「就業力が育つ大学」で10位・日経新聞
■本日(2013年6月17日)の日本経済新聞に、「『就業力』育て 総合ランキング上位は」という記事が掲載されました。このランキングのなかで、龍谷大学は関西勢いで唯一ベスト10入りしました。10位です。このランキングは、インターネットで実施された調査結果にもとづいています。学業、課外活動、交遊関係、就業観の4分野で構成すアンケートを実施し、各分野の質問に対する肯定的な回答を大学ごとに集計・得点化するなどしてランキングしたもです。
■どの学部からの回答が多いのか、キャンパスの違いはあるのか、調査4分野のそれぞれの結果はどうなのか…細かな点が気になります。が、しかし。ここで気を良くして油断するのではなく、むしろ調査結果を真摯に受け止め、その原因を探り、良いところをさらに伸ばしていく「実践」をより自覚的に進めていくべきなのかなと思います。
■社会学部では、学部4学科が協力しながら地域連携型教育プログラム「大津エンパワねっと」を運営しています。この教育プログラムを履修した学生は、地域にでかけ、学生の目線から地域の課題を探り、その課題解決のために地域の皆さんと連携して小さな事業に取り組みます。このような教育プログラムの中身が、学生たちの総合的な人間力(主体性・協調性)を成長されることがわかってきています。いわゆる「就業力」とも多くの点で重なりあう力が培われるのではないかと思うのです。
■私のゼミでは、「北船路米づくり研究会」の活動に取り組んでいます。ゼミの評価や単位とは関係ありません。あくまで学生の自主性に委ねられた活動です。地域の生産者と消費者をつなぐ架け橋に自分たちが学生になろう、そのための事業をやっていこう…ということなのですが、この活動でも、真剣に取り組んだ学生たちは、「大津エンパワねっと」と同様に、総合的な人間力が身に付いていくように思われます。
■この日経新聞記事もそうなのですが、学生のもっている総合的な力(学力だけでなく、人間力も含めて)を引き出し、伸ばしていく、そのような教育に熱心に取り組んでいる大学なのかどうか…これからの大学選びは、そのあたりが問われてくることになるのでしょう。
最近の大津エンパワねっと
■今日は、「大津エンパワねっと」の「地域エンパワねっとⅡ」の合同授業でした。現在、この授業を履修している学生たちは、瀬田キャンパスに隣接する瀬田東学区では7チーム、中央小学校区を中心とした中心市街地のある中央地区では9チームに分かれて、それぞれの自分たちで「発見」した課題の「解決」に取り組んでいます。トップの写真は、中央地区で活動しているチーム「パズル」です。中央地区は、江戸時代の宿場町からの歴史をもつ町家が多数残るエリアですが、近年は、このエリアに多数の新しいマンションが建設されています。そのよなマンションでお暮らしの新住民の皆さんに、もっと大津の街のことを知っていただき、街と新住民の皆さんをつないでいこうと、女子学生3人組のチーム「パズル」は、ひとつのマンションの自治会、そして中央学区連合自治会、市民団体「大津の町家を考える会」と連携しながら、中央地区に残る多数の歴史的建造物(町家を含む)をめぐるまち歩きのイベントを実施しました。これまでの「地域エンパワねっとⅡ」にない取り組みでもあり、指導している私も、このチームの活動の展開に注目しています。
■こちらは、最新の「大津エンパワねっと」通信です。このような簡単なニューズレターを毎月発行して、地域に皆さんにお届けしています。今号では、各チームの取り組み内容が紹介されています。
大津エンパワねっと学生チーム「わわわ」
■今日は、大津市中心市街地の中央学区自治連合会の総会と定例会議に、「大津エンパワねっと」のチーム「わわわ」の学生たちとお邪魔しました。総会と4月の定例会議が開催されたからです。毎年、この最初の定例会議のさいに、お集まりになられた中央学区の各自治会の会長さんや、自治連合会傘下で活動されている各種団体長の皆さんにご挨拶をすることになっています。さらに今日は、そのようなご挨拶に加えて、学生チーム「わわわ」がこれから取り組む事業の説明を、自分たち自身で行うことになっていました。
■大津市は全国の自治体のなかでも珍しく、まだ人口が増加している地域です。住宅開発、マンションの開発に伴い、京阪神地区から転入される若い世代のご家族が多いからです。しかし、そのような大津市の現状のなかにおいても、中央学区は相対的に高齢化率が高いのです。自治連合会では、特に一人暮らしの高齢者の皆さんがどのように日々を暮らしておられるのか、家に閉じこもりがちになってはいないのか…いわゆる「高齢者の孤立」を心配されています。
■学生チーム「わわわ」は、そのような中央学区の抱える高齢者問題に注目して活動してきました。そして、この春から、自治連合会や学区社会福祉協議会の皆さんと連携をしながら、この問題に取り組むことになりました。一人暮らしの高齢者の問題は、プライバシー保護の問題もあり、なかなか把握しにくいわけですが、今回は、自治連合会のなかから10の自治会の会長さんにご協力いただき、学生たちが中心となって聞き取り調査とアンケート調査を実施させていただくことになりました。
■私が「大津エンパワねっと」全体に関して簡単にご説明とご挨拶をさせていただいたあと、自治連合会長と学区社会福祉協議会前会長のお2人が調査の趣旨説明をされ、チーム「わわわ」を指導する笠井先生からの挨拶のあと、学生たち自身が自分たちの問題意識とアンケートの具体的な実施方法について説明を行いました。写真は、そのときの様子を笠井先生が撮られたものです。私は、ちょっとだけ心配そうに、一生懸命説明しているKさんの方をみています。実際、学生たちはとても緊張していました。しかし、事前にきちんと練習をしてきたのかもしれませんが、大変わかりやすく、丁寧な説明をしてくれました。素晴らしい!! 定例会議のあとにも、自治連執行部のある方が、「学生の皆さんは、大変しっかりされていますね。私たちが学生の頃には、とてもあのような説明はできませんでした」と評価してくださいました。
