浪曲師・国本武春さんのこと
▪︎クリスマスイブの日、浪曲師の国本武春さんが亡くなられたとのニュースが流れました。55歳でした。私がこのニュースに気がついたのは、27日のことでした。私自身、浪曲のことをよく知っているわけでも、よく聞いて楽しんできたわけでもありません。どちらかといえば、自分にはあまり関係のないジャンルだと思っていました。私が国本さんのことに注目するようになったのは、NHKの子ども向けの「にほんごであそぼ」という番組に「うなりやベンベン」という役で出演されていたからです。この番組には、狂言師の野村萬斎さん、歌舞伎湯役者の中村勘九郎さん、人形浄瑠璃文楽の皆さんも出演されていました。面白い企画だなと思いました。日本語の豊かな表現に慣れ親しみ、楽しく遊びながら『日本語感覚』を身につけてもらうことをねらいとした番組です。そこに、国本武春さんは、国本武春さんの一番弟子「うなりやベンベン」という設定で登場されていたのです。この「にほんごであそぼ」の公式サイトでは、以下のようなコメントを発表しています。
うなりやベベンさんについて
うなりやベベンさんは、ご自身が
国本武春さんの一番弟子だとおっしゃっていました
浪曲師としての活動と一線を画し
子ども達に日本語を楽しく伝えることを望んでいらっしゃいましたので
ご本人とご遺族の意向を尊重して
「にほんごであそぼ」では、うなりやベベンは生き続けます
国本武春さんのご冥福をお祈りいたします
▪︎国本さんの浪曲のスタイルは大変ユニークなものでした。皆さんよくご存知のことと思いますが、通常、浪曲は声を出して演じる「浪曲師」と、三味線で伴奏や効果音をつける「曲師」のペアで行われます。それに対して国本さんは、三味線を弾きながら語る新しい浪曲のスタイルを確立したと言われています。また、ロックやブルースなどの洋楽を浪曲のなかに取り込むなど、浪曲の伝統を守りつつも新しい境地を開拓しようとされてきました。上の動画をご覧いだたければわかると思いますが、素人目では、ギターと三味線とが融合したテクニックを駆使されているように思います。素晴らしいというか、すごいですね。下の動画は、「忠臣蔵」ですね。浪曲とロックを融合したすごく面白い演出です。浪曲のことをよく知らない人でも、自然に関心をもってしまうのではないでしょうか。