岡本太郎「明日の神話」

20140402okamoto1.jpg
20140402okamoto3.jpg
20140402okamoto2.jpg
■2013年度最後の日、3月31日に、東京の京王井の頭線・渋谷駅にある「明日の神話」をみにいきました。改めて説明するまでもありませんが、岡本太郎さんの作品です。縦5.5メートル、横30メートルということです。巨大壁画です。「明日の神話 再生プロジェクト オフィシャルページ」には、以下のように説明されています。

『明日の神話』は、岡本太郎が制作した、縦5.5メートル、横30メートルの巨大壁画です。

『明日の神話』が描かれたのは、『太陽の塔』の制作と同時期の、1968年から1969年。

メキシコの実業家から「新築ホテルのロビーを飾るための壁画を描いてほしい」という依頼を受けた岡本太郎が、現地に何度も足を運んで完成させました。
しかし、依頼主の経営状況が悪化したことでホテルは未完成のまま放置されることになり、『明日の神話』もロビーから取り外されて行方不明になってしまいました。

永らく行方がわからなくなっていましたが、2003年9月、メキシコシティ郊外の資材置き場で、『明日の神話』が発見されました。
岡本太郎記念館館長だった岡本敏子が現地を訪ね、これを確認しました。

岡本太郎が『明日の神話』を描きあげてからの30余年、絵は少なからず損傷を受け、迅速な修復を必要としていました。
岡本敏子は『明日の神話』再生プロジェクトを発足させ、壁画を日本へ運び、修復する取り組みを始動しました。

2003年から2004年にかけて、このニュースは日本をかけめぐりました。
『明日の神話』が修復され、日本のどこかへ設置されるまでの一連のプロジェクトを支援する応援団「太郎の船団 TARO’S BOATS」が結成されました。

■「明日の神話」、最終的には、2008年に京王井の頭線渋谷駅連絡通路に恒久設置されました。広島や長崎、それから万博の太陽の塔のある吹田市から、ぜひうちにとオッファーがあったと聞いていますが、岡本太郎のアトリエに一番近い渋谷になりました。そのアトリエは、現在、岡本太郎記念館になってまいます。そこの展示解説で読んだのかもしれませんが、岡本太郎は、自分の作品がパブリックな場所に置かれることを望んでいたようです。美術館のような場所で鑑賞する…というのとは少し違うのではないかと思います。この駅のような公共の場所のことでしょうか。人が、自分の作品を丁寧に鑑賞することもなく、ちらりと眼に入れるだけで通り過ぎてしまう。多くの人が、通勤や通学や買い物の途中で深く意識することもなく前を通りすぎる。岡本太郎は、それでよいのだと考えます。芸術作品は、その人たちの心の奥底に何かしらの影響を与えているからです。それが、岡本太郎の芸術なのでしょう。渋谷駅の乗降客数からすれば、こういう人びとが行き交う駅構内のような場所が理想だったのかもしれません。

■この「明日の神話」ですが、岡本の太郎のパートナーであった岡本敏子さんの音声解説を聞くことができます。すごく楽しい解説です。敏子さんのお人柄が出ているのかなと思います。岡本太郎の一番の理解者で、熱烈なファンであったこと(そのことに対する彼女の信念のようなものが)が伝わってきます。

「明日の神話」岡本敏子音声解説

管理者用