軍艦島 4K (Ultra HD) - Battleship Island
■以下は、この動画の解説です。
軍艦島アーカイブス https://www.facebook.com/battleshipis…
かつて炭鉱の島として栄え1974年に閉山、無人化した長崎市端島(通称・軍艦島)。「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」の構成資産として、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の2015年世界文化遺産登録へ推薦されています。建物の老朽化で危険なため、長崎市は端島の見学範囲を制限して一部のみを公開。今回、西日本新聞社は同市から特別な許可を得て、4Kカメラやドローンを使用し島内の様子を記録しました。
- 企画・制作 -
西日本新聞社/メディアプラネット
- スタッフ -
プロデューサー:林隆広
ディレクター:永川優樹
ドローン空撮:九州空撮隊
音楽:関口シンゴ(origami PRODUCTIONS)
■よくわからなかってので調べてみましたが、4Kカメラとは、超高解像度で撮れるカメラのようです。ドローンもよくわかりませんでした。無線で操縦する、小さなヘリコプターのようなものなのかな。この2つを使うことで、人間がカメラをもって撮るのとは異なる画像が撮れているようです。このドローン、使ってみたいですね〜。
『悪童日記』(アゴダ・クリストフ)
■この本は、アゴダ・クリストフ(1935-2011)という作家の『悪童日記』という小説です。自宅の書架にある『悪童日記』の奥付には、1991年初版発行、1994年17版発行となっています。今から23年前に翻訳出版された小説です(購入したのは20年前)。原作は1986年です。原題は「Le Grand Cahier」。「大きな帳面」という意味です。主人公である双子の兄弟が書いた日記、という形式で作品は書かれています。「大きな帳面」が、日記なのです。
■この『悪童日記』、世界的なベストセラーになりました。作者のアゴダ・クリストフは、1956年のハンガリー動乱のさいに西側に亡命し、フランス語圏のスイスに住みながら創作活動をしてきたのだそうです(世界史をまなんだことのない学生の皆さんだと、ハンガリー動乱といってもよくわかりませんよね。ここでは説明できませんので、各自で調べてみてください)。この『悪童日記』は、彼女にとって初めての小説で、しかもフランス語で書かれました。生きることが厳しい母国の状況から逃れ、異国の地に暮らし、母国語以外の言語で小説を書いたわけです。小説家としてのデビューは51歳のときでした。彼女自身、自らの自伝なかで、フランス語で創作活動をすればするほど自分の母国語であるハンガリー語を「殺し続けることになる」と述べているようです。言語というものは、人間にとって、大変大きな存在基盤です。自己を形づくっている基盤です。『悪童日記』を創作することは、大変な苦労だったと思います。といいますか、異国の地で異国の言葉で書き続けることが…といったほうがよいかもしれまれん。しかし、そのような言語的なハンディキャップが、むしろ独特の文体を生み出すことにもつながっているのです。
■ところで、なぜ昔読んだこの小説を自宅の書架からひっぱりだしてきたかというと、この小説が映画化され、10月3日より、全国各地の映画館で上映されているからです。新聞や雑誌等でも、この映画の評判を時々読みます。やはり行ってみたくなるではありませんか。芸術の秋は、いろんなところで素敵な展覧会をやっていますし、困りました。時間が足りません。とりあえず、映画の公式サイトをみてみました。すると、動画が自動的にたちあがりました。背景に流れる曲は、ベートーベンの交響曲7番の2楽章です。どうして、この曲が選ばれているかわかりませんが、深い哀しみを表現したかのような第2楽章とこの『悪童日記』とは、どこかで共振しあうように思います。
■映画のあらすじですが、原作にかなり忠実なようです。映画の公式サイトでは、次のように紹介されています。
第2次世界大戦末期、双子の「僕ら」は、小さな町の祖母の農園に疎開する。粗野で不潔で、人々に「魔女」と呼ばれる老婆の下、過酷な日々が始まった。双子は、生きるための労働を覚え、聖書と辞書だけで学び、様々な“練習”を自らに課すことで肉体と精神を鍛えていく。
