1号館前のハス

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20230704hasu2.jpeg■以前にも投稿しましたが、瀬田キャンパス1号館前の噴水の周囲ではハスが栽培されています。とうとう、花が咲きました。ただ、開花は早朝なので、残念ながら写真を撮ったときは花は閉じかけていますね(11時前)。このハスの栽培、学生さんたちが取り組んでおられます。龍谷大学は仏教系の大学ですし、ハスは仏教と深い縁がある植物です。おそらく、このプロジェクトの背景には、このようなことがあるのかなと推察しています。

『仏像がハスの花の上に座っている理由とは?』という新書があることを知りました。こちらの新書の書評では、次のように解説されています。

お寺の庭の池で目にすることも多い「ハス」。蓮華座と呼ばれるハスの花の台座に座ったり、ハスの花を挿した水差しを持つ仏像もあるように、古くから極楽浄土に咲くにふさわしい神聖な存在とされてきたハス。地の底の汚れた不浄の泥の中から茎を伸ばし、清浄な花を咲かせるハスの姿は、「善と悪、清浄と不浄が混在する人間社会の中に、悟りの道を求める菩薩道」にたとえられたといいます。

20230704hasu3.png ■少し不思議なのは、美しいハスの花を咲かせているのは泥の中にある根っこ(蓮根)です。泥の中の栄養を吸収して美しい花を咲かせているのであって、泥がないとハスも美しい花を咲かせることができません。たぶん。社会学者なので専門家に聞かないわかりませんが。そのあたりのことは、この本ではどう説明してあるのかなと気になります。また、仏教的にもそのことをどう説明されてきたのかも、気になりますね。

【追記】■関連する投稿です。
瀬田キャンパスのハス、台風と休講のこと。

組曲「ホルベアの時代より」

20230613grieg.jpg■先日のことになりますが、帰宅するとamazonから小さな荷物届いていました。ノルウェーの作曲家、エドヴァルド・グリーグが作曲した組曲「ホルベアの時代より」、弦楽合奏のための組曲のスコアでした。この作品、最近のマイブームなんです。よく通勤時に聞いています。よく聞くものですから、この作品のもっと細かなことまで知りたいと思い、スコアをamazonに注文したのです。どのような作品なのか。言葉では表現できないので、よろしければこのYouTubeをご覧いただければと思います

■ここで少し話は変わります。学生時代に所属していた関西学院交響楽団の先輩と後輩の皆さんのうち、東京に暮らしておられて、なおかつピアノが好きな方達が集まってピアノの練習発表会?!を開催されています。その発表会には、お世話になった先輩(とはいえ、私が浪人しているので同い年の女性)が参加されています。先日、この発表会に参加されている1人の後輩の方の投稿を拝見すると、その先輩がピアノでこの「ホルベアの時代より」の「前奏曲」を演奏されたことがわかりました。私は、よく知らなかったのですが、作曲家グリーグは、弦楽合奏の前に、まずはピアノの独奏のためにこの作品を作曲していたようです。先輩は、そのそもそもの作品を演奏されたのです。そのことを先輩ご自身から教えていただきました。こちにのYouTubeをご覧ください。もし、お時間があれば弦楽合奏とお聴き比べください

発熱

20230511fado.jpg■2020年度のコロナ感染拡大以来、風邪をひくことがなくなりました。新型コロナに感染しないように、きちんとマスクをしていましたし、丁寧に手洗い等も実践してきたので、結果として、風邪を引くこともなかったのかなと思います。発熱することも全くありませんでした。これ、あくまで素人の考えなんですが。ところがです。一昨日から発熱してしまいました。といっても、37.5℃程度なので、微熱ですね。「なんや、たいしたことないやん」と言われそうですね。ただ、私自身は、発熱に強くなく、この程度ででもしんどくてぐたっときてしまいます。滅多にないことなのですが、38℃レベルまで熱が上がると生きている心地がしません。

■今日はようやく発熱もおさまり、シャキッと起床できました。義理の両親のお世話の関係で、我が家は昨日から私一人なのですが、今朝は、一番にシャワーを浴びて、ゴミ出しをして、庭に水を撒き、弁当を作って、朝食を食べて、風邪薬と持病の薬を飲んで出勤しました。このことをfacebookに投稿したところ、さっそくコメントをいただきました。「年を取ると、発熱するエネルギーも減少するようで、結構しんどくてもあまり熱は上がらない気がします」、「睡眠にもエネルギーがいるので、若い頃のように「いくらでも寝られる!」ではなくなるのでは!?」。

