可視化された地球上の「二酸化炭素の動き」


■アメリカのNASAが、地球上の二酸化炭素の動きを可視化できるようにした動画を公開しています。これは「Nature Run」という「視覚化ツール」で、気候モデリング・プログラム「GEOS-5」によって作成されたとのことです。詳しい紹介を、こちらのページで読むことができます。その一部を引用します。

冬の間は、北半球の大陸全体が二酸化炭素に覆い隠されるが、春になると、光合成をする植物に吸収されて濃度が減る。南半球も周期的に濃度が高くなるが、これは、季節的に発生する森林火災などのせいだ。

Nature Runは、既存の気候視覚化ツールよりもはるかに正確だ。従来のモデルは1画素当たり最高約50kmの解像度だったが、Nature Runは1画素当たり約6.9kmを表示する。しかし、データが多いことは、処理に時間がかかることも意味する。GEOS-5は、75日にわたって低い音を立てながら4ペタバイト近くのデータを処理した後、この視覚化を完成させた。

■こういう可視化された画像をみたとき、「おお、すごい…」というため息をつくとともに、どのように社会的に活用されていくのかが気になります。このような画像が、世界の国々や国を超えた地域の未来の社会設計にどのように利活用されていくのか…ということです。

■このような地球スケールではありませんが、琵琶湖の流域管理に関して、個別地域の流域管理に関連する「社会的努力」(たとえば、集落レベルの溝掃除等)が、モデルやシミュレーションを通して可視化されるような方法はないのか…と、いろいろ考えたことがあります。過去に取り組んだ総合地球環境学研究所の研究プロジェクトのなかでのことです。もちろん、社会学専攻の私は基本のアイデアのところだけで、実際の仕事については、生態学のモデルの専門家や情報工学の専門家にやっていただいたのですが、そのような可視化ツールを実際の環境保全活動に利活用していくところまでにはいきませんでした。

■個別地域の小さな活動の成果が、すぐに流域環境の改善に結びつく訳ではありません。しかし、その「社会的努力」が横につながったとき(個別地域の点をつなぎ、点から線に、線から面にしていく)、また将来にわたって継続的に蓄積されていったときのことを、「えいやっ!」というところはありますが、モデルとシミュレーション技術で、一定程度可視化することができます。そのような可視化は、地域の人びと自身が自分たちの「社会的努力」に納得し(ばあいによってはそれを誇りにし)、周囲社会はそのことを社会的に評価することにつながります。

■地域の森林の適切に管理・育成することにより二酸化炭素がどれだけ吸収されたか、また森林を木材として利用することでどれだけ二酸化炭素が固定されたか…そういったことを認証する仕組みがあります。同様に、森林を適切に管理・育成することにより、下流の流域環境にどれだけのプラスの効果があったのか…生態学や林学の専門家に聞いても簡単にはいかないのですが、それが一定程度可視化されると森林の経営にあたる関係者をエンパワーメントすることにつながらないでしょうか。また、下流からの様々なタイプの支援を調達するための科学的な根拠にもならないでしょうか。地球上の「二酸化炭素の動き」の話しから、流域の話しへと脱線してしまいました。脱線とはいえ、こういう可視化ツールが、どのように社会的に活用されていくべきなのか、いろんな方達と可能性を議論できればと常に思っています。

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