寧波大学訪日団の龍大訪問
■10月21日(日)から本日26日まで、中国浙江省の寧波市にある寧波大学外語学院日本語学科の皆さんが(教員1名・学生13名)、京都にある龍谷大学の研修センター「ともいき荘」に滞在しながら、日本での研修に取り組まれました。
■今回の研修は寧波大学の企画によるものですが、私ども、大学院社会学研究科が進めている「東アジアプロジェクト」との関係から、20日(月)には龍谷大学瀬田キャンパスを訪問され、龍大社会学部生との交流会、キャンパスツアー、留学説明会等を実施しました。また、夕方からはRECレストランで歓迎会も開催しました。この日は、平日で授業が実施されていることから、交流会は私のゼミ3年生だけの参加となりましたが、日中の若者達はすぐにうちとけ、普段のキャンパスライフや寮生活のこと、就職や結婚など将来のことなどを中心に、お互いに質問をしあうことで大いに盛り上がりました。
※「東アジアプロジェクト」とは、龍谷大学大学院社会学研究科が進めている事業です。日本だけでなく、中国や韓国においても、急激な近代化や市場化のなかで生じている貧困問題や少子高齢化等、社会福祉課題への社会的取り組みが急務となっています。このプロジェクトでは、そのような東アジアが共通に抱える社会状況に対して、日・中・韓の3カ国で研究・教育交流を行いながら、中国・韓国から優秀な留学生を受け入れ、社会福祉学の現場の専門家(社会福祉士=中国では、社会工作師)や社会福祉学の研究者を養成し、それぞれの母国に送り返していくことを目指しています。
■24日(水)には、夕方から2回目の交流会を開催しました。寧波大学の学生には、帰国したら、同級生や後輩に、日本のどのようなことを伝えたいと思うか…というテーマで、それぞれに簡単なスピーチをしてもらいました。
■日本社会はサービス精神が徹底している、日本人は礼儀正しい…といったものから、トイレのウォッシュレットが新鮮だったとか、なかには日本の女子高生はカワイイ…といった、いかにも男子学生らしい(かなり主観的な…)指摘もありました。また、日本の食事は美味しいけれど甘い、辛さが自分には足らない…といった食文化の違いに関するものや、日中関係に緊張感が増している状況だからこそ、民間においては相互に理解を深めるための交流をさらに深めていくべきという真面目な意見もありました。私自身、司会をしていていろいろ勉強になりました。交流会のあとは、龍谷大学社会学部に学部生として入学し、現在は、大学院博士後期課程に在籍している中国からの留学生に、講演もしていただき、寧波大学の学生たちからの留学に関する質問に答えていただきました。
■交流会のあとは、現代日本文化を理解していただくために(!?)、チェーン店の居酒屋で夕食会を開催しました。お忙しいなか教務課の職員の方たちにもご参加いただき、交流会に引き続き、充実した時間を過ごすことができました。職員のCさんと男子学生はすっかり意気投合し、ものすごい盛り上がりとなりました(私は、ちょっとひいてしまいましたが…(^^;;)。職員の皆さん、夕食会を盛り上げていただき、ありがとうございました。写真ですが、トップは21日(月)のRECレストランでのもの、もう1枚は、本日「ともいき荘」から関西国際空港に出発する直前にお見送りをさせていただいたときのものです。
地域の再生と大学の貢献(吉武博通)
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■大学教員の仕事には、すぐに頭におもいうかぶ教育・研究に加えて、学内行政や地域貢献があります。先日、「リクルート進学総研」というサイトの「カレッジマネジメント」(リクルート『カレッジマネジメント』は、全国の大学、短大、専門学校など、高等教育機関の経営層向けにリクルートが発行している高等教育の専門誌)で、吉武博通(筑波大学 大学研究センター長 大学院ビジネス科学研究科教授)さんが連載されている「連載 大学を強くする『大学経営改革』」を読む機会がありました。吉武さんは、混迷する日本の大学経営に関して、この連載で様々な角度から発言されています。そのような連載のなかで、今回は、大学の地域貢献に関連する「地域の再生と大学の貢献」を少しご紹介してみようと思います。
■現在、地域再生が強く求められていることは言うまでもありませんが、この点に関して吉武さんは、神野直彦さん(関西学院大学教授)を引用しながら、「地域再生とは、これから始まる時代における人間の生活の場の創造」であり「自然環境の再生と地域文化の再生が、地域社会再生の車の両輪となる」(神野直彦『地域再生の 経済学』中公新書 2002)と述べておられます。そのさい、「補完性の論理」(家庭やコミュニティでできることはそれらに任せ、できないことを基礎自治体、さらには上位自治体、そして国が補完的に担う)という考えにもとづき、「“自立”と“身近な場所での問題解決”」が必要であると主張されています。
■なんからの問題に関し、家庭・コミュニティ、基礎自治体・上位自治体、国のあいだで、何をどのように補完しあうのか、この点についてはかなり注意が必要ではありますが、「“自立”と“身近な場所での問題解決”」が必要だとの主張は、首肯できる論点かと思います。