こちらのインターネットの解説を拝見すると、同じような指摘をされています。

発熱は、細菌やウイルスに対する免疫反応の一つです。若い人では、これらの感染症の重症度に比例して高い熱が出るのが一般的です。しかし、高齢者では免疫反応が低下していることが多く、それほど熱が高くなくても、感染症が進んでいる場合があることが理由の一つと考えられます。高齢者で熱が出た場合は、かぜなどの呼吸器感染症でも肺炎に進行していたり、高熱を発する腎盂腎炎などの尿路感染症だったりすることがよくあるのです。
こうした病気を早く発見するには、ふだんから体温に注意を払っていることが大切です。少し高いだけの場合も油断せず、家族が顔色や食欲、その他の症状などにも目を向けて、病気のサインを見逃さないようにしましょう。

20230511patorimoines.jpg ■なるほど…。先日、前期高齢者になったばかりですが、今回の発熱のことも簡単に考えないようにしないといけませんね。もし、微熱でも継続するようであれば、ちょっと考えないといけないかな…と思いました。とはいえ、薬のせいかもしれませんが、熱が下がり、しかも気持ちも良くなって通勤しました。気持ちよくなって…というのも薬のせいですね。

■今日の出勤のお供はファドでした。ファドとは、ポルトガルに生まれた民族歌謡のことです。ポルトガル語についてはわからないのですが、まあそんな気分になったのです。ポルトガルにも、また行くことができたらいいなと思います。ポルトガルに行ったのは1999年10月のことです。今から24年前のことです。行った年は分かりましたが、月まで記憶していませんでした。ポルトガルに行ったのとは科研費による調査でした。その科研費による調査研究の成果は、『文化遺産の社会学 ルーヴル美術館から原爆ドームまで』(荻野昌弘編,新曜社)にまとめられています。この本の中に調査に行った時の記録も残っていました。残念ながら、もう出版されていません。amazonでは古書として入手可能です。最初から値段の高い本でしたが、今はびっくりするような値段になっています。おそらくですが、今でも、買い求めて読んでくださる人がおられるのでしょうね。

ジャーマンアイリス

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20230511mygarden2.jpg■狭い狭い敷地にある我が家、本当に猫の額ほどの庭しかないのですが、一応、裏庭があります。裏庭は、日があまり当たりませんが、それでも育つものを植えてあります。ハラン、シャガ、ジャーマンアイリスです。

■ハランの葉は、ずいぶん昔のことになりますが、寿司の折箱などにギザギザにカットするなどの細工などして飾りとして入れてあったように記憶しています。今はもうプラスチックのものを使っていますが、私が子どもの頃は、まだこのハランの葉を使っていました(肉は、竹の皮でしたし…)。我が家では、正月のお節料理を入れる重箱の飾りで使いますね。

■シャガは、開花のシーズンが終わりました。これから楽しみなのは、ジャーマンアイリスです。数個、開花しました。結果として世話が良かったのかなあとは思いますが、例年と比較してたくさんの蕾が膨らんでいます。まあ、世話とはいっても、枯れた葉を丁寧に取り除き、肥料を適度にちょっとやった程度なんですが。しかも、ジャーマンアイリスは、基本的に「放任」していても、機嫌よく花を咲かせるらしいのです。これからの開花が楽しみです。

■庭の世話との関連で図書をご紹介します。どなたからの情報だったかな…。こんな本を入手しました。雑草と十把一絡げで捉えてしまうのではなく、ひとつひとつの個性を見極めると、付き合い方がわかってくる…そんな感じの本です。130種の情報が掲載されています。そのうち「超難敵!生命力抜群の面々」と解説されているものが50種もあります。ガーン😨。ドクダミもそのうちの一種類。注意しないと大変なことになりそうです。

「ありがとう 60th ぐりとぐら」特別サイト(福音館書店)