■チーム「わわわ」では、これから調査をしながら、同時に、見えてきた調査結果をもとに、一人暮らしの高齢者の問題に自分たちなりのプロジェクトを地域の皆さんと一緒に取り組んでいきます。このチームの活動がどのように展開していくのか、私にもよくわかりませんが、素晴らしい成果につながるといいなと大変期待しています。
【追記】■「大津エンパワねっと」の学生チームには、すべてチーム名がついています。で、このチーム「わわわ」、なんだか不思議なネーミングですよね。「わわわ」と慌てふためいているような印象も持ってしまうのですが、そうではありません。一度、チーム名の由来を聞いたのですが…、忘れてしまっています。また、聞いておきます。
「地域エンパワねっとⅡ」が始まりました!!
オープンキャンパスとオリエンテーション
■龍谷大学では、すべての学部が入学式の後に、大津市のおごと温泉にある琵琶湖グランドホテルを借り切って、順番にフレッシャーズキャンプを行うことになっています。一昨日と昨日(4月6日(土)・7日(日))は、私たち社会学部と理工学部のフレッシャーズキャンプが同時に開催されました。学生部の職員の皆さん、サポーターの学生の皆さん、御苦労さまでした。
■写真は、夕食後、社会学部の新入生全員が大広間に集まったときのものです。社会学部が学部をあげて取り組んでいる「大津エンパワねっと」の説明会が行われました。前にある舞台に立っているのは、現在、「大津エンパワねっと」の授業運営の中心になっておられる山田容先生と、現在4年生になった「大津エンパワねっと」終了生の皆さんです。新入生の皆さんに、この「大津エンパワねっと」の魅力についてアピールされています。この説明会のあとは、学科ごとに分かれて履修説明会が行われました。この説明だけで、「大津エンパワねっと」がどんな授業なのかよくわからないと思いますが、とりあえず印象に残ってもらえればよいかなと思っています。しかし、昨年の後期から「大津エンパワねっと」の「地域エンパワねっと」に取り組んでいるエンパワ5期生の皆さんのなかには、入学前から「大津エンパワねっと」のことを知っていたという人たちが10人もいました。この新入生のなかにも、そのような人たちがいることを期待しています。
■昨日7日(日)の午後からは、大学の方で、大学院社会学研究科新入生のオリエンテーションが開催されました。今年の入学生は11名と少なめなのですが、そのうち6名が中国や韓国からの留学生です。オリエンテーションでは、研究・調査に関する事柄、学生生活全般にかかわる事柄について2時間にわたって説明が行われました。また、専攻やコースごとにわかれての個別履修相談も行われました。新入生の皆さんには、専攻を超えて交流しながら、お互いに助け合って研究を進めるようにしてほしいと思います。写真は、研究の進め方等について説明されている、社会福祉学専攻・教務主任の荒田先生です。
中国に出張
■先週のことになりますが、3月18日(月)から22日(金)まで、中国に出張してきましきました。すでに、3月9日アップしたエントリーでもお伝えしたことの繰り返しになりますが、説明させてください。
■龍谷大学大学院社会学研究科では、日本の社会福祉学の蓄積を生かしつつ、アジアでの専門家養成を進めるために「東アジアプロジェクト」を立ち上げ、急速に少子高齢化が進む中国や韓国の大学などとも研究交流を深めながら、社会福祉を担う国際的な人材育成を進めています。今回は、このプロジェクトの関連で、中国の浙江省寧波市にある寧波大学外語学院と、湖北省武漢市にある華中師範大学社会学院、そして外語学院を訪問してきました。この2大学と龍谷大学とは、すでに国際交流に関わる「覚書」を締結していますが、今回は、さらに「一般協定」を締結し、「留学生受け入れ」や「教育研究交流」に関わる事業を実施できるように、2校の関係者のみなさんと協議を行ってきました。
■両大学の関係者からは、できるだけ早く一般協定を締結し、その上で、留学生の日本への受け入れ、日中の学生の短期交流プログラム、教育の研究交流プログラムの実現に取り組んでいけたらとさまざまなご意見やご要望をお聞きかせいただきました。大変前向きに、龍谷大学との連携を考えておられ、研究科長としても一安心。新年度からさっそく「一般協定」締結や具体的なプログラムの実現に向けて作業に入っていきたいと思います。
■今回は、このような協議ばかりでなく、華中師範大学外語学院日本語学科では講演も行いました。日本語学科ということで、全員きちんと日本語を聞き・話せる学生ばかりなので、私のような中国語のできない者でも講演することができるのです。今回は、「日本人の伝統的自然観とは」という題目で話しをさせていただきました。学生の皆さんの反応は大変よく、ちょっと華中師範大学の先生たちがうらやましくなりました…(^^;;。写真は、私の講演のために用意してくださったポスターの前で撮ったものです。背景の壁には、古代中国の青銅器の楽器です。華中師範大学のある武漢は、青銅器の出土で大変有名で、1978年に湖北省の随県にある曽侯乙墓から発掘された曾候乙の編鐘という楽器が武漢博物館に展示されています。壁面のレリーフは、この曾候乙の編鐘だと思われます。
■この動画は、その曾候乙の編鐘の演奏のようです。訪中時にお世話になった両校の先生方、ありがとうございました。 谢谢!!
