大学のキャリア指導のこれから

▪️「『額面で60万円』令和は“ブルーカラー”の時代?転職で給料が大幅増…商社営業職→タクシー運転手となった27歳女性『やったらやった分だけ欲しい』AI進化で脚光浴びる」というネットの記事を読みました。ブルーカラーの職種が、かつてのイメージから一転して、「稼げる職種」として大きな注目を集めているというのです。

▪️このような話は、最初、アメリカからのニュースとして知りました。最近のことです。企業で経理や会計の仕事をしていたけれど、退職して、職業訓練学校で技術を身につけビルの配管工になった人の話でした。収入が飛躍的に伸びたようでした。「そうか、アメリカではこうなっているんだ」と驚いたのが、それほど昔のことではありません。というか、つい最近のことです。調べてみると、日本経済新聞社の記事でした。「会計士→配管工、給与3倍 変わる米国の職業観 AI代替で「学び直し」進む」という記事です。昨年の年末の記事です。

▪️この毎日放送のニュースには、4人の方が登場します。これを読むとすでに日本でも同様の「ブルーカラーへのシフト」が始まっていることがわかります。人手不足で給与が急上昇中で、特に10代20代でも高収入が可能という点が魅力のようです。このニュースに登場するのは、4人の方達。最初の人は、おそらくは高卒でハウスメーカーの積水ハウスが直接雇用した社員工の方です。お名前は出ていませんが、現在の給与に満足されているようです。また、先輩に当たる方のことでしょうか、「30代前半で年収約900万円の人もいる」とのこと。仕事の将来に対して希望を感じることができますね。もちろん、実際に自分自身もそうなれるかどうかはわかりません。その時の社会・経済状況や自分自身のスキルの充実具合が収入に影響するでしょうから。

▪️次に登場される方は、商社の営業マンからタクシー運転手に転職された方です。年功序列ではなくて、「やったらやった分だけ給料が欲しい」という気持ちを叶える職業だったようです。歩合制が基本のタクシー業界ですので、こちらの方の給料は劇的に上がったようです。その次に登場される方も、タクシードライバーに転職された方です。企業の中間管理職として、会社と部下の間で精神的に苦しい思いをされたようです。また、お父様が体調を悪くされました。「37歳の時に父が70歳で倒れたんですよ。結果的に今は元気になったんですけど、将来介護とか病院連れて行くとなった時に、簡単に会社休めるかなって。なんで家族と仕事で比べなアカンの?家族一択やんと思っちゃって」。プライベートと仕事の両立の問題です。現在は、月12回の出勤で前職と同じ収入があるのだそうです。休日もゆっくり休めるようです。

▪️最後に登場されるのは、「エアコン」の取付工事の職人さんです。自分1人で全部工事をされています。人を雇用すると、人件費がかかりますし。1人でテキパキと仕事をこなすと、また仕事が増えるという感じのようですね。この方は39歳ですが、昨年の収入は約1500万円だったそうです。このニュースの最後には、「AIの進化が加速する中、豊かに生きるための選択肢として『ブルーカラー』がより鮮やかな魅力を放っています」と書かれています。こういったことの背景には、「深刻な労働需給の逼迫」と「テクノロジーの進化に伴う職能価値の逆転」が存在しているといわれています。圧倒的な人手不足の中で、人を確保すためには給与を上げる必要があるというわけです。また、どこまで実現するのか、あるいはしてしまうのか、まだよくわかりませんが、多くの職業がAIに代替されていくと予想されている中で、AIには代替できない「手に職」をつけるということが再評価されているようです。

▪️このような急激な労働の世界の変化を前に、大学のキャリア指導はどのような変化していくのでしょうか。まずは、そこが知りたいのですが、私はあと半年で定年退職するので、私のようなものが心配してもあまり意味がないとは思っていますけど…。そもそも、18歳人口が減少している中で、大学への進学者数はどのように変化していくのかも気になります。「大卒でないと、ホワイトカラーでないと、給与が低い」というのが過去の話になってくると、「勉強したくないし、大学で学ぶことの意味もよくわからないし、高卒で『手に職』をつけて同年代の中でも高い収入を得た方がいいんじゃないのかな」と考える人が生まれてきてもおかしくないように思います。ますます「大学で学ぶことの意味」が問われる時代になってきているのかもしれません。また、ますます「教育の中身」が問われる時代になってきているのだと思います。大学の教職員は、そのことに真正面に向き合う必要があると思います。そんなふうに考える人は、特に教員では少ないと思いますけど。ひょっとすると、入学難易度の高い大学へ進もうとするルートと、高年収の職人ルートを目指すことの二極化が進むかもしれません。あくまで想像の域を出ませんが。また、大学にも、特に理系の学部では、技術的スキルに重点を置いた教科やカリキュラムが導入されるかもしれません。あくまで、そんな気がする程度の話ですが。そして、大卒の学歴を持ちつつ、ホワイトカラーではなく職人的なブルーカラーの職業をあえて目指す人も出てくるでしょうね。

▪️もうひとつ。では、エッセンシャルワーカーの方達、例えば、看護師、介護士、保育士といった職業(ケア労働)の方達の給与は上がるのかというと、通常の労働市場のようにはいかないようです。それでも現状を改善することが国として検討されているようです。勉強してみます。前期高齢者真っ只中の老人にとっても重要な問題ですから。

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