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■自分が子どもの頃の気持ちを思い出します。私は子どもの頃から山脇百合子さんの絵がとっても好きでした。『ぐりとぐら』が世の中に出たのは、1963年です。自分の人生でいえば、まだ5歳の幼稚園児の頃です。今私は65歳です。『ぐりとぐら』が出版されてから60周年ということになります。ということで、福音館書店さんの方で、「ありがとう 60th ぐりとぐら」という特別サイトを開設されました。孫が2人いるおじいさんですが、こういう特別サイトが開設されたことをとても喜んでいます。facebookの自分の投稿について調べてみると、誕生50周年記念「ぐりとぐら展」等についてもシェアしていました。

■ただ、少し調べてみて分かったのですが、「ぐりとぐら」の絵を担当された山脇百合子さんは、2022年にご病気でお亡くなりになっていました。享年80歳。年齢からすると私とは16歳しか違いません。もっと年上の方と思っていました。『ぐりとぐら』が世に出た時は、私は5歳で、山脇さんは21歳でした。お若くしてデビューされたのですね。知りませんでした。

■このブログをお読みいただいている皆さんの中にも、幼い頃に「ぐりとぐら」を読んでいたとか、またご自身のお子さんのために読み聞かせをした経験があるという方もいらっしゃるかと思います。ぜひ、「ぐりとぐら」がお手元になくても、地域の図書館等で手に取ってご覧いただければと思います。きっと心に中が暖かい優しい気持ちでいっぱいになると思います。

『環境社会学事典』(環境社会学会[編]、丸善出版)

20230418encyclopedia.jpg■注文していた『環境社会学事典』(環境社会学会[編]、丸善出版)が手元に届きました。学会設立30周年の記念事業として、環境社会学会の総力を結集して取り組まれたものです。立派な時点ができあがったなあと思います。一項目につき見開き2ページ。コンパクトに説明がなされており、基本的な、また重要な文献がきちんとわかるようになっています。ご苦労様でした。事典ではありますが、専門分野の異なる方達や、大学院生の皆さんの研究ガイドとして活用できるのではないかと思っています。

■私も執筆に参加させてもらっているので、著者割引で少し安くなりました。社会学を専門にしている人でも、普通は購入しない事典かもしれません。とはいえ、この事典は、社会学を専門とせずとも、環境問題を研究される方であれば、購入する価値のある事典ではないかと思っています。ただし、環境社会学を専門とする人たちであれば、この事典のひとつひとつの解説の背後にある、メタ理論までも含めて読み取らなければ意味がないのかなとも思います。ページの間の火花のようなものを感じ取る必要があるでしょう。

■ところで、この事典の装丁を拝見して、「あれ…これどこかで見たことがあるような」と思いました。法政大学の堀川三郎さんのwebサイトとなんとなくデザインが似ていたからです。私の勘は当たっていました。カバーの裏を拝見すると、「装丁:堀川三郎+精文堂印刷・デザイン室」となっていました。

シリーズ環境社会学講座第1巻『なぜ公害は続くのか」(新泉社)

20230411kogai.jpg ■時々、献本ということで本いただきます。やはり環境社会学関係が多いです。今回は、シリーズ環境社会学講座第1巻の『なぜ公害は続くのか 潜在・散財・長期化する被害』(新泉社 )を編者から送っていただきました。ありがとうございました。この第1巻から、シリーズ環境社会学講座全6巻の刊行が始まりました。私も、第6巻「複雑な問題をどう解決すればよいのか」でひとつの章を執筆いたしました。

この第1巻の内容をご紹介しておきましょう

公害は「過去」のものではない。
問題を引き起こす構造は社会に根深く横たわり、差別と無関心が被害を見えなくしている。
公害の歴史と経験に学び、被害の声に耳を澄まし、犠牲の偏在が進む現代の課題を考える。
公害を生み続ける社会をどう変えていくか——。
〈公害の歴史が教えるのは、見えていたはずのものが不可視化されていく過程である。その背後には、環境侵害の影響を背負わされるのが社会的に弱い立場の人びとに偏るという、公害の最初期から続く社会構造もある。
公害の「解決」を強調する動きが、実は公害発生の経緯を引きずるものであり、現在の環境問題にも影響を与えているのであれば、不可視化の仕組みに注意し、それに対抗する方法を考える必要がある。——編者〉

