オープンキャンパスとオリエンテーション
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■龍谷大学では、すべての学部が入学式の後に、大津市のおごと温泉にある琵琶湖グランドホテルを借り切って、順番にフレッシャーズキャンプを行うことになっています。一昨日と昨日(4月6日(土)・7日(日))は、私たち社会学部と理工学部のフレッシャーズキャンプが同時に開催されました。学生部の職員の皆さん、サポーターの学生の皆さん、御苦労さまでした。
■写真は、夕食後、社会学部の新入生全員が大広間に集まったときのものです。社会学部が学部をあげて取り組んでいる「大津エンパワねっと」の説明会が行われました。前にある舞台に立っているのは、現在、「大津エンパワねっと」の授業運営の中心になっておられる山田容先生と、現在4年生になった「大津エンパワねっと」終了生の皆さんです。新入生の皆さんに、この「大津エンパワねっと」の魅力についてアピールされています。この説明会のあとは、学科ごとに分かれて履修説明会が行われました。この説明だけで、「大津エンパワねっと」がどんな授業なのかよくわからないと思いますが、とりあえず印象に残ってもらえればよいかなと思っています。しかし、昨年の後期から「大津エンパワねっと」の「地域エンパワねっと」に取り組んでいるエンパワ5期生の皆さんのなかには、入学前から「大津エンパワねっと」のことを知っていたという人たちが10人もいました。この新入生のなかにも、そのような人たちがいることを期待しています。
■昨日7日(日)の午後からは、大学の方で、大学院社会学研究科新入生のオリエンテーションが開催されました。今年の入学生は11名と少なめなのですが、そのうち6名が中国や韓国からの留学生です。オリエンテーションでは、研究・調査に関する事柄、学生生活全般にかかわる事柄について2時間にわたって説明が行われました。また、専攻やコースごとにわかれての個別履修相談も行われました。新入生の皆さんには、専攻を超えて交流しながら、お互いに助け合って研究を進めるようにしてほしいと思います。写真は、研究の進め方等について説明されている、社会福祉学専攻・教務主任の荒田先生です。
李白と黄鶴楼
■22日(金)、武漢から上海経由で大阪まで戻りました。帰国の便は午後14時でしたので、午前中は何も予定も入っておらず空いていました。そこで華中師範大学社会学院の皆さんのご好意で、有名な黄鶴楼と武漢博物館を見学することになりました。じつは、今から20年程前、始めて武漢を訪れたさいにも見学をしているのですが、今回は通訳のために同行してくれた留学生Hさんの希望もあり、一緒に見学をすることにしたのでした。2度目になりますが、改めて見学してよかったと思っています。20年の時間が経過し、李白の漢詩を味わうことができるだけの年齢になってきたのかもしれません。
■黄鶴楼は、武漢市の武昌区にある丘の上にあります。「江南三大名楼」のひとつとして大変有名です(現在のものは、1980年代に再建されたものです)。丘の上にあるため、黄鶴楼の最上階からは、長江を見渡せます。李白(701年〜762年)の「黄鶴楼送孟浩然之広陵」(黄鶴楼にて孟浩然の広陵に之くを送る)という漢詩によって大変知られた楼閣でもあります。
■三国時代は魏の領地で、ここには見張りのための楼閣がつくられたのだそうです。それが、始まりなんだとか。李白が生きた唐の時代には、ここで酒盛りの宴会などが行われていたそうです。で、なぜ、黄色の鶴の楼閣なのか…ということですが、次のような言い伝えがあります。wikipediaからの引用ですが、次のようなものです。
昔、辛氏という人の酒屋があった。そこにみすぼらしい身なりをした仙人がやってきて、酒を飲ませて欲しいという。辛氏は嫌な顔一つせず、ただで酒を飲ませ、それが半年くらい続いた。 ある日、道士は辛氏に向かって「酒代が溜まっているが、金がない」と言い、代わりに店の壁にみかんの皮で黄色い鶴を描き、去っていった。 客が手拍子を打ち歌うと、それに合わせて壁の鶴が舞った。そのことが評判となって店が繁盛し、辛氏は巨万の富を築いた。その後、再び店に仙人が現れ、笛を吹くと黄色い鶴が壁を抜け出してきた。仙人はその背にまたがり、白雲に乗って飛び去った。辛氏はこれを記念して楼閣を築き、黄鶴楼と名付けたという。