そして、目に映った真実だけを克明にノートに記す――。
両親と離れて別世界にやってきた双子の兄弟が、過酷な戦時下を、実体験を頼りに独自の世界観を獲得し、自らの信念に基づきサバイバルしていく。なんとしても強く生き抜く彼らのたくましさは、倫理の枠を超えて見るものを圧倒し、希望の光をも示してくれるだろう。
■『悪童日記』と、その後に執筆された『ふたりの証拠』と『第三の嘘』をあわせて、アゴダ・クリストフの三部作と言われています。すべて、翻訳されて文庫本にもなっています。読んでみようと思います。いろんな方達の感想をプログ記事等で読ませていただくと、この三部作をすべて読むことで、深く納得できる世界が見えてくるようなのです。まだ、読んでいないので、最初からわかってしまうと面白さも半減してしまいそうではありますが…。とはいえ、たとえそういう結末なのだな…と知ったとはいえ、これは読まないわけにはいきませんよね。
【追記】■もう1冊、まだ読んでいませんが、紹介しておこうと思います。『文盲』(L’analphabète) は、アゴダ・クリストフの「自伝」だそうです。amazonに掲載された出版社が提供した情報は以下の通りです。太字は、自分ために強調したものです。
世界的ベストセラー『悪童日記』の著者が初めて語る、壮絶なる半生。祖国ハンガリーを逃れ難民となり、母語ではない「敵語」で書くことを強いられた、亡命作家の苦悩と葛藤を描く。
「もし自分の国を離れていなかったら、わたしの人生はどんな人生になっていたのだろうか。もっと辛い、もっと貧しい人生になっていただろうと思う。けれども、こんなに孤独ではなく、こんなに心引き裂かれることもなかっただろう。幸せでさえあったかもしれない。
確かだと思うこと、それは、どこにいようと、どんな言語でであろうと、わたしはものを書いただろうということだ。」──本文より東欧とおぼしき土地で、厳しい戦況を残酷なたくましさで生き抜く双子の「ぼくら」──彼らとそれを取りまく容赦ない現実を、身震いするほど淡々とした文体で描いた世界的ベストセラー『悪童日記』(邦訳1991年)の衝撃は、今なおわたしたちの記憶に新しい。
その驚愕の物語設定や独得の文体はもとより、それがまったく無名のハンガリー人女性の処女作であったこと、小説が書かれたフランス語は〈難民〉だった彼女が20歳を超えてから身につけたものだということなど、著者本人についても大いに注目が集まった。
そんな彼女が、短いながら濃密な自伝を発表した。祖国ハンガリーを逃れ、異国の地で母語ではない〈敵語〉で書くことを強いられた、亡命作家の苦悩と葛藤が鋭い筆致で描かれ、「家族」「言語」「東欧」「難民」「書くということ」について、そして「幸福」について深く考えさせられる。そして、彼女の作品がまさに自身の壮絶な人生から絞り出されたものであることもわかる。
「もし自分の国を離れなかったら、わたしの人生はどんな人生になっていたのだろうか。もっと辛い、もっと貧しい人生になっていただろうと思う。けれども、こんなに孤独ではなく、こんなに心引き裂かれることもなかっただろう。幸せでさえあったかもしれない。確かだと思うこと、それは、どこにいようと、どんな言語でであろうと、わたしはものを書いただろうということだ。」(「国外亡命者たち」より)
おうみ映像ラボ 遠足 ~映画『ワキノタン』の撮影地・高島市朽木針畑を訪ねて~
■知り合いの女性が、今春友人4名で「おうみ映像ラボ」というチームを立ち上げられました。滋賀県下のドキュメンタリー映画や記録映像を発掘するチームなんだそうです。素敵ですね〜。そのチームて、今週末に、朽木・針畑への遠足(上映会+撮影地の体験)にいく日帰りミニツアーの企画をたてられました。ということで、私は申し込みをさせていただきました。
■日曜日、JR湖西線・堅田駅から滋賀県高島市朽木針畑へバスで向かい、そこでドキュメンタリー映画「ワキノタン」を鑑賞します。作品は、「朽木針畑で40年間にわたり集落に暮らす人々の生活の中にある『暮らしの知恵・思い・カタチ』を記録映像として撮影してきた針畑生活資料研究会(主宰:丸谷彰氏)」によるものです。大変楽しみです。ドキュメンタリーを鑑賞したあとは、「朽木を散策し、針畑の山菜採集など食文化の体験を、生活文化に触れ」る予定です。
説明
