憶していません。困ったものです。

■入庁式のあと、滋賀県庁の向かいにある滋賀会館のオフィスにもどりました(滋賀県教育委員会文化施設開設準備室)。その日かどうか忘れましたが、そのオフィスに、滋賀県琵琶湖研究所の研究員をされていた嘉田由紀子さんが、挨拶にやってこられました(1年後に、博物館の準備室に異動されます)。そのとき、その嘉田さんが、15年後に第51代滋賀県知事に就任されるとは、ご本人も含めて誰も想像できなかったはずです。こうやって昔のことを思い出すと、なにか感慨深いものがあります。

マザーレイクフォーラム 第4回「びわコミ会議」

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■滋賀県の琵琶湖総合保全計画「マザーレイク21計画」のなかには、「マザーレイクフォーラム」が設けられています。この「マザーレイクフォーラム」のなかの「びわコミ会議」には、一般の県民、NPOの関係者、事業者、農林漁業関係者、学識経験者、行政(県、市、町)関係者など、様々な立場の人びとが参加し、琵琶湖を守りたいという共通の「思い」と「課題」によってゆるやかに「つながり」を形成しながら、計画の進行管理を行っています。①琵琶湖流域の生態系の現状を確認し合い、②自らの暮らしと湖の関わりを振り返り、③今後の取り組みの方向性を話し合い、④相互のつながりを築きながら、それぞれの取り組みを、さらに強みをいかしたものへと高めていく「場」にしていくことが目指されています。詳しくは、以下の記事をお読みいただければと思いますが、昨日は、第4回の「びわコミ会議」が開催されました。愛知県や大阪府など、県外からの参加者も多数いらっしゃいました。これは、すごいこことですね〜。

マザーレイク21計画学術フォーラム
マザーレイクフォーラム・びわコミ会議(第3回)

■トップの写真は、午後からの第2部のときのものです。午前中に引き続き、午後からも、滋賀県民であれば知らない人はいないミュージシャン・タレント・プロデューサーの川本勇さんと、琵琶湖環境科学研究センターの研究員である佐藤祐一さんのお2人の進行で進められました。午後は、「びわ湖のこれから話さへん?」がおこなわれました。9つのテーマに参加者がわかれて話し合うものです。「簡単な自己紹介」、「テーマに撮っての話し合い」、「キーセンテンスにまとめる」(話し合いの内容を簡単な文章にする)の順番で進められました。

■私のグループのテーマは「教えて!あなたのまちのタカラモノ」でした。このテーマ設定については、参加している総合地球環境学研究所の研究プロジェクト「生物多様性が駆動する栄養循環と流域圏社会-生態系システムの健全性」の代表である京都大学研究センターの奥田昇さんたたちと相談をしてきめました。昨日の私は、このテーマ・グループのファシリテーター役でした。トップの写真は、9つのテーマの担当者がならんでテーマの趣旨を説明しているところです。オレンジ色のTシャツが奥田さんです。

■私たちのグループの人数は9人。話し合いをするには、ちょうどよい人数でした。大変盛り上がりました。「教えて!あなたのまちのタカラモノ」ということですので、それぞれがお住まいになっている、あるいは活動されている地域のタカラモノについて、自由にいろいろお話しいただいたのですが、途中から、こういうタカラモノをどうやってみつけていくのか…という話しになりました。そのさいのキーワードが、「五感」です。知識として自然環境を知るだけではなく、自然環境は「五感」で体感してこそ深い理解ができる…というこですね。ある参加者の方は、小学生の頃京都にお住まいでしたが、夏休みのキャンプで滋賀県にやってきて川に入り、鮎を手でつかんだときの手の感触が忘れられない、今でも大切な記憶として覚えているとおっしゃるのです。そのような「五感」で自然環境を感じとることを、ご自身のお子さんにも遊びのなかでさせているということでした。素敵なお話しです。

