小さな自然再生 ビワマス魚道を設置して地域を盛り上げよう!!


▪️滋賀県立琵琶湖環境科学研究センターの佐藤祐一さんによるFacebookへの投稿です。本当に残念、この事業が開催されるのは木曜日なんですね。土日でないと参加できません。定年退職したら、こういう活動にも参加できるのかなと思います。どんな感じになるのでしょうね。楽しみです。ただし、75歳になったら運転免許を返納する予定なので、時間は限られています。しかも、健康に生きていることを前提にしています。

▪️こういった様々な環境に関わる市民活動で、理事長をしている特定非営利活動法人「琵琶故知新」が発行するデジタルポイント、「びわぽいんと」が、いつか使われるようになって欲しいと思っています。ポイントの「贈与」を通じて、活動間のつながりや連帯がネットワーク化していくことを夢見ています。

安曇川河辺林で竹林整備

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▪️昨日は、朝から車で高島市の新旭町にある綾羽工業株式会社に向かいました。綾羽さんが所有されている安曇川の河辺林の中にある竹林を、市民の手で整備していく活動に参加するためです。高島市の竹林ですが、長浜、米原、東近江からも参加されてました。主催は、「たかしま市民協働交流センター」です。この交流センターの職員である坂下靖子さんには、これまでも龍谷大学の学生さんたちの指導で大変お世話になってきました。そのようなつながりの中で、「この竹林整備の活動に参加しませんか」とお誘いいただいたのです。今回で2回目の参加になります。前回は、関心のありそうな人に呼びかけて、集まった方達で、こんな竹林にしたいね、こんなことしたいねと、ワークショップを行いました。

▪️昨日は、あいにくの雨でした。整備作業はできませんでしたが、室内で講師の方から「竹林整備時における安全について」「竹の種類とその特性」について学びました。すごく情報量の多い濃い講義でした。講師は「里山実験室HareMori」を主催されている山本綾美さんです。講義の冒頭、山本さんは、このような話をされました。竹に関して最近は「竹害」がよく話題になります。でも、竹はかつて重要な資源でした。筍を味わうこともそうですが、重要な建築資材でしたし、身の回りの籠などの道具を作る際にも大切な材料になりました。以前は、竹林に「出口」(様々な竹の利用)があったのですが、今はそれが無くなってしまった結果、竹林には手が入らず、迷惑な植物になってしまったわけです。竹そのものが迷惑な存在なのではなく、人間の社会のあり方が変化してしまったことの結果、「有用」な植物から「迷惑」な植物になってしまったわけです。

▪️3段目の写真・左ですが、黄色いのは、ポイズンリムーバーです。竹林整備の際に、蜂に刺されたりした際の応急処置に使います。これで毒を吸い出すのです。黄緑のものは、ダニに食いつかれた際に使用するダニトリスティックです。両方とも使わないことが一番望ましいわけですが、今回の竹林作業には用意しておいた方が良いかと思いました。オオスズメバチは、土の中に巣をつくります。気をつけないといけまん。ダニも怖いですね。ダニが服と身体の隙間に入ってきても何も感じないのだそうです。で、ふと気がつくと柔らかい皮膚のところに変なイボのようなものができているなと思ってよく見ると、それがダニだったということがあるのだそうです。マムシもいますしね。講義の最初から、ちょっとビビってくる内容でした。私はよく蚊に刺される体質なのですが、これも気をつけなくてはいけません。「太巻き」の蚊取り線香で対応します。11月に入ると蚊もいなくなるらしいですが…。

▪️3段目の写真・右。竹の皮です。プラスチックが出てくる前までは、肉屋さんで肉を買うと竹の皮に包んでくれました。今は、竹の皮風のプラスチック製の皮に包んでくれるだけですけど、昔は本物の竹の川でした。昔は、竹林をお持ちのお宅ではねこの竹の皮も黴ないようにきれいに保存しておかれたようです。業者さんが買い付けに来られていたという話も、昨日、お聞きしました。竹林が整備されたら、この竹の皮も有効利用できたらいいなと思います。

