東京農工大学名誉教授・土屋俊幸さんの最終講義

▪️3月23日、東京農工大学名誉教授である土屋俊幸さんの最終講義が行われました。土屋先生と書くべきところですが、長年に渡り親しくさせていただいてきたので、あえて土屋さんと書かせていただきます。さて、私は、オンラインではありますが、この最終講義を聴講させていただきました。どうして名誉教授が最終講義なのか。普通は、最終講義を行なった後、名誉教授になるものですよね。それは、コロナ禍のせいなのです。コロナ禍のせいで最終講義が4年遅れになってしまったようなのです。しかし、コロナ禍でオンラインを使うことが当たり前になったので、私のように関西に暮らしている者でも、土屋さんの最終講義を聴講することができたわけですね。

▪️土屋さんとの出会いは、ずいぶん昔のことになります。土屋さんは林政学の人ですが、環境社会学会の会員にもなっておられて、土屋さんが岩手大学におられるときに出会っています。確か、どこかで開催された学会の大会から、電車で一緒に岩手に帰ることを記憶しています。おそらくは、出会ってから四半世紀は経過していると思います。

▪️土屋さんは、最近は大津にも毎年1回出張されます。大津市に全国の自治体職員のための研修施設があり、そこで講義をされているのです。で、晩は、大津駅前のいつもの居酒屋「利やん」での飲み会になります。そこでいろいろ議論をすることになります(飲み過ぎて細かな内容を忘れてしまうのですが)。また、土屋さん達が主催されている研究集会にも参加させていただいていますが、そこでもいろいろ議論させていただいています。飲みながら、そして研究集会で議論している際の、「根本にある問題意識」は、昨日、土屋さんが最終講義で話された内容の「根本にある問題意識」と、相当部分で重なりあうのではないかと思っています。

▪️最近出版された、シリーズ環境社会学講座 第6巻『複雑な問題をどう解決すればよいのか-環境社会学の実践』(宮内泰介・三上直之編, 新泉社)で執筆させていただいた拙論の中で使用した用語をあえて用いれば、「『支配-従属』問題を回避する計画は可能なのか、どうすれば回避できるのか、そのことをどのように学術論文という形で表現できるのか」ということになるのではないかと思います。手前勝手なまとめをしていますけど。私の専門は林政学ではありませんが、こうやって振り返ってみると、勝手な思い込みかもしれません。でも、深いところ(メタレベル)で土屋さんと問題意識を共有させていただいてきたように思っています。ありがたいことだと思っています。いろいろ見渡しても、問題意識を共有できる方達が少ないからです。丁寧に議論の相手をしていただいてきたことに心より感謝いたします。

▪️土屋さんは、昨日の最終講義で「自然資源社会学」と「林政学」に関して学術書を執筆されると宣言されておられました。それらの書籍で、私が土屋さんと議論していた水準をきっとブレイクスルーしてくださるに違いないと期待しています。土屋さんは、私よりもちょっと年上の兄のような存在なのですが、意欲的、精力的です。名誉教授になっても引退という二文字は土屋さんには関係ないようです。今も、研究、社会貢献ともに現役で頑張っておられます。すごいなと思います。

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