■私たちのグループには、中学1年生(男子)と高校3年生(女子)の参加もありました。今年の「びわコミ会議」には、たくさんの小中学生の皆さんが参加されていました。これはとても画期的なことだと思います。そのうちのお2人が、私たちのグループのテーマに関心をもってくれたというわけです(じつに、しっかりした受け答えをされる方たちで、これも驚きました)。お2人に共通しているのは、ご両親が、積極的にお子さんたちを小さいときから自然環境のなかに連れ出しておられるということでした。自然環境と楽しみながら関わっていくことを、知らず知らずのうちに、ご両親から「刷り込まれている」のです。ご両親がまず楽しまれていることが重要です。親が楽しんでいることを、そばで子どもが感じ取る。大切だなと思います。もっとも、自分自身は環境をテーマに仕事をしていますが、自分の子どもたちには、そういうことをあまりしてやれなかったな〜…と反省したりもしました。ということで、私たちのグループのキーセンテンスは、以下のものになりました。

五感て発見!
世代で発見!
親・子の「環境循環」

■最後の「環境循環」には少し説明がいりますね。親に「五感」で自然環境を感じ取ることを教えてもらってきた(刷り込まれた)子どもは、自分が親になり、そして子どもができたとき、再び、自分の子どもに「五感」で自然環境を感じ取るような子育てをしていくのだ!!…ということですね。そういう循環(世代を超えた連鎖)が生まれるといいな〜という思いを表現しています。話し合いのあとは、前・滋賀県知事である嘉田由紀子さんも参加されて、和気あいあいとした雰囲気のなかで、9つのグループのキーセンテンスを発表し合い、会場の参加者からの意見もふまえて全体で「びわ湖との約束」という形にまとめました。なかなか充実した「びわコミ会議」になりました。

【追記】
■昨日、「びわコミ会議」に参加されたある方が、facebookでメッセージを送ってくださいました。残念ながら、お話しをしている時間もなかったのですが、そのメッセージにはこう書いてありました。「昨日の午前中、琵琶湖がきれいになってもみんなが笑顔にならないなら意味が無い、という趣旨のことを言いましたが、そういう意味も含めた(指標の総合的な)評価が大切だと思っています」。とても大切なことを書かれていますね。「みんなが笑顔にならないなら意味が無い」という部分。耐え難きを耐え、忍び難きを忍び、そうやって頑張って琵琶湖を守っていく…というのとは、違うんですね。琵琶湖と人びとの関係、琵琶湖をめぐる人びとの関係、この2つの関係が交叉するところに、持続可能な社会の「幸せ」があるのだと思うのです。そして、交叉する地点ごとの「幸せの物差し」をみつけることができないといけないと思うのです。

「おおつ未来まちづくり学生会議」と、家棟川流域の再生

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■7月5日(木)、午前中、10時半から大津市の中心市街地にある町家キャンパス「龍龍」で、学生の指導を行いました。その学生には大変申し訳なかったのですが、ここでしか時間が取れませんでした。そして、11時からは市役所の政策調整部・企画調整課と「おおつ未来まちづくり学生会議」の打ち合わせを行いました。

■大津市では、行政施策の基本となる「総合計画」を定めています。「総合計画」とは、地方自治体が策定する行政運営の基本となる総合的な計画のことです。大津市に限らず、すべての自治体は総合計画を策定することを法律により義務づけられています。大津市の現行の計画は平成28年度までとなっており、現在、29年度にスタートする新計画の策定に向けて研究等を市役所で行っておられます。そのさい、新しい計画づくりでは、いかに若い世代の意見を受け止めるのかが、ひとつの大切な課題となっています。そこで、大津市の政策調整部企画調整課では、龍谷大学瀬田キャンパスの学生の皆さんに学生委員に就任していただき、「おおつ未来まぢつくり学生会議」を開催することにしました。

■7月から11月にかけてグループワークを市職員の方たちと行い、最終成果をまとめていきます。成果は、市役所職員の皆さんの前で報告されることになります。また、今回のこの「おおつ未来まちづくり学生委員」による取り組みについては、環びわ湖大学・地域コンソーシアムの大学地域連携課題解決支援事業にもエントリーしています。最終成果は、コンソーシアムの「環びわ湖大学・地域交流フェスタ」で「学生委員」の皆さんよって報告されることにもなっています。おもしろい展開になることを期待。龍大の瀬田キャンバスの学生たちが、次期総合計画策定のために、学生の立場から貢献してほしい。また、学生だけでなく、事務職員の皆さんにも、社会学部を超えて、瀬田キャンパス単位で応援していただけている。ありがたいことです。

