差し入れ

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▪︎写真は、昨晩の小佐治(滋賀県甲賀市甲賀町)でのフィールドステーションの開所式に、地元の農家のYさんが持参してくださったものです。左がドジョウの卵とじ(柳川風)、右はボテジャコ等の小魚を醤油で炊いたものです。どちらも、ぜんぜん泥臭くなく、非常に美味しかった。

▪︎小佐治は、丘陵地にある農村。たくさんの谷筋に水田が並んでいます。関東地域でいうところの谷地田です。かつて、そのような谷筋のいずれにも、その一番奥には溜池がありました。そのような溜池は大きなものは5つ、小さなものまで含めると100以上存在していました。無数の溜池に天水を確保して、用水として利用していのです。そのような溜池は、ちょっとした養魚の場として活用されることもありました。とても養殖とは呼べません。市場に出荷することを目的としたものでも、もちろんありません。植物学の世界では「半栽培」(中尾佐助)ということが言われるようですが、それと似ている。自分の溜池につかまえてきた魚をほうりこんでおいて、時々、餌をやる程度の世話をするだけなのです。粗放的管理という言い方もできるのでしょうが、そのような硬い言い方よりも、もっとストレートに「楽しみ」でもあったといったほうがピッタリきます。

▪︎昭和20年代から30年代前半にかけての時期を少年として過ごした人たちは、そのような養魚はしないにしても、多かれ少なかれ集落を流れる小さな河川で魚を獲って食べた経験をもっている。この「食べた」という点が、非常に重要だと思っています。繰り返しますが、「楽しみ」なのです。そのような経験は、若い年代になる従い聞かれなくなります。高度経済成長とともに小佐治のような山里の食生活もどんどん変化していく。それに加えて、河川改修が人びとと河川との関係を絶ってしまったからです。かつて、谷筋を流れる水田の用排水路と河川はつながっていました。段差がなく、魚たちが行き来できたのでは…と私たちの研究プロジェクトの生態学者は推測しています。現在は、河川改修が行われており、流量を確保するために川床が深くなり、用排水路とのあいだには段差が生まれてしまっています。これでは、魚は行き来できません。

▪︎昨晩の開所式は、非常に盛り上がった。集落の皆さんは、公民館から机や椅子を、そして隣組からバーベキューの道具を借りてきてくださいました。私は、焼きそば担当になり、熱い鉄板と格闘しました。燃料は薪です。谷筋の水田の奥にある森林にいくらでもこのような薪があります。小佐治の森林は民有林なのですが、間伐したあとの木材の切れ端が、たくさん転がっているのだそうです。もちろん、全国の山里と同様に、この小佐治でも森林の維持管理には苦労されています。もっとも、そのような苦労だけでなく「楽しみ」として森林と関わる人たちが生まれています。集落のなかでは少しずつ薪ストープを楽しむ人たちが増えているのです。そういう方たちがグループをつくり、薪割り機を使って、自分たちに必要な薪を毎年用意しています。ちなみに、私たちがフィールドステーションとしてお借りしている住宅にも、薪ストーブが設置されています。冬になる前に、地域の皆さんと一緒に薪を用意することになるのではないかと思います。

▪︎これから、開所したフィルードステーションを基地として、この小佐治の暮らしに関していろいろお話しを伺っていく予定になっています。

Know your food, change the world. | Hiroyuki Takahashi | TEDxTohoku


▪︎「都会人に欠けている”共感力”とは? 食べ物付きの月刊誌『東北食べる通信』が伝えたいこと」。高橋博之さん。彼の強い思いが伝わってきます。

私たちが毎日食べているお米。これを作っている生産者が困っているんですから、決して他人事ではいられないはずです。だけれども、どうしてこうも他人事になってしまうのでしょうか。

それは、困っている農家の具体的な顔が思い浮かばないからだと思います。もしも顔が思い浮かぶ農家が知り合いにいたら、決して他人事ではいられないのではないでしょうか。その相手との関係性が「共感力」を育むのです。

消費者と生産者が大きな流通システムで分断されてしまったこの国で、私たち消費者が得られる食べ物の情報は、値段、見た目、食味、カロリーなど、全て消費領域の話です。もちろん食べ物を選ぶ上でこれらの情報も大事なわけですが、決定的に欠けている情報があります。それが食べ物の裏側にいる、血の通った人間の存在です。……

