大館駅の「鶏めし」

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■先々週の金曜日のことになります。朝、始発の電車と飛行機に乗り、青森空港から秋田県の大館市に向かいました。龍谷大学吹奏楽部が、翌日の土曜日に開催された「全日本吹奏楽部コンクール」(大学の部)で演奏して金賞を受賞したのですが、そのための最後の調整を大館市のホールで実施したためです。大館市に到着したのは、ちょうど昼食時だったので、伊丹空港から同行してくださった副部長のお2人(龍谷大学事務職員で吹奏楽部OB)と一緒に駅の近くの食堂「花善」で昼食を摂りました。その「花善」の2階が、展示室になっていたので、少しのぞしてみることにしました。こちらの「花善」は、有名な駅弁「鶏めし」を大館駅で販売されていたようです。展示室の壁は「特急あけぼの」。副部長のお2人と一緒に撮った写真はちょっと不気味ですかね。

■ところで、この「鶏めし」、大変有名な駅弁のようです。「花善」さんのホームページには、次のように書かれています

先代社長が戦後まもなくの頃、物資不足から、配給が米・砂糖・醤油・ゴボウしかなくまとめて炊いてみたことから、その味が好評を得て原型が生まれました。のち昭和22年に商品化する際に、昭和10年代に販売していたキリタンポ弁当の売れ残りの鶏肉を、甘辛く煮付けて賄い食としていたことを思い出し、ご飯と合わせることにより当時80銭で販売を開始しました。

その後パッケージや容器等は、時代に合わせ変更致しておりましたが、頑に味付けだけは守り通し、現在の形に至っております。余談として、昭和30年大館駅前地区が大火によって全焼し、仮設テントにて鶏めし弁当を作っていた際に、その香りから列ができ、お膳で召し上がって頂いたことから、食堂部門を設立し、鶏めし御膳を提供していくきっかけとなりました。

こちらの記事では、八代目社長の八木橋秀一さんが、自社の経営理念を語っておられます。とても興味深いですね。売れるならば、できるだけたくさん売ろう…とはされずに、一日5000食を上限にされています。また、関東圏での販売をおやめになりました。それはなぜか、以下が理由です。

おかげさまでたくさんの方に食べていただいていますが、じつは、うちは今「売りたくない」路線なんです。

——売りたくない? それはどういうことでしょう?

うちは最大5000食を製造するんですが、それ以上は、自分たちには分不相応だと考えています。
というのも、うちは全て手売りなんですよ。手売りというのは、間に問屋を入れずに直接販売すること。お店へは、すべて自分たちで納品しています。誰が売っているか見えないのが嫌なんですよ。それができる範囲となると、今の数が限界なんです。

じつは、東京、大宮、上野など、関東での販売は全て辞めたんですよ。

——え! それはどうしてですか?

首都圏の市場がつまらないと感じてしまって。価格の叩き合いなんですよね。でも、マーケットが小さくなって行くなかで、みんながそこにくい込んでいったらビジネスになりませんよ。それに大館の駅弁がどこにでも売っているというのにも違和感があります。

——確かに、今は全国の駅弁がどこでも食べられますね。

それで、関東での販売を辞めたんです。でも、秋田へ来て食べてくださる方へは、全力で対応させていただきます。例えば、うちは旅行会社向けには、1個からでも配達しているんですよ。一般的には少ない数では配達しないところが多いんですが、うちは行くんです。秋田まで来てくれて、この駅弁を食べたいって言ってくれてるんだから。「ここに来た方は絶対に逃がさない!」とね(笑)。

■八木橋社長、とても大切なことを語っておられるように思います。消費者は大切にするけれど、消費者には媚びない。顔の見える関係を大切にする。量を拡大するのではなくて、質を大切にする…。地域再生やまちづくりを考える上で、とても大切なことのように思います。「花善」さんは、関東圏からは撤退されていますが、関東圏を飛びこえてフランスのパリに出店されています。また、地域の学校給食でも鶏めしを食べてもらう機会を作るなど、いろいろ面白いアイデアで経営されています。刺激をいただきました。

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