ワープロ専用機

▪︎ワープロを使うとき、私のばあいは「ひらがな入力」ということになります。「ローマ字入力」ではなくて、「ひらがな入力」のブラインドタッチなのです。英文のときは、頭のなかがアルファベット・モードに切り替わります。ブラインドタッチという自信はありませんが、頭のなかは切り替わります。多くの皆さんは、なんで今頃「ひらがな入力」なのか…と思われるでしょうね。もはや、絶滅危惧種扱いの「ひらがな入力」ですから。

▪︎まだパソコンが普及しておらず、ワープロ専用機が主流だったころ、私はあまり深く考えないまま「ひらがな入力」を覚えてしまいました。もちろん、「ローマ字入力」にしろといわれるとできないわけではないのですが、頭で考えるスピードにはやはり「ひらがな入力」が適しています。頭のなかでゆっくり考えた言葉を、そのままタイプすることができます。「ローマ字入力」だと子音と母音を2度タイプしないと1文字が打てないのですが、「ひらがな入力」だと1度のタイプで終わります。これが、「ひらがな入力」の魅力です。ただし、私のばあいだけ…かもしれませんが、ミスタイプも増えます。ですから、へんてこりんな変換をしてしまったりします。これは、困ったことなのですが、ですが、しかし、です。やはり、「ひらがな入力」の方が、私個人にとっては圧倒的に便利なのです。

▪︎こういう話しをfacebookに投稿したところ、50歳代以上の方たちから、いろんなコメントをいただきました。後輩の大学教員や、知人の小説家の方からは、「親指シフト」に関してコメントをいただきました。知人の小説家は、「私は親指シフトですが、もはや『死語』でして、説明するのが厄介です(;^_^」というコメントをいただきました。「親指シフト」とは、日本語の「ひらがな入力」をするために、1979年、富士通が独自に開発したキー配列規格です。私自身は、「親指シフト」を使ったことはありませんが、昔は、かなり根強い人気がありました。知人の小説家は、今でも使っておられるようです。彼の作品やエッセーは「親指シフト」から生まれたいたのか…と思うと、私などは感慨深いものがあります。では、「ひらがな入力」をしている人はもう絶滅危惧種なのか…というと、知り合いのグラフィックデザイナーの方からは、「デザインのプロも、ひらがな入力ですよ〜(笑 けっこーデザイナーは、ひらがな入力多いですよ!! 右脳的に文章化できるからみたいですね」というコメントをいただきました。これは意外でした。笑ってしまったのは、後輩の女性からのコメントでした。「うちの旦那さんが帰ってくると途端にひらがな入力に変わってて、元に戻さないので、いやな顔を気取られないようにしてます。笑」とのことでした。

▪︎私が「ひらがな入力」をマスターしたのは、パソコンではありません。キャノンのワープロ専用機でした。「キヤノワード360(CW-360)」です。デザインとしてもスマートなワープロだったと思います。実際、1986年の「グッドデザイン賞」を受賞しています。私は、学術雑誌に初めて投稿した論文を、このワープロ専用機で書きました。1本の論文を、「ひらがな入力」で打ち込んでいるあいだに、結果として「ひらがなの入力」のブラインドタッチができるようになっていました。不思議なものですね。ところで、このワープロ専用機の話しを、学部の3年生に話しをしたところ、彼らはワープロ専用機がどのようなものなのか、知りませんでした。3年生といえば、物心がついた頃は、2000年もまじかにせまった頃でしょうから、すでにワープロ専用機は多くの職場では使われていなかったと思います。仮に自宅にあったとしても、誇りをかぶっているか、押入れのなかにしまわれていたのではないかと思います。「そうか、ワープロ専用機がわからんのか…」、私は少しがっかりしたといいますか、脱力…という感じでした。まあ、仕方がありませんね。

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