都会人に欠けている”共感力”とは? 食べ物付きの月刊誌『東北食べる通信』が伝えたいこと

猪鹿庁(里山づくり)

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■「猪鹿庁」の公式サイトです。

中山間地での里山保全活動を軸に、里山と関係を持つ多くの人たちと繋ぐことで、循環する新しい里山作りの活動を楽しく実践し、面白く提案していく任意機関です。狙った獲物は逃さない、ベテラン猟師を中心に構成される捜査一課から、みんなの里山を育てる林業者の山育課、里山保全のブレーン研究課には学者たち、安心安全の獣肉を届ける衛生管理課、おいしさを命と共に提供する料理人たちのジビエ課、想いを形に広報課の6課で構成しています。対立を生まない対話と共生の姿勢を持ち、人間が持続可能な社会を築いていくための里山保全活動に取り組んでいきます。

「猪鹿庁」facebookページ

関連記事「猪と鹿とコミュニティと」(生きるように働く人の仕事探し「日本仕事百貨」)

Yさんのおばあちゃん

■昨日は、「北船路米づくり研究会」の第28回「北船路野菜市」でした(この野菜市については、別途エントリーします)。毎年、4月と9月は野菜の端境期で出店はできないのですが、それでも、月1回を28回も続けてこられたというのは、学生たちの踏ん張りと、指導してくださっている農家のご指導があったからだと思います。昼間、丸屋町商店街の大津百町館の前で、地域の皆さんに販売したあと、夕方、大津駅前の居酒屋「利やん」にも野菜を配達しました。すると、お店に電話がかかってきました。

■同僚のH先生のゼミ生であるYさんからの電話でした。おばあちゃんの漬け物を届けるという電話でした。Yさんが、H先生やゼミの仲間と一緒に「利やん」にやってきたたとき、店のマスターMさんに彼女のことを紹介したのでした。Yさんのおばあちゃんは農家で漬け物名人、しかも周囲の住宅地の皆さんとご自分の農産物を通して積極的に交流されている…そういうふうに紹介しました。Yさんは、私が担当している授業を履修していました。そして、Yさんとの雑談のなかで、おばあちゃんのことをいろいろ教えていただきました。Yさんのお宅は、現在では、新興住宅地にありますが、もともとはYさんのお宅や農地の周りが開発されていき、しだいに住宅地になっていったのです。都市部の農業は、いわゆる農地への宅地並み課税ということも含めて、経営が大変です。それでも、おばあちゃんは、「農」を基本においた暮らしのスタイルにこだわりがあって、農業を続けおられるのです。とはいえ、まだ、私自身おばあちゃんにお会いしたことはありません。ぜひおばあちゃんのお話しをお聞きしてみたいと思っています。

■そんなこともあって、私は、Yさんのことを「利やん」のマスターMくんに紹介したのでした。しばらくすると、マスターのMくんは、おばーちゃんの漬け物を食べたくて仕方がなくなりました。私がYさんに漬け物を売ってくれないかとMくんの願いを伝えたのでした。すると、「今年はおばあちゃんが体調を崩しているので売り物になる漬け物はないけれど、皆さんに楽しんでもらえるのであればと、自家消費用の漬け物を少しお分けしてもよいと、おばあちゃんがいっています」と返事がありました。そして、今日、Yさんがお店に届けてくれたのでした。沢庵漬けと瓜の糟漬け。私も、お裾分けのお裾分けをいただきました。とっても美味しかった。Yさんからお聞きした通り、いろいろ手が込んでいるのです。それが、沢庵についてくる糠を細かく見てみてわかりました。いろいろと、工夫されているのです。

■私は、Yさんにおばあちゃんの後を継いでほしいな〜といつもいっています。農業やその農産物加工の販売だけで生活していくのは大変かもしれないので、きちんと外で稼いでくる頼もしい夫をみつけなさい…と(Yさんは女子学生)、今時の大学ではややヤバいこともいっています。その話しをすると、ご近所の皆さんも、Yさんに期待しているとのことでした。そらそうだよな〜と思います。そして、Yさん自身もそのつもりなのです。おばあちゃんの「農」にこだわった、「農」の哲学をもった生き方が、結果として、Yさんに「自分が継がなくては…」という気持ちにさせているのだと思うのです。素敵なことだと思います。

