「気づかない新語」
▪️今年度末で定年退職するので、前期、担当している演習は4年生と1年生のゼミだけです。後期は、これらの演習に加えて、再履修の演習のクラスを担当することになります。4年生の演習では、卒業論文の提出に向けて各自の調査研究の進捗状況を報告してもらっています。90分の授業時間で3人が報告を行います。最近、気になることがありました。それらの報告のなかで登場する「深掘りしていきたい」という言い方がふと気になったのです。もちろん意味はわかりますが。この違和感はなんだろうねと思って調べてみると、「気づかない新語」のうちのひとつにあげられていました。昔だと、「深く掘り下げていきたい」という言い方になるのでしょうが。
▪️「気づかない新語」とは、昭和後期から平成以降に定着・変化した比較的新しい言葉のことを指すそうです。いろいろありますね。たとえば、「夜ご飯」。かつて「晩ご飯」や「夕ご飯」が一般的でしたが、一日の時間帯の捉え方が「朝・昼・夜」にシフトしたことで、ごく最近になって定着したのだそうです。そのような言葉には、「食感」、「目線」、「真逆」…といった言葉もあるのだとか。この3つは私も違和感なく使っています。このことと関連して思い出したのですが、大学教員になりたての頃、親子ほど年齢の違う年上の教員の方が、「最近は、パソコンを起動するときに、『立ち上げる』っていう言葉を使うんだね。立ち上がるという言葉わかるけどね」と首を傾げておられたことを思い出しました。これなども、「気づかない新語」だったのかもしれません。今は、この「立ち上げる」は『広辞苑』にも掲載されています。もともとは、「立つ」や「立ち上がる」は自動詞なので、「立ち上げる」は間違いという時代もありましたが、そういう考えは消えていきました。
▪️ゼミの報告のなかでは、「気づかない新語」ではありませんが「気づかない方言」もありました。学術的な報告にはあまり向いていないとそのことをアドバイスすると、「えっ、これ方言なんですか」というリアクションが。少々、私のほうも驚きました。私自身も、知らないあいだに使っている可能性がありますね、この「気づかない方言」。