■午後からは、滋賀県庁琵琶湖環境部・琵琶湖政策課の「つながり再生モデル検討会」の仕事で、野洲市に移動しました。家棟川流域の環境再生に長年にわたって取り組んでこられた地元の皆さん、野洲市役所の皆さん、県の土木や環境部政策の担当者の皆さんと協議を行いました。ここでは具体的には書けないのですが、かなり突っ込んだ厳しい議論をすることになりました。しかし、これはとても素晴らしいことです。様々な関係者と厳しい議論をしつつも、しかし、全員で前進していけるような感触を得ることができたからです。迫力がありました…。こういう「環境再生型地域づくり」のコミュニケーションの過程から素晴らしい発想が生まれてくるように思うのです。

■この日の翌日、8日(金)からは、フィリピンに出張しました。総合地球環境学研究所の研究プロジェクトの出張です。それについては、別のエントリーでレポートします。

【追記】■トップの2枚の写真は、野洲市を訪問したときのものです。

魚の賑わい

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■土曜日は野洲市で開催された「魚のゆりかご水田プロジェクト」を見学、日曜日は岐阜県の中津川市で「地域づくり型生涯学習の交流会」、そして昨日は、学生指導と授業の合間をぬって、草津市の湖岸に位置する内湖のある集落にでかけました。県庁琵琶湖環境部環境政策課の「つながり再生モデル検討会」の現場での打合せです。この日は、魚の賑わいを取り戻すために、琵琶湖と内湖をつなぐ水路にある水門に魚道をつくる相談をしました。参加したのは、集落の自治会関係者の皆さん、琵琶湖政策室と土木部の職員さん、そして委員会のメンバーで魚道の専門家である浜野龍夫さん(徳島大学)と委員長の私でした。

■いろんな立場からの意見をお互いに聞きあい、調整しなあいがら、そこから課題解決の可能性を見出していくことって、とても重要なことだと思います。今回は、内湖のことになりますが、内湖だけでなく、内湖の接合している小河川や集落内の水路にまで視野を広げていくことも必要でしょう。そして、内発的に解決策が「醸される」ようになることが重要かなと思います。「醸す」とは、麹に水を加えて発酵させて酒や醤油などを醸造することをいいますが、議論というかコミュニケーションを行うばあいでも、お互いの主張に耳を傾け学びあい、知恵を出していくと、相互作用のなかで発酵してくるってことがあるんですよね。そして、そういう「場」を、意図的につくっていくことも大切なんじゃないかと思うんですよね〜。

■少し固い言い方をすれば、地域環境に対する「状況の定義の多様性」を保持することが、時間はかかりますが、結果として地域環境の「レジリエンス」を強めていくことにつながると思うのです。何らかの権力作用の磁場のなかで、特定の「状況の定義」に収斂していくことは、その逆、すなわち「レジリエンス」を弱めていくことになると思うのです。

■ところで、この写真をご覧になってどうお思いになったでしょう。じつは、内湖に入る入り口のあたりには、たくさんの在来魚が泳いでいました。地元の人のお話しでは、ハスではないかとのことでした。肉眼では泳いでいるのが確認できたのですが、写真では無理でした。

野洲市のゆりかご水田

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■「魚のゆりかご水田プロジェクト」ってご存知ですか?ご存知ないばあいは、まずは以下の、滋賀県庁農林水産部・農村振興課の「魚のゆりかご水田プロジェクト~湖魚が産卵・成育できる水田環境を取り戻そう!~」というページをお読みいただければと思いますが、概要だけ、以下に引用しておきます。

こんな光景が今、復活しようとしています。
農家、地域、そして何より生きものにとって大切な「魚のゆりかご水田」。
人や生きものが安心して暮らせる田んぼの環境を取り戻すプロジェクトです。
戦後の農地整備は生産性に重点を絞った整備方針を推し進めたため、田んぼから魚や水生昆虫といった生物が閉め出されてしまいました。 そのため、メダカのように身近な生きものであった種ですら希少種となり、地域特産物であったニゴロブナなどが減少してしまいました。
そこで近年、環境配慮型の農地づくりが注目され、これまで注目されてこなかった環境・生きもの・景観といったものを取り戻そうという動きが広まっています。
「魚のゆりかご水田」とは、田んぼや排水路を魚が行き来できるようにし、かつての命溢れる田園環境を再生し、生きものと人が共生できる農業・農村の創造を目指しています。