国際家族農業年(IYFF2014)がスタート

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■上記は、FAO日本事務所のサイトの記事です。FAOとは、「国際連合食料農業機関」のことです。この記事のなかで、そのFAOのグラジアノ・ダ・シルバ事務局長は、「我々は、2014年を国際家族農業年と制定することにより、ポスト2015開発アジェンダとゼロ・ハンガー・チャレンジに関する議論と共にミレニアム開発目標に沿った食料安全保障の改善そして天然資源を保全するといった、世界が今日直面している二重の緊急性に対応する上で、家族農家が中心的な存在であることを認識する」と述べています。

以下は、この記事からの引用です。

本国際年を推進する中心的な機関であるFAOを代表して、グラジアノ・ダ・シルバFAO事務局長は、「家族農業以外に持続可能な食料生産のパラダイムに近い存在はない。通常、家族農家とは、特化しない多様な農業活動によって環境と生物多様性を持続的に保全する上で中心的な役割となっている農業を意味する。」と述べた。

彼は、この国際年が対象とするものは、家族農家だけでなく、漁民や牧畜民、先住民の伝統的なコミュニティといった、世界で最も脆弱な人々であることを述べた。

「我々は、国や地域の開発において、家族農業を中心とした計画を実行する必要がある。また、各国政府が支援においてリーダーシップを果たすことで、家族農業の可能性を引き出すことができる。

これには、家族農家の生産性向上を支援する技術支援と方針を提供すること、適切な技術に農民達がアクセスできるようにすること、農民達が土地や水、クレジットや市場へのアクセスできるように改善すること、そして、更なる投資を可能にする環境の構築が含まれる」と付言した。

家族農家団体やネットワーク、国際及び地域機関、民間部門、市民社会、学界を含む誰もが家族農業の可能性を満たす中で果たすべき役割を有していると述べた。

■このようなFAOの主張が、どこまで実現するのかはわかりませんが、とても大切な主張だと思いました。私が参加している研究プロジェクトでは、流域ガバナンス、生物多様性、健全な栄養循環…といったことをキーワードにしていますが、「家族農家とは、特化しない多様な農業活動によって環境と生物多様性を持続的に保全する上で中心的な役割となっている農業を意味する」という部分は大いに共感します。人間と自然環境とを媒介する農業。人と自然環境との関係のあり方、農業を媒介として人と人の関係のあり方。その両者の関係のあり方が交叉するところに、注目する必要があります。そして、社会・文化と生態系からなる複合的なシステムのレジリエンスを維持・強化するという意味においてもとても重要だと思います。

■現代社会では、地球規模で、農業が貨幣経済的な利益をあげることに特化していく強い傾向があるように思います。また、生産された農産物は投資の対象にもなっています。そういった「金儲け」の手段に特化していく農業を、人びとの生活を維持していくために必要な基盤として取り戻すためには、ローカルな家族農家、そしてその家族農家の比較的近くに居住し、様々な意味で生産者である家族農家をサポートできる消費者。両者の相補的なネットワークの構築。そういったこれまでも地道に取り組まれてきた実践が、もっともっと注目されてよいのではないかと思います。「産業の論理」に支配された<大きな農>を政策的強化していくのではなく、「生活の論理」に基礎付けられた<小さな農>をネットワークのなかで育んでいくことに、未来の可能性は存在していると思います。

映画『よみがえりのレシピ』の自主上映会&マルシェ

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■明日、マルシェに出店します。

映画『よみがえりのレシピ』の自主上映会と
大津・滋賀の在来野菜や映画にちなんだ山形の食材が集まるマルシェを旧大津公会堂で行います。

<マルシェ>
『出展者』及び『登場する伝統野菜』決まりました!!
詳細はこちらをご覧下さい。

<トークイベント(無料 16:00~16:45)>
『湖国で生まれ育った野菜あれこれ』by 滋賀の食事文化研究会
 ☆http://shigasyokubunken.com/

<映画>
詳細(チラシ)>>>yomigaeriotsu
開催日: 2014年2月22日(土)13:00~21:30
会 場: 旧大津公会堂(映画:3ホール マルシェ:2F各部屋)
入場料:事前申込1,000円 当日1,200円
  ★事前申込は㈱まちづくり大津へTELもしくはFAXお申し込みください。
   (TEL)077-523-5010(FAX) 077-514-7690
    FAXの場合は、『申込書』 をご利用ください。
映画詳細:http://y-recipe.net/
主催: ㈱まちづくり大津

