九谷焼

20140105kutani.jpg ■27年程前のことになるでしょうか、たぶん結婚したころだと思います。義父から九谷焼の二合徳利と猪口を譲り受けました。写真をご覧いただきたいのですが、徳利ほうには、老人と老婆が描かれています。「高砂」です。能の作品のひとつです。

■阿蘇の神主友成が、播磨国高砂の浦で、老夫婦に会って高砂の松と住吉(すみのえ)の松が相生(雌株・雄株の2本の松が寄り添って生え、1つ根から立ち上がるように見えるもの)、すなわち離れていても夫婦である…との故事を聞き、二人に誘われて津の国住吉に至り、住吉明神の来現を仰ぐという」筋になっています。和歌の徳をたたえ、国の繁栄を主題としているそうです。松の永遠性、夫婦が一緒に年老いていくこと、相老(相生にかけている)の仲睦まじさを、能のなかでは老人が語るのだそうです。大変、おめでたい能です。ですから、以前は、結婚式の披露宴のときに、謡の上手な人が披露することがよくありました(って、書いても今の学生の皆さんには理解不能でしょうが)*。

■義父は、毎日毎日、夏の暑いときでも、ぬる燗で日本酒を呑みます。そのさい、お気に入りの九谷焼の徳利を使っています(九谷焼とは、石川県南部で生産される色絵の磁器のことです)。よくわかっていませんでしたが、義父は、ひょっとすると「いつまでも仲よく暮らすんですよ」とこの徳利を譲ってくださったのかもしれません。さてさて、そのあたり、実際のところはどうなんでしょうね~??。まあ、それはともかくです。今年、ひさしぶりにこの徳利を出して正月に使ってみました。私は、この焼物について評価するだけの見識はをもちあわせていません。しかし、正月のようなめでたいときに出して使ってみること、大切ですね~。年を取ったせいでしょうか、あらためてそう思いました。

*「大辞林」を参照しました。

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