置き鍼

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■先週の火曜日のことになります、研究プロジェクトの成果をまとめる本の編集作業が終わったことから、鍼灸院に行ってきました。どうしようもなく固まってしまった肩をまずは揉み解していただき、その上で肩凝り防止に針を打っていただきました。打つというよりも、貼るですね。小さなシールの真ん中に、とっても細い短い針が出ています。置き鍼というようです。これを、今回は背中の4箇所に貼っていただきました。なんと小さい。棘のような感じですね。これで確かに楽になりました。

■大きな仕事が終了して異様なストレスが無くなったことも大きいのかもしれません。ということで、4日間貼り付けていた置き鍼を、風呂に入る前に剥がしました。とはいえは、仕事に集中すると肩が凝ってしまうので弱っています。悪い習慣のようになってしまいました。自分で無意識のうちに筋肉に力を入れてしまっているのでしょうね。いかんな〜。

ひさしぶりの高島「ワニカフェ」

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■ひっ…さしぶりに、高島の「ワニカフェ」にお邪魔しました。最近、facebookの更新はストップされているし(おそらくお考えがあって)、どうされているのかなと思っていましたが、岡野将広さんご夫妻、お元気にされていました。ランチを頂くためにお店に伺ったのですが、お客さんがいっぱいで大変お忙しくされていました。もちろん、コロナ対策をしっかりされた上でですので、大変だと思います。このコロナ禍の中で、応援している知り合いのお店や、親しくさせていただいているお店が、忙しくされているということは、基本的には良いことだと思うんですが、どうなんでしょうね。ともかくお会いできて嬉しかったです。

■コロナでかなりお疲れのようではありましたが、店内の黒板にチョークで書かれたメッセージからは、お店のコンセプトがよりクリアに、よりシャープに発信されているように感じました。店内には、食材を提供してくださる、連携されている有機農家の写真も飾ってありました。「ワニカフェ」は、地元の有機農家の野菜を使った料理がとても美味しいお店です。身体にも気持ちにも優しいお料理です。それから有機農家と連携した「高島マーケット」、素晴らしい社会的な取り組みだと思います。頑張っておられます。今日は仕事に集中されていたので、別の日にまたご飯をいただきに行きお話しを伺いたいと思います。お土産に、琵琶湖のエビを使った「ワニカフェ」の「びわ湖川エビスパイスカレー」(レトルト)を購入しました。琵琶湖の沖島の猟師さんが獲った琵琶湖のエビを素材として製造されたカレーです。

■この「びわ湖川エビスパイスカレー」を紹介するパンフレットに、「びわ湖でしか生まれないカレー」(写真・文 オザキ マサキ)に、岡野さんのことが次のように書かれていました。

彼は移住先の滋賀県高島市で2013年にカフェを開いた。開店当初は、地方で食材を揃えることの難しさにびっくりしたという。彼が修行をしていた京都や大阪では、いつでも、使いたい食材が簡単に入手できるからだ。そこで彼は、自分がほしいものではなく、その土地に、その時期にしかない食材を使うことにした。しかし、限られた食材に合わせて料理を作ることは簡単ではなく、ひたすら食材を研究し、創意工夫を重ねるしかなかった。だが結果的にそのことがお店の骨格となり、県外からも客が訪れる人気店になった。ぼくも写真を撮るときは、こちらが被写体に合わせていくことを意識しているので、彼のその姿勢にはとても共感を覚えた。そして、「カレーを通してびわ湖を知ってほしい」という想いでつくったのが『びわ湖川エビスパスイカレー』だ。