大津エンパワねっと3期生も卒業
エンパワのウインドブレーカー
文部科学省のCOC構想
■昨年の6月、文部科学省から2017年度までの大学改革の工程表「大学改革実行プラン」が発表されました。そのなかには、雇用創出など地域の課題解決に取り組む大学を財政支援する「センター・オブ・コミュニティー(COC)構想」の実現に13年度から着手することが盛りこまれています。ポイントは、以下の通りです。また、構想の概要は、上のような図にもまとめられています。
地域再生の核となる大学づくり(COC構想の推進)
・ 地域(社会・産業・行政)と大学との組織的な連携強化
(地域課題等の解決のための、地域の大学間連携、地域の枠を越えた大学間連携)
・ 大学の生涯学習機能の強化
・ 地域のイノベーション創出人材の育成
・ 地域の雇用創造、産業振興への貢献
・ 地域の課題解決への貢献
・ 多様な活動を支える教育・研究水準の保証
■私の勤務する社会学部で取り組んでいる「大津エンパワねっと」は、2007年から文部科学省の「現代GP」(現代的教育ニーズ取組支援プログラム)として採択された教育プログラムです。昨年の秋から5期生がこのプログラムに取り組んでいます。この「大津エンパワねっと」、この文部科学省の「COC構想」とかなり共振しあう部分があります。あくまで個人的には…ですが、この「COC構想」を視野に入れながら、今後のプログラムの運営(そして近い将来の学部の運営)、他の学部との連携等を考えていかなければ…と思っています。さてさて・・・なのです。文科省発を中心とした学外の情報、そして学内の情報も必要だな~。
大津エンパワねっと「地域エンパワねっとⅠ」5期生報告会
■龍谷大学社会学部が4学科をあげて取り組む地域連携型教育プログラム「大津エンパワねっと」の「地域エンパワねっとⅠ」報告会が、1月20日(日)、大津市浜大津にある旧大津公会堂で開催されました。
■今回報告をおこなったエンパワ5期生は、昨年9月から、中央地区の9チーム・瀬田東学区の7チームに分かれ、地域の皆さんのアドバイスやご指導を受けながら、多様なテーマのもと学生の目線からそれぞれの地域課題や隠れた魅力の「発見」に取り組んできました。トップは、報告会が終了したあとに撮った集合写真です。学生でだけでなく、指導やこのカリキュラムの運営にあたっている教員・職員のみなさんも一緒に写っています。社会学部を全体で取り組んでいるという気持ちを、全員でより実感した瞬間です。
■報告会の前半は口頭発表。各チーム3分という短い時間で、自分たちの取り組みの概要について報告をしたあと、ポスターセッションに移りました。このポスターセッションで、学生たちは、地域の皆さんからグループごとの取り組みについて直接ご意見をいただきした。そして、いただいたご意見を大切にしながら、次の「地域エンパワねっとⅡ」において、自分達が「発見」した課題を「解決」するためのプロジェクトを地域に提案し、地域の皆さんと「一緒に」取り組んでいくことになります。すなわち、「解決」「共有」の段階へと進んでいきます。下の小さな写真は(クリックすると拡大します)、ポスターセッションのときの写真です。
■今回の報告会、過去の先輩たちの取り組みによる蓄積があるせいでしょうか、過去の報告会に比べてかなりレベルの高いものになったと思います。地域の多くの皆さまも、そのようにおっしゃっておられました。「地域エンパワねっとⅡ」では、さらに飛躍してほしいと思います。
【追記】■当日は、中央学区、瀬田東学区の地域の皆様だけでなく、大津市役所都市計画部、都市再生課、滋賀県庁生涯学週課、大津の町家を考える会からもご参加いただきました。ありがとうございました。学内からは、学長室広報による取材をしていただきました。また、深草キャンパスにある政策学部の学生2人も参加してくれました。そのうちのお1人Yさんが、報告会終了後、感想を送ってくれました。特に、政策学部と社会学部の学びの違いについて大切な”気づき”があったようです。こういう学部を越えた交流、改めて大切だなと思いました。