映像を媒介にして、地域に引き継がれた技術や知恵、地域性・共同体の姿などの「暮らしの周縁」にあるものの価値を再認識する「共感の場」を創出することを目的としています。映像上映会や映像づくりなどを通じてネットワークを形成し、地域の人・技・文化・景観をアーカイブ化していきます。
この活動により、視覚・聴覚、また関わりの深い人のお話を通じて滋賀の恵みを再認識し、次世代に繋いでいこうと考えています。
ご関心のある方、映像記録の情報をお持ちの方、ご連絡いただければ幸いです。
「おうみ映像ラボ」どうぞ宜しくお願い致します。・2014年度 滋賀県「美の滋賀」地域づくりモデル事業 受託
所有者情報
メンバー:大原歩(大学非常勤講師・成安造形大学附属近江学研究所研究員)、大藤寛子(にぎやかし1)、藤野ひろ美(にぎやかし2)長岡野亜(映像作家)【五十音順】
【追記】■残念ながら、このイベント、台風のために延期になりました。
NHKスペシャル「カラーでよみがえる東京 ― 不死鳥都市の100年 ―」
■これは、すごい…と思います。「不死鳥都市」という言い方にシックリこないところもありますが、とても期待してしまいます。しかしです。なんといいますか、ナレーションと音楽で、かなり「その気」にさせられてしまいますね。トップ画像の下にある「投稿」をクリックしてください。NHKがfacebookに投稿した動画をご覧いただけます。詳しくは、以下のサイトをご覧いただければと思います。
http://www.nhk.or.jp/special/phoenix/
■この公式サイトのなかに、東京という空間の歴史を地層に例えて表現している部分があります。最近、こういう「発想」、あちこちでみかけますね。たとえば、「東京時層地図」とかもそうです。まさに、「時」間の地「層」ですから。埼玉大学教育学部の谷謙二さんは、「今昔マップ」というサイトを運営されています。まだ、詳しくみていませんが、このサイトも興味深いですね〜。
Stainless - Shinjuku
■新宿駅は、日本一の乗降客数を誇る駅です。この動画は、ホームに立っている人びとを通りすぎる電車の窓からハイスピードカメラで撮影したもののようです。不思議です。都会に暮らす日本人であれば、当たり前のような通勤ラッシュの風景ですが、こうやって撮影すると、崇高さのようなものさえ感じられるから不思議です。
■この動画を撮影した写真家Adam Magyarさんは、「この作品は、写真と動画の境界に位置づけられるもの。延々と続く、電車待ちの人たちの姿はまさに、生ける彫刻なんだよ」と語っておられるそうです。なるほど…。「写真と動画の境界」というところがすごいですね。なんか、インスパイアされるものがあります。ハイスピードカメラを使うことで、通常では認識できない現実の異なる側面が浮かび上がってきます。下のURLをクリックして動画をご覧ください。
Google Zeitgeist: 2013年を振り返ろう
■2014年も残り4ヶ月を切った段階で、こんな話題でもないだろうと…と思いますが、ご容赦を。とりあえず。ここにアップさせてください。
「寄生獣」
■今から四半世紀(25年)ほどまえのことです。当時は、漫画を読む習慣がありませんでした。しかし、そのような私でも勧められて夢中になって読んだ漫画があります。それが『寄生獣』(作・岩明均)です。漫画の評価をきちんとできるだけの力量は私にはありませんが、これは名作だと思いました。研究室に置いてあります。大切な蔵書の一部です。
■今から四半世紀前、環境問題のなかで「共生」という言葉が流行っていました。それも、かなり軽い意味合いで使われていました。この『寄生獣』は、そのようなブームとしての「共生」を拒否し、超えようとする内容を含んでいると思いました。当時、ある大学で非常勤講師をしていましたが、授業の教材でも使用しました。懐かしいですね。当時、私の講義を受けた方達、今では、40歳代半ばになっているわけですね…。さて、この『寄生獣』のストーリーは書きません。なぜ、名作なのかも、実際にお読みいただき実感していただければと思います。ところで、この『寄生獣』、映画になるようですね…。個人的には観てみたいものの、微妙な気持ちでもあります。がっかりしたくないのです。
映画『よみがえりのレシピ』の自主上映会&マルシェ
映画『よみがえりのレシピ』の自主上映会と
大津・滋賀の在来野菜や映画にちなんだ山形の食材が集まるマルシェを旧大津公会堂で行います。<マルシェ>
『出展者』及び『登場する伝統野菜』決まりました!!
