
この授業で私は、東日本大震災に関する事前調査から具体的な調査計画の立案までを手がけました。被災状況や震災の概要について下調べを重ねてから被災地を訪問したものの、当事者の方々が語る当時の心情は想像をはるかに超えており、現地を訪ねることで計り知れない問題が山積していることに気づきました。予測できない自然災害に見舞われた際の咄嗟の判断や、きわめて辛い経験をしたからこそわかる震災への対処法など深く考えさせられる内容が多く、まずは個人が災害に備える意識を高めていかなければならないと強く感じました。一人ひとりの震災への危機意識を呼び起こすには、国や自治体からの働きかけの効果も無視できません。しかし、被災後の心理的なケアや情報の正しい伝達方法、いかにして犠牲者を減らすかといった社会課題も、私たち一人ひとりが自分ごととしてとらえ考えていく必要があるものと思います。社会課題と対峙するには、自らが主体的かつ能動的に行動しなければならないと痛感すると同時に、事前準備の必要性や当事者の意見を聞く重要性についても、身をもって理解しました。質的調査だからこそ、文献や報道記事からでは読み取れない大きな気づきを得られたと、貴重なお話をしてくださった現地の方々に感謝しています。今回の取り組みを通じて培われた情報収集力や分析力を活かし、今後も真正面から社会課題と向き合っていきたいと思います。
髙島 涼平さん
社会学科 3年生(大阪府 大阪桐蔭高等学校 出身)
三重県の上野天神祭について、4ヶ月に及ぶ座学や文献調査を経て、現地で2泊3日でのインタビュー調査を実施しました。自らアポを取り、祭りの運営に関わる約20名の方々からお話を伺いました。運営体制や文化継承における工夫や問題点について伺うなかで、少子高齢化という社会課題が浮き彫りになりました。SNSでのPRによる他地域との連携強化が課題解決の糸口になると考え、私は今、データ分析も行いながら報告書を作成しています。社会調査実習を通じ、教科書だけではつかみきれない社会課題の実情を探る手法を修得しました。同時に、コミュニケーション力や傾聴力、話を引き出す力も磨かれました。
桜井 彩葉さん
社会学科 3年生(大阪府 大阪青凌高等学校 出身)
現代社会における多くの課題は、社会を構成する人間同士のコミュニケーションに起因し、歴史上繰り返されてきた問題であると考えられます。この授業では、第二次世界大戦下の独裁政権が行った恐怖政治の成り立ちといった事例を精神医学の観点から読み解き、社会基盤のうえで人と人とのつながりがいかに形成され、どのような社会秩序をもたらしてきたのかを分析します。神経症を自己と他者のコミュニケーションの変容がもたらす病、社会問題を生み出す源ととらえ考察するなかで、現代における社会問題の見え方も変わってきました。このようにコミュニケーションについて深く学ぶことで、社会問題に対する多角的な視点が養われたと実感しています。
森山 将真さん
社会学科 2年生(京都府 龍谷大学付属平安高等学校 出身)
田中 真優さん
社会学科 4年生(滋賀県立草津東高等学校 出身)
工藤ゼミでは、現代社会・現代文化に関することなら何でも研究できます。ソーシャルメディアや若者のアイデンティティ、体罰問題などの多様な研究発表を聞き、新しい価値観を発見できるのが醍醐味です。私の卒業論文のテーマは、ネットアーティストの「歌い手」。最初は手探りでしたが、ゼミのメンバーや先生の意見を参考にするうちに研究の見通しがつき、考察を深められました。また、ゼミでの議論をとおして、自分の考えを積極的に発言する姿勢も身につきました。