ドキュメンタリー映画「よみがえりのレシピ」上映会の打合せ

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■昨日は、大津市の農林水産課の職員のIさん、そして龍大で農学部の開設準備にお忙しい教員のF先生や職員のTさんと、夕方、ドキュメンタリー映画「よみがえりのレシピ」上映会の打合せを行いました。この「よみがえりのレシピ」に関しては、昨年の12月11日のエントリー「映画「よみがえりのレシピ」上映会」でもご紹介しましたので、そちらをご覧ください。

20140206yomigaeri1.jpg■上映会の当日は、「大津・滋賀の在来野菜や映画にちなんだ山形の食材が集まるマルシェ」も同時開催されます。ゼミで行っている「北船路米づくり研究会」や「龍谷大学農学部」も、「身近においしい野菜を食べるための取組」として資料展示等を行います。「北船路米づくり研究会」としては、小さな規模ですが野菜販売、環境こだわり米のPR、米づくり研究会の活動紹介、それから研究会の地酒プロジェクトで生まれた純米吟醸無ろ過生原酒「北船路」のお披露目も行う予定です。もちろん、私たちは大津や滋賀で頑張って「農」に関わってこれらた諸団体の皆さんの横のほうで、ブースを出させていただきます。農学部のブースと一緒に情報発信させていただきます。横の写真は、最新版のチラシです。クリックすると拡大します。ぜひご覧ください。

■ところで、打合せなのですが、当初は町家キャンパス「龍龍」で行う予定でしたが、先に使用されているグループがあったため、急遽、開店前の大津駅前の居酒屋「利やん」の宴会場をお借りして行いました…ww。

秘密結社?

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■大津、滋賀の農業を盛り上げるための秘密結社の会合…。そのぐらいの志しを持って、集まりました。…と、冗談っぽく書いてしまいました(^^;;。まじめに書きますね。

■ここは、JR瀬田駅の近くにある「グリーンキッチン」という、契約農家からの野菜を中心とした料理をだすレストランです。昨晩、はじめていかせてもらいました。そして、このレストランで、2月22日(土)、大津市浜大津にある旧大津公会堂での映画上映会「よみがえりのレシピ」に運営に関する会議でした(この「よみがえりのレシピ」については、過去のエントリーをお読みください)。上映会なのですが、それと同時に、大津・滋賀の在来野菜や映画にちなんだ山形の食材が集まるマルシェ(市場)が開催されることになっているのです。以下が、その概要です。

大津・滋賀の在来野菜や映画にちなんだ山形の食材およびそれらの加工品等の紹介と併せて、こだわり野菜の地域内流通に関する取組を紹介することにより、大津市中心市街地における伝統・こだわり野菜の地域内流通モデルについて考えるきっかけ作りを目的とする。

■マルシェには、滋賀県下、大津市内から、様々な農業関係の団体やグループも参加する予定になっています。私のゼミでおこなっている「北船路米づくり研究会」もこのマルシェにブースを出します。また、「農」に関係する他の龍大関係の団体もブースを出す予定になっています。さらに、大津の伝統野菜「近江かぶら」などの料理教室も開催されます。

■最初は、運営に関する議論をしていたのですが、話しはしだいに大きく展開し、みんながいろんな夢を語り始めました。お互いの話しから良い刺激を受けあい、話しが創発的に発展してくのです。こういう会議って楽しいですね。たいていの地域づくりは、最初は夢から始まります。夢を共有しながら、いろんな人の知恵や力が集まり、面白い社会的な事業が展開していくのです。この会議も、映画上映会だけに終らずに、これからも定期的に続けていければよいなと思います。

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米粉パン&米粉ケーキづくり教室

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■昨日は、JR草津線に乗って、甲賀市で米粉パン&米粉ケーキをつくっておられる藤井真知子さんをお訪ねました。ゼミ生であるYさんTさんの2人も一緒です。少し前のことになりますが、Yさんが「米粉パンに関心がある」といったので、「それならば、米粉でパンをつくっている藤井さんという人が甲賀市にいるので、紹介してあげようか」ということになりました。藤井さんにゼミ生のことを伝えたところ、「実際に、米粉でパンやケーキをつくって体験してらおうか」と学生の訪問を歓迎してくださるお返事があり、今回の「米粉パン&米粉ケーキづくり教室」が実現したのでした。

