「生物多様性しが戦略の中間評価」

20180215biodiversity.png ■「生物多様性基本法」という法律があります。この法律に関して、環境省は、以下のように解説しています

生物多様性基本法は、生物多様性の保全と持続可能な利用に関する施策を総合的・計画的に推進することで、豊かな生物多様性を保全し、その恵みを将来にわたり享受できる自然と共生する社会を実現することを目的としています。平成20年5月に成立し、同年6月に施行されました。 本基本法では、生物多様性の保全と利用に関する基本原則、生物多様性国家戦略の策定、白書の作成、国が講ずべき13 の基本的施策など、わが国の生物多様性施策を進めるうえでの基本的な考え方が示されました。 また、国だけでなく、地方公共団体、事業者、国民・民間団体の責務、都道府県及び市町村による生物多様性地域戦略の策定の努力義務などが規定されています。

■この「生物多様性基本法」に基づいて地方公共団体・自治体が策定する、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する基本的な計画、それが「生物多様性地域戦略」になります。この地域戦略については、「生物多様性基本法」や「生物多様性国家戦略」の中でも、その策定を推進して行くことになっています。滋賀県でも、2015年に「生物多様性しが戦略」が策定されました。以下は、この地域戦略を策定するまでの経緯について、担当する滋賀県琵琶湖環境部自然保護課では以下のように説明しています

滋賀県では、生物多様性の保全や持続可能な利用をめざした取組を推進するため、平成25 年度(2013 年度)と平成26 年度(2014 年度)の2年間をかけて、「生物多様性しが戦略」の策定を行ってきました。この戦略を策定する過程から多くの県民の皆さんに参加していただくため、平成25 年度(2013 年度)には、希少種保全、外来種対策、里山里地里湖、観光、事業活動など11 のテーマでワーキンググループを開催しました。また、平成26 年度(2014 年度)には、県内6か所でタウンミーティングを開催し、議論や意見交換を行い、平成27年3月に「生物多様性しが戦略」を策定しました。

■私は、この説明にあるタウンミーティングにファシリテーターとして参加しました。また、その戦略の内容を検討する「滋賀生物多様性地域戦略策定に係る専門家会議」にも委員として参加しました。国の法律や施策に方向付けられての策定ではありますが、様々なワーキンググループに参加された多様なお立場や考えの委員の皆さんのご意見が反映された、「滋賀県らしい」地域戦略になったように思います。滋賀県内の地域社会では、「守り」という言葉が使われてきました。例えば、「山の守りをする」「田んぼの守りをする」というような使い方をします。この「守り」という言葉を、この滋賀県の地域戦略では「人が自然を管理するという人間中心の考え方ではなく、自然の状態をよく見ながら、自然本来の力にゆだね、人間は必要な手を加える」というふうに捉えています。「自然を人の所有物として自由に扱うのではなく、預かったものと捉え、責任をもって次の世代に引き継ぐこと」が重要になってきます。滋賀県の「生物多様性しが戦略」では、この「守り」という言葉を大切なキーワードにしているのです。

■先日のことになりますが、自然保護課から、「生物多様性しが戦略の中間評価」がネット上にアップされたとの連絡が入りました。私は、策定時の専門家会議の後、「生物多様性しが戦略推進専門家会議」の委員に就任しました。この会議で、私たちは委員は中間評価について議論を行ってきました。「生物多様性しが戦略」では、平成62年(2050年)に向かって「滋賀らしい『自然とのかかわり』のあり方を発展させることにより、生きものと人とが共存し、自然の恵みから生み出される多様な文化が展開する社会が実現されている」ことを長期目標にしていますが、その長期目標のもとで、 平成32年(2020年)に向けての行動計画では3つの短期目標が設定されています。

行動計画
短期目標1 : 生物多様性の危機に対して、緊急の取組が実施されている。
短期目標2 : 社会経済活動における生物多様性の保全・再生への配慮の組み込みと、生態系サービスの持続可能な利用の取組が進んでいる。
短期目標3 : 生物多様性に関する県民の理解が深まり、各主体による生物多様性に配慮した行動が広まっている。

■「生物多様性しが戦略の中間評価」では、行動計画における数値目標等を用いて総合的に評価を行っています。滋賀県の生物多様性の現状を把握し、今後の取組に活かすこ とを目的としています。「生物多様性しが戦略」に限りませんが、政策の評価とはなかなか難しいなと思います。数値目標として設定されている指標の適切さも含めて、いつも悩むところが大きいわけです。もちろん、漫然と施策や事業進めるのではなく、こうやってチェックしていくことがとても大切なことなのですが、まだまだ色々工夫をしていかねばならないように思います。以下は、その中間評価です。ご関心のある方は、ぜひお読みいただければと思います。

「生物多様性しが戦略の中間評価」

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