海外からのメール
(http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Ushuaia6a_(js).jpg)
▪︎長年の研究仲間である畏友・谷内茂雄さんからe-mailが届きました。谷内さんの勤務先は京都大学生態学研究センターで、彼とは、職場も近く(生態学研究センターも龍大社会学部も最寄駅瀬田…)日常的にいろいろやり取りをしているわけですが、今回は地球の裏側、南米の最南端、フエゴ島にあるウシュアイアという都市からe-mailが届いたのです。フエゴ島といえばマゼラン海峡で有名ですね。しかし、谷内さんがいるウシュアイアは、フエゴ島でもビーグル水道に面しています。世界最南端の都市です。ビーグル水道とは、進化論のチャールズ・ダーウィンが、ビーグル号による地球一周航海(1831〜1836年)の時に通過した水路のことです。
▪︎そのようなことはともかく、ウシュアイアってどんな街なのかなと思い、Wikipediaで調べてみました。トップの写真は、ウィキメディア・コモンズから拝借したものです。とても美しい街じゃないですか。背景のそそり立つ山がすごいですね〜。このウシュアイアは、フエゴ島国立公園観光の基地となっています。観光用の南フエゴ鉄道もあるらしく、「おもわず、いいな〜…」とつぶやいてしまいそうですが、谷内さんは仕事で来ているのです。
▪︎谷内さんは、推薦を受けてIPBES(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム)の統合報告書の執筆者をされています。昨年のオランダに続き今回は2回目になりますが、国際的な会議やワークショップになるので移動がとても大変そうです。このウシュアイアには、日本から2日かかったそうです。また、せっかく風景の良いところなのですが、報告書を執筆するためのワークショップや会議が続き、ホテルで合宿をするように仕事をするらしいのです。私などは「なんだかな〜、せっかく景色の良いところに来たのに」と思ってしまうのですが。谷内さんには帰国後、この合宿での生物多様性に関する議論に関して、とくに生物多様性と、空間スケールや環境ガバナンス等々との関係について、どのような議論が行われているのか、いろいろ教えてもらう予定です。というのも、そのような議論は、谷内さんや私も参加している総合地球環境学研究所の流域管理に関するプロジェクトとも関連しているからです。
『母と庭の肖像』(山崎弘義・著、大隅書店)
▪︎大津の出版社「大隅書店」さんが、新しい本を出版されました。山崎弘義の『母と庭の肖像』です。大隅書店の公式サイトでは、以下のように紹介されています。
今日の母は無表情だった。庭に出てみるとムラサキハナナが一気に咲き始めている。日々の移ろいを感じる瞬間だ。認知症の母と自宅の庭を3年間、ほぼ毎日、日記的に撮影。期間は2001年9月4日から、母が亡くなった2004年10月26日まで。撮影した枚数は3600枚を越えた(本書冒頭より)。森山大道に師事し路上スナップを撮り続けてきた写真家山崎弘義が祈るように撮影した写真と日々の記録からなる静謐かつ渾身の写真集。
▪︎この解説からは、毎日毎日、山崎さんは認知症のお母様とご自宅の庭を撮影されたようです。この本に収められた写真には、日記も添えられているとのことです。私自身、週に1回程度ではありますが、老母の世話をしに5年近く通い続けているので、この本のことがすごく気になりました。実際に手にとって読んで写真を感じとってからの感想を書くべきなのでしょうが、写真の対象である認知症のお母様と著者である山崎弘義さんの「関係」も表現されているのではないのかな…と想像しています。その「関係」も介護をされていた当時の「関係」だけでなく、過去の母と息子の「関係」もそこには織り込まれているような気がします。
▪︎この『母と庭の肖像』には、山崎さんの写真の師匠である森山大道さん、そして作家の荻野アンナさんが推薦の言葉を添えられています。
優しさと、しぶとさが、写真の原質を踏まえて露れている。 森山大道(写真家)
渾身という言葉が「DIARY」には相応しい。認知症の母親と庭の一隅をセットにして、日々撮り重ねたものが一冊になってみると、静謐にして渾身、という不思議な作品が成立した。荻野アンナ(作家・慶應義塾大学文学部教授)
【追記】▪︎以下も、ご覧ください。
しだれ梅
▪︎自宅マンションにある公園で、紅白のしだれ梅が花を咲かせました。ふだん、花にあまり関心のない私でもそばに寄って鑑賞することにしてみました。これは、マンションの記念イベントで植樹されたものです。この梅にかぎらず、花壇の花などもについても、自治会の女性ボランティアの方達が一生懸命にお世話をされています。ありがとうございます。出勤前に、心が和みました。