■藤井さんは、元・甲賀市役所職員、政策法務を担当されていましたが、思うところがあり、龍谷大学大学院のNPO地方行政コースに社会人院生として入学されました。私は、このコースに大学院の授業科目を提供していることから、藤井さんも私の授業に顔を出されるようになったのでした。大学院を修了した後(彼女の修士論文は京都府知事賞を受賞しました)、ご家庭の事情で市役所は退職されましたが、農村地域にお住まいであることから、米の粉、米粉を使ったパンやケーキをつくり始められたのでした。そして、それらを核に、地元産の農産物を使った村おこしにも取り組もうと頑張っておられるのです。藤井さんも含めて、その前後のNPO地方行政コースの社会人院生の皆さんとは、年に1回ほど吞み会をしているので、藤井さんが米粉でパンをつくっておられる・・・ということをうかがってはいたのですが、今回やっと実際の米粉パン&ケーキづくりを拝見させていただくことができました。

■トップの写真は、藤井さんのお宅の「パン工房」です。自宅を改造されて、このような「パン工房」をつくられたのです。学生たちは、まず、小麦粉と米粉の見た目や細かさの違い、栄養的な違いについて学び、実際に、シフォンケーキ、パン、ピザ、ロールケーキを藤井さんにご指導いただきながら、つくり始めました(写真のあとに、さらに本文は続きます)。

【米粉シフォンケーキ編】
■この工房には、大きなガスオーブンが2台設置されていました。家庭用ガスオーブンのなかでも、一番大きなものなのだそうです。ちょっと圧倒されました。藤井さんの手際の良さもあって、短時間でどんどん作業が進んでいきました。焼きあがったシフォンケーキは、みずからの重さでつぶれてふわっとした食感がなくならないように、さかさまにして冷まします。このパン粉のシフォンケーキ、夏場であれば、良く冷やしてアイスクリーム添えるとおいしいとのことでした。
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【米粉ピザ編】
■米粉でピザもつくりました。ひとつは、通常のピザ。ちいさなピザパンもつくりました。通常、トマトソースをぬるわけですが、今回は、藤井さんお手製の黒豆の味噌を塗ってみました。味噌とチーズはあいます。そして、味噌と米は当然のことながら相性は抜群なわけです。であれば、肉味噌なども美味しいと思います。また、米粉をつかった「お焼き」などもできるとのことです。なかには、地場産の漬物を入れるとよいですね。
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【米粉パン編】
■焼きあがった米粉パンは、独特の甘みがあります。米がもっている甘味ですね。非常においしかった。ピロシキなんかもできませんかね。
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【米粉ロールケーキ編】
■米粉でつくったロールケーキは、非常にしっとりしています。小麦粉だと作り方や焼き方の加減によっては割れてしまうことがあるのですが、米粉のばあいはそんなことがありません。非常に柔らか。お土産に頂きましたが、自宅の冷蔵庫でよく冷やしてたべると、さらに美味しさが引き立ちました。
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■藤井さんが終了された「龍谷大学大学院 NPO・地方行政研究コース」では、「グローカル通信」というニューズレターを発行されています。そのニューズレター(2010. 11vol.19)に、藤井さんが2006年度終了生として「食をテーマに活動してます」という短文を寄稿されています。

私は、現在、女性が定年後に地域性を活かした社会参加ができないものかと、地産地消や安全安心な食材の視点から、地域のコミュニティの中で特産品の体験講座や米粉を使ったパンやお菓子作りの教室といった活動をしています。
 私が自治体職員を退職するという転機に巡りあわせ、仕事を通して社会参加してきた女性が、男性と同じ定年を迎えるときに、「自分の住む地域で市民として何ができるか」という課題を見つけたことによるものです。私自身の「法務」という研究テーマから離れた分野での活動で、周囲の方は驚いておられますが、このコースで学んだ地域人材への思いが私に自然と流れてきたのかと、そして今も、先生方や修了生の仲間が道標でいてくださると安心しています。

(太字強調は脇田)

■なぜ、政策法務の専門家として市役所に勤務していた藤井さんが、村おこしの活動にはいられたのか。太字で強調しているところをお読みいただければよくわかりますね。男性のばあい、退職後、地域社会でどのように生きていくのかということが、よく問題にされます。「おやじの地域デビュー」といわれる問題です。何十年も組織のなかで働いて、退職後に「役割喪失」してしまう男性たち。様々な領域で経験を積んできた男性が、退職後、地域社会にどのように貢献し(地域社会、そして他者とのつながりをもちながら)、自らの第二のどのように人生を充実させていくのか。高齢社会の日本において大変重要な問題となっています。しかし、このような「役割喪失」の問題は、男性だけのことではないのです。一般的にみて、女性のばあいは、家族の誰かに介護が必要になったばあい、介護するために定年前に退職されることが多いのではないでしょうか。そのばあい、男性とは異なる「地域デビュー」の在り方が必要になるのかもしれません。藤井さんは、そのことを、自らの退職を契機に「発見」されたように思うのです。