詳細はこちらをご覧下さい。<トークイベント(無料 16:00~16:45)>
『湖国で生まれ育った野菜あれこれ』by 滋賀の食事文化研究会
☆http://shigasyokubunken.com/<映画>
詳細(チラシ)>>>yomigaeriotsu
開催日: 2014年2月22日(土)13:00~21:30
会 場: 旧大津公会堂(映画:3ホール マルシェ:2F各部屋)
入場料:事前申込1,000円 当日1,200円
★事前申込は㈱まちづくり大津へTELもしくはFAXお申し込みください。
(TEL)077-523-5010(FAX) 077-514-7690
FAXの場合は、『申込書』 をご利用ください。
映画詳細:http://y-recipe.net/
主催: ㈱まちづくり大津
ドキュメンタリー映画「よみがえりのレシピ」上映会の打合せ
■昨日は、大津市の農林水産課の職員のIさん、そして龍大で農学部の開設準備にお忙しい教員のF先生や職員のTさんと、夕方、ドキュメンタリー映画「よみがえりのレシピ」上映会の打合せを行いました。この「よみがえりのレシピ」に関しては、昨年の12月11日のエントリー「映画「よみがえりのレシピ」上映会」でもご紹介しましたので、そちらをご覧ください。
■上映会の当日は、「大津・滋賀の在来野菜や映画にちなんだ山形の食材が集まるマルシェ」も同時開催されます。ゼミで行っている「北船路米づくり研究会」や「龍谷大学農学部」も、「身近においしい野菜を食べるための取組」として資料展示等を行います。「北船路米づくり研究会」としては、小さな規模ですが野菜販売、環境こだわり米のPR、米づくり研究会の活動紹介、それから研究会の地酒プロジェクトで生まれた純米吟醸無ろ過生原酒「北船路」のお披露目も行う予定です。もちろん、私たちは大津や滋賀で頑張って「農」に関わってこれらた諸団体の皆さんの横のほうで、ブースを出させていただきます。農学部のブースと一緒に情報発信させていただきます。横の写真は、最新版のチラシです。クリックすると拡大します。ぜひご覧ください。
■ところで、打合せなのですが、当初は町家キャンパス「龍龍」で行う予定でしたが、先に使用されているグループがあったため、急遽、開店前の大津駅前の居酒屋「利やん」の宴会場をお借りして行いました…ww。
人はなぜ困難なスポーツに挑戦するのか…映画「ドーバーばばぁ」、その文庫化
■今日は、奈良マラソンの日でした。私は、抽選にもれてエントリーできませんでしたが、我が家では、息子が参加しました。これまでフルマラソンはもちろん、ハーフにしろ、もっと短い距離にしろ、マラソン大会では走る方ばかりでしたが、今回は応援の側にまわりました。息子は、中高はバスケットボールを、大学・大学院はアルチメット(ボウルではなくフライングディスク(フリスビーのこと)を使った、バスケットボールとアメリカンフットボールを合わせた様な競技)をやってきました。現役のスポーツマンなので、記録には期待していたのですが、サブ4(4時間切り)、3時間53分28秒という記録でゴールしました。自分の息子のことながら、頑張ったな〜と思います。
■なぜ市民マラソンを走るのか。人それぞれの理由があるわけです。困難なスポーツに挑戦するのはなぜでしょうか。
■マラソンではありませんが、水泳に調整した女性たちのドキュメンタリー映画があります。「ドーバーばばぁ」という映画です。以前、このホームページにあるブログとは別に、「Blog版 環境社会学/地域社会論 琵琶湖畔発」を運営していました(今は、塩漬け状態にあります。こちらの行く末についても、いろいろ考えなければなあと思っています)。このプログに、「ドーバーばばぁ」についてエントリーしています。以下に、それを転載したいと思います。2011年9月5日の投稿です。少しだけ修正を加えています。