■黄鶴楼には、こんな面白い言い伝えがあるのですね。壁から鶴が抜け出して、仙人と一緒に飛び去る…いかにも中国らしいロマンチックというかファンタジックな伝説です。前回訪問したときには、私もまだ若く、あまりこのようなことに関心をもてなかったのでしょう。今回の見学でやっとこの楼閣を、そして李白の漢詩を「味わう」ことができました。李白の「黄鶴楼送孟浩然之広陵」ですが、以下のような漢詩です。『李白 巨大なる野放図』(宇野直人・江原正士、平凡社)をもとに、日本語の意味も書いておきましょう。
黄鶴楼送孟浩然之広陵
故人西辞黄鶴楼 故人 西のかた黄鶴楼を辞し
烟花三月下揚州 煙花 三月 揚州に下る
孤帆遠影碧空尽 孤帆(こはん)の遠影 碧空(へきくう)に尽き
唯見長江天際流 唯(た)だ 見る 長江の天際(てんさい)に流るるを舟に乗って東へ行く、ふるい友達の孟浩然先生は、出発直後、西を振り返って、私が立っているこの黄鶴楼に別れを告げる。
美しい春景色が広がる三月、賑やかな揚州の街をめざして下ってゆく。
孟浩然先生が乗った、たった一艘の帆かけ舟の遠い姿は、やがて碧空に消えていく。
あとにはただ長江が、空の果てに向かって滔々と流れていくのが見えるだけである。*故人:亡くなった人という意味ではなく、古い友達という意味です。
■孟浩然は、李白よりも一回りちかく年上の詩人です。李白は兄貴として慕い尊敬していたようです。孟浩然も李白も、詩人としては大変有名ですが、同時に科挙に合格できなかった人たちです。大人になるということは、思い通りにならない現実を、きちんと受け止めることができることでもあります。科挙という官職を得るための試験に合格できない境遇を共有しつつ、この2人のあいだには、漢詩を通じて生まれた深い大人の友情のようなものを感じとることができます。丘の上にある黄鶴楼から、長江を帆船でくだる先輩詩人・孟浩然を見送る李白。「あとにはただ長江が、空の果てに向かって滔々と流れていくのが見えるだけである」という描写、いいですね〜…しみじみ。
■ところで、私たち日本人は、漢詩を訓読みします。ストレートに意味で理解しようとします。しかし、詩は本来は耳から入る音であるはずです。音を身体でまずは受け止めることが必要なように思います。しかし、中国語をしらなければ、そのような経験をなかなか理解することができません。この、動画をご覧ください。 動画では、中国人の女性が「黄鶴楼送孟浩然之広陵」を詠んでいます。漢詩は、古体詩と近体詩の2種類があり、後者の近体詩は唐の時代の初期に確立した規則や約束によってつくられる定型詩です。この定型詩が生み出す美しい音、心に染み入るような音、中国語がわからなくてもそのようなことを感じとることができます。いいですね〜…しみじみ。
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■この写真は、黄鶴楼の最上階から撮った武漢の風景です。長江にかかっている橋は、武漢長江大橋です。ソ連の援助によって中国建国8年後の1957年に完成した橋です。李白の詩のなかにある「煙花」とは、春のもやのなかに咲く花なのだそうです。この季節、春霞といいますかもやがかかるのが、この地域のもともとの風景なのでしょう。この写真も対岸がよくみえません。でも、これはもう、もや…というよりもスモッグの影響の方が強いのでなはいかと思います。中国の環境問題、大変です。
中国に出張
■先週のことになりますが、3月18日(月)から22日(金)まで、中国に出張してきましきました。すでに、3月9日アップしたエントリーでもお伝えしたことの繰り返しになりますが、説明させてください。
■龍谷大学大学院社会学研究科では、日本の社会福祉学の蓄積を生かしつつ、アジアでの専門家養成を進めるために「東アジアプロジェクト」を立ち上げ、急速に少子高齢化が進む中国や韓国の大学などとも研究交流を深めながら、社会福祉を担う国際的な人材育成を進めています。今回は、このプロジェクトの関連で、中国の浙江省寧波市にある寧波大学外語学院と、湖北省武漢市にある華中師範大学社会学院、そして外語学院を訪問してきました。この2大学と龍谷大学とは、すでに国際交流に関わる「覚書」を締結していますが、今回は、さらに「一般協定」を締結し、「留学生受け入れ」や「教育研究交流」に関わる事業を実施できるように、2校の関係者のみなさんと協議を行ってきました。