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▪️講義の後は、雨の中、綾羽工業の敷地にある竹林の状況を見学して、現地でも山本さんからご指導いただきました。竹林整備にあたって、知っておかなくてはいけないことが山ほどありました。昨日の講義だけでは、老人の頭の中にはきちんと整理されて入ってきません。これから、少しずつ勉強していきます。これからの竹林整備、まずは枯れた竹林の整備から始めることになっています。花が咲いて枯れた竹林です。どのような竹林にしていくのかで、整備のやり方は違ってくるとのことです。もし、竹林を残していくのであれば、4段目右の写真で、講師の山本さんが説明されているササのような葉を残さなくてはいけません。このササのような葉は、根から伸びてきているものです。これを刈ってしまうと、竹林は再生しません。竹に関する知識を一通り身につけられたら、いいなと思っています。それから、整備が順調に進捗したら、竹林の「出口」(活用法)をたくさん見つけられたらいいなと思っています。

▪️昨日は雨が降っているせいもありますが、とても肌寒い日でした。帰宅時の車では、ヒーターをつけました。これから秋が深まっていくのでしょうね。

最近の「仰木地域共生協議会」のこと

理事長をつとめる特定非営利活動法人「琵琶故知新」では、現在、1000年の歴史をもつ農村・仰木の皆様や、その仰木に隣接する新興住宅地・仰木の里の関係者の皆様と共に、農水省の補助金(農村RMO)をいただきながら「仰木地域共生協議会」を立ち上げました。生産者(農家)と消費者(住宅地住民)が連携・協力しながら、仰木の農業を持続可能にし、耕作放棄地を有機農業を行う農地に再生していくことを目指します。この協議会の運営につきましては、NTT西日本滋賀支店からもご協力とご支援をいただいています。
先日のことになりますが、9月21日~23日、仰木の棚田で生産された新米が、仰木の里の皆様に販売されました。その時のことが、「仰木地域共生協議会」のブログで報告されています。米価の高騰のなか、農家の側も消費者の側も満足できる金額で予約販売されました。確保した1.5トンの枠を超える事前申し込みがあったので、抽選のうえで300名ほどの方にお届けすることができました。現在、協議会では将来ビジョンを作成中ですが、今後、さらに様々な取り組みを開始して、両地域の皆さんの交流が深まっていくことを期待しています。

中学校の「部活動の地域移行」

▪️大学吹奏楽部の部長をしていましたし、今は近江八幡市教育委員会の点検・評価委員を務めていることもあり、中学校の部活動、特に吹奏楽部の「地域移行」のことが気になっています。いろいろ調べていたからでしょう、Googleが「地域移行」に関連する記事を探してきて見せてくれるようになっています

▪️「部活動の地域移行」とは、「学校の部活動を地域が主体となって運営するクラブ活動に移行する取り組み」のことです。文科省の方針です。部活動の顧問されている先生たちの激務、大変ですよね。教員も、ワークライフバランスをきちんと考えていく時代になっています。ということでの、文科省の方針です。ただ、それぞれの地域には地域固有の事情や条件があり、全国一律にというわけにはなかなかいかないのかなと思います。「地域移行」するにしても、それぞれの自治体で工夫を重ねて、段階を踏まえないとうまく行きません。でも、地域移行できずに、廃部になっていく吹奏楽部もたくさんあるでしょうね。吹奏楽部の活動を

維持するためには、指導者の問題に加えて、経済的な問題も非常に重いのです。

▪️地域に移行すると、学校や教育委員会ではなく、基本、保護者が経済的な負担をしなくてはいけません。楽器の購入、メンテナンス、コンクールへの参加に伴う輸送代、バスの借り上げ…。もちろん、自治体からの補助金もあるとは思いますが、経済的な負担の多くは保護者になります。そうすると、負担できる保護者と、それは絶対に無理という保護者がおられるのではないか思います。子ども:「吹奏楽部に入りたいのだけど、これだけの年間の負担がいるんだって」、保護者:「そうなんか、ごめんね。我が家ではとても無理やわ」。そういう家庭もきっと出てくると思います。そうなると、中学校の部活動においても「体験格差」が生じることになるのではないかと思います。

