『まち再生の術語集』(延藤安弘・岩波新書)

20141201endou.jpg ■3年生のゼミで、延藤安弘先生の『まち再生の術語集』をじっくり読んでいます。というのも、ゼミでおこなっている「北船路米づくり研究会」の活動にとって大きなヒントになると思うからです。また、ゼミ生がこれから取り組む卒論の調査・研究にもきっと役立つと思うからです。全体は4章から構成されていますが、いろいろ不思議の仕掛けがしてあります(それは読んでからのお楽しみ…)。直線的ではないのです。キーワード=述語が網の目状につながっているのです。目次と「あとがき」からの抜粋です。少し、その不思議さが窺えるかもしれません。

Ⅰ「楽しさと遊び」→「歓喜咲楽」:よろこびわらいあそぶ、楽しさと遊び
Ⅱ 「つぶやきをかたちに」→「私発協働」:自らが主となりまわりとつながる、つぶやきをかたちに
Ⅲ 「知恵の育み合い」→「対話共有」:話し合い、知恵を育み合う
IV「トラブルをドラマに→「軋変可笑」:軋みを可笑しみに変える、トラブルをドラマに

本書のコンセプトはまさに「人生ってエエモンやなあ」「自分のまちは捨てたもんやないなぁ」と「生を楽しむ」センスです。(中略)深刻さの記述や改善方策の立案も大切ですが、一番大事なことは、ひとりひとりが「自分の生きる現場から状況を変えることを楽しむ」ことではないでしょうか。他者と共有された楽しさの体験は、創造的なアイディアや革新的な活動を生む縁を拡げ、生きる未来への方向感・希望をひらいていくものです。その過程では、芋ヅル式にキイワードがつながりあっていきます。根茎(リゾーム)のように絡み合うまち再生のプロセスが腑に落ちるよう、本書のキーワード(術語)から別のキーワードへ、ヒラヒラと蝶が舞うごとく自由移行する読み方ができるようにしました。(中略)混濁する状況を超えるイメージが術語の連関から生まれるよう願っています。

■私は、先生がかつて勤務されいてた千葉大学工学部に「環境社会学」の非常勤でお邪魔しました。そのとき、初めてお会いしました。また、龍谷大学社会学部で取り組んでいる「大津エンパワねっと」でも、学生たちの熱滅なラプコールを受け止めていただき、大津市の中央学区で講演をしていただきました。その延藤先生が執筆された『まち再生の術語集』、全国で大変評判なようです。

20141201endou2.jpeg ■先生が共著で執筆された『マンションをふるさとにしたユーコート物語―これからの集合住­宅育て』(昭和堂、乾亨・延藤安弘)。「環境学会・論文著作賞」と「日本生活学会・今和次郎賞」を受賞しました。そのことを記念し講演が行われたようです。先生は、ご自身の講演会を「幻灯会」と呼んでおられます。だから、講演会という言い方は、よくありませんね…きっと。「幻灯会」は、その場を包み込む、ひとつのアートなのかなと思います。私が以前拝見したときは、2台のスライド投影機を使って、まるで講談師のように面白くお話しをされていました。ほんまに、おもろいんです、先生は。知的に…という点はもちろんなのですが、それだけでなく文字通り「おもろい」んです。『まち再生の術語集』を読んでいても、おもわず声を出して笑ってしまうところがありました(先生は、お若い頃から、駄洒落王だったに違いない)。いろいろ、仕掛けがしてあります。それに気がついて、「へ〜」と驚くこともあります。最後には、「おもろく」て、驚いて、力が湧いてきます。

■以下の動画は、延藤先生の「環境学会・論文著作賞」と「日本生活学会・今和次郎賞」受賞記念の「幻灯会」です。最近は、パワーポイントと2台のパソコンとプロジェクターを使って「幻灯会」をされているようです。

【追記】■今日は、3年生のゼミでした。ゼミのあとも、残ってミーティングをしていてたようです。ひとつは、「北船路米づくり研究会」の新しいパンフレットをつくめための相談。もうひとつは、研究会の活動資金のことです。学外の財団の助成金を獲得するための作戦会議です。楽しみです。

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