■両大学の関係者からは、できるだけ早く一般協定を締結し、その上で、留学生の日本への受け入れ、日中の学生の短期交流プログラム、教育の研究交流プログラムの実現に取り組んでいけたらとさまざまなご意見やご要望をお聞きかせいただきました。大変前向きに、龍谷大学との連携を考えておられ、研究科長としても一安心。新年度からさっそく「一般協定」締結や具体的なプログラムの実現に向けて作業に入っていきたいと思います。
■今回は、このような協議ばかりでなく、華中師範大学外語学院日本語学科では講演も行いました。日本語学科ということで、全員きちんと日本語を聞き・話せる学生ばかりなので、私のような中国語のできない者でも講演することができるのです。今回は、「日本人の伝統的自然観とは」という題目で話しをさせていただきました。学生の皆さんの反応は大変よく、ちょっと華中師範大学の先生たちがうらやましくなりました…(^^;;。写真は、私の講演のために用意してくださったポスターの前で撮ったものです。背景の壁には、古代中国の青銅器の楽器です。華中師範大学のある武漢は、青銅器の出土で大変有名で、1978年に湖北省の随県にある曽侯乙墓から発掘された曾候乙の編鐘という楽器が武漢博物館に展示されています。壁面のレリーフは、この曾候乙の編鐘だと思われます。
■この動画は、その曾候乙の編鐘の演奏のようです。訪中時にお世話になった両校の先生方、ありがとうございました。 谢谢!!
文部科学省のCOC構想
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■昨年の6月、文部科学省から2017年度までの大学改革の工程表「大学改革実行プラン」が発表されました。そのなかには、雇用創出など地域の課題解決に取り組む大学を財政支援する「センター・オブ・コミュニティー(COC)構想」の実現に13年度から着手することが盛りこまれています。ポイントは、以下の通りです。また、構想の概要は、上のような図にもまとめられています。
地域再生の核となる大学づくり(COC構想の推進)
・ 地域(社会・産業・行政)と大学との組織的な連携強化
(地域課題等の解決のための、地域の大学間連携、地域の枠を越えた大学間連携)
・ 大学の生涯学習機能の強化
・ 地域のイノベーション創出人材の育成
・ 地域の雇用創造、産業振興への貢献
・ 地域の課題解決への貢献
・ 多様な活動を支える教育・研究水準の保証
■私の勤務する社会学部で取り組んでいる「大津エンパワねっと」は、2007年から文部科学省の「現代GP」(現代的教育ニーズ取組支援プログラム)として採択された教育プログラムです。昨年の秋から5期生がこのプログラムに取り組んでいます。この「大津エンパワねっと」、この文部科学省の「COC構想」とかなり共振しあう部分があります。あくまで個人的には…ですが、この「COC構想」を視野に入れながら、今後のプログラムの運営(そして近い将来の学部の運営)、他の学部との連携等を考えていかなければ…と思っています。さてさて・・・なのです。文科省発を中心とした学外の情報、そして学内の情報も必要だな~。
研究科長の仕事
■昨年度と今年度、2年間にわたり、大学院社会学研究科の研究科長の仕事をしてまいりましたが、先日の研究科長選挙で再任されました。次の任期は、2013年4月1日から2015年3月31日となっています。私たちのような私立大学の大学院のばあい、以前のような研究者養成から高度専門職業人養成を目指す大学院への脱皮が求められています。また、学部から進学してくる院生、社会人院生、留学生といった院生の多様化に対応したカリキュラム編成や入試制度の改革が必要となっています。これらと関連して、解決していかなければならない多数の課題が存在しています。