■映画、好きなんですが、映画館にいっている時間がありません。自宅でDVDをゆっくりみる余裕がありません…。残念ですね~。そんな私がドキュメンタリー映画でエントリーです。それも、まだ視てもいないのに…。
■先日、出かける準備をしながらリビングのテレビをチラチラ視ていると、興味深い話題が登場しました(たしか、テレ朝の「モーニングバード」という番組だったかな)。それは、ドキュメンタリー映画の紹介でした。「ドーバーばばぁ 織姫たちの挑戦」という作品です。「ばばぁ」ですが、チーム名は「チーム織姫」。素敵だな~。ものすごく評判のようです。
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【作品の内容】
この映画は、54歳から67歳までの女性6人が、親の介護や家族の世話という日常を抱えながら、ドーバー海峡横断リレーという非日常にチャレンジする様子を、2年間に亘って追いかけた作品です。
2年間を通して、それぞれチームメンバー6人のチャレンジまでの葛藤が描かれています。
同世代の同じ問題を抱える女性やこれからの高齢化社会を生きていく様々な世代の方々が、前向きな考えを持って、何かにチャレンジすることの楽しさ・大切さを、6人のおばちゃんたちが伝えてくれます。
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■テレビの紹介のなかで、少し作品が紹介されており。心がググッと反応してしまいました。おそらく、単にドーバー海峡をリレーで横断する…という話しであれば、それほどでもなかったかなと思います。先輩格の年齢の女性たちが、「親の介護や家族の世話という日常を抱えながら、ドーバー海峡横断リレーという非日常にチャレンジ」という部分に反応したんですね。私自身も、すでに亡くなりましたが、父の介護や看病を終えたあと、現在は、週1回、生活介護をしに母親のもとに通っているという事情があるせいですね。でも、この女性たちの「親の介護や家族の世話」は、そんな簡単なものではありません。
■作品の内容にふれてしまいますが、「ワイドショー通信簿」というサイトでは、次のように紹介されています。すごく共感しました。
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東京・渋谷の映画館で8月29日(2011年)に自主上映されたドキュメンタリー映画が話題になっている。タイトルは「ドーバーばばぁ~織姫たちの挑戦~」という。平均年齢57.8歳の6人の主婦が英仏を隔てるドーバー海峡(直線距離で34キロ)をリレーで横断した記録だ。「人物大辞典」でコーナーで6人の主婦を紹介した。【介護の夫や親を抱えて「だから泳ぎ切れた」】
6人は水泳選手だったり体育会系だったりしたわけではない。東京・立川周辺に住む54歳から67歳までのごく普通の主婦仲間だ。リーダーの大河内二三子さん(57)は19年前に脳梗塞で倒れ半身不随となった夫、心臓が弱くペースメーカーを付けている92歳の母親と暮らしている。鳥塚しづ子さん(61)は歩行困難の父親と病院に寝たきりの母親を見舞うのが日課だ。
こんな普通の主婦がなぜ無謀ともみえるドーバー海峡横断に挑戦したのか。大河内はごく軽い気持ちで「トリちゃん(鳥塚)と還暦の時に泳ごうねって約束したから」という。
