学生の集団としての主体性

kfz11-4.jpg ■今晩は、北船路の指導農家宅に、リーダー格のゼミ4年生と3年生の有志が集まり、9月2日に開催される「かかし祭」の話し合いを行います。計画を具体的に詰めいくためです。これまで「北船路米づくり研究会」の活動においては、私や指導農家がいろいろ指示を出して学生が動く…というパターンが多かったのですが、最近は、4年生が責任感をもって主体的に動いています。担当教員として、とても嬉しく思っています。

■グループで目標に向かって活動するさいには、メンバー間の協力・信頼関係の構築やお互いの調整能力が不可欠になります。そのような関係や能力が培われていくと、多少忙しくても、疲れていても、「なんとか活動に参加しよう」という意欲や、「仲間の期待に応えよう」と頑張る気持ちが生まれてきます。また、仲間とともに力をあわせて目標を達成したときの充実感を、また味わいたいと思うようになります。「自分たちだって、やればできる!!」という感覚が醸成されていきます。そのような感覚は、さらに関係や能力を強化していくことにもつながります。

■「北船路米づくり研究会」は、この春に卒業したゼミ生=1期生が3年生になった2010年度から始まりました。当初の取り組みは、指導農家のもとで、農業や農産物の流通について経験してみる…という点に主眼がおかれていました。まだ、活動が始まったばかりですから、仕方ありませんね。そのような中でも、積極的に農作業に通う学生があらわれました。指導農家からの呼びかけで、獣害柵の修繕などのボランティアにも出かける学生が出てきました。ただし、それは個々の学生の主体性であって、まだ集団としての主体性ではありませんでした。まだ、条件が整っていませんでした。

■そのような1期生の学生たちの活動の蓄積を基盤に、2期生は、発展的な事業に取り組み始めました。まずは、月1回街中で開催している「北船路野菜市」です。初めに提案したのは教員である私であり、指導農家のアドバイスや協力で初めて可能になったわけですが、活動を継続し経験を蓄積していくなかで、次第に活動のノウハウのようなものを身につけていきました。そして、その次は「かかし祭」です。こんなイベントを自分たちの力でやったことはないわけですが、指導農家のアドバイスもいただきながら、リーダー格の4年生有志が3年生(3期生)に呼びかけて、ミーティングを重ね、作業を分担するなど、しだいに集団としての主体性が芽生えてきたのでした。

■4年生は、学生生活最後の夏期休暇に卒業論文の調査を行いながら、この「かかし祭」の準備に取り組むことになります。他のゼミの友人からは、「夏休みにもゼミやってんのか…」と言われるようですが、このような取り組みを通して獲得した経験が、学生自身の「財産」になっていくと信じています。また、会社勤めを終えて疲れて帰宅して後、学生の相談に乗ってくださる指導農家Fさん(兼業農家)には、本当に感謝しています。

■トップの写真は、1期生が、自分たちが栽培したコシヒカリ米(龍大米)を脱穀したときに撮ったものです。2期生、3期生の学生諸君に良くいっているのですが、「北船路野菜市」や「かかし祭」に取り組むことができるのも、この1期生の活動があったからこそです。そのことを感謝してほしいと思います。また、社会人となった1期生の諸君も、後輩たちの活躍を心から喜んでくれていると思います。

管理者用