地球がもし小さなビー玉だったなら、琵琶湖の深さが1cmだったなら
■「太陽系」という言葉で、どのようなイメージを頭に描くでしょうか。太陽が中心にあって、その周りを惑星がぐるぐる回っているというイメージでしょう。しかし、実際はそのようなイメージとは大きくかけ離れたものです。この動画でをご覧いただければおわかりいただけると思います。地球をビー玉の大きさと仮定すると、実際の太陽系はどのような大きさになるのか、その「縮尺模型」をアメリカのネヴァダ州の干あがった湖底に作ってしまったのです。理屈で考えれば当然なのですが、何か「あっ!!」と驚いてしまうわけです。理屈と感覚との間に大きな隔たりがあるからです。
■この発想で琵琶湖の模型を作るとどうなるのでしょうか。琵琶湖は深い湖だと言われています。一番深いところは、103.58 mあります。模型で表すとどうなるでしょうか。琵琶湖の南北の延長は、63.49kmです。メートルに換算すると、63,490mです。一番深いところを、仮に1cmにすると、南北の延長はだいたい613cmということになります。琵琶湖は構造湖で深い湖なのですが、深いといっても、実際の感覚に置き換えてみると、頭の中にあるイメージとは異なり、かなり薄い薄い存在であることがわかります。そのようなことを体感できる模型が、滋賀県立琵琶湖博物館の「C展示室」の中にありました。琵琶湖博物館は現在、展示替えの真っ最中です。よく知らないのですが、この琵琶湖の模型もなくなってしまうのかもしれません。そうであれば、ちょっと残念です。
■このような模型をなぜ作る必要があるのか、動画をご覧いただければわかるとは思いますが、なかには、例えば「Googl Earth」のような最近のネットの技術、それからGIS(地理情報システム)なんかを用いれば必要ない…と思う方たちもいるでしょうね。もちろん、そのような技術で理解できることもあるでしょうが、この動画の中で描かれているのは、頭の中、脳の中で処理されたイメージではなくて、自分の「身体」という制約条件を媒介としてやっと実感できるイメージなのです。この動画が面白いというか、興味深いのは、脳の中で処理されたイメージと、「身体」を媒介として実感できるイメージとの間に、大きなギャップが存在しているからです。私たちは、その落差に驚くのです。おそらくは、環境問題を考える場合に、同様に問題が存在しています。私は、それを「鳥の目・虫の目問題」と呼んでいます。