▪︎梅は、花が散った後には味には実がなります。梅干しにちょうど良い程度の小ぶりの梅です。昨年は、なにかの折に、マンションの自治会の役員さんやボランティアの方達と一緒に、この梅の実の収穫を行いました。私が住むマンションは全体として高齢化しているため、私のような者でも「若者」になってしまうため、脚立に登ってこの梅の実の収穫を行いました。たしか、「梅酒」になっているはずです。
いかなごの釘煮 2015
▪︎仕事から帰宅すると、今年も妻が「いかなごの釘煮」を炊いていました。何年前からでしょうか、奈良の我が家でも「いかなごの釘煮」を炊くようになりました。この「いかなごの釘煮」については、過去のエントリーがあるので、そちらの方もお読みいただければと思います。写真は、今年の「いかなごの釘煮」の生姜風味の方です。
▪︎この生姜風味を炊き上げた翌日は、妻から「実山椒」をみつけてくるようにとのミッションを受けました。ちょうど、老母の生活介護にいく途中に梅田を通るからです。いろいろ探して、やっと阪急デパートの地下2階の食品売り場の片隅に、乾燥させた「実山椒」がおいてありました。ミッションコンプリート。「実山椒」のシーズンは6月頃です。この春先には、なかなかありません。どうも、「いかなごの釘煮」のベテランのみなさんは、前の年のシーズン時に買い求め、それを茹でたあとに冷凍保存しておくようですね。なるほどです。生のものに比べると風味は落ちるけれど、「いかなごの釘煮」には十分だとのことでした。おそらく、今年のシーズン時には来年に備えて、「実山椒」を冷凍保存することになりそうです。
▪︎下の写真は、生の状態の「いかなご」です。けっきょく、この春、我が家では500g入りの「いかなご」のパックを6パック購入したようです。つまり3kgということになります。これを、娘や息子、親や妹のところに送ることになります。我が家は、いたってかわいらしい量です。本場の阪神間では、トロ箱で箱買いして、ものすごい量を炊くお宅もあるようです。すごい!!
【追記】▪︎びっくりしました。知らなかったな〜。「いかなごのくぎ煮振興協会」の公式サイトがあります。「くぎ煮.jp」です。「くぎ煮検定」、「我が家のくぎ煮コンテスト」、「いかなごのくぎ煮文学賞」…。様々なコンテンツが盛りだくさんです。私が高校や大学の頃は、もっと「素朴」な感じでしたが、時代はかわりました…。
東京・丸の内の「インデアンカレー」
▪︎昨日は東京に日帰り出張だったので、昼食は東京で、しかも丸の内にある「インデアンカレー」に行ってきました。いつもは、大阪梅田の阪急三番街のお店ですが、チャンスがあれば、すべての店舗でカレーを食べたいと思っています。「インデアンカレー」は、9店舗あります。大阪に7店舗。あとは、芦屋市と東京・丸の内です。今日、丸の内店にいったので、9店舗のうちう店舗「制覇」したことになります。
▪︎阪急三番街では、いつも「ルー大盛り&卵」を注文しますが、昨日は「ルーダブル&卵」にしてみました。写真がルーダブルです。しかし、個人的な印象なのですが、「これが本当にルーダブルなのだろうか…」と、少し疑問に思っています。「ルーダブル」だったら、「カレールーの海に島が浮いている」であってほしいなあと思います。ひょとして、「ルートリプル」って頼めるのだろうか。メニューにはありませんが。
▪︎味ですが、確かに「インデアンカレー」の味です。間違いありません。しかし、付け合せのキャベツのピクルス、ちょっと見た目の感じが微妙に違います。ピクルスにするまえに塩で揉んで水分を出すのでしょうが、なんだかちょっと揉みすぎ…って感じもします。とはいえ、こちらも美味しくいただきました。
CITI Japan プロジェクト
▪︎東京の四谷にある上智大学に日帰りで出張してきました。昨日、「CITI Japan プロジェクト」(Collaborative Institutional Training Initiative Japan Project) による「研究倫理教育責任者・関係者連絡会議『研究倫理教育の現場と課題』」が開催されました。600名以上の方たちが、全国の大学から集まりました。「CITI Japan プロジェクト」の事務局でも予想外の参加者だったらしく、会場は受付だけでかなり混乱をしており、予定かよりも15分ほど遅れて始まりました。
▪︎いろいろ勉強になりました。まずは、医学・薬学・生命科学の事例をもとに取り組みの報告がなされました。自然科学系の研究倫理の問題ではありますが、いろいろ考えさせられるところがありました。その後は、グループに分かれてのグループディスカッションになりました。全国の大学から集まられた関係者の皆さんが、非常にシビアな危機意識とともに、研究倫理教育の問題に取り組んでおられることがヒシヒシと伝わってきました。もちろん文科省が言うから仕方なく…というのではありません。自分たちが「生き残っていくために」、「きちんとした人材を養成していくために」必死になっておられるのてす。「それは、自然科学系のことであって、人文社会科学には関係ない…」という意見もあろうかと思いますが、それは的外れだろうと思います。具体的な問題や取り組み事例の紹介があればよかったんでしょうが、そのあたりは取り組みが遅れているように思います。個別の学会的にはどうなんでしょうか…。たとえば、社会調査のデータに関して…。いろいろよくわからないところがあります。