■これまでの2年間、研究科内に設置した制度整備検討委員会や研究科執行部の教員の皆さんと知恵をしぼり、汗をかき、少しでも良い大学院に成長できるように努力していましたが、さらに2年間「頑張ることのできる」チャンスを与えていただいたように思います。頑張ります。もともと自己管理がきちんとできていないこともあり、いろいろご迷惑おかけすることになろうかと思いますが、どうかよろしくお願いいたします。
藤井哲也・大津市議会議員の行政視察
■本日、午後から、大津市議会議員である藤井哲也さんが、行政視察のため龍谷大学瀬田キャンパスにいらっしゃいました。今回、藤井議員は、龍谷大学エクステンションセンター(REC)棟のレンタルラボやラボに入居されている企業さんの視察、学生のインターンシップに関する取り組みについてのヒアリングをされました。
■私も、そのヒアリングのなかで、社会学部が取り組んでいる「大津エンパワねっと」についてご説明させていただきました。短い時間ではありましたが、「大津エンパワねっと」の趣旨や成果等について、ご理解いただけたのではないかと思います。ヒアリングではは、社会学部の「大津エンパワねっと」だけではなく、理工学部が取り組んでおられる「学外実習」や、龍谷大学のインターンシップについても説明が行われました。また、それぞれから地元企業との連携の強化に向けて、大学側からの要望についてお話しさせていただきました。龍谷大学の瀬田キャンパスは、これまで地域社会との共生を大切にしてきました。これまでの蓄積を土台に、さらに様々な地域社会との共生・連携が展開していけばと思っています。
寧波大学訪日団の龍大訪問
■10月21日(日)から本日26日まで、中国浙江省の寧波市にある寧波大学外語学院日本語学科の皆さんが(教員1名・学生13名)、京都にある龍谷大学の研修センター「ともいき荘」に滞在しながら、日本での研修に取り組まれました。
■今回の研修は寧波大学の企画によるものですが、私ども、大学院社会学研究科が進めている「東アジアプロジェクト」との関係から、20日(月)には龍谷大学瀬田キャンパスを訪問され、龍大社会学部生との交流会、キャンパスツアー、留学説明会等を実施しました。また、夕方からはRECレストランで歓迎会も開催しました。この日は、平日で授業が実施されていることから、交流会は私のゼミ3年生だけの参加となりましたが、日中の若者達はすぐにうちとけ、普段のキャンパスライフや寮生活のこと、就職や結婚など将来のことなどを中心に、お互いに質問をしあうことで大いに盛り上がりました。
※「東アジアプロジェクト」とは、龍谷大学大学院社会学研究科が進めている事業です。日本だけでなく、中国や韓国においても、急激な近代化や市場化のなかで生じている貧困問題や少子高齢化等、社会福祉課題への社会的取り組みが急務となっています。このプロジェクトでは、そのような東アジアが共通に抱える社会状況に対して、日・中・韓の3カ国で研究・教育交流を行いながら、中国・韓国から優秀な留学生を受け入れ、社会福祉学の現場の専門家(社会福祉士=中国では、社会工作師)や社会福祉学の研究者を養成し、それぞれの母国に送り返していくことを目指しています。
■24日(水)には、夕方から2回目の交流会を開催しました。寧波大学の学生には、帰国したら、同級生や後輩に、日本のどのようなことを伝えたいと思うか…というテーマで、それぞれに簡単なスピーチをしてもらいました。
■日本社会はサービス精神が徹底している、日本人は礼儀正しい…といったものから、トイレのウォッシュレットが新鮮だったとか、なかには日本の女子高生はカワイイ…といった、いかにも男子学生らしい(かなり主観的な…)指摘もありました。また、日本の食事は美味しいけれど甘い、辛さが自分には足らない…といった食文化の違いに関するものや、日中関係に緊張感が増している状況だからこそ、民間においては相互に理解を深めるための交流をさらに深めていくべきという真面目な意見もありました。私自身、司会をしていていろいろ勉強になりました。交流会のあとは、龍谷大学社会学部に学部生として入学し、現在は、大学院博士後期課程に在籍している中国からの留学生に、講演もしていただき、寧波大学の学生たちからの留学に関する質問に答えていただきました。