▪️とはいえ、記事の最後の部分、大切かなと思います。

「これまでは、学校が部活をやってくれて当たり前だったし、そこに先生に払う講師料などがあったわけでもなく、ある程度専門的なことも教えてもらえて“当然”みたいな感じでいた」
「むしろ今後は、私たち地域側が意識を変えて『協力していく』という体制を作らないといけない…」

地域それぞれにの課題から、部活動の『地域展開』がスムーズに行かないケースもありそうですが、学校や保護者だけではなく『地域の子どもたちは地域で育てる』という意識の広がりこそが、子どもの活動場所を狭めないための第一歩となりそうです。

▪️「地域の子どもたちは地域で育てる」というのは、「自治の精神」を涵養していくということなのでしょう。自治って、まちづくりと言い換えてもいいかもしれません。「まちづくりは人づくり」とも言いますからね。こうやって、地域の大人に指導をしてもらいながら、また応援してもらいながら、部活動に取り組んだ経験が、子どもたちにとって意味のある経験になってほしいと思います。そして、将来、こういう「地域移行」による「アウトカム」が地域にとってもプラスになってほしいと思います。

▪️付け加えることになりますが、こういう記事もありました

カンテレNEWSで報道された「革靴をはいた猫」


▪️「革靴を履いた猫」を経営している魚見航大さんから、この動画のことを教えていただきました。ありがとうございました。魚見さんは、この会社を学生の時に起業されました。ちなみに、龍谷大学の政策学部を卒業されています。こちらの会社では、様々な困難を抱えた方達を社員に迎えておられます。そして、それぞれの社員の方達が成長というのかな、元気になっていかれているんですよね。とっても素敵なことだなと思います。以下は、この動画の概要です。

京都市中京区にあるちょっと変わった「靴磨き」店。
その名も「革靴をはいた猫」 通称“革猫”。

【革靴をはいた猫・代表】「障害のある方だとか、引きこもりの経験がある方がお客様の目の前で靴を磨いたり、修理したりしてお客様に喜んでもらいながら職人自身も成長していくというコンセプトで会社を立ち上げました」

誰もがチャレンジできる優しい店を目指しています。

そんな”革猫”の新メンバー・木村昇平さん(37)は元警察官。

働き盛りのときに発達障害が発覚し休職。どうやって生きていこうか、悩んだときに出会ったのが「靴磨き」でした。

▪️昨日のことになりますが、魚見さんと少しだけネット上でやり取りしました。魚見さんは、「皆さんに伝わる形で発信できる機会をいただけてよかったです!」と感じておられるようです。大学の後期のことになりますが、魚見さんの「革靴を履いた猫」を、1回生の「基礎ゼミナールB」の学生の皆さんと一緒に訪問する予定になっています。ちなみに、魚見さんとは飲み友達でもあります!!

政治は、女性たちの気持ちや考えに向き合えているのか。

▪️「「人口を増やすのは不可能…」人口流出が止まらない地方…なぜ若い女性は東京を目指すのか?女性の本音に迫る 新潟」という記事を読みました。たまたまこういう記事を読んだわけで、あくまで本人としては「たまたま」なんですが、普段からこういう記事を気にして読んでいるから、次々に出てくるようになっているのでしょうか。「フィルターバブル」というらしいですね。それともかく(でもないんだけど…)、記事では、新潟大学を卒業して東京圏で就職した若い女性と、新潟県の高校を卒業後、千葉大学に進学し、そのまま東京で就職・結婚、14年間の会社員生活を経て新潟にUターンし起業された女性が登場します。