■素晴らしいですね。私もとても共感します(特に共感したところ、太字にしました)。フランスの人類学者、レヴィ=ストロースが、「プラクシス」と「ポイエーシス」の概念について説明している講演録を読みました。ここではこれらの概念について説明はしませんが、岡野さんの料理人としてのスタイルは「ポイエーシス」だと思います(自分の備忘録として書いておきます)。素敵です。また、以前にもワニカフェについて書いた時に説明したと思いますが、ワニカフェは、生産者と消費者のふたつの輪が繋がることを目指して経営されています(爬虫類のワニとは違うわけですが、店内の黒板に描かれたチョークのイラストには、さりげなく、琵琶湖から上陸してきたワニが描かれています)。「高島マーケット」も、この「びわ湖川エビスパイスカレー」にも、そのような岡野さんご夫妻の思いがギュッと詰まっていると思います。これからの時代、こういったローカルで小さな互いを支え合う仕組み、広い意味での共助の仕組みが、とても大切になってくると思います。このようなローカルで小さな互いを支え合う仕組みは、おそらくイヴァン・イリイチのいう「自立共生」(Conviviality : コンヴィヴィアリティ)という概念と関係しているはずです。

■私は、NPO法人「琵琶故知新」の理事長としても、岡野さんご夫妻のように「琵琶湖のことを思ってお店をされている店主さんたちと、もっともっと親しくなりたいな〜。お話を伺いたいな〜」と思っています。

「びわ湖・滋賀学」のこと

■先週の土曜日ですが、用務があり、かつて勤務していた滋賀県立琵琶湖博物車で出かけました。そして、博物館館長の高橋啓一さんと研究部長の亀田佳代子さんのお2人にお会いしてきました。かつての同僚のお2人です。高橋さんは先輩、亀田さんは後輩になります。

■さて、現在、私が勤務している龍谷大学社会学部では「びわ湖・滋賀学」という授業が開講されており、滋賀県立琵琶湖博物館の学芸員の皆さんに授業を担当していただいていますが、この授業を琵琶湖博物館で集中講義の形で開講できないか…という相談をしに伺ったのです。すでに担当者レベルでは話が少し進んでいます。いろいろ検討しなければならないことがあるわけですが、もし、そのような授業が実現したら素晴らしいなと思っています。大学と博物館の連携です。双方にとって意味のある、新しい教育の可能性を生み出すことのできる授業になればと思っています。

■今日は、大変天気が良く、琵琶湖博物館がある草津市の烏丸半島からは、比叡や比良の山々がよくも見えました。肉眼では小さすぎて無理ですが、私の暮らしている家も見えたはずです。そのような風景の反対側、駐車場から振り返ると、そこには森があります。琵琶湖博物館は、その森の中にあります。琵琶湖博物館は1996年に開館しました。そのころは、まだこの森はありませんでした。開館後の約四半世紀の時間が経過し、いろいろ考えて植栽された樹々が大きく成長して現在の素敵な森になったわけです。

■もともと、琵琶湖博物館が建設された場所は、魚の養魚場でした。そこに琵琶湖総合開発によって生まれた浚渫土が運び込まれて土地が造成されました。新しく生まれた丘のような土地の上に博物館は建っています。豊かに茂った樹々からは、そのような歴史を想像することは難しいですね。なにか感慨深いものがあります。

■私は、この博物館が開館するまでの5年間は滋賀県職員として博物館の開設準備に関わっていました。大学院を出たあと、30代の間はほぼ博物館づくりに取り組んでいたことになります。その時の地方公務員としての経験が、今の大学教員しての働き方に強く影響していると思います。帰宅時、ふと、「あのまま琵琶湖博物館にずっと勤務していたら、どのような人生だったのだろう」という考えが頭の中をよぎりました。もしそうだったら、私は2年前に定年退職していることになりますね。どんな人生を送っていたのでしょうね。

龍谷大学吹奏楽部「オータムコンサート」の写真

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■先日の日曜日に、びわ湖ホールで開催された、龍谷大学吹奏楽部「オータムコンサート」の写真を部員の方からわけていただきましたので、載せて起きます。コロナ禍の中での吹奏楽部の活動、大変苦しいものがありました。でも、その苦しみも、部員の皆さんの成長の糧となったようです。

■部員の皆さんのTwitterを拝見すると、コロナ禍の中で大切なものを再確認された方が多かったように思います。「自粛期間があったからこそ、改めて龍吹の皆とする吹奏楽の楽しさに気付けました。今後も感謝を忘れずに音楽します」とか。しかし、短期間で、よくぞここまで仕上げてきたな〜と驚いています。マーチングのショーも、大変楽しめました。来年のテーマも聞いています。まだ公表はできませんが、皆さんお楽しみに。来年は、コロナ禍がおさまり、いつもの通りにサマーコンサートが開催できたら良いのですが…。