■交流会のあとは、現代日本文化を理解していただくために(!?)、チェーン店の居酒屋で夕食会を開催しました。お忙しいなか教務課の職員の方たちにもご参加いただき、交流会に引き続き、充実した時間を過ごすことができました。職員のCさんと男子学生はすっかり意気投合し、ものすごい盛り上がりとなりました(私は、ちょっとひいてしまいましたが…(^^;;)。職員の皆さん、夕食会を盛り上げていただき、ありがとうございました。写真ですが、トップは21日(月)のRECレストランでのもの、もう1枚は、本日「ともいき荘」から関西国際空港に出発する直前にお見送りをさせていただいたときのものです。
地域の再生と大学の貢献(吉武博通)
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■大学教員の仕事には、すぐに頭におもいうかぶ教育・研究に加えて、学内行政や地域貢献があります。先日、「リクルート進学総研」というサイトの「カレッジマネジメント」(リクルート『カレッジマネジメント』は、全国の大学、短大、専門学校など、高等教育機関の経営層向けにリクルートが発行している高等教育の専門誌)で、吉武博通(筑波大学 大学研究センター長 大学院ビジネス科学研究科教授)さんが連載されている「連載 大学を強くする『大学経営改革』」を読む機会がありました。吉武さんは、混迷する日本の大学経営に関して、この連載で様々な角度から発言されています。そのような連載のなかで、今回は、大学の地域貢献に関連する「地域の再生と大学の貢献」を少しご紹介してみようと思います。
■現在、地域再生が強く求められていることは言うまでもありませんが、この点に関して吉武さんは、神野直彦さん(関西学院大学教授)を引用しながら、「地域再生とは、これから始まる時代における人間の生活の場の創造」であり「自然環境の再生と地域文化の再生が、地域社会再生の車の両輪となる」(神野直彦『地域再生の 経済学』中公新書 2002)と述べておられます。そのさい、「補完性の論理」(家庭やコミュニティでできることはそれらに任せ、できないことを基礎自治体、さらには上位自治体、そして国が補完的に担う)という考えにもとづき、「“自立”と“身近な場所での問題解決”」が必要であると主張されています。
■なんからの問題に関し、家庭・コミュニティ、基礎自治体・上位自治体、国のあいだで、何をどのように補完しあうのか、この点についてはかなり注意が必要ではありますが、「“自立”と“身近な場所での問題解決”」が必要だとの主張は、首肯できる論点かと思います。
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人間は社会と不可分な存在であるといわれるが,一人 ひとりがより良く生きる社会であるためには,個々人が 自立した上で相互に補完・協力しあうことが前提とな る。個の自立は教育の重要な目的でもある。日本の学 生の目的意識が諸外国の学生に比して希薄だといわれ ているのも,自立が十分に尊重・追求されてこなかった 結果かもしれない。同様に個が集まる集団や組織にも 自立が求められる。
しかしながら,個人は集団や組織に依存し,集団や組 織は行政に依存する,あるいは地方自治体は国に依存す る,という状態から脱しきれていないのが我が国の現状 である。
“自立”と深く関係するのが“身近な場所での問題解決”である。自分の問題は自分で,集団や組織の問題は その中で解決するのが基本だが,困難であったり,個や 集団・組織を超える問題であったりした場合でも,可能 な限り現場に近い場所で解決するというのがその意図 するところである。
現場から遠い場所では,実態を正確に把握することが 難しく,政策の成否が自分の生活に関わってくるという切迫感も持ち得ない。議論が抽象的になり,現場の実情に即した実効性ある制度設計にも限界が生じてしまう。
地域が自らの問題を可能な限り自力で解決する中で, 人も育ち,政治・経済・文化の質も高まるのではなかろうか。
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■では、このような地域再生に向けて、大学と地域はどのように連携していけばよいのか。吉武さんは、「大学が地域における教育により深くコミットすること」とともに、「地域の人材が成長し続ける場づくりを促す」ことが必要であると述べておられます。そして後者については、以下のように説明されています。
