短歌で地域活性化

▪️昨日の朝日歌壇、歌人の小島なおさんが、短歌時評の中で、「ニシタチ歌集化プロジェクト」のことについて書いておられました。

和歌のなかに詠みこまれた地名のことを歌枕という。交通の便がなく旅をするのが困難だった時代に、人々は和歌によってまだ見ぬあこがれの地を思い描き、イメージを共有していたの。

今、現代版歌枕と呼ぶに相応しい試みが各地で始動している。二年前、地元の大学生らが立案した「ニシタチ歌集化プロジェクト」という企画に声をかけてもらった。宮崎市の歓楽街である西橘通り、通称「ニシタチ」の街をまるごと歌集にしようというもの。華やかで人情味のある街や飲食店を巡って、十五首の短歌を詠んだ。

カウンターは食べる横顔見るところ餃子八個に夜がはじまる

老舗の餃子専門店「黒兵衛」の餃子を食べて作った短歌。街の各所に貼られたQRコードをスマホで読み取ると、その場所にちなんだ短歌が表示される仕組みになっている。短歌を集めて街を楽しむ短歌スタンプラリーの趣。今年3月には、歌人の黒瀬珂瀾氏を招き宮崎県延岡市でプロジェクトが開催され、好評につき期限延長して五月の大型連休に訪れた人たちも多く参加したという。これは市内最古の銭湯「喜楽湯」の歌。

小さなる壺に煮らるる心地かな天井からは<昭和>のしずく

そしていま、群馬県みなかみ町で「みなかみまるごと短歌in匠の里」という同様のイベントが今月三十一日まで開催されている。エリア内十四ヶ所の短歌は歌人の大森静佳氏によるもの。

現代の歌枕は、自分の足で訪れ、自分の目で見ることができる。

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▪️こちらは、「ニシタチ歌集化プロジェクト」の公式Twitterです。すでに更新はされていないようです。同様のイベントも開催されています。「みなかみまるごと短歌in匠の里」です。面白い試みですよね。いつもの当たり前の地域社会を短歌を通して再評価していく、見直していく、あるいは意識化していく…、そのようなイベントなのではないかと思います。ここには、何かヒントがあるように思うのですが…。ちょっと、自分が関わる地域でも何かできるのではないかと思っています。

▪️ところで、一部でしょうが、若者の間で短歌に人気が出てきているようです。

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