▪️記事の最後には、前者の若い女性が次のように語っておられます。「「なぜ若い女性は東京を目指すのか?」この問いにSさんは、「もちろん東京は企業の数が多いので、自分のやりたい仕事を求めて東京に出ていくことはあると思う。でもそれだけではなく、就職のタイミングで県外に出ても地元がある。戻る場所がある。その安心感があるからこそ、できる挑戦なのかなとも思う」と柔らかに語った」。「戻る場所がある」。地元は人生のセーフティーネットなんですね。地方の人口減少、そして人口の東京一極集中の問題に対して、政治は、このような女性たちの気持ちや考えに向き合っているでしょうか。

▪️ こういう記事も読みました。「“若者の経済不安”解消せず、子育て支援偏重 政府のズレた「少子化対策」がもたらす“最悪の未来”」です。この記事にある「優先順位を考えると、まず手を付けるべきは「子どもを持ちたいと思える経済的環境・社会的環境」の整備であることは言うまでもありません」という指摘を前提にするのであれば、多くの自治体で取り組まれている「子育て支援策」は、政策的な順位が違うということになります。「子育て支援」があるから、結婚して、子どもを持とうとは思いませんからね。

▪️もうひとつ。「「地方創生」10年かけて「地方衰退」人口減少や東京一極集中招いた理由」。この記事では、こんなことが書かれていました。「女性の活躍を巡る議論で、よく使われる言葉に「地域を(補佐的に)支える存在」「ケアの現場を支える人材」といった表現があります。けれど、今必要なのは、女性を「支える側」としてのみ語るのではなく、地域の未来を動かす主役の一人として見る視点です。」「これまで行政の評価は、「〇〇を何件改善した」「△△の数を増やした」といった「改善の数値化」が中心でした。でも、実際に地域に暮らす人にとって大切なのは、「暮らしが良くなっていく希望が持てる」「安心してこのまちで年を重ねていける」といった実感ではないでしょうか」。最後の「希望が持てる」「年を重ねていける」という部分、非常に大切だと思います。

「安曇川の河辺林 2024年夏~2025年春 小動物と生きもの調査報告会」

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▪️今日の午前中、「安曇川の河辺林 2024年夏~2025年春 小動物と生きもの調査報告会」というイベントに参加してきました。この安曇川の河辺林は、綾羽工業さんの敷地内にあります。ただ、人の手が入らず、この河辺林には、ものすごい数の鵜が巣を作っています。巨大なコロニーが生まれているのです。鵜の数が多すぎて、その糞が河辺林の植物に大きなダメージを与えているようです。また、近隣の住宅の皆さんも困っておられるとのことでした。

▪️今日は、このような河辺林の状況を調査をされてきた滋賀県琵琶湖環境科学研究センターの研究員の方達を中心にプロの方達から、植物や生き物に関しての報告が行われました。糞害でダメージを受けながらも、たくさんの動植物が確認されていました。動植物の報告の後は、河辺林の航空写真を眺めながら、これからどんなふうに整備していくのか、夢を語り合いました。楽しかったです。水辺環境を活かして、木道を設置してはどうかとか、枯れた竹を竹チップにして再利用してみてはどうかとか、いろいろアイデアが出てきました。この河辺林を復活させる活動は、鵜が飛び立った秋からのようです。

「仰木地域共生協議会」設立総会

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▪️本日、3月16日午前10時半より仰木支所の会議室で、「仰木地域共生協議会」の設立総会が開催されました。以前このブログで報告した段階と少し団体名に変更がありました。仰木・地域共生・協議会と、「・」で区切ってご理解ください。この協議会には、「一般社団法人 仰木活性化委員会わさいな仰木」、「仰木学区まちづくり協議会」、「仰木を守る会」、「有機農業クラブ」、「仰木の里学区まちづくり協議会」、私が理事長をしている「特定非営利活動法人 琵琶故知新」、「仰木い〜とこ会」、そして「NTT西日本滋賀支店」が参加しています。会長は、直売所を運営する「一般社団法人 仰木活性化委員会わさいな仰木」の会長でもある堀井登さんです。そして、農村地域である仰木の各種団体だけでなく、新興住宅地の団体の会長さんも理事に就任されました。「仰木の里学区まちづくり協議会」の林勉さんです。理事は全員で5人、私も理事の1人です。そしてNTT西日本滋賀支店の皆さんは、支店のある地域の社会課題の解決に貢献しようと大変前向きに、私どもの琵琶故知新と一緒に事務局的な役割を果たしてくださっています。いつも、ありがとうございます。