▪︎帰りの新幹線では、本学の職員の方と目の前の仕事のことだけでなく、仕事のビジョンのようなことについても、じっくり話しをすることができた。それは非常によかったと思います。
【追記】▪︎本日の「研究倫理教育責任者・関係者連絡会議」の様子は、3月10日のNHK「クローズアップ現代」で取り上げられる予定だそうです。
東京大学の加藤茂明元教授らが執筆した分子生物学の33報の論文に不正があると、去年12月大学が公表した。実験を行う前から、期待する実験結果をあらかじめ作成しておく「仮置き」という作業慣行が、不正の一因となっていたことを報告書は指摘。「ストーリーに合った実験結果を求める姿勢の行き過ぎ」があったとした。STAP細胞問題など相次ぐ論文ねつ造の背景には、インパクトある論文を量産しないと研究費が確保できない研究環境や、研究室の密室性が関わっていると専門家は指摘する。そうした中、国は去年「研究不正防止のガイドライン」を改定。研究者の倫理教育プログラム受講の徹底や、研究生データの保存義務づけなどの新たな対策に乗り出した。画像不正検出ソフトを使い、民間の力で研究不正を洗い出す取り組みも始まっている。崩壊しつつある科学界のモラルを取り戻すには何が必要かを考える。
武蔵野美術大学生による黒板ジャック
研究倫理教育の現状と課題
▪︎明日、上智大学で「CITI Japan プロジェクト 研究倫理教育責任者・関係者連絡会議『研究倫理教育の現状と課題:これからの日本のあり方を考える』」が開催されます。この会議の開催趣旨は以下の通りです。明日、この会議に、研究部の職員の方たちと一緒に出席します。4月からの仕事を少し前倒しで取り組ませていただく…ような感じでしょうか。
2014年8月,「研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン(新ガイドライン)」(文部科学省)が発表されました.その中でとりわけ重要な役割を担うのが「研究倫理教育 責任者(RIO)」です.新ガイドラインでは,大学を含む各研究機関の部局毎にRIOの設置, そして組織を挙げた定期的な研究倫理教育を義務づけています.
研究活動とは,「人類が未踏の領域に果敢に挑戦して新たな知識を生み出す行為」によって生み出さ れる,「人類が共有するかけがえのない資産」です(日本学術会議「科学者の行動規範」より).新ガ イドラインによれば,責任ある研究活動とは,ひとりひとりの研究者,研究者コミュニティ,そして それらを支える研究機関によって成立するものであり,RIOの活動は,それらすべてに大きく影響 することが想定されます.ただし日本では,RIOに関する取組の歴史が浅いため,RIOにどのよ うな役割が求められ,またどのような取組を進めていくことが望ましいのかという点には不明な点が 多く,大きな課題となっています.
「研究倫理教育責任者・関係者連絡会議」では,文部科学省,新ガイドラインの実装において重要 な役割を担う機関(日本学術振興会,科学技術振興機構),現場で研究倫理教育を担うRIO関係者の 皆様,また研究倫理教材を作成している皆様の間の情報共有,交換を通じて,日本の研究倫理教育の 活性化を目指します.
▪︎理化学研究所の例の問題もあってか、社会一般にも研究者倫理の問題が広く知られるようになりました。勤務する龍谷大学でも、すでに「「研究活動における不正行為の防止及び対応に関する規程」を制定しています。今回の連絡会議では、そのような規定だけではなく、規定にもとづき大学教員や研究者がきちんと研究活動をしていくために置かれる「研究倫理教育 責任者(RIO)」がテーマになります。3つの大学、東京医科歯科大学、筑波大学、京都大学の「研究倫理教育の取組例」について講演がおこなわれます。また、韓国での取り組みについても講演が行われます。そのあとは、「研究倫理コミュニティの創成に向けて」というテーマでグループディスカッションになります。明日は、全国から600人を超える大学関係者が参加されます。各大学から数名ずつでしょうから、この問題に対する全国の大学の関心の強さを窺い知ることができますね。おそらく会場はかなり混乱するでしょう。はたして、グループディスカッションが可能なのかな…若干の不安がありますが、勉強してまいります。
▪︎今回の連絡会議を主催するのは、「CITI Japan プロジェクト」です。「CITI」とは、「Collaborative Institutional Training Initiative」のことです。詳しくは、こちらのサイトをご覧いただきたいと思います。このサイトのなかで、「CITI」に関する動画がアップされていましたので、貼り付けておくことにします。