『空也上人がいた』
月曜日, 11月 3, 2014
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■やっと昨日、購入することができました。そして一気に読みました。新井英樹さんの漫画。原作は山田太一さん。これは、山田太一の原作も読んでみなくては…と思いました。原作は、山田さんの小説です。
■登場人物は3人。介護の仕事をやっている27歳の青年。46歳独身のケアマネージャーの女性。81歳の独居老人の男性。ケアマネさんの紹介で、青年が独居老人の介護をする…。単純なストーリーのように思えますが、この3人、それぞれに忘れようとしても忘れられない辛い過去を抱えています。そして、なかなか複雑な関係にあるのです。独居老人はケアマネさんに対して、ケアマネさんは青年に対して密かに恋している…。
■巻末には、新井さんと山田さんの対談が掲載されいました。「人の死を受け止める側のやわらかい過激さがすごい」、「状況が一変したら、我々はまったく違う人間になってしまう」、「老人の最後の性欲が二人を結びつけた」…。読んでよかったと思います。ストーリーのなかで、六波羅蜜寺の空也上人像が登場します。この漫画の底の底のところで、空也上人の存在(その向こうの究極にある阿弥陀仏)が私たち人間の「どうしようもなさ」を優しく包み込んでいるようにも思うのだが、考えすぎでしょうか…。