【目次から主な内容】
序章 不可視化される被害と加害……藤川 賢・友澤悠季
I 公害とは何か
第1章 足尾銅山鉱煙毒事件にみる公害の原型……友澤悠季
第2章 新潟水俣病にみる公害被害の現在……関 礼子
第3章 日米の産業廃棄物問題と草の根環境運動……藤川 賢
コラムA 複合公害としてのアスベスト問題……堀畑まなみ
II 環境的不公正の潜在と拡大
第4章 なぜカネミ油症被害者は被害を訴え続けなければならないのか……宇田和子
第5章 熱帯材と日本人——足下に熱帯雨林を踏み続けて……金沢謙太郎
第6章 マーシャル諸島発「核の正義」を求めて……竹峰誠一郎
第7章 環境正義運動は何を問いかけ、何を変えてきたのか……原口弥生
コラムB 環境過敏症という名の「公害」……堀田恭子
III 公害は終わっていない
第8章 NIMBYと「公共性」……土屋雄一郎
第9章 水俣病にとっての六五歳問題——「先天性(胎児性)という問い」から……野澤淳史
第10章 「記憶」の時代における公害経験継承と歴史実践……清水万由子
第11章 環境リスク社会における公正と連携への道……寺田良一
コラムC 公害地域再生が目指すもの……林 美帆
終章 不可視化に抗うために……藤川 賢・友澤悠季

『宇宙の音楽」(山本誠志)と「宇宙の音楽」(フィリップ・)

20230323music_of_the_spheres.jpg■漫画雑誌「少年マガジン」に連載されている高校吹奏楽部を舞台とした漫画です。作者は山本誠志さん。もちろん、私はこの方を存じ上げません。吹奏楽の世界については「つまみ食い」程度しかわからないし、ましてや漫画の世界がどうなっているのか、私にはよくわかりません。とはいえ、気になった漫画はその度に手元に取り寄せて楽しんでいます。

■で、今回気になったのは吹奏楽漫画の『宇宙の音楽』。タイトルはなんと読むのでしょうか。たぶん、普通に「うちゅうのおんがく」だと思うのですが。だけど、主人公の名前である宇宙零は「たかおき・れい」と読むようです。ちなみに、彼の父親は有名なトランペット奏者で、名前は宇宙一「たかおき・はじめ」とのこと。0と1の親子なんだ。2進法のようです。これから展開する漫画のストーリーや宇宙と関係していそうです(知らんけど…)。主人公は音楽やトランペットの才能に溢れた少年でしたが、持病の喘息でトランペットを断念し、指揮者として音楽に取り組む…最初の章(第一楽章)は、そのような展開になっています。

■ちなみに、この漫画のタイトルである「宇宙の音楽」は、実際に存在している曲です。フィリップ・スパーク(Philip Sparke)がブラスバンドのために作曲し、後に吹奏楽のために編曲されています。この「宇宙の音楽」、実は龍谷大学吹奏楽部が定期演奏会で演奏しています。よろしければ、以下のYouTubeをご視聴ください。とてもかっこいい曲です。YouTubeのコメント欄では、多くの皆さんが高く評価してくださっていますね。今から8年前、2015年に開催された第42回定期演奏会での演奏です。

曲の解説はこちらからどうぞ。

突然のメッセージ

20230303volunteer_npo_sociology.jpg■昨晩、それも遅めの時間帯に、ちょっとびっくりすることがありました。2000年に出版された『環境ボラティア・NPOの社会学』(新曜社)という本の中に書いた、「行政と環境ボランティアは連携できるのか-滋賀県石けん運動から」という論文を、「20年前に自分の卒業論文で引用しました…」という方からTwitterのメッセージを通して連絡があったのです。Mさんという方です。

■ここには、不思議な縁のつながりの話があります。今年の1月に、大津駅前のいつもの居酒屋「利やん」で、「みんなの森 ぎふメディアコスモス」の総合プロデューサー吉成信夫さんに奇跡的にお会いしたというfacebookへの投稿を、Mさんはたまたまお読みになったのだそうです(そのことは、このブログにもほぼ同じ投稿しました)。友達限定の投稿なのですが、Mさんは吉成さんとつながっていて、Mさんも私の投稿を読むことができたのだそうです。Mさんは、現在、私設図書館の開館を目指して頑張っておられます。私はよく知らないのですが、街中に、いろんな人が(みんなが)集える小さな図書館のネットワーク「みんとしょ」というものが存在しているらしいのです。そういうネットワークにMさんも関わっておられて、そのようなこともあって、吉成さんともつながっておられたのです。少しわかりにくい説明ですね、すみません。Mさんからは、facebookにこのようなコメントをいただきました。