▪️ 仰木に限ったことではないのですが、中山間地域から農家の高齢化や後継者不足、また農業の先行きの不透明さ等により農業から撤退するなどを原因として荒廃農地が増えています。この「仰木地域共生協議会」では、有機農業によって①農地の保全に関する事業を進めていきます。それ以外にも、②地域資源の活用に関する事業、③生活支援に関する事業、④その他目的達成に必要な事業に取り組んでいきます。耕作が放棄された荒廃農地を活用した有機栽培・有機果実の栽培を通じて、仰木に隣接する新興住宅地仰木の里を含む地域住民の皆さんや多様な主体が世代や分野を超えて繫がり、関係人口が増え、お互いに支え合う地域づくり(地域共生)に寄与することを目指していきます。

▪️このブログでも報告してきましたが、先行的に、すでに一部の耕作放棄地を除草し、JAŚ有機のやり方で有機野菜の栽培を始めています。定年退職後は、この事業に深く関わっていくことになるような気がしています。協議会の中には、個別のテーマごとにワーキンググループを作って事業を推進していく仕組みがあります。そのようなワーキンググループに、若い世代の方達に参加していただきたいなと思っています。これは私の勝手な妄想ですが、この有機農業による地域共生の取り組みがきっかけとなり、新規就農するような方達が出てくるとなおのこと素敵だなと思っています。

▪️トップの写真は、今日設立総会を開催した仰木支所の前から撮ったものです。棚田が見えますが、これは仰木の農地の一部です。荒廃農地は別のところにあります。農作業がしにくい不便な場所が多いと思います。写真の棚田の向こうに見えるのが、新興住宅地の仰木の里です。この仰木の里以外にも、いくつかの新興住宅地が連なっています。その向こうに見えるのが、琵琶湖の南湖です。南湖の向こうは守山市になります。

平和堂財団夏原グラントの一般助成2年目のプレゼンテーションと選考会議

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▪️昨日は、平和堂財団夏原グラント一般助成2年目の14団体の皆さんによるプレゼンテーションと選考会議が行われました。場所は、浜大津明日都の「大津市ふれあいプラザ」です。多くの団体の皆さんから活動報告をお聞かせいただき、毎年のことながら、選考委員としてとても勉強になりました。また、いくつかの団体のお話をお聞きして、とても元気が出てきました。これからの世界、先行きの見えない暗い世の中なのですが、そのような中でも「うん、そうだよね」と未来に希望を持てるようなお話でした。ありがとうございました。いくつか感想を。

▪️「伊吹山三合目 豊かな植生を守る獣害防止金属柵設置事業」は、行政と連携しながら活動されていますが、鹿の獣害から貴重な植物を守るために金属柵を設置したいと、その費用だけに特化した申請を夏原グラントにされています。夏原グラントの一般助成は3年間になりますが、2024年から3年計画で、これまでの化繊のネットを金属柵に取り替えていかれます。すごくわかりやすい、そして緊急度の高い取り組みだと思います。

▪️それから、京都の北にある京北町での「21くろやま塾の活動」。この取り組みも素敵だなと思いました。30年近く続いているとのこと。そうすると、子どもの頃に参加していた方が、京北町ではなく京都市で暮らしていても、イベントの時には子どもを連れてやってこられるのだそうです。また、Iターンの人たちも増えてきているようです。そして、夏原グラントの助成を受けたことで、活動そのものを多くの皆さんに知っていただき、社会的信用も増して、自分たちの事業を計画的に行うことができるようになったというのです。助成を受けることで、団体としてエンパワーメントされたわけですね。