■滋賀県には日本一大きな湖である琵琶湖があります。琵琶湖は約400万年前に現在の三重県伊賀上野市あたりに誕生し、その後大地の運動とともに、約40万年前に現在の位置に移動してきました。当時の様子を想像してください。まだ、人間は住んでいません。梅雨時に雨がふり琵琶湖の水位が上昇すると、陸地であったところも水没してしまっていたはずです。現在、琵琶湖では、瀬田川にある瀬田川洗堰(せたがわあらいぜき)や、琵琶湖に流入する河川の水量を人工的に調整されていますので、水没するということはありません。かつては、「陸の世界」と「水の世界」のあいだに、両者の「グラデーションのような世界」が存在していたのです。たとえば、琵琶湖の周囲にある水田です。かつては魚が水田の水路を遡上し、水田のなかに産卵していました(魚にとって、人間が住み始める前の草原の湿地と水田に違いはありませんから・・・)。特に、大雨が降ったあと、かつては魚が水田のなかを背びれをたてて泳いでいたという話しを、あちこちで聞くことができます。ところが、上記の「魚のゆりかご水田プロジェクト」の概要にあるように、水田を土木工事(圃場整備、土地改良等)によって整備してからは、魚が水田に遡上できなくなりました。というのも、水田の水がぬけやすいよう(転作しやすいように)に排水路を深くしたため、水田の水面と排水路の水面のおあいだに大きな落差が生まれてしまったらかです。

■「魚のゆりかご水田プロジェクト」では、水面と水田のあいだを「魚道」でつなぎ、魚が水田に遡上できるようにします。魚が復活することで、以下のような良い点があげられています。滋賀県の近江商人で有名な「三方によし」(売り手よし、買い手よし、世間よし)をもじって「五方によし」といっています。(1)生き物によし、(2)地域によし、(3)子どもによし、(4)琵琶湖によし、(5)農家によし・・・です。以下は、その「五方によし」を解説した図です。「魚のゆりかご水田プロジェクト」のページの中から引用させていただきました
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■ということで、ここからが本題。21日(土)、総合地球環境学研究所のプロジェクト「生物多様性が駆動する栄養循環と流域圏社会─生態システムの健全性」の関係で、プロジェクトリーダーの奥田昇さん(京都大学生態学研究センター)と一緒に、滋賀県野洲市須原と安治(あわじ)の2集落で実施された生き物観察会を見学させていただきました。須原は、全国的にも有名なので、ネットで検索していただければ様々な情報を知ることができます。地域外、県外からもたくさんの方たちが参加されています。また、マスコミの取材も行われていました。ということで、このエントリーではお隣の集落である安治の生き物観察会の様子をご紹介したいと思います。

■安治(あわじ)の生き物観察会は、須原とは違って、村人による村人のための観察会のように感じました。観察会のお手伝いをしているのは、「ぼてじゃこの会」の専門家の皆さんですが、あとはすべて村人ばかりです。この地域でもお子さんの数が減っているそうですが、それでも、保育園の園児さんや小学生の皆さん、そして保護者の皆さん、さらにはおじいちゃん・おばあちゃんたちが多数参加されていました。農家の方にうかがいましたが、上記の「五方によし」のうち、最後の「農家によし」を強く意識されていました。付加価値のついた米として農協に買ってもらえるという経済的理由が、「魚のゆりかご水田プロジェクト」に取り組む大きな動機だとのことです。しかし、それと同時に、「地域によし」や「子どもによし」という副次的な効果があることも認めておられました。「昔は結婚するにしても、近くの人が嫁に来ていたが、最近は遠方から嫁いでくる。自分がどういう地域に暮らしているのかも、よく知らない。そういう意味で、子供会のお母さんたちに参加してもらうことは意味がある」ということもおっしゃっていました。このあたり、プロジェクトを始める農村の側の論理は微妙に複雑です。「五方によし」だけで整理できないものがあります。そのあたりのことも、きちんとお話しをうかがわせていただかねばと思っています。

