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Faculty of Sociology

社会学部

川中 大輔

川中 大輔
教員氏名
川中 大輔(かわなか だいすけ) 准教授
所属学科
現代福祉学科

研究テーマを教えてください。

日本の市民社会の現代的課題を探りながら、どのような社会イノベーション実践やシティズンシップ教育が求められているのかを考えている。現在は特に若者の影響力を高める社会参画の推進と、それを通じた能動的市民性の涵養について、具体的事例に即して研究している。また、近年は多文化時代のコミュニティ・デザインにも関心を寄せ、共生社会を創り出す市民性について検討している。根幹にある問題意識は、熟議型/参加型の民主主義への成熟はいかにして可能か、という課題である。

専門分野の面白さは何ですか?

私たちは自らが生きる社会に対して何らかの不満や不安、不信を抱いていることが少なくない。同時にそうした「現実」を所与のものとして認識し、問題含みの社会に適応するしかないと諦めてしまうことも珍しいことではない。しかし、研究活動を通じてオルタナティブな社会の姿がリアリティを伴って浮かび上がってくる時、私たちはその可能態から現実態に切り込んでいく批判的実践の探究に導かれることとなる。人々がこの過程に参与する時、その経験を通じて、市民としてのエンパワメントが進み、社会変革の担い手たる自己の可能性を見出すことも起こり得る。こうした可能態/可能性の領域に触れられること。それが私にとって感じられる「面白さ」に他ならない。

なぜその専門分野を選ばれたのですか?

私は学生時代、阪神・淡路大震災の被災児童支援の活動を皮切りに、青少年教育や環境問題、まちづくり、社会事業家支援などの分野で活動するNPOに関わりを持つこととなった。その中で市民社会組織が現代社会でどのような社会的意味を有しているのか、公共圏のコミュニケーションを巡ってどのような課題があるのか、といった問題意識が芽生えていくこととなった。この背景として、在学中に震災復興過程の中で市民活動の存在感が高まっていたことを目の当たりにしたり、NPO法施行や国連ボランティア国際年といった出来事があったことも大きい。20世紀社会の仕組みの綻びが露わになる中で、市民社会の動きに新たな希望を見出したのであった。この流れの中で現在の研究や実践に至っている。

好きな本、映画、趣味など

若い時に出会い、自らの生き方に響いた大切な作品の幾つかとして、映像作品では『いまを生きる』(ピーター・ウィアー監督、1989年)や『モーターサイクルダイアリーズ』(ウォルター・サレス監督、2004年)、『一本の樹』(藁谷豊監督、1993年)が、書籍では星野道夫『旅をする木』(文藝春秋、1995年)や加藤哲夫『市民の日本語』(ひつじ書房、2002年)、内山節『哲学の冒険』(平凡社、1999年)が挙げられる。趣味はまち歩きや映画鑑賞。

ひとこと

あなたは自分が社会の大きな転換期に生きることをどのように受け止めるだろうか。不確実性が高まったり、「これまで」の社会の仕組みが成り立たなくなったりすることに対して、漠然とした不安を覚えるかもしれない。もしかしたら、前の世代に比べて自分たちは「損」をしていると思うかもしれない。しかし、転換期の時代に生きるということは、「これから」の新しい社会を自分たちで創り出せるチャンスがあるということでもある。寧ろ、そのことが私たちには期待されているだろう。市民社会における多様な人々と共に21世紀社会デザインの実践/研究を進めていきたい。

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