■藤井さんのお宅では、県外からやってきた中学生が農業・農村体験するために民泊することがあるそうです。教育旅行ともいわれますが、グリーンツーリズムのひとつのやり方ですね。中学生が楽しそうに体験しているところを写したお手製のアルバムも拝見しました。教育旅行にやってきた中学生たちの思い出のためにと、みずから製作してプレゼントされているのだそうです。藤井さんは、農村のライフスタイルを再評価しながら、村づくりの進む方向性を模索されています。また、今回の続きのお話しを伺ってみたいと思います。

映画「よみがえりのレシピ」上映会

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■今日は午後から「大津エンパワねっと」の運営委員会を終えたあと、町家キャンパス龍龍に移動しました。大津市役所農林水産課の職員の方から、映画「よみがえりのレシピ」の上映会&関連イベントに関するお話しを伺いました。来年の2月22日(土)、旧大津公会堂において映画『よみがえりのレシピ』の上映会が開催されます。あります。詳しくは、こちらをご覧いただきたいのですが、少しだけ紹介させていただきます。

【製作意図】
在来作物は何十年、何百年という世代を超え、味、香り、手触り、さらに栽培方法、調理方法を現代にありありと伝える「生きた文化財」である。しかし高度経済成長の時代、大量生産、大量消費に適応できず、忘れ去られてしまった。社会の価値観が多様化する現代に、足並みを合わせるように在来作物は、貴重な地域資源として見直されている。在来作物を知ることは、食と農業の豊かな関係を知ることにつながる。地域に在来作物がよみがえり、継承されていく姿は、豊かな食を味わい、楽しむ姿であり、地域社会の人の絆を深め、創造する姿である。この動きを日本全国、さらには世界中で起きている食や農業の問題への処方箋(レシピ)として、伝えていきたい。

【あらすじ】
栽培者自身が種苗を管理し守ってきた在来作物(ざいらいさくもつ)は、世代を超えて地域に受け継がれてきました。しかし品種改良された作物より収量が少なく、病気にも弱いことから市場で評価されず、多くは消失してしまいました。そんな時代に独自の料理法で在来作物の存在に光を当てた“山形イタリアン”「アル・ケッチャーノ」の奥田政行シェフ。野菜の個性的な味・食感・香りを生かした料理には、新鮮な魚介や肉と、地域の風土や物語も盛り込まれます。また焼き畑農法を研究する江頭宏昌先生は「ここにしかない価値」を秘める在来作物が地域再生の起爆剤になると確信しています。さらなる主役は、手間を惜しまず種(たね)を守り続ける農家の人たち。その笑顔と心意気を感じることで、何気ない日々の生活が少しだけ違って見える、そんな魅力が『よみがえりのレシピ』には溢れています。

■とっても興味深い映画です!! 「種を守り続ける人々がいる」、「自然の循環の中で養ってきた」、「豊かな知恵と技」、「人と人のつながりを取り戻し」、「再びよみがえるコミュニティ」・・・。心にグググッときますね。「北船路米づくり研究会」のメンバーの皆さん、ぜひ上映会にまいりましょう。龍大農学部の関係者の皆さん、これは観ないとだめでしょう~。 この上映会には、イベントも同時に開催されます。トップの画像、今回の上映会のチラシなのですが、以下のように書いてあります。

「この映画を大津市中心市街地のシンボリックな建築物である旧大津公会堂で上映し、『大津・滋賀の在来野菜や映画にちなんだ山形の食材が集まるマルシェ』・『トークイベント』・『料理教室』を行うことで、在来野菜のおいしさ、歴史文化的、生物学的な価値を伝えるとともに、身近に大津・滋賀の在来野菜が食べられるような環境づくりへの一歩を踏み出せればと考えています。」

■「北船路米づくり研究会」の皆さんはもちろんのこと、身近な「農」に関心をお持ちの知人・友人の皆さんにも呼び掛けて、このイベントに参加できればと思っています。近いうちにご相談にあがらせていただきますからね~。

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