■次の演奏会は、12月25日に開催される定期演奏会になります。会場は大阪のザ•シンフォニーホールです。開催できるかどうか、大変心配です。とはいえ、大阪での感染拡大の状況を確認しながら、残された短い期間でベストを尽くします。

『流域ガバナンス 地域の「しあわせ」と流域の「健全性」』(京都大学学術出版会)、責了。

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■一昨日の月曜日の出来事です。総合地球環境学研究所での研究成果をもとにした、『流域ガバナンス 地域の「しあわせ」と流域の「健全性」』(京都大学学術出版会)、責了(責任校了)しました。出版会の編集者に「これで責了、でよろしいでしょうか?」とメールで確認されてドキドキしましたが。

■普通の論文集ではないので、本の全体に一本太い筋(文理融合型プロジェクトの論理)を通す作業に疲れました。本当に。今日は、もう1人の編者である谷内茂雄さん(京都大学生態学研究センター)と、朝から夕方まで、ずっと龍谷大学で最後の編集作業を行っていました。そして、責了です。というわけで谷内さんと、とりあえずの慰労も兼ねて、一緒に夕食を摂りました。

■おそらく、私たち2人は、もうこんなしんどいことは、二度とできないと思います。しんどいこと…とは、難しいこの手の本の編集だけでなく、文理融合型の研究プロジェクト自体もです。7年間取り組みましたが、年齢的に、体力と気力が持ちません。二度とと書きましたが、谷内さんと私は、流域環境問題に関する文理融合型の研究プロジェクトに取り組むのは、これで三度目になります。ですから、四度目はないということですね。2人とも、研究者の人生のかなりの時間を、この手の文理融合型の流域研究プロジェクトに捧げてきました。

■今回のプロジェクトの最後では、谷内さんと、毎晩のようにzoomによる編集作業を続けました。これからはこのようなことをしなくても良いわけで、少しは体調が回復してくれるのではないかと思います。谷内さんも同じ気持ちだと思います。大袈裟に言っているのではなく、ホンマの話です。2人とも、ホンマに体調を崩しました。で、この仕事が解決したら(完全に終了したら)、2人の思い出の地?!岩手に、慰安旅行に行こうといっています。まあ、コロナで実際には今のところ行けませんけど。

■でも、歳を取れば取るほど、時間の経過はスピードを増してきます。facebookで知りましたが、最善寺というお寺の伝導掲示板には、このような法語が掲示してあったようです。「三十までは各駅停車、四十までは快速列車、五十までは急行列車、六十過ぎれは超特急」。残された時間を何に優先的に使っていくのか、いろいろ考えなければばなりません。

【追記】
■聖書にこういう言葉があるそうです。「苦難は忍耐を、忍耐は練達を、練達は希望を生む」(ローマの信徒への手紙5:3-4)。とても自分自身に忍耐があったとは言えないけれど、この仕事の終了までなんとか辿り着けたこと、そしてこの7年の経験が、この言葉と重なりあうものであってほしい…と思います。あと母校関学のスクールモットー、Mastery for Service (マスタリー・フォー・サービス 奉仕のための鍛錬)は、「社会学をやっている自分が、なんでこんなプロジェクトをやっているのだろう…」と迷った時に、いつも自分を励ましてくれました。

■これからは大きなプロジェクトはせずに、コツコツと楽しみながら自分の研究を続けていければ、そして流域の保全に関する実践的な取り組みに関わっていければと思います。平安時代、人々から「阿弥陀丸」と呼ばれた念仏信仰(称名念仏・専修念仏)の先駆者、教信のことをイメージしながら、自分の立っている場所から、流域ガバナンスのことについて考え・発言し・行動していければと思います。少なくとも前期高齢者を終えるまでの期間は、そのようなことができる健康と体力も維持したいと思います。もう、なんだか退職するかのようなことを書いていますが、あと6年間、定年退職まで龍谷大学に勤務するつもりです。残された大学教員の時間を大切にして頑張りたいと思います。

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