脇田先生、昨晩はありがとうございました。私にとって環境社会学の教科書の中の先生がFBのタイムラインに先日突然現れた(「利やん」のお写真拝見した)ときは本当に驚きでした。昨日はTwitterのフォローバックいただいたことに嬉しくなり、唐突に失礼とは思いながらついメッセージを送ってしまいました。
20年も昔のことですが(卒論ゼミの先生の指導と)、脇田先生の書かれた論文のおかげで卒論が迷子にならずになんとか最後の結論にたどりついたのでとても思い出深いものがあります。今回ご縁をいただき、とても嬉しく思います。またご著書を楽しみにしています。

■私も驚きましたが、Mさんはもっと驚かれたのですね。ご自分の卒論で引用した文献を今もきちんと記憶されていることって、なんだかすごいなあと思います。その卒論を今も大切に保管なさっているようで、私の論文を引用した部分を写真に撮ってや送ってくださいました。今、私設図書館の会館に向けて頑張っておられるそうですが、引用してくださった私の考え方を参考にしてくださっていると伝えてくださいました。まあ、お世辞でしょうが、とっても嬉しいと思います。

小説「ありがとう西武大津店」

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20230226miyajimamina3.jpg ■一昨日は、大津市の中心市街地にある中央小学校の体育館で、「地域エンパワねっと・大津中央」の学生チームが主催したイベント「願い事ランタンで交流しよう」が開催されました。無事にイベントを終えることができました。ありがとうございました。イベント終了後、会場である体育館からたくさんの親子連れの皆さんが帰宅される中、ひと組の親子が私の方にやって来られました。お子さんの方は、昨年も、学生たちが主催したイベントに参加してくださっていたのでよく知っていました。でも、今回はお母様です。「今度、小説家としてデビューすることになりました!! ぜひ、これ読んでください」と言って、私に写真のような印刷物を手渡してくださいました。

■突然のことで驚きましたが、お母様は小説家・宮島未奈として新潮社から本を出版されるのだそうです。本名なのかペンネームなのか、よくわかりません。おそらく、ペンネームなのでしょう。宮島さんは、2021年、この「ありがとう西武大津店」という作品で、第20回「女による女のためのR-18文学賞」大賞、読者賞、友近賞の3賞を受賞されました。この印刷物は、これから出版される『成瀬は天下を取りにいく』の中の1篇だけを印刷した試し読み版のコピーのようでした。単行本は、この「ありがとう西武大津店」も含めた全6篇を収録の予定とのことです。

こちらでも全文が読めるようです。私も読みました。とっくの昔に忘れていた、思春期の頃の感覚が、自分の中に蘇ってきました。皆さも、ぜひお読みください。

新潮社の書籍紹介ページ
宮島未奈さんの記事(読売新聞)

【追記】■(2023.3.3)こちらの小説、日本で出版される前に韓国でも出版されることが決まったようです。素晴らしいですね。この記事をお読みください。記事の中で、韓国側の出版社の編集長が以下のコメントをされています。

成瀬あかりという少女を取り巻く日常を素のままに表現した文体は国内のベストセラー小説とも雰囲気が似ており、韓国の読者にもアピールできると確信し、韓国版の翻訳を決めました。

この作品は平凡ではないある少女が様々なことに挑戦し、失敗しても折れずに前を向いていくストーリーであり、主人公の成瀬あかりは考え方も話し方も、いわゆる「普通の少女」とは一風違うキャラクターです。だからこそ成瀬が次は何をするのか期待が高まり、ページをめくる手を止めることができませんでした。

ストーリー構成も素晴らしく、リーダビリティの高い文章力はデビュー作とは思えないほどの完成度だと思います。
たしかにどんでん返しがあるわけでも、あり得ないような設定の恋愛模様も描かれません。それなのに、コロナ禍を生きる10代の女子たちをこんなに面白く書けるものかと驚きました。

今回、宮島未奈氏のデビュー作『成瀬は天下を取りに行く』を韓国の読者に紹介できることになり、大変嬉しく思っていますし、韓国の読者もかならず、成瀬あかりのファンになることと思います。        素美メディア編集長 キム・ジユンギユン

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