■この日の安治の生き物観察会で印象深かったのは、おばあちゃんと呼ばれる高齢の女性の方たちが多数参加されていたことです。おばあちゃんが、タモ網をもって一生懸命魚を採っておられました。孫のために・・・というよりも、ご自身の好奇心や関心にもとづいて熱心に採っておられるのです。生き物観察会のあとは、「ぼてじゃこの会」の皆さんの撤収作業をお手伝いさせていただきました。また、こちらの活動に参加させていただければと思っています。

レイカディア大学・草津校

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■滋賀県には、レイカディア大学というシニア対象の生涯学習の施設があります。このレイカディア大学の事務局の方から、「シニアの皆さんに、龍谷大学の社会学部で学生さんたちが取り組んでいる『大津エンパワねっと』のことについて、ぜひ話しをしてほしい」というご依頼があり、一昨日の3日は米原校で、昨日の5日は草津校で講演をしてきました。レイカディア大学は、60歳以上の方たちが2年間にわたって様々なことを学びます。卒業後は、地域の担い手になることが期待されています。レイカディア大学の事務局としては、シニアの学生の皆さんたちに、龍大社会学部の学生たちが地域住民の皆さんと一緒に取り組む「大津エンパワねっと」の実践を、なんらかの意味で参考にしてほしい…とお考えなのでしょう。

■レイカディア大学にいって驚いたことは、皆さんものすごくお元気だということです。昼休みや休憩時間、あちこちで皆さんおしゃべりや打ち合せをされています。そのエネルギーに驚きました。今年の2月には、神戸のシルバーカレッジにもいきましたが、神戸のシニアの皆さんもすごくお元気でした。お元気な人がここにいらっしゃるのか、それともここに来るからお元気なのか…その両方でしょうか。

■レイカディア大学は2年制です。再入学は認められません。卒業後は、地域社会の担い手として活躍していただくことが期待されています。実際、地域の自治会で活躍されたり、サロン活動を始めたりされる方がいらっしゃるとのことです。すばらしいですね〜。全国どこにいってもそうだと思いますが、中心になって地域を守っておられるのは前期高齢者の皆さんかと思います。はたして、前期高齢者という呼び方でよいのかどうか、そのあたりも気になります。超高齢社会の到来にあわせた社会制度設計が必要になるわけですが、そのような用語のことにつても考えないといけないのかもしれません。

■講演は、50分が2コマでした。大学の人間は90分1コマで慣れているので、なかなか時間配分は難しいのですが、1コマ目は、これからの時代に期待される地域のリーダーとはどういう人たちなのか、関係づくり・場づくり…の話し。2コマ目は、「大津エンパワねっと」の仕組みと学生たちの活動の内容やポイントについてご紹介しました。授業の最後には、学生の代表の方が中央に立たれてお礼の挨拶をされました。全員が起立されて…ですから、ちょっとびっくりしました。こちらこそ、「ありがとうございます」ですね。

■で、写真をご覧いただくと、皆さん笑っておられますね。なぜか。代表の方が挨拶をされようとしているとき、慌ててiPhone5をとりにいきお願いしてこのシーンを撮らせていただいたからです。失礼しました。代表の方は「若さをいただきました」とおっしゃったように思いますが、むしろ逆に、私のほうが元気なシニアの皆さんから「若さをいただいた」気持ちです。それだけでなく、こんなにイキイキとした方たちが、このレイカディア大学を卒業したあと、地域社会で仲間と楽しみながら様々な活動していただけることに、「希望もいただいた」気持ちになりました。

滋賀生物多様性地域戦略策定に係る専門家会議

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■昨日は、午後から、ピアザ近江の会議室で、「滋賀生物多様性地域戦略策定に係る専門家会議」が開催されました。第3回です。以前のエントリーにも書きましたが、国が定める「生物多様性国家戦略2012-2020」のもとで、滋賀県の戦略をどうしていくのか…について考える会議です。生物多様性の維持には、多様かつ適切な人びとの自然環境への働きかけが必要になります。そんなわけで、私のような環境社会学者も呼ばれているのです。