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問題は,自身の成長を促す知的刺激が十分ではなく, より高いレベルでものを考え,議論を交わす場も限られ ているという点である。これまでやってきたことを頑 なに守り,新たなことや変化を受け入れようとしない保守性が地域社会や組織内に色濃く残っていることも,次代を担う人材の育成を難しくしている。
地域再生の難しさは,古きものと新しきものの葛藤を避けては通れないことである。それだけに,地域の再生を担う人材には,古きものを理解しつつ新しきものを積極的に取り入れる,幅の広さや奥行きの深さが求められる。
このような人材を育成するとともに,自身を成長させ続けられる場が至る所に見出せる,そのような地域づくりを促すことも大学の重要な役割である。
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■吉武さんの主張は、少し具体性に欠けることは否めませんが、「自身を成長させ続けられる場が至る所に見出せる」という点は、大変重要ですし、魅力的なものです。現在、私は、社会学部で「大津エンパワねっと」という地域密着型教育プログラムの運営・学生指導にあたっています。また、ゼミで「北船路米づくり研究会」という地域貢献型の活動も行っています(詳しくは、このホームページの関連ブログエントリーをご覧ください)。そのようなこれまでの、私個人のわずかな経験蓄積ではありますが、吉武さんのお書きになっていることは、大変納得できるものがあります。このような現在の大学運営に期待されているマクロな視点をふまえつつ、現在の取り組みをより豊かなもにしていければと思います。
龍谷大学と寧波大学が覚書を締結

■龍谷大学大学社会学研究科では、現在、「東アジアプロジェクト」という取り組みを進めています。その一環として、先月のことになりますが、中国浙江省寧波大学と国際交流に関する覚書を締結しました。以下は、大学のホームページでプレスリリースされた記事を転載したものです。写真ですが、1人だけ(私だけ…)クールビズです。いや~、なんとなく居心地が…。私のむかって右側が、赤松徹眞学長、その右側が趙伐(ZHAO FA)寧波大学副学長です。以下は、大学のホームページからの転載です。
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龍谷大学と寧波大学(中国)が国際交流に関わる覚書
2012(平成24)年7月17日(火)、深草キャンパスにおいて、龍谷大学と寧波大学(中華人民共和国浙江省)が、教育・研究の国際交流に関する覚書を締結致しました。寧波大学からは、趙伐(ZHAO FA)副学長、龍谷大学からは赤松徹眞学長、脇田健一社会学研究科長が出席し調印式が執り行われました。
寧波大学は、1986年に創設された新しい大学ですが、教育、文学、経済、法学、工学など18学部がある他、修士課程27コース、30以上の附置研究機関を有する浙江省政府直轄の全日制総合大学です。
龍谷大学大学院社会学研究科では、現在、東アジアでの社会福祉分野の専門家養成を目的に「東アジアプロジェクト」に取り組んでいます。その一環として、寧波大学からの学生受け入れや研究交流等を推進していくために、今回の国際交流に関する覚書を締結するに至りました。寧波大学は、日本語教育において優れた実績を有しており、日本文化の研究者も多く、社会学研究科が取り組む「東アジアプロジェクト」の中国における一拠点となることが期待されています。
調印式後、趙伐副学長を代表とする寧波大学訪日団の皆さんは、西本願寺や大宮学舎図書館を訪問し、本学の建学の精神について理解を深められ、今後の学術交流・教育活動促進、そして本学が第5次長期計画に掲げる「教育の国際化の推進」に向けて、大変有意義な交流がなされました。
今件に関するお問い合わせ先
龍谷大学 社会学部教務課
TEL 077-543-7760