上林 陽世加さん
4年生(滋賀県立彦根翔西館高等学校 出身)
「男らしさ・女らしさ」といった価値観で生き方が制限される社会に疑問を抱き、ジェンダーなど社会の諸問題を扱う猪瀬ゼミを選びました。
「ジェンダー」を専攻テーマに研究を進めてきたなかで、印象深い経験が2つあります。1つは、先生から勧められて、女性の同性カップルの方々のお話を聞いたことです。「自分たちの関係を家族に理解してもらえない。異なる価値観で育ってきたので、あきらめている」という話を聞き、家族の理解を得られない辛さを想像せずにはいられませんでした。同時に、好きな人と暮らすのさえ困難な社会に対する問題意識がさらに深まりました。
もう1つは「ジェンダーレス」という事象について調査した際のことです。ここ数年で体毛の処理やメイクが性別を問わず当たり前となりつつあり、短期間で人々の価値観が変容していく社会の流れに興味を抱いて調査を行いました。その結果、男と女の領域は近づいているものの、そのボーダーは完全に消滅せず、見えざる取捨選択が流行のなかで働いているとの結論を得ました。この一連の探究で「ジェンダーレス」への理解が深まり、卒業論文の題材も決まりました。
卒業論文では「日本の性別における二分法的思考の問題」を主題とします。男・女という二分法的思考の成立背景や問題を明らかにし、誰もが自分らしく生きられる社会のあり方を模索します。猪瀬ゼミは、みんながそれぞれに関心のあるものを研究しており、発表や意見交換のたびに新しい視点を得られます。もともと人前で話すのに苦手意識があった私も自信をもって発表ができるようになり、大きな成長を感じています。ゼミ活動で得た学びの総括となる、充実した卒業論文になりました。
三沢 ちとせさん
4年生(長野県 佐久長聖高等学校 出身)
工藤ゼミが専攻する「文化社会学」は、人間の営みや社会の構造について、文化をとおして探究を深める学問です。ゼミでは、学生一人ひとりが自由にテーマを設定して、社会のさまざまな事象や問題について考えます。自分の興味をベースに研究をすすめて成果を発表し、最後は全員で討論を行うことでさらに理解を深めます。自分では考えもしなかった意見や考え方にたくさん出会い、視野を広げられるのが工藤ゼミの魅力です。
社会学を学んでいくと、いかに価値観というものが移ろいゆくものであるかがわかります。例えば産業革命以前、人々の心の支えは宗教でした。しかし近代社会に移行してからは、お金や資本が人々の心の支えになりました。心の拠り所が、いつの時代にもなくてはならないものであり、時代とともに変容する性質をもつものであるならば、今この時代における心の拠り所とは何なのか。私はそれを追究するため「宝塚歌劇における非公式ファンクラブ活動」を主題に、卒業論文に取り組むことにしました。趣味への没頭、あるいは趣味を軸に形成された集団への所属、人との関わりが、現代人の心の支えになっているのではないかとの仮説を立て、研究をすすめています。
自分の興味をどこまでも追究できる、ゼミ生同士で学びをシェアして、知識や価値観をブラッシュアップできるのが、工藤ゼミで学ぶ醍醐味です。伝えたいことを自らの言葉で説明する力が身につき、さまざまな考え方を受け入れる柔軟性や傾聴力も培われました。周囲からの意見や質問をきっかけに見つかった課題が、さらなる学修につながっていくのだという気づきも得られました。ゼミでの学びと経験を活かし、社会に出てからも成長し続けられる人間でいたいです。
小島 祭鈴さん
3年生(京都府立東稜高等学校 出身)
もともとスポーツが好きで、多くの人に楽しんでもらいたいとの思いから「スポーツと地域の課題解決」を扱う大西ゼミを選びました。スポーツ人口が減少し、運動する場所や時間も少なくなりつつある現代において、本来のスポーツの役割をどのように活かし、地域に取り入れていけばいいのか。スポーツをとおして、地域やスポーツに関する課題・問題の解決に取り組みます。
今回参加した琵琶湖周辺でのフィールドワークは、イベントの開催者の視点に立って、物事を考える良い契機となりました。スポーツを通じたイベントでは、安全への配慮が欠かせません。主催者の立場としてイベントを成功に導くには、時間の調整や人件費の工面、利益の計算など、あらゆる面での準備が必要です。ただやってみたいという思いだけでは成し遂げられないことがたくさんあると知り、改めて準備の大切さを実感しました。
松田 司さん
3年生(奈良県立五條高等学校 出身)
私は高校時代からスポーツに興味があり、スポーツの観点から地域振興を支援する手法を学びたいと考えていました。「スポーツマネジメント」をテーマとする大西ゼミを選んだのも、スポーツを通じた社会活動について深く知りたいと思ったからです。
今回はゼミ活動の一環として、企業が主催する琵琶湖での環境・スポーツ体験プログラムに参加しました。この企業は、琵琶湖周辺の自然を体感できるアクティビティを提供することで、地域の活性化に貢献しています。豊かな水源や身近な自然の素晴らしさをアピールすることで観光客を誘致する、スポーツ体験をとおして参加者の運動能力や人間力を育む、生涯スポーツとして高齢者の健康増進につなげるなど、さまざまな社会課題の解決に結びついているのがよくわかります。社会課題を社会学とスポーツの複眼でとらえ、自分に何ができるかを考えていきます。
小橋 春奈さん
4年生(滋賀県立東大津高等学校 出身)
社会福祉とは、生活の安定や充足に欠かせない公的な仕組みであり、私たちの誰もが密接に関係しています。社会福祉を学ぶうえで「貧困」は避けて通れない大きな課題であると感じ、生活困窮者問題を専門とする砂脇ゼミを選びました。「貧困」から派生する社会構造を追究していくなかで、私がスポットを当てたのは「一人暮らし高齢者の社会的孤立に対する地域活動」でした。3年次の地域包括支援センターでの実習がターニングポイントとなり、社会的孤立に対する地域の福祉実践を掘り下げていきたいとの思いに至りました。この実習経験は、地域性やその歴史、社会のあり方、孤立状態に陥る人の背景などを考察する際にも役立っています。
砂脇ゼミはグループ活動が多く、学生同士が意見を交換したり、アドバイスし合ったりして学びを深めます。自分だけでは気づけなかった観点から問題点を指摘してもらえるため、多角的な視点の必要性を実感できます。私もメンバーからの助言を受けて、さまざまな角度から物事を考える姿勢が身につき、より良い学びにつなげることができました。メンバーと緊密な関係性を築けるのも、このゼミの魅力です。学業と課外活動の両立でまとまった学修時間を確保できない私のために、執筆に必要な文献を紹介してくれるなど、折にふれて助けてくれます。先生も学生一人ひとりと真摯に向き合い、何度でも丁寧に指導してくださいます。そのおかげで自分が今何をすべきかが明確になり、限られた時間でも集中して執筆に取り組めています。 課外活動の吹奏楽コンクールで金賞を受賞した際も、「おめでとう」とあたたかな言葉をかけてくれました。先生や仲間の協力を得て、納得のいく卒業論文を仕上げることができました。