■さて、年度末ということもあり、全員の委員が揃うことはなかなか難しいようです。今回は、初めてお目にかかる方達が2人おられました。お1人は、千葉県立中央博物館副館長の中村俊彦さん。もう1人は、兵庫県立人と自然の博物館・研究員の橋本佳延さんです。お2人とも、生物多様性や生物多様性地域戦略に関する専門家なので、会議でのご発言からは学ぶことがたくさんあります。私自身は、生物多様性そのものの専門家ではありませんが、地域戦略を策定していくうえで「環境ガバナンス」をどう組み替えていくのか、生物多様性を地域の文脈ではどのように「翻訳」すればよいのかという観点から、議論をさせていただきました。会議終了後も、中村さんや橋本さんと一緒に「一杯呑み」しながら、耳学問をさせていただきました。

■中村さんも橋本さん、生態学の研究者ですが、特に橋本さんの取り組まれていること、とても政策科学的なことなので驚きました。私の業界⁈の人たちは、どちらかといえぱ「業界の枠」に閉じこもって、その中から発言している人が多いのですが、私は単なる批判を超えて、もっと前向きに取り組みたいと思っています。ちょうど、流域再生と生物多様性に関連する分野横断的・文理融合的なプロジェクトに参加しているので、いろいろ教えていただこうとも思っています。

■次回は、ぜひ大津でゆっくりしていっていただきたいものです。私にとっての応接室でもある「利やん」にお連れします。

【追記】■関連リンク。以下は、環境省のページですが、子どもから大人まで、いろんな方々が「生物多様性」を理解できるように工夫されています。自分たちの暮らしや地域の文脈のなかに位置づけて「自分たちのこと」ととして理解できるようになることが大切です。

生物多様性(環境省)
生物多様性国家戦略(環境省)

「取り戻せ!つながり再生モデル構築事業」について

■滋賀県には、「マザーレイク21」という琵琶湖の総合保全計画があります。私は、この第2期計画(2011年~2020年)の策定に関わってきました。現在も、「マザーレイク21計画学術フォーラム委員」として、また県民参加のフォーラムである「びわコミ会議」等に参加しながら、「マザーレイク21」計画の進捗に強い関心をもっています。

■「マザーレイク21」第2期計画等では、「琵琶湖と川や内湖とのつながり」、「生態系保全の重要性」、「つながり再生や生態系保全にむけた行動の必要性」が強調されています。そのような認識のもと、新たに「つながり再生モデル構築事業」が実施されることになりました。この事業は、公募によるモデル地域を選定、選定地域におけるつながり再生にむけた取組の検討への支援、ガイドブックの作成の実施などを目的としています。個人的には、特に、身近なな水環境のもつ価値の発見、課題の共有を行うための「場」づくりを大切にしている点が注目しています。

■昨日は、このモデル地域の選定にあたり、いわゆる有識者から意見を聴取することを目的とした「つながり再生モデル検討会」が開催され、私も委員の1人として参加してきました。昨日は、第1回目でしたが、他の委員の皆さんと活発な議論をすることができました。しかも、フランクに、楽しく、議論できたのです。私自身、いろいろ勉強にもなりました。

■このモデル構築事業では、2014・15年度にかけて、それぞれのモデル地域では、身近な水環境に関する情報の収集・整理、身近な水環境の持つ価値の再発見と課題の共有、身近な水緩急にんけるつながり再生に向けた具体的な手法の検討、つながり策定にむけたプラン策定が行われます。そして、2016年度以降は、そのプランにもとづいて具体的なつなぐり再生にむけての取組が実施される予定になっています。私たち検討会の委員も、今後、それぞれのモデル地域の皆さんと議論をしながら、取組の実施に向けてお手伝いができればと思っています。地域の皆さんや行政の皆さんと一緒に汗をかき、つながり再生の喜びを共有できるようになればと思っています。会議室のなかで意見を述べるだけの有識者…という役割は、地域社会のなかではもはや終わりつつあると思います。この事業の進捗が楽しみです。

