「地域資源と社会」研究集会

20121001kenkyusyukai1.jpg 20121001kenkyusyukai2.jpg
■9月30日、東京農工大学で「地域資源と社会」研究集会が開催されました。以下は、この研究集会の趣旨について、研究集会の呼びかけ人代表である東京農工大学の土屋俊幸さん(林政学)がお書きになったものです。今年の7月に書かれたものです。
——————–
もうすぐ東日本大震災から1年半が過ぎようとしている。震災の3日後に開催予定だった「地域資源と社会」集会も、被災地の東北地域以外も含めた東日本全体が混乱状態にあったことから中止された。主催者として、「延期」通知後、なにも連絡を差し上げなかったことについてまずお詫び申し上げたい。参加予定だった皆さんからは、多くのお尋ねや開催への希望を、様々な機会にお会いした際やメールでの会話の中でいただいた。さらに、こうした時だからこそ、開催する意義がさらに高まったという励ましもいただいた。また、これまで一堂に会する機会がほとんど無かった多様な分野の一線の研究者が集合し集中的な議論を行う「類い希な機会」が、実現直前まで行っていたことについても、お褒めの言葉と共に開催実現への期待をいただいた。
 この手紙を差し上げている皆さんがそうであったように、私にとっても大震災と原発大事故は大きな衝撃だった。それ以来、多くのことを考え、多くの事柄を学び、またたくさんの人々と議論してきた。そして、この震災・原発事故の持つ意味と「地域資源と社会」研究集会を開催することの意味との間で、どのような齟齬があるのか、またどのような連関があるのか、についてずっと考えてきた。
 そして、いま結論を出したい。地域資源、地域の自然資源、あるいは地域の自然環境・歴史文化的遺産、と社会が、どのように関わっていくべきか、もう少し具体的に言えば、地域資源の「管理」を、社会、特に地域社会がどのように担っていくべきか、について、関心を持つ社会科学者が垣根を超えて集い、議論し合う場・機会を作ることは、3・11以前に増して、いま、必要になっており、今こそ、その一歩を踏み出すべきだと私は強く思う。社会の変革、パラダイムの転換、が言われて久しい。一方、既存の枠組み、社会のあり方を固持しようとする勢力の反撃も勢いを増している。今こそ、「地域」という基盤に立ち返り、そこで「資源」と「社会」がどのように向き合い、そして関わっていくべきか、そしてその具体的な方法はどのようなものか、について、関心のある者達が一堂に会し、考えや事例を見せ合い、教え合い、確認し合い、そして議論し合うことを通じて、社会に発信し、社会を変えていく「力」を高めていくことが、緊急に求められている。そのことによってこそ、そして、そのことによってしか、社会の変革はない、と思う。
 この集会の趣旨に賛同してくれた仲間たちと相談し、その第一歩として、2011年3月14日開催予定だった「地域資源と社会」研究集会を、改めて、2ヶ月後の9月末に東京・府中で開催することを決定した。おそらく、開催予定だった昨年の集会のような多くの「同志」が集まることは無理だろう。しかし、集まれる人々だけでも集まり、まず、第一歩を踏み出したい、と思う。
 この手紙は、昨年の集会に参加を予定されていたみなさん、および不参加予定ながら賛同を寄せられていたみなさん等にお送りしている。ぜひ、多くの皆さんが参加されることを強くお願いしたい。
 なお、この集会の対象を、当面は、社会科学者に限っていることについて、最後に少し説明をさせていただきたい。地域資源管理に研究者が関わる際には、自然科学者と社会科学者の協働が必須であることは、地域資源管理に何らかの形で関わった経験をお持ちの方々ならば、特に議論の必要はないだろう。さらに言うならば、管理の現場での自然科学者との継続的な議論・せめぎ合いの中からこそ、地域資源管理のあり方についての、実践的、総合的な考察が可能になると考えている。しかし、一方で、そうした協働作業の過程で浮かび上がってくるのは、自然科学者とは異なる社会科学者としての自らのスタンスを確立することの重要性である。地域資源管理における社会科学ないしは社会科学者の役割を明確にする場として、ひとまずは、この集会を設定したいと思う。
—————–

■上記の呼びかけ文の冒頭にもありますように、2011年3月14日に第1回目が開催される予定になっていましたが、東日本大震災により開催延期になっていました。そして1年半後の昨日、やっと開催が実現したというわけです。もっとも、台風が接近していることから、予定していたプログラムを短縮せざるをえませんでした。とはいえ、林学、造園学、農業経済学、環境社会学…と、専門を異にする社会科学の研究者が集まって議論を行うことができました。キックオフの集まりとしては、大変有意義だったように思います。私も司会に求められて、異分野や自然科学者との連携のあり方について、これまでの20年程、文理連携による環境研究を行ってきた立場から発言させていただきました。本当は、研究集会のあとの交流会で、初めてお会いした皆さんといろいろなお話し&交流ができればよかったのですが、それは次回に…ということになりました。

Admin area