▪️もうひとつは、「地域のみんなで『十禅寺川いきもの調査隊』」という取り組みです。十禅寺川というの、草津市内を流れる川です。生き物大好きな一人のお母さんが、ママ友3人を誘ってチームを作り、暮らしている地域の十禅寺川で、地域の子どもたちと一緒にいきもの調査をやっておられます。生物の研究をする大学院生、環境教育の専門家、博物館の学芸員といった専門家のサポートも受けておられます。いきもの調査だけでなく、ゴミ拾いも行うので、地域の方たちも喜ばれていると言います。生き物観察と合わせて参加者が清掃活動を行うことで、安心して川に入ることができる環境づくりを行っておられるのです。面白かったのは、比較するために甲賀市の棚田に行った時のことです。生物相が違うということよりも、棚田に関わる地元の大人の皆さんと、自分たちが暮らす地域の大人との違いに、お子さんたちが驚かれたということです。棚田の保全に取り組んでおられますから、市街地との差が出てくるのでしょう。でも、「十禅寺川いきもの調査隊」の調査結果が、地域で広く共有されると、身近な河川である十禅寺川に関心を向ける方達が増えてくるかもしれません。一般に、人びとが関心を失った環境から、劣化していく傾向が高まります。この活動がどのように成長していくのか、楽しみです。

「ユウスゲと貴重植物を守り育てる会」の「四手井綱秀記念賞」受賞

▪️平和堂財団・夏原グラントの選考委員をしています。京滋地域で環境保全に取り組む団体の活動に対して助成をおこなっています。このたび、その夏原グラントから助成をさせていただいた高橋滝次郎さんたちの「ユウスゲと貴重植物を守り育てる会」が、関西自然保護機構の「四手井綱秀記念賞」を受賞されました。おめでとうございます。

▪️高橋さんたちのグループは、伊吹山の貴重な植物を鹿の食害から守るために長年にわたって活動をされてきました。ところが、鹿の食害で植物が食べられるだけでなく、そのことを原因として、とうとう麓の集落に土砂が流れ込む土砂災害まで発生してしまいました。草がなくなったために、降った雨がどんどん勢いよく斜面を流れていくのです。それが麓の土砂災害にもつながっています。もうひとつは、これまで冬の寒さによって毎年一定数が死んでいたのですが、温暖化によって積雪量が減り、越冬しやすくなっているようです。また、近年、駆除するハンターが減少し、周辺の山から伊吹山に流入してくるなどして、シカが増えているのだそうです。こちらにNHKのニュースの中で解説されています。このニュースによれば、1㎢あたり5頭が適当な頭数であるところ、伊吹山ばあいは60頭もいるようです。びっくりします。

▪️以下は、高橋さんのfacebookへの投稿です。友達限定の投稿ではないので、シェアさせいただくことにしました。このご投稿にも書かれておられますが、「先輩方から引き継いだ伊吹山での環境保全活動などをまとめたもので、地元の先輩方や一緒に活動する仲間たちのお陰なのです」とのことです。高橋さんも含めて伊吹山を「故郷の山」として大切に思っておられる方たちが、楽しみながら活動されきたようです。高橋さんは、じつにたくさんの花の名前をご存知です。幼い頃から伊吹山に親しんでこられた、「故郷の山」とは言い換えれば「うちの裏山」なんだと思います。だからこそ、活動の主体性や責任感のようなものが生まれてくるのではないでしょうか。しかし、鹿の食害が予想できないスピードで伊吹山が壊れていっていいます。こうなると行政による土木工事や、プロによる大規模な鹿の駆除も必要になります。ということで、「今後も関係機関とともに」と書かれているのだと思います。

▪️この受賞について夏原グラントの事務局や、平和堂財団の常務理事にもお伝えしました。とても嬉しいです。受賞されたことをお伝えした常務理事さんからは、「助成先がこの様な名誉ある賞を受賞された事は嬉しい限りです」とのメッセージもいただきました。関係者としても、高橋さんたちの受賞を誇りに思っておられるのではないでしょうか。

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