平成 25 年度 取り戻せ!つながり再生モデル構築事業 モデル地域公募要領

「取り戻せ!つながり再生モデル構築事業」

20131224yamaki.jpg■今日の午前中、滋賀県庁琵琶湖環境部琵琶湖政策課を訪れました。流域と地域とのつながりを再生するための「取り戻せ!つながり再生モデル構築事業」に関して打ち合わせをするためです。県庁の職員の方が、研究室に伺うとおっしゃっていましたが、通勤の途中、大津駅で降りれば県庁はすぐそこですから、私のほうから訪問させていただくことにしました。

■こういうモデル事業というと、大きな予算をかけた事業のように思われるかもしれませんがそうではありません。簡単にいえば、「身近な水環境のつながり再生に向けて、県も含め地域の関係者が立場を超えて一緒になって話合い、プラン作りを通じてつながりの再生を実現する」ためのモデル事業です(最大3地域を公募することになっており、すでに募集は終了しています)。モデル地域に選定されると、次の3つに関して支援が行われます。また、モデル地域の成果をもとに、県内の他の地域のつながり再生にも取り組んでいく予定になっています。

(1)話合いの「場」の立ち上げおよび運営
(2)「場」におけるプラン策定のための検討
(3)「場」の運営に係る経費の一部負担。

■詳しくは、以下のリンクをご覧いただければと思います。
知事定例記者会見(2013年11月12日)
平成 25 年度 取り戻せ!つながり再生モデル構築事業 モデル地域公募要領

■担当者の方たちとは、「盛り上がり」のある打ち合わせができました。キーワード的にいえば、地域環境ガバナンス、地域と行政の連携のあり方、地域を支援する行政組織のあり方…。なかなか面白い話しができて、気持ち的には盛り上がりました。自分の個人研究や、研究プロジェクトとも深く関わっている内容ですので、これからどう展開していくのか大変楽しみにしています。写真ですが、特にモデル事業とは関係ありません(あたりまえですね)。打合せのあと、大津駅前の蕎麦屋さん「やま喜」で昼食を摂ったときのものです。ミニ天丼にミニ月見蕎麦。

マザーレイクフォーラム・びわコミ会議(第3回)

20130807motherlake21.jpg ■今日は午前中大学にいってちょっとした用事をすませて、昼からは滋賀県庁にいきました。琵琶湖環境部琵琶湖政策課が所管している「マザーレイク21計画」(琵琶湖総合保全整備計画)の第2期に関連する「第2回マザーレイク21計画学術フォーラム」が開催されたからです。

■国の6つの省庁(当時の国土庁・環境庁・厚生省・農林水産省・林野庁・建設省)が1997年度から2カ年にわたり共同で実施した「琵琶湖の総合的な保全のための計画調査」をふまえて、滋賀県では、琵琶湖を健全な姿で次世代に引き継ぐための指針として、2000年3月に、琵琶湖総合保全整備計画(マザーレイク21計画)を策定しました。1999年度から2010年度までが第1期になります。私は、国土交通省の琵琶湖総合保全計画検討調査委員や、滋賀県の琵琶湖総合保全学術委員会委員としてこの「マザーレイク21計画」の第2期、2011年度から2020年度までの計画策定にかかわってきました。

■今日、開催された「マザーレイク21計画学術フォーラム」は、この「マザーレイク21計画」(2期)の進行管理(PDCAサイクル)の中で、施策の評価を、学術的な見地から琵琶湖と流域の状況について指標などを用いて整理・解析する役割を担っています。今日は、半年前に開催された第1回での議論や注目を、事務局が積極的に受け止めて、新しい方向性が示されました。もちろん、今日は基本的な方向性であり、この先、まだまだ難関が続々と続くわけですが、こういうのは気持ちがよいですね。困難なのはわかっているけれど、未来に「希望」がみてくるから。仕事は、こうでななくてはいけません。仕事は、前向きでないといけません。

20130807biwakomi.jpg ■ところで、この「マザーレイク21計画学術フォーラム」とも関係しますが、市民参加による施策の評価を行う会議も開催されます。8月31日に「コラポしが21」で開催される、「第3回マザーレイクフォーラム びわコミ会議」です。詳しくは、以下をご覧ください。

マザーレイクフォーラム・びわコミ会議(第3回)

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