ドーバー海峡は潮の流れが早いため、流されて一直線で泳ぎきるというわけにはいかない。海水温も低く「海のエベレスト」と呼ばれている。
挑戦が始まったのは2009年3月。互いの時間を調整しては集まって、奥多摩などで練習に励んだ。そして迎えた冒険当日の10年9月17日午前6時45分、イギリスのドーバー海岸から第一泳者がスーパーに買い物に行くかのように「じゃ、行ってくるよ」と泳ぎ出した。1時間ずつ交代で泳ぎ、一人でもリタイヤすればその時点で挑戦は終了してしまう。12時間後には太陽は沈んだが、暗闇の中を一掻き一掻き進む。フランス側の海岸にゴールしたのは午後9時4分、14時間22分かかった。
大河内さんはこんな事をいう。
「みんないろいろな事情を抱えている。とくに鳥塚と私は障害者を2人ずつ抱えているが、共通して思っていることは『介護があるから遠泳ができる。遠泳があるから介護ができる』小さなことでもいいから、自分のためだけにやることをつくっておけば、やんなきゃならないことも続けられる」【2年後には「対馬・釜山」に挑戦】
スタジオでは、同世代の吉永みち子(作家)が「長距離を泳ぎきるのもすごいが、皆いろんな事情を抱えながら達成したことが素晴らしい。ダブルで乗り越えたのがすごい」と絶賛した。もっとも、6人はこれで終わらない。2年後には対馬から韓国の釜山まで50キロに挑戦するという。
———————————–■6人のチームワークを維持するのも、なかなか大変だと思います。そのちょっとしたエピソードも、「Excite Bit “ばばぁ”達がドーバー海峡に挑む、ドキュメント映画」で紹介されています。「ドーバー海峡に挑む半年前、ある者がチームへの相談無しに股関節の手術を受けてしまった。結果、他のチームメイトから「何故、言わなかったんだ」と、不満が爆発!手術して、本番に間に合わす事ができるのか?そんな不安による不協和音が発生」。いろんな苦難を乗り越えての達成なんですね。
■このドキュメンタリーの「公式サイト」には、予告編もあります。トーバー海峡をリレーで泳ぐ様子とともに、彼女たちの日常の介護や生活の様子が織り交ぜて紹介されます。チームの女性のお1人が、こういいます。「赤の他人と暮らして、練習して…」。介護されているお母さんは、「しょうがないんだけど。どうしても行くっていうから」。また、お連れ合いでしょうか、「本人が行きたんだったら、男たちは我慢してがんばります」…。このあたりが、単なる、ドーバー海峡横断のドキュメンタリーとは違って、多くの人の評判になるところなのだと思います。ぜひ、視てみたいのですが…関東地域ではチケットが売り切れるほどの評判のようです。
■「チーム織姫」の皆さんは、産経新聞のニュースによれば、「これまでチームはドーバー海峡だけではなく長崎・対馬-韓国・釜(プ)山(サン)間(57キロ)、津軽海峡(27キロ)などをこなしている。酒田-飛島は3年前の8月にもチャレンジ。12時間泳ぎ、ゴール目前だったが、酒田港の沖合で天候が悪化したため断念した」、とりあます。そうか、さらにチャレンジを積み重ねておられるのですね~。この酒田-飛島のチャレンジは、先月に行なわれました。しかし、山形新聞によれば、「潮流と日没に阻まれ泳ぎ切ることはできなかった」ようです。残念。また、頑張ってほしい。
■この「ドーバーばばぁ」、申し込むとDVDでもご覧いただけるようになりました。申し込み先は、こちらです。
■そして、文庫本にもなったようです。塩漬けになっているブログに、担当編集者の方から、直接にコメントで情報をいただきました。ありがとうございました。塩漬けになっているため、迅速にお返事できず失礼いたしました。『ドーバーばばぁ』 (新潮文庫)です。