
山田 容教授
ソーシャルワークとは、個人、集団、地域、社会など多様な人のつながりや社会の構造をふまえ、問題の解決、人の幸福を実現しようとする取り組みです。支援者(ソーシャルワーカー)は、問題の背景にある複雑な要因を総合的にとらえ、要支援者の思いや状態に応じた支援を実践していきます。この授業では、ソーシャルワークの理念と視点、特に支援を必要とする方々との協働の重要性を述べていきます。
私はこの実習で「子どもの虐待と貧困」をテーマに挙げ、子どもの貧困に関する見識を養いました。そこでわかったのは、子どもの貧困は、保護者の置かれている状況が深く影響しているということでした。貧困の連鎖を繰り返さないためには、まず親が現状を抜け出さなければなりません。子どもへの支援は徐々に広がりつつありますが、親に対する社会保障のあり方や社会手当の拡充などの社会保障制度を見直す必要もあるのです。また、虐待や貧困における法制度を学ぶと同時に、子どもの問題に向き合う公的機関やさまざまな法人の取り組みにも着目して理解を深めました。また、実習先の施設長のご厚意で支援内容を検討する会議に参加させていただき、机上では知り得ないリアルなソーシャルワークにも触れられました。施設の支援内容や利用者の生活背景を把握し、福祉問題の実態と実際の支援を体感できたのは大きな収穫です。利用者との関わり方や職員の人間関係からも学びを得て、福祉業界をめざす者として飛躍的に成長できたと思います。
佐藤 幸久さん
現代福祉学科 3年生(和歌山県 近畿大学附属新宮高等学校 出身)
社会福祉士の国家資格取得をめざし、「地域の繋がりが希薄化するなかで見えづらくなっている課題やニーズをどのように発見して対応するか」をテーマに、社会福祉協議会での実習に臨みました。実習では、地域の方々の声を聞き、現実を知ることで、より具体的に解決のための考察をすすめられました。私は、自治体をはじめ地域の事業所や企業が連携し、住民の変化を共有する必要があると考えました。そういった仕組みをつくれば課題の早期発見・対応が可能となり、一人ひとりが「助けて」と言いやすい社会にもつながると思います。また、社会福祉士は、地域課題を通じて人と向き合い、暮らしやすさを生み出すクリエイティブな仕事であるとも感じ、ますます福祉への関心が高まりました。
宮村 怜奈さん
現代福祉学科 3年生(京都府 龍谷大学付属平安高等学校 出身)
福祉事業所と医療機関で行う精神保健福祉援助実習では、精神障がい者への向き合い方を学びます。実際、疾患への理解が浸透しておらず、受け皿が少ないため、精神保健福祉士などの支援者が当事者の困りごとに寄り添う必要があります。専門職に限らず、他分野の専門家や支援者同士が情報を共有し、意見交換することも社会課題の達成につながると考えています。医療機関では、利用者の退院支援などのケースカンファレンスに参加し、医療従事者の視点を理解できました。当事者とその周りにおられる方々の思いを理解する重要性も学びました。これらの実習に共通するのは、他者との意見交換や議論によって新たな発見が生まれること。支援者の基本は傾聴する姿勢にあると改めて認識しました。
岡本 郁美さん
現代福祉学科 4年生(大阪府立牧野高等学校 出身)
矢野 愛莉さん
現代福祉学科 4年生(大阪府立芥川高等学校 出身)
シングルマザーの支援団体を招いた講演会の参加をきっかけに、母子世帯の経済的困窮度を知り、問題意識が芽生えました。シングルマザーは8割を超える就労率がありながら、相対的貧困率は約5割に及びます。解決の糸口を探るために、コロナ禍における現状をインタビューしたり、母子世帯と交流したりしながら、就労問題や社会保障、民間も含めた支援策を考察。当事者が求めるものは何かを考えながら、貧困に対する支援のあり方について研究をすすめています。