「地域エンパワねっとⅡ」報告会

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■昨日、地域連携型教育プログラム「大津エンパワねっと」の6期生「地域エンパワねっとⅡ」報告会が開催されました。白石学部長が校務で欠席であることから、学部長にかわり長上教授が、開会に先立ち挨拶をされました。その挨拶のなかで、近江商人の「三方よし」の話しを取り上げられました。「大津エンパワねっと」の「三方よし」とは何か…ということです。「学生よし」、「大学よし」、「地域よし」。確かに、そうですね。

■地域社会で地域の皆さんと一緒に活動しながら、課題を「発見」し、その課題を「解決」するための事業に取り組み、その成果を地域と「共有」する…その一連の学習プロセスは、学生たちの成長を促していきます(少なくとも、そのことを目指しています)。つまり、「学生よし」。「大学よし」とは何でしょうね。長上先生の挨拶のなかでの説明は、受験生のなかに「社会学部に入学して『大津エンパワねっと』を受講したい」という人が増えてきている…というものです。大学の運営にとってもプラスだと思います。また、社会学部のもっている可能性を引き出す、ひとつの方法なのかもしれません。一番難しいのが最後の「地域よし」。これは、いったいどういう意味で「よし」なのか。そのことを学生の皆さんは地域の皆さんとの交流のなかで考えてほしい…というのが、長上先生の挨拶でした。

■「エンパワ」が地域課題の解決を目指すのだから、単純に「それは地域社会にとってもよいことではないか…」といえるのかもしれませんが、この点についてはもう少し詳しく検討していかねばなりませんね。これは個人的な意見ですが、学生の活動を支援したり応援したりすることのなかで、結果として、地域社会のなかに微妙にプラスの変化が生まれてくる。この「結果して」というのが重要だなと思っています。社会学でいうところの「意図せざる結果」ですね。古典的な社会学の概念を使えば、「大津エンパワねっと」がもつ「地域コミュニティ」に対する「潜在的順機能」(Robert K. Merton)ということになるのかもしれません(もちろん、立場が変われば、必ずしも「よし」ばかりだけではないという意見もあるでしょう)。それがどのようなことなのか。6期生の皆さんは、自分の取り組みに必死でそんなことを考える余裕はなかったと思いますが、「エンパワ」を修了した時点で、少し考えてみてほしいと思います。まあ現実は、「もっといろいろ頑張ればよかった…」「情けない…」「思ったようにはいかなかった…」ということなのかもしれませんが、それにもかかわらず、どうして地域の皆さんはこれほどまでに、学生の皆さんのことを応援してくださるのでしょうね。学生の皆さんは、このことをきちんと自分のなかで自分なりに総括してほしいと思います。そうすると、「エンパワ」の経験をより一層人生に活かしていけるように思います。

■昨日は、非常にたくさんの学外の方達がご来場くださいました。学生たちが活動をしている瀬田東学区、中央学区の関係者の皆さんはもちろんのことですが、大津市役所やその他団体、他大学からもお越しいただきました。ありがとうございました。大津エンパワねっと事務局に確認したところ、学外からは36名の方にお越しいただいたようです(瀬田東学区関係者13名、中央学区関係者17名、大津市役所4名、他大学3名)。ちなみに、6期生は43名(他の実習に参加しているためやむをえず欠席している人たちがいます)。秋から「エンパワ」に取り組む7期生が49。修了生や卒業生が7名。教員が14名。全員で150名でした。

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■私は、1期生から6期生まで、ずっと「エンパワ」で学生たちを指導をしてきているので、学生たちの変化に鈍感になっているのかもしれませんが、年々、学生たちのプレゼンテーションが良くなってきている…という話しを、学外の多くの方達からお聞きしています(ほんまに、そうなんやろか…)。そういう評価はありがたいことですが、実質的な活動の内容がもっと問われる必要もありますね。口頭発表のあとのポスターセッションでは、その実質的な活動内容に関して、来場者からいろいろ質問が行われます。また、アドバイスや意見も出されます。学生たちは、そのことを大きいポストイットカードに書いてポスターに貼付けていきます。本当は、このことを活かして「地域エンパワねっとⅢ」という授業があればよいのですが、なかなかそうもいきません(6期生のなかには、ここで「エンパワ」が終わるのはさびしい、この「エンパワ」を続けられるものなら続けたい…と考える人もいます)。

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■この「地域エンパワねっと」の「報告会」。大学と地域をつなぐための、とても大切な行事だと思っています。この「報告会」と、毎月地域の皆さんと開催している「大津エンパワねっとを進める会」、大学の地域に対する「姿勢」を示すものでもあります。また、大学に対する地域社会の信頼を醸成していく「場」もあります。今後、「大津エンパワねっと」はカリキュラム改革等でその内容にも変化が出てくるのでしょうが、基本的な部分、特に地域との関係づくりについては方向性を見失わないようにする必要があります。それが、「地域よし」を担保するための一番基本の条件になるのですから。

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