七田 圭希 さん
3年生(徳島市立高等学校 出身)
東日本大震災の被害を受けた福島県・宮城県・岩手県を訪れ、質的調査を行いました。質的調査とは、個々人へのインタビューからわかった生活史を社会的な文脈に重ね合わせていく研究手法です。浮き彫りになったのは、帰還困難区域に指定されていた地域における顕著なコミュニティの分断でした。震災によって以前の人間関係が失われ、居住可能となった今でも帰還者が少ない地域は、人とのつながりをつくりにくい状況にあります。そういった社会問題に一市民として向き合って考えていく姿勢が、今回の実習をとおして養われました。
内堀 真夢 さん
3年生(滋賀県立長浜北高等学校 出身)
子どものスポーツ離れを改善するには、スポーツに親しみをもてるイベントが有効です。京都サンガF.C.や滋賀レイクスなどのプロスポーツチームのスタッフとなる「JB実習」では、そういった子ども向けブースやホームゲームの運営をサポートします。企画自体の妥当性やクラブチームへの還元などを熟考しながらスタッフ間で話し合う過程を通じ、社会で求められる企画力が身につきます。また、チームのホームタウンを訪れることで、各地域の現状や課題を目で見て感じられました。この実習で学んだスポーツビジネスのノウハウを、将来のキャリア形成に活かしていきたいです。
藤原 白羽 さん
2年生(兵庫県立香寺高等学校 出身)
記者には、大切な情報を広く伝えるという役割があります。その仕事内容を体験できるのが「学生記者実習」です。学生自ら興味をもった滋賀県内の場所や人について取材を行い、執筆した記事は毎日新聞滋賀県版「しがキャンパる」欄に掲載されます。実習のなかで不特定多数の読者を想定した記事づくりをとおして、私は、大学のレポートや友人へのメッセージを書く際にわかりやすい文章を意識するようになったほか、相手を傷つけたり誤解させたりしない発言を心がけるようになりました。それらの学びを活かし、将来は旅行業や運輸業の情報発信に貢献したいです。
假屋 杏純 さん
3年生(大阪府立四條畷高等学校 出身)
高齢になると、身体が不自由になったり、認知症になったりすることで、今までの生活を継続することが難しい場合があります。どのような状況でも、その人らしさを大切にし続けるためにはどうすればよいのか。私は、そのヒントを実習で得ました。特別養護老人ホームで利用者さんと関わったり、実際の会議に参加して各職種の考え方に触れたり、周辺地域を歩いて施設のあり方を理解したりするなかで見えてきたのが「寄り添う支援」でした。一人ひとりの利用者さんに丁寧に関わり、意思や尊厳を守りつつ、第三者目線も忘れない。そのような思いをもって福祉現場で働きたいです。
小泉 明香理 さん
3年生(大阪府立夕陽丘高等学校 出身)
不正確な情報や誹謗中傷により人々の心や生活が脅かされている昨今、信頼できるメディアの必要性が高まっています。「龍大ラジオタックル」では、実態のある放送局を通じ所属や氏名、素顔を明らかにしたパーソナリティが情報発信を行います。社会的な課題などについて自分たちの経験や調査をもとに語る番組を、学生主体で制作します。音声のみで伝える難しさを体験することで語彙力が磨かれたり、チーム活動のなかで自主性が養われたりと、自分の成長を実感しています。将来は、メディアをとおして私自身の考えや地元の魅力を発信していきたいです。
伊藤 麻莉奈 さん
3年生(愛知県立丹羽高等学校 出身)
社会の超高齢化に伴って社会保障費が増大している昨今、健康寿命を延ばすための活動が注目されています。その一環として、「健康なまちづくりプロジェクト」では、ラジオ体操第3やストックウォーキング、ストレッチ体操、筋トレなどを高齢者の方々と一緒に行います。学生主体となって参加者を引っ張っていくなかでコミュニケーション能力やリーダーシップが鍛えられ、さらに自ら状況を察して行動する姿勢も身につきました。この実習で得られたスキルをもとに、卒業後は不動産デベロッパーとしてあらゆる地域のまちづくりに携わりたいです。
森 大毅さん
4年生(滋賀県立東大津高等学校 出身)
渡辺ゼミでは、社会調査の手法やデータの分析方法など学術調査の手法について学修し、各々が興味ある分野への学びを深めます。特に印象深いのは、3年次に取り組んだグループ調査です。就職活動をはじめる当事者として他者の活動状況に興味をもち「龍谷大学3年生の就職意欲、就活不安の現状と就職活動状況の相関」に着目して調査をすすめました。当初は感覚的で漠然としていた疑問も、メンバーが収集した先行研究やデータの分析を通じて、「就職」という事象が学生の目にどう映るのか、不安や環境といった内的な要素が就職活動の進捗といかに関わるのか、ささいな疑問も論理的かつ学術的アプローチが可能であるとわかり、心理学や行動学といった多様な領域の専門知識を活かして理論を構築していく学びの楽しさを感じました。
現在は「特撮ヒーロー作品の設定からみる社会における理想モデルの変化」をテーマに卒業論文を執筆しています。子どもを対象に描かれるヒーローの人物設定や描写の変化から、各時代に生きる人々の意識の変容を読み解き「次世代への期待」をデータ分析の手法と論理的思考に基づいて逆説的に明らかにしていきます。調査や研究の過程で重要なのは、本当に追究したいと思えるテーマと出会うことです。他のゼミ生のテーマも多種多様で、類似性があっても個人の考え方やアプローチ法によって、掘り下げ方は異なります。意見交換は発見と驚きの連続で、私のテーマ選びにも大きな影響を与えました。卒業論文へスムーズに取り組むことができたのは、斬新なアイデアを共有してくれた仲間、興味に沿って助言してくださった先生のおかげだと感謝しています。
