ロシア国営テレビ放送中に「反戦」の訴え


■毎日、ロシア軍のウクライナへの侵攻に関する報道、Twitterからの情報に注目しています。多くの皆さんも心を痛めつつ注目されているのではないかと思います。そのような様々な報道や情報において、ウクライナの状況はもちろんのことですが、ロシア国内の反戦運動にも注目が集まっています。ロシア政府は、このような反戦運動を法律や警察によって抑え込もうとしているのですが、昨日の朝、Twitterを通してこのような動画をみてとても驚きました。

■すでに国内でも詳細に報道されています、簡単に説明すれば以下のとおりです。ロシア国営の看板ニュース番組「ブレーミャ」で、キャスターの後ろに、このテレビ局で編集担当者として働く職員であるマリーナ・オフシャンニコワさんが、「戦争反対 戦争をやめて。プロパガンダを信じないで。あなたはだまされている」と書いたボードを持って飛び込みました。その様子が、数秒間放送中に流れたのです。すぐに逮捕されたようですが、逮捕覚悟で、情報統制されているロシアの状況に風穴をあけようと果敢に実行されたということなのでしょう。特に、インターネットやSNSによって世界からの情報の入りにくい高齢者の皆さん、また国営テレビのニュースだけを頼りにされている方たちへに向けたものでしょう。どうしてこのようなことができたのか、放送局の中に、オフシャンニコワと同様に戦争に反対の考えを持った仲間の職員の方達がおられるのかどうか、その辺りも気になります。

■マリーナ・オフシャンニコワさんご自身、この反戦の訴えの前に、インターネット上にご自身の見解をアップされていました。この動画の中で、ロシアのジャーナリストとしてこれまでの自分自身の行為について厳しく反省されています。

こちらには、その全文が掲載されています。 その一部だけを引用しておきます。

「残念ながら私は過去何年もの間、『第1チャンネル』でクレムリンのプロパガンダを広め、今はそれをとても恥じている。テレビ画面を通してうそを伝えることを許してきた自分を恥じている。ロシアの国民がだまされるのを許してきたことを恥じている。すべてが始まった2014年、クレムリンがナワリヌイ氏を毒殺しかけたとき、私たちは抗議集会に行かず、この非人間的な政権をただ黙って見ていた。そして今、世界中が私たちに背を向けている。」

■ここでオフシャンニコワさんが述べておられることは、ロシアに限った話ではないように思います。どの社会でも、彼女が指摘しているように、「ただ黙って見て」いるうちに、社会全体が悪い方向にじわじわと向かっていくのです(もちろん、何が悪いことなのか、人によって違うと思いますが…)。そして独裁者・権力者の頭の中の妄想・幻想の黒い渦のなに、その国の、そして、場合によっては世界の市井の人びとの人生が飲み込まれていくわけです。「ただ黙って見ていた」のは、ロシアの市民の皆さんだけではないように思います。

管理者用