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人間は社会と不可分な存在であるといわれるが,一人 ひとりがより良く生きる社会であるためには,個々人が 自立した上で相互に補完・協力しあうことが前提とな る。個の自立は教育の重要な目的でもある。日本の学 生の目的意識が諸外国の学生に比して希薄だといわれ ているのも,自立が十分に尊重・追求されてこなかった 結果かもしれない。同様に個が集まる集団や組織にも 自立が求められる。
しかしながら,個人は集団や組織に依存し,集団や組 織は行政に依存する,あるいは地方自治体は国に依存す る,という状態から脱しきれていないのが我が国の現状 である。
“自立”と深く関係するのが“身近な場所での問題解決”である。自分の問題は自分で,集団や組織の問題は その中で解決するのが基本だが,困難であったり,個や 集団・組織を超える問題であったりした場合でも,可能 な限り現場に近い場所で解決するというのがその意図 するところである。
現場から遠い場所では,実態を正確に把握することが 難しく,政策の成否が自分の生活に関わってくるという切迫感も持ち得ない。議論が抽象的になり,現場の実情に即した実効性ある制度設計にも限界が生じてしまう。
地域が自らの問題を可能な限り自力で解決する中で, 人も育ち,政治・経済・文化の質も高まるのではなかろうか。
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■では、このような地域再生に向けて、大学と地域はどのように連携していけばよいのか。吉武さんは、「大学が地域における教育により深くコミットすること」とともに、「地域の人材が成長し続ける場づくりを促す」ことが必要であると述べておられます。そして後者については、以下のように説明されています。
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問題は,自身の成長を促す知的刺激が十分ではなく, より高いレベルでものを考え,議論を交わす場も限られ ているという点である。これまでやってきたことを頑 なに守り,新たなことや変化を受け入れようとしない保守性が地域社会や組織内に色濃く残っていることも,次代を担う人材の育成を難しくしている。
地域再生の難しさは,古きものと新しきものの葛藤を避けては通れないことである。それだけに,地域の再生を担う人材には,古きものを理解しつつ新しきものを積極的に取り入れる,幅の広さや奥行きの深さが求められる。
このような人材を育成するとともに,自身を成長させ続けられる場が至る所に見出せる,そのような地域づくりを促すことも大学の重要な役割である。
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■吉武さんの主張は、少し具体性に欠けることは否めませんが、「自身を成長させ続けられる場が至る所に見出せる」という点は、大変重要ですし、魅力的なものです。現在、私は、社会学部で「大津エンパワねっと」という地域密着型教育プログラムの運営・学生指導にあたっています。また、ゼミで「北船路米づくり研究会」という地域貢献型の活動も行っています(詳しくは、このホームページの関連ブログエントリーをご覧ください)。そのようなこれまでの、私個人のわずかな経験蓄積ではありますが、吉武さんのお書きになっていることは、大変納得できるものがあります。このような現在の大学運営に期待されているマクロな視点をふまえつつ、現在の取り組みをより豊かなもにしていければと思います。
龍谷大学と寧波大学が覚書を締結

■龍谷大学大学社会学研究科では、現在、「東アジアプロジェクト」という取り組みを進めています。その一環として、先月のことになりますが、中国浙江省寧波大学と国際交流に関する覚書を締結しました。以下は、大学のホームページでプレスリリースされた記事を転載したものです。写真ですが、1人だけ(私だけ…)クールビズです。いや~、なんとなく居心地が…。私のむかって右側が、赤松徹眞学長、その右側が趙伐(ZHAO FA)寧波大学副学長です。以下は、大学のホームページからの転載です。
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龍谷大学と寧波大学(中国)が国際交流に関わる覚書
2012(平成24)年7月17日(火)、深草キャンパスにおいて、龍谷大学と寧波大学(中華人民共和国浙江省)が、教育・研究の国際交流に関する覚書を締結致しました。寧波大学からは、趙伐(ZHAO FA)副学長、龍谷大学からは赤松徹眞学長、脇田健一社会学研究科長が出席し調印式が執り行われました。
寧波大学は、1986年に創設された新しい大学ですが、教育、文学、経済、法学、工学など18学部がある他、修士課程27コース、30以上の附置研究機関を有する浙江省政府直轄の全日制総合大学です。
龍谷大学大学院社会学研究科では、現在、東アジアでの社会福祉分野の専門家養成を目的に「東アジアプロジェクト」に取り組んでいます。その一環として、寧波大学からの学生受け入れや研究交流等を推進していくために、今回の国際交流に関する覚書を締結するに至りました。寧波大学は、日本語教育において優れた実績を有しており、日本文化の研究者も多く、社会学研究科が取り組む「東アジアプロジェクト」の中国における一拠点となることが期待されています。
調印式後、趙伐副学長を代表とする寧波大学訪日団の皆さんは、西本願寺や大宮学舎図書館を訪問し、本学の建学の精神について理解を深められ、今後の学術交流・教育活動促進、そして本学が第5次長期計画に掲げる「教育の国際化の推進」に向けて、大変有意義な交流がなされました。
今件に関するお問い合わせ先
龍谷大学 社会学部教務課
TEL 077-543-7760
同窓会との連携
■本日、たまたま、京都駅のプラットホームで、龍谷大学社会学部同窓会副会長のUさんが立っておられるのに気がつきました。ひさしぶりでした。私の方からお声掛けをさせていただきました。以前も、何度かお会いしてお話しをさせていただいているからでしょうか、私のことをご記憶いただいていました(ホッとして、感謝…)。電車のなかの立ち話しではありましたが、社会学部と同窓会との連携を強化していく…そのようなことについて少しご相談させていただきました。
■龍谷大学社会学部は、1989(平成元)年に社会学部社会学科、社会福祉学科の2学科で開設しました。1998年に社会学部社会福祉学科を地域福祉学科、臨床福祉学科に学科改組し、2004(平成16)年には、コミュニティマネジメント学科を開設。現在の4学科体制になりました。そして、2008年には創立20周年を迎えました。戦前の文学部の内部に学科があった時代からの歴史があるとはいえ、学部としての歴史はまだ浅いのです。
■もうじき25周年を迎えるわけですが、個人的には、これを機会に、同窓会との連携をさらに強化していく必要を感じています。龍谷大学のような私立大学にとって、他大学と差別化をはかる、独自のスクールカラーを確立していくことは大変重要なことです(最近はブランディング化というようですが)。社会学部のように歴史の浅い学部では、一層のこと、この課題に真剣に取り組む必要があります。学部開設当時の学生の皆さんの年齢も40歳代に入り、社会の中堅として活躍されています。そのような同窓生の皆さんと、龍大社会学部のスクールカラーを共有していくことが必要なのではないかと考えています。
■個人的には、いろいろアイデアが浮かんできます。同窓生の皆さん、そして社会学部の同僚の皆さんと協力しながら、何か具体的な成果が生み出されるように努力したいと思います。また、20周年を記念して設立された、社会学部の「共生社会研究センター」の目的には、同窓生との連携がうたわれています。理念だけでなく、それを具体的な事業として推進していくことも必要です。長期的にみれば、このような同窓会との連携の積み重ねによる確固たる基盤があってこそ、学部の社会的評価や発展があるようにも思うのです。
大学院の自己点検・評価
■最近、フルマラソン完走にむけて、朝のジョギングに取り組んでいます。今日も、朝5時半に起床し、6時過ぎから近くの「周回コース」を4周、5kmほどの距離を走りました。朝のジョギング=朝ラン、気持ちが良いですね。それに気持ちがリフレッシュして頑張って働こうとする意欲が体のなかから湧いてきます。ということで、朝ランを終えて大学に出勤。朝10時からさっそく会議に入りました。
■今日の会議は、大学院社会学研究科の執行部会議でした。社会学研究科には、社会学専攻と社会福祉学専攻の2専攻があり、それぞれに専攻主任と教務主任が1名ずつ、あわせて全体としては4名の教員が、研究科長である私を支えてくださっています。その4名の教員の皆さんと、教務課長さんと課員のCさん、そして私の7名での会議を始めました。今日の議題の中心は、龍谷大学の大学評価支援室が中心となって実施している「自己点検・評価」の結果や、社会学研究科内に設置されている制度整備検討委員会(社会学研究科執行部と両専攻の複数の教員から構成)の答申をもとに、社会学研究科の改革をどのように進めていくのかということでした。
■ふだん大学院の運営に従事していると、「ここが困った点だよね」、「ここをなんとかしないといけないよね」という事を、しばしば教員仲間で話すことになります。しかし、忙しい日常の業務に流されて、「わかってはいるけれど、なかなか取り組めない」状況に陥りがちです。大学評価支援室が実施している「自己点検・評価制度」は、そのような状況のなかでも、一端立ち止まって、改めて研究科という組織全体のことを見直し検討する(せざるを得ない)チャンスを与えてくれるものです。まさに狙いは「支援」にあるわけです。組織のもっている課題を整理し、潜在力を引き出すこと、いわば改善・改革に向けての自己組織性の活性化を側面から支援している…といってもよいのかもしれません。私たち執行部が思っていることは、この「自己点検・評価」の作業を梃に、さきほど述べた制度整備検討委員会の答申を具体化していこうというものです。
■これから夏期休暇に入りますが、執行部の先生たちには、作業を分担していただき、まずは改革にむけての「基本計画」づくりから取り組んでいただくことになりました。大凡のアウトラインは見えているので、教務課の皆さんの心強いバックアップをいただきながら、夏期休暇中に基本枠組みをつくってしまう予定です。さあ、頑張ろう!!