十塚 奈津さん
4年生(京都府 龍谷大学付属平安高等学校 出身)
松浦ゼミでは、街の商業施設における高齢化問題や日本の移民問題、不登校児童生徒の課題、地域メディアのあり方など、身近な社会課題を取り上げ、フィールドワーク(参与観察)を中心とした調査技法を身につけます。私がテーマに選んだのは「地元の朝市」です。週1回のペースで朝市に通い、買い物客や店舗スタッフ、運営の方々を対象に調査を続けています。最初はお互いに警戒心が強く、どう声を掛ければよいか戸惑う日々でした。それでも定期的に訪ねていると「大学生の子」と呼ばれていた状況から、今ではあだ名で呼んでもらえるほどの関係性ができました。一人で見知らぬ場所に飛び込む不安を取り除くには、自ら積極的に話しかけることが肝要です。初対面の方と少しずつ打ち解け、信頼関係を築けたことは大きな自信となりました。
フィールドワークで得た最大の気づきは「当たり前や常識を疑う」姿勢です。例えば朝市で飛び交う「いつもありがとうございます」ということばは、つい聞き流してしまう当たり前の一言です。しかし、よく考えてみると、大型スーパーが点在する地域で小さな朝市を利用してくれる常連さんへの愛情が込もった挨拶かもしれません。会話や状況を細かく記録するなかで「当たり前」に隠された大切な意味を見出せるようになりました。松浦ゼミの魅力は、フィールドワークの成果を作品としても残せることです。私は卒業制作として「愛される地域朝市と見えない町の高齢化」を取り上げ、写真集制作に取り組んでいます。映像制作やメディアの授業で学んだスキルを活かして納得のいく写真集に仕上げ、地元の朝市に恩返ししたいと思います。
月川 至優さん
3年生(広島県 広島新庄高等学校 出身)
井上ゼミでは「健康でまちづくり」をテーマに、地域社会の健康促進という社会課題と向き合っています。私が着目したのは現代社会において問題視されている、若者のスマホ依存です。私たち大学生にとって今やスマホは、日常生活や日々の学修、就職活動にも欠かせない便利なツールとなりました。その一方、依存してしまうと、心身の健康に悪影響を及ぼします。既存の対策では効果が薄いという現状に対して、どのような解決策を導き出せるか、スマホ依存によって起こる健康問題にどのようにアプローチできるか、大学生を対象としたアンケートを実施して、若者のスマホ使用の実態や依存度を詳しく調査し、その結果からデジタルデトックスの自己実践につながる具体的な方法を見つけ出したいと思っています。
井上ゼミはフィールドワークが豊富です。私たちも、滋賀県湖南市で行われた健康増進事業に参加しました。そこでは、健康関連企業や市の職員の方々と連携して健康促進を浸透させる方法を検討し、学生ならではの視点から「運動・スポーツ関連健康支援資源マップ」の作成に取り組みました。健康づくりは個人の努力だけでは限界があり、地域全体で推進すべき重要な課題です。国や県を挙げて行うプロジェクトに携わった今回の経験は、これから社会活動を行っていくうえで確かな財産となるに違いありません。一つの問題に対して多様な視点で考えられるようになったのも、ゼミ活動をとおして得た大きな成果です。ゼミでの学びと経験を卒業研究や就職活動にも活かし、自分のスキルを発揮できる進路を実現したいと思います。
西村 嘉記さん
4年生(和歌山県立日高高等学校 出身)
もともと関心が高かった児童福祉分野をさらに専門的に学びたいと考え、土田ゼミを選びました。このゼミでは、児童福祉の視点から子どもの幸せや権利について学び、座学と実践の両面からそのあり方を考えます。特に印象的なのは「子どもの育ちと家族」をテーマにしたオンラインアンケート調査です。子どもの成長に影響を与える家族の要因を考察した後、自分たちで立てた仮説をもとに質問項目を設定し、その結果をクロス集計や残差分析といった統計的手法を用いて検証しました。調査をとおして、自ら立てた仮説を客観的に証明するには客観的なデータや統計的な数字で示すことが重要であると学びました。座学で得た知識と現場経験、そしてデータ分析を組み合わせることで、子どもの福祉への理解がより深まっていくのを感じています。
インタビューやグループワークといった実践的な活動をとおして1年間じっくり児童福祉について学び、現在は「引きこもり支援の今後のあり方」をテーマに卒業論文を執筆しています。社会福祉協議会で行われたソーシャルワーク実習で個別支援に携わったことで「本人は何を求めているのだろう」と意識するようになり、相手視点の支援が大切であると感じたからです。3年次からずっと「子どもたちにとってしあわせとは何か」と問い続けた経験は、放課後等デイサービスでのアルバイトや子どもの学習支援ボランティアなどの実践活動にも活かされています。子どもたちのしあわせや権利を守れる大人になるために、今の自分に何ができるのか。自問自答を繰り返しながらさらに学びを深め、子どもがしあわせに